第七話 敵国の本拠地に到着だ—!
ガチャ
「さぁ、行こうか。」
馬車が止まるとロイが外に出ろといってきた。
その時にロイが俺の手を引いてくれて不覚にもドキッとしてしまった。
「あっありがと。」
「どういたしