72.6日目①
再び夜は明け、朝が来るが、明理と勇治は寝る暇もなく都内を駆け回っていた。
とりあえずそこらにいる暴漢を始末するのは楽であった。適当に殴る蹴るをしていれば、錬装能力を持つこちらが負ける道理はない。が、問題はその後の処理。
国中のインフラが停止して3日目ともなると、市民達の精神的疲労も相当なものになっていた。
災害時とは異なり、まともな備えもないまま内戦状態に突入してしまったのだから当然である。
しかも、今回は自然相手ではなく人間相手。警察や消防、自衛隊からの助けが来る見込みもない。おまけに疑心暗鬼に駆られた人々は互いに助け合おうとする意志すらも奪われていたのだ。
とある小学校の体育館に避難していた人々に向けて銃を乱射していた青年を取り押さえ、指という指を使い物にならなくしてやった明理たちは、避難民からの過剰とも言える歓迎と無理難題な要求を浴びせられていた。
「……ですから、ここはもう水も食料もほとんど残っていないんです。近くの店の備えも底をついてまして……隣町のデパートならもっとあるかと思いますが、あそこには銃を持った人達が……」
「学校のトイレも流れなくなっているんです。何とか修理できる人を呼んでいただきたいんですが」
「うちの大事なミーちゃん(猫)を家に置いたまま逃げてしまって、心配だわ……家まで見に行ってくれないかしら」
「ママー、お風呂入りたいよー!」
「あそこにいるパンチパーマの男の人が、すぐに他の人に突っかかってきて迷惑しているんです。どうにかして懲らしめるか、追い出せないでしょうか?」
「うちの翔ちゃんがお腹痛いって言ってるんです!早くお医者さんに見せるかしないと心配で……!」
正義のヒーローに対する要望が多方向からのステレオでお送りされ、シグ・フェイスの姿となった明理でもキレ気味な様子を隠せずにいた。
勇治もせめてもの状況をと体育館の中を確認したが、避難した人間の数はゆうに百人は超えており、この数の人間を満たすだけの物資の運搬は並大抵のことではないとすぐに諦めがついてしまう。
「だぁぁぁぁーっ!!私等は正義のヒーローであって便利屋じゃないのっ!他にも助けに行くとこあるんだし、せめて食いもんくらいは自分で取って来い!」
ついに本性を表したヒーローの姿に、非難は更なる轟々さを増す。
そう、人を危険から救うのは簡単だ。しかし、生活面の面倒を見るとなると話は別。
しかし、避難した人々も自分達の命に関わることのため、ヒーローに喰らい付かざるを得ない。
「ちぃっ、逃げっぞユージ!」
「は、はいっ!皆さん、どうかお気をつけて!」
なぜ助けたはずの人間から逃げないといけないのか。
そんな疑問も三回目が過ぎたあたりから、すっかりと鳴りを潜めていた。
白と黒のヒーローコンビは一斉に踵を返し、体育館の前から全速力で離れ、後を追いかけてくる人がいないか、後ろからの声が完全に聞こえなくなるまで走り続ける。だが、流石に救助活動も三日続くと、錬装化した状態でも少し走っただけでくたびれてしまう。
二人は近くの適当なコンビニに入り、陳列棚の後ろに隠れるように腰を下ろす。コンビニと言っても既に根こそぎ略奪を受けており、商品と呼べるようなものは一切なく、ガラスの破片が地面に散らばっているのみであった。
「あーあ……ここにも食い物は……なさそうだなー……」
「俺達が略奪してどうすんですか……でも、たった3日でこれだけのものが無くなるんですね……」
ふと、滅茶苦茶に壊されたレジの残骸が勇治の眼に止まる。
こんな状態にあっても金銭欲を抑えきれない人間の浅ましさに、ただ溜息が漏れるのみであった。
