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スパイダーマンとSMプレイ  作者: 遥(はるか)奏汰(かなた)
1/1

スパイダーマン考

画面の中に広がる世界が、我が家の茶の間に突如としてなだれ込んできた――。

かつて、テレビ放送といえば限られた数チャンネルのみが娯楽のすべてであった時代。ケーブルテレビの導入という我が家の「大革命」により、私たちの前には未知の映像世界が一気に開かれた。

『ドラえもん』の夢あふれる世界から『今日の株式』の大人の匂いまで、多様な番組が入れ代わり立ち代わり親子の視線を釘付けにする中、少年だった著者の興味は思わぬ方向へと惹きつけられていく。アニメや子供向け番組の陰で静かに蠢いていたもの、そして後に巡り合う「スパイダーマン」という存在とそこに垣間見える緊縛・SMの美学――。

本作は、昭和のテレビ開花期における少年期の個人的体験を起点に、ポップカルチャーの表層と深層に潜むフェティシズムの原点を紐解く、痛快にしてノスタルジックな考察型エッセイである。

 わたしは幼少期、あまりテレビを観ながった。それは、一重にウチのテレビがCATV=ケーブルテレビに接続していなかったのが原因である。要するにテレビ局まで繋がっているケーブルが、繋がっていないのだから、観れる番組が極端に少ないのである。 

 まずNHKは教育も含めて見られた。そして、Pチャンネル(仮名)という、その地方の県庁所在地から発信される地方専門の番組も見ることが出来るようになっていたのである。で、全国ネットで何故かTBSだけが見れたのだったと思う。

 つまり、その4局だけが御茶の間の娯楽の中心だったのである。

 ま、当時としてはそれでも充分愉しめたのだけど。

 そんな時代、わたしが小学三年生になった頃であった。

 なんと、母親がようやくケーブルTVを契約してきて、チャンネルを回すダイヤルに記されたすべての局の番組を見ることが出来るようになったのである。

 ケーブルで繋がれたテレビは革新的であり、わたしたち親子の興味を逃すことなく挽続けたのである。

 初めて『ドラえもん』を見た。初めて『今日の株式』を見た。初めて『三時のあなた』を見て、初めて『海底少年マリン』や『三時のおじゃまクイズ』を見た。我が家に 革新的旋風を巻き起こしていた。『笑点』『キャンディズ』、『リンクレディ』も勿論初めてなのである。あ、そうそう『ウルトラマン』も『ベルサイユの薔薇』もね。『ザ・かぼちゃワイン』も『田舎っぺ大将』も『オバケのQ太郎』ももちろん。 

 しかし、それらの

アニメはあまりわたしの興味を引く惹くものではなかったのだ。勿論、見るには見た。他にやることは、なかったし。いや待て!その頃にはかの江戸川乱歩先生の少年探偵シリーズ、明智小五郎シリーズに嵌(はま)ってはいたのだがそれは別として。

     ♢

 さて、お話の途中であるが、ここで一旦原稿から離れなければならない。お楽しみください 申し訳ございません 申し訳ございません。しは(し用を足します。小休止いたします。連載エッセイとなっております。次回も是非お楽しみにお待ちくださいませ━━━。   

  【続く】

本稿をお読みいただき、誠にありがとうございました。

昭和という時代、テレビのチャンネルを回す行為そのものが、まだ見ぬ未知の世界へと扉を開く冒険のようでした。アニメや特撮、バラエティ番組が溢れるお茶の間で、少年期の著者が無意識のうちに感じ取っていた「スパイダーマン」の糸や緊縛、そしてSMという美学の影――。

一見すると子供向けのポップカルチャーの裏側に潜むフェティシズムや美意識の原点を、自身の思い出とともに振り返り、解剖してみたのが本作です。ノスタルジーとともに、あの頃のテレビ画面の熱気や少し怪しげな魅力が少しでも伝わったならば幸いです。

次回も引き続き、ポップカルチャーの表層と深層をめぐる考察をお届けしますので、どうぞお楽しみにお待ちください。

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