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Darkness Empire  作者: 豹牙
リフィール村編
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教会の母への懺悔

「ちょっと待ってよ! この人はあたしを助けてくれたんだよ? 大体意味わかんないよ! なんでママよそ者だからって銃向けてるの? そんな話いままで聞いたことない!」

ベリーズの指が止まった。エリアの顔に涙が流れている。

「エリア、あなたがこの村で平和に暮らしていけたのはなぜだと思う? この村がよそ者に知れていないからなのよ」

「でもシャルルさんがいなかったらあたし死んでた! 今まで……こんな罪もない人々を殺してきたっていうの!?」

「それは……っ」

「今までみんな旅に出たって言ってたけど嘘だったんだね!」

こんなにエリアが怒ったのはベリーズも初めて見た様子で動揺していた。

「そもそもマリエ様って何度もお母さんとか村長は言ってるけど本物見たことあるの!?」

「ないに決まってるじゃない」

「もしこの人がその神様を見たことあるとしても殺すの!?」

「どういうこと?」

エリアはシャルルを指で指した。

「あなた、マリエ様を知ってるの? そんなはずはないのよ。マリエ様はこの村の民しか知らないはず」

「だからどうしたって言うんだ?」

「……私は買出しの続きに行くから、今日の朝8時にここに来て。いいわね」

ベリーズはそのまま教会を出て行った。

「ママ、殺しちゃだめだよ!」

エリアは涙をぬぐって言った。

「シャルルさん、8時にここに来るのが嫌だったら逃げて。命が一番大切なんだから」

「私は敵に背を見せるのが嫌いなんだよ」

「そうなの? でも、死なないでよ」

「なんでそんなに気使うんだ?」

「……あたし、前に村で仲良くなった子がいたの。でもよそ者で……」

エリアが昔の話を持ち出したので、シャルルは何もしゃべらず黙って聞いていた。

「その子、あたしより年上だったんだけど妹がいて、すごくしっかりしてた。ある日ね、その子が遠くの学校に入るから妹を置いてこっそり村を抜け出したの。そしたら翌日、その妹が死んじゃったの。お母さんは旅に出たとか言ってるけど教会ににあった棺桶は絶対妹のだって今気づいて……殺したのは多分お母さんなんだよ。あの日お母さんの服に血が付いていたのは転んだんじゃなくて……」

「返り血だったというわけか」

シャルルは深刻な顔をして言った。

「マリエと同類の母親だな」

「マリエ様って子供がいたの?」

「二人な」

「シャルルさんて、マリエ様とどんな関係だったの?」

この質問にシャルルは少し驚きを見せていた。

「この女神像を見たときからいずれ言わないといけないと思っていたが……」

エリアは興味深々で聞いている。

「あの女が言っていたが、お前の名前はエリア・マリンか?」

「うん、そうだよ」

「ならお前の母親はマリエだ」

「えぇっ! どういうことなの? 説明してよ! なんであたしとマリエ様が!」

その様子を見たシャルルが少し笑ったように見えた。

「もう一つ、マリエはこの地球の人間じゃないし私も地球の人間じゃない。お前もな」

「っ!」

「500年前に金星と水星が宇宙から消えた事件、知ってるか?」

エリアは早く続きが聞きたそうに何度もうなずいた。

「あの後、あの二つの天体は宇宙の異空間に飛ばされた。前の環境との差が大きすぎて大きな自然現象を起こした。それで超人的な生命力を持つ人間が生まれたんだ。マリエは水星、今では魔界と呼ばれるところで二人の子供を生んだんだ。お前と……私をな」

「それってあたしとシャルルさんが姉妹ってこと!?」

「そういうことだな。私も名を聞いたときは驚いたが」

「えーーーーっ!!」

エリアの声が教会中に響いた。

「……これから、姉さんって呼んでもいい?」

「勝手にしろ」

「じゃあ姉さん、どうしてあたしだけ地球にいたの……?」

「私たちが住んでいた帝国に、長年封印されてきた転送魔が襲い掛かってきたんだ。みんなで頑張って倒そうとしたが、生まれたてのお前だけがあいつに転送されてしまったんだよ。私が6歳の時の話だが」

「うーん……」

エリアは異世界の話を聞かされて訳が分からなくなった。

それもそのはずで、突然地球の人間じゃないとか長年拝んできた女神が母親だとか、目の前にいるのがたった一人の家族だと言われ今までの記憶がおかしくなってしまった。

しばらくしてエリアは気をとりなおして言った。

「でも、あたしいままで家族と魔女に会うことしか考えてなかったから、すごく嬉しいの! ちょっとよくわかんないところがあったりしたけど、あたしはそれはそれでいいの。姉さんは、あたしに会うためにこの村に来てくれたんだよね!」

「お前がこの村にいることを昨日知って、私は旅の途中にここに来たんだ」

「本当に!」

エリアはさっきよりも嬉しそうに言った。

「それにしても旅ってかっこいいなぁ……そうだ! あたしも連れてって! いいでしょ?」

「別に構わないが、この村の連中が許してくれるのか?」

「あたしがなんとかする! だから姉さんは8時、ここで死んだらだめだからね?」

そういってエリアは寝るために先ほどの小屋に戻っていった。

シャルルはマリエの像を見上げながら、

「お前が安らかに眠れる日は、私が作らせない」

と言って教会を後にした。

安らかな笑みを浮かべる女神像は、ただ手を差し伸べていた。

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