水道が止まり、電気も止まり、交通機関が止まり、物流が止まり……都会に生きる人間が、いかに既存の社会システムに依存していたか、否が応でも思い知らされる。
「この近辺の店で食い物がなくなったとなると、次は物流倉庫か、田舎の畑に人が大挙してくるだろうな。そしてまた略奪だ」
「篠田さんのところの食料もいつまで持つか分かりませんしね……」
「そこで、黎明のヤロー共が衣食住をチラつかせて世界征服……って流れもありなのかね」
急に話が飛んだような気がするが、明理の仮説も一理ありそうな状況なのがまた辛い。
実際のところ、黎明の錬装機兵とは河川敷の出来事の後から数度ほどしか遭遇していない。これまでに明理が屠れたのもたったの二人。錬装化を解除されて一般人に混ざると、区別のつきようがない。
そんな中でも、暴漢たちを片っ端からしばき倒して事情を吐き出させ、そのおよそ4割くらいは黎明の手の者と思わしき人物から報酬や脅しにより焚きつけられていたと判明した。しかし、残りの6割は周りに便乗して勝手に暴れまわっている奴らというのはこれまた悩ましい事態であった。
富や権力を不当に持っている者たちを断罪する、というスローガンは聞こえはいいが、実際に攻撃している対象の多くはか弱い方の人間。携帯電話があればアクセスできるデイブレイクを使えば、悪人の情報はある程度分かるはずだが、ターゲットの倍以上の無関係な犠牲を出している。これが現実だ。
「ん……煙か?またどっかで火事かよ……?」
外から入ってくる僅かな煙を察知した明理は、店の隅に残っていた消火器を面倒臭そうに肩に担ぎ上げる。勇治も警戒しながら外の様子を伺うと、火元こそ近くにないものの白い煙が漂っているのを確認した。これまでにも火事は何度か見ているが、消せそうなら消火活動。無理そうなら放置、といった感じだ。疲れもあってか、現場へ向かうのは小走り程度。が、むしろそれでよかったのかもしれないと、二人は現地に到着した途端、ビルの陰に身を屈める羽目になってしまった。
『戦争反対!暴力反対!テロ反対!』
『また日本を戦争する国にしたいのかーっ!』
『ネトウヨの東郷なんぞに踊らされるなーっ!』
『我々は平和の志を忘れない!憲法9条の精神を忘れない!市民の力で戦争を推し進める者からこの国の秩序を取り戻そう!』
『結局政府は、こんな非常事態になっても何もしてくれません!今までの官僚主義を止め、次の政権は真に民意を反映した方々から……』
ビル街のスクランブル交差点の真ん中に大勢の人間が集まっており、安全ヘルメットを被った男女が拡声器を手になにやら喚き続けていた。その中心には銃器類も混じった様々なガラクタが山の様に積み上げられ、その前には轟々と炎を吐き出し続けるドラム缶。
周囲の人々も熱狂的にデモらしき声を上げ続ける者と、恐怖半分の者と様々だ。よく見てみると、人だかりの一部は列を作っており、その先には簡易テントを立て食料品を配給する者達の姿があった。
「黎明じゃないみたいですけど……彼等も危なそうですね。明理さん、どうします?」
「並ぶのは癪だが、食い物は貰っとくか?」
「いや、彼らの主義主張も色々と……こんな状況下だし……」
「知るかそんなもん。今は飯の方が先決だ」
あまりにも細かいことを気にしなさすぎな明理の図太さに若干呆れはしたが、家に帰らず夜通し動いていたため勇治も空腹は否定できない。黎明の襲撃の不安もあるが、ここは大人しく食料を恵んで貰おうかと同意の方に考えが傾きかけた瞬間、列の前の方で怒鳴るような声があがる。
「こいつ!配給は一人一回までと言ったろう!気づかないとでも思ったのか!」
