和栞さんとの指きりが隣指の誓いにかわるまでに、俺は。
彼女は目を虚ろに、開口一番……
「あなたを私のうたた寝監視係さんに任命しましょう!」
――多分あの時だ。すべてが始まったのは――
四月初週の土曜日。
物好きしか立ち寄らない高台の先で、年端も行かないような華奢な後ろ姿がただ一人 ――この町の景色を独り占めにしていた
振り向いた顔はこちらを見るなり、驚きと安堵を示す。容姿端麗な黒髪のその美少女――月待和栞にはこの春から接点があった。
彼女とはクラスメイト。その見目麗しさゆえ、友人と話題にすることはあったが直接会話するのはこの時が初めてだった。
笑顔が絶えない美少女は表情も豊かで見ていて飽きない。細やかな心配りまで完璧だ。
「仲良くなりそびれていましたからね」と自己紹介代わりの会話をした後で、今はただこんなこともあるのかと思った青春の一ページ、過ぎ去る一つの思い出くらいに思っていた。
翌週、俺、南波伊織は我が目を疑う光景を目の当たりにする。折角の絶景はなんのその。眠気に負けてしまった和栞は絶賛、瞳を閉じて気持ち良さそうに、すやすやと日向ぼっこ中……。
長いものには巻かれておけ精神のどこにでもいる男子高校生が、いつも優しく微笑んでくれるポジティブヒロインとの、ごくある日常。――ああ、やっぱり美女って罪だ
――これはやがて一生の契りを結ぶ『君』との、出会いと恋とたくさんの約束が詰まった真っ直ぐで甘い、青春物語。「徐々に糖度、上がっていきます」
2025/7/29 更新 : R15以上推奨としました。
「あなたを私のうたた寝監視係さんに任命しましょう!」
――多分あの時だ。すべてが始まったのは――
四月初週の土曜日。
物好きしか立ち寄らない高台の先で、年端も行かないような華奢な後ろ姿がただ一人 ――この町の景色を独り占めにしていた
振り向いた顔はこちらを見るなり、驚きと安堵を示す。容姿端麗な黒髪のその美少女――月待和栞にはこの春から接点があった。
彼女とはクラスメイト。その見目麗しさゆえ、友人と話題にすることはあったが直接会話するのはこの時が初めてだった。
笑顔が絶えない美少女は表情も豊かで見ていて飽きない。細やかな心配りまで完璧だ。
「仲良くなりそびれていましたからね」と自己紹介代わりの会話をした後で、今はただこんなこともあるのかと思った青春の一ページ、過ぎ去る一つの思い出くらいに思っていた。
翌週、俺、南波伊織は我が目を疑う光景を目の当たりにする。折角の絶景はなんのその。眠気に負けてしまった和栞は絶賛、瞳を閉じて気持ち良さそうに、すやすやと日向ぼっこ中……。
長いものには巻かれておけ精神のどこにでもいる男子高校生が、いつも優しく微笑んでくれるポジティブヒロインとの、ごくある日常。――ああ、やっぱり美女って罪だ
――これはやがて一生の契りを結ぶ『君』との、出会いと恋とたくさんの約束が詰まった真っ直ぐで甘い、青春物語。「徐々に糖度、上がっていきます」
2025/7/29 更新 : R15以上推奨としました。
美少女現るプロローグ
プロローグ
2025/07/25 12:12
(改)
第一章「出会いと二つの契り編」
第一話「一途な悪友と、見つかった美少女」
2025/07/25 12:51
(改)
第二話「帰路。和栞の後ろ姿」
2025/07/25 13:26
(改)
第三話「遠くを見つめる少女が一人」
2025/07/25 13:46
(改)
第四話「髪を下ろした美少女」
2025/07/25 17:02
(改)
第五話「素直に人と接しないと勿体ないですよ」
2025/07/25 17:27
「休一話:あの日のこと」
2025/07/25 19:57
第六話「射貫きたいのは、マトか千夏か」
2025/07/26 17:26
第七話「眠り姫、日向ぼっこ中につき」
2025/07/27 08:10
第八話「和栞のお気に入りとお願い」
2025/07/28 17:50
第九話「和栞、唯依に巻かれる」
2025/07/29 08:10
第十話「秀才、初めての経験」
2025/07/30 08:10
第十一話「忠告は届きませんでした」
2025/07/31 08:00
第十二話「うたた寝監視係さん」
2025/07/31 18:10
第十三話「仲良しへの通過儀礼 呼ばれ名」
2025/08/01 08:00
(改)
第十四話「仲良しへの通過儀礼 呼び名」
2025/08/02 08:00
第十五話「右手の行方」
2025/08/03 08:00