列の中から地味な色のジャンパーとジーンズ姿の初老の男が投げ出され、ヘルメットとマスク姿に角材を持った若者達が睨みつけるようにその周りを囲んだ。
「な、なんだお前ら、こんな年寄りに向かって……これが年配の人間に対する態度か……!あれだけの配給で足りるわけないだろう……!」
「ルールを守らない奴が偉そうな口聞くな!」
男の反論に対して怒声と角材による腹部への一撃が返って来る。男は苦しそうに咳き込みながらその場にうずくまった。
「腹が減ってるのはみんな同じなんだよ!」
「自分の都合で目上と弱者と使い分けてんじゃねぇ!」
さらに追い討ちをかけるように周囲の男達が、初老の男へ踏みつけるような蹴りを入れる。
周りの人間も、一切止めようとはしなかった。怯えるような表情をする者もいたが、この男は罰せられて当然だ、という険しい顔をする者の方が多かった。
若者達の制裁が終わると、砂まみれになった初老の男は蹲ったまま動かなくなり、両足を引っ張られてずるずるとどこかへと連れて行かれる。……勇治はただ、見ている他なかった。
「泥棒よ!そいつを捕まえて!」
さらに間髪いれずに中年女性の悲鳴が周囲に響き渡る。今度は小さな影だった。すぐさま老人に制裁を加えた男達が駆け出し、周囲を囲んで取り押さえる。今度の犯人は小学生くらいの少年。肩掛けのバッグから乾パンの大袋が3つとミネラルフォーターが4本押収された。
流石に子供だからと若者達は、すぐに殴る蹴るようなことはしなかった。しかし、代わりに最初の声の主であろう酷く顔の乱れた中年女性がづかづかと近づいてきて、少年の顔をひっぱたく。
「どうしてこんなことをしたのっ!あなた、親はどこにいるのよっ!?」
化粧をしていない顔と合わさって中年女性の凄まじい剣幕に、少年は大声で泣き出した。
「泣けば済む話じゃないのよっ!みんなが苦しい時なのになんで勝手なことするのっ!?並べば済む話でしょ!親の顔が見てみたいわっ!」
「ひぐっ、きのぅからなにもたべてないんだよぉぉぉ……!ごはんはかぞくまとめてって聞いてくれないし……!」
「何を甘ったれてるのよ!?みんな同じよっ!」
「だって、おとうさんもおかぁさんもゆうなも死んじゃったんだよぉぉぉ!うああぁぁぁっ!!」
少年の鼻水交じりの声に、周囲の若者達は顔を見合わせ、中年女性もはた、と手を止める。列に並ぶ人々も微かに同情の声を上げ始める。そして中年女性も、その事態に気が付く。
「ふっ……ふんっ!だからってこんな時に盗みを働くことないでしょう!?犯罪なのよ!?どんな教育を受けてきたのかしら……ちょっと、あんた達なにジロジロ見てんのよ!?私が悪いってのっ!?みんながお腹すいているのよ!?そんな理由で毎回盗みをされちゃどうにもならないでしょう!?」
女性は一人で喚き散らし不機嫌そうに列の中に戻っていく。泣きじゃくる少年はそのまま男達に手を引かれどこかに連れ去られていった。……初老の男と同じ方向なのが少し気になるが。
ようやく辺りに落ち着いた空気が戻ったかと思うと、再び拡声器から戦争反対、暴力反対のコールが流れ始め、周囲もそれに同調する声が上がり始める。
明理が一息ついて体を起こし、その場で伏せたまま拳を震わせている勇治の頭の小突く。
「どうしたよ?」
「あんまりじゃないですか、こんなの……!」
「でも、止めには行かなかったな」
「あの中の誰を?誰を倒せば解決したんですか……!?」
勇治も嗚咽とも判断のつかない声を聞いて明理は鼻で笑う。
「安心しろよ。私らの敵は、向こうからちゃんと……来てくれたんだぜ」
急にドスのかかった明理の声に、勇治ははっと正気に戻り明理の視線の先まで振り向く。
――いつの間に。
何時から後ろにいたのか。
どの瞬間から、余裕綽々と胡坐をかいて座っていたのか。
「……どうだい、この世の中は?少しは楽しくなっただろう?」
不適な声を上げながら両手を広げるその人物。
流血を浴びたかのごとき真紅の鈍い輝きを放つ、流線型の鎧。いや、アルク・ミラー。
勇治が声を発する前に、明理が高笑いと共に名調子を決め出す。
「へっ、また私らの前に姿を表すとはなぁっ!アイキくんよぉっ!この前の敗北の恐怖で、未だに震えながら布団に包まってのかと思ったぜ!」
「寝たまま過ごせるわけないじゃないか……こんな愉しい世の中をね……」
真紅のアルク・ミラーの使い手、愛樹は、明理の挑発を見え透いたものと簡単に流す。
しかし、その態度がかえって勇治の方の逆鱗に触れてしまっていた。おまけに、そのまま回れ右と背中を見せ、相手の顔を見ないまま左手の人差し指だけを軽く動かす。
「ちょっと付いて来いよ。面白いものが見れるぞ」
愛樹は例の如く轟音と共にその場を跳躍して、どこぞへかと向かっていく。追いつけない程度の速さではない。明理は乗ってやるとばかりに笑いながら走り出し、それに続く形で勇治もその場を駆け出した。
「くそっ、あの野郎……!明理さん、何か罠を仕掛けてるかもしれません!」
「そうだろうと、向こうから折角来てくれたんだ!このチャンスを逃がす選択肢は最初からない!」
空中を駆ける愛樹の姿を見失わないように、二人は徐々に高い建物に飛び上がっていき、屋根の上を駆けていた。やがて、愛樹がとある建物の屋根の上に着地し、二人の方へと振り返る。
そこは飾り気のない外装をした、大きな煙突を携えたコンクリート作りの建物。勇治は上から見るのは初めてとはいえ、小学校時代の社会科見学でこの建物には見覚えがあった。
愛樹は煙突の周囲の枠に寄りかかり、二人の到着を確認すると、指を差して言った。
「そこの天窓から中が見えるぜ。ちょっと覗いてみろよ」
「ここはごみ焼却場じゃないか。一体何が……」
明理が見張っているので大丈夫とはいえ、愛樹の動向を警戒しながらも勇治は天窓を覗き込む。
そして、絶句した。
「な……ここ、は……!?」
「何があった、ユージ?」
「ひ、人の山……!?しかも、クレーンがそれを掴んで……!」
想定外の光景に言葉を上手く紡げない勇治に代わって、愛樹が笑いながら答えてみせる。
「死体処理場、さ。単なる火葬場では埒があかないみたいでね。ここを使わせて貰ってる」
「人をモノ扱いして……!」
「人じゃなくて死体だよ。単なる廃棄物さ。人の死体が世の中の何の役に立つんだい?」
勇治はやはりこの男の感覚と自分は相知れないと改めて確信した。
そんななか、中の様子を見るまでもないと、明理が割って入るように反論する。
「……いくら仏さんでも、臓器移植くらいには使えるだろうよ」
「あっはっは、そうだね、これは一本取られた!」
「で、これだけの死体をどうするつもりだ?単に処分するだけだってんなら、わざわざ今、この時に、こんな所には集めないよな?道端の死体を一つ一つ拾ったわけでもないだろうしよ」
「流石だ。やはり君は目の付け所が違うね」
愛樹は明理を賞賛するが、言葉の端々に譲れないものが混じっている雰囲気を漂わせていた。
「死体は主に病院や老人ホームから拾ってきたってさ。抵抗されないし、寝たきりの奴なんて腐るほどいるしね。何やら錬金術の実験に使うって言ってたよ」
「錬金術、だと……!?」
「おっと、それ以上は僕も知らないよ。別に興味もないしね。まぁ、さっきのおじさんと子供も今頃実験サンプルとして輸送されているはずだよ。なにせ、その見返りとして、こっちが食料を彼等に支給してるんだからね」
明理はわざとらしく首を大きく回す。装甲同士の軋みがその場に微かに響いた。
「くく……大丈夫だよ。奴等もそこまで鬼じゃない。どうしようもない人間をこちらが引き取っているだけさ。だって、いたってしょうがないだろ?」
「お前……それをわざわざ見せ付けるために……!」
「言ったろ?そんなの興味ないって。ちょっとからかってみただけだよ」
愛樹は対抗するかの如く足首を回して見せながら、声を高める。
「僕とすれば世界がこうなってくれれば満足なのさ。世襲、権力者、有名人、セレブなんて……そんな上っ面の肩書きと仮初の力が作用することのない、真の弱肉強食の世界……素晴らしいじゃないか」
「何が弱肉強食だ!自分達がたまたま錬金術やアルク・ミラーなんて力を手に入れただけじゃないか!そんな奴等がのさばるなんて、それこそただのインチキだ!」
勇治の叫ぶような反論――それは自分に向けての戒めでもあった。超えてはいけない領域だった。
しかし、愛樹はそんな言葉にも自分の精神は一切揺らがない、と含み笑いで返す。
「きみは、人がどんなに足掻いても、対等に扱ってもらえない世界を――知っているかい?」
愛樹の台詞に勇治は背筋が凍りつくような感覚を受ける。
彼の言う意味はよく分からない。分からないが。
それでも、とてつもなく冷たく、重く、歪んだ含みが、その一言には存在した。
「……ふん、この力が欲しければ、手に入れればいいのさ。今だって錬装機兵の調製は行われ続けている……力が欲しいのならどんな手段を使っても掴めばいい。……そして、だからこそ、シグ・フェイス、いや裕眞明理……貴様の決着をつけなければならない!」
「おーおー、ようやっと本題か。しかしなぁ、決着も何もお前の負けだったじゃねーか。正しくは『リベンジマッチ』だぜ、アイキくんよぉ」
「それでもいいよ、君に2回勝てばいい話だ」
「律儀なやつだなー」
「それでも2回目があるかは君次第だね」
二人が互いに一歩も引かない舌戦を繰り広げる中、勇治は目の前の男にとって自分のことは眼中にないのだろうと、力のなさを歯がゆく感じていた。そして同時に、明理ならばこの状況を打破できるかもしれないという淡い期待を抱いていた。
「それじゃあ、今晩6時に、日比谷公園で待ってるよ」
「おいおい、リベンジマッチとか言ってる割には、時間も場所も指定かよ」
「場所は今からここだと流石にこちらも不都合なんでね。気に食わないんだったら、君の指定でも構わないよ?」
「んーにゃ、その必要なし。その条件で飲んだ」
あっさりと同意を得られると、愛樹はご機嫌な様子で爆音を吹かしながらその場を去っていった。
すぐに彼の姿が見えなくなると、明理は両手を天に突き出しながら、マスクの下の表情がそのまま出ているかのような大きな欠伸をする。
「向こうの条件を飲んじゃっていいんですか?」
「アイツは罠を仕掛けるような奴じゃないさ。お前も見て分かるだろ?あのいかにもプライド高そーな感じ。もし、黎明の奴等が勝手に罠を仕掛けやがっても、逆にキレるだろうしな」
「そうですかねぇ……」
「さぁて、夜までにはまだ時間もある事だし。一度家に帰って飯食って寝ようかねっと」
勇治の返答を待つ前に明理は隣の建物へと飛び移っていく。
こういう時の切り替えの早さも大したものだと思うが、このまま闇雲に動き回っていても埒が明かないのは事実であった。勇治もすぐに後を追おうと足を踏み出すが、不意に視界がぐらつき、体がよろめいてしまう。頭の中が一旦冷静になって初めて、自分自身の疲労の大きさを感じ、もう前の様なコードバーストはこりごりだと、周囲の状況から目を逸らしながら帰路に着いた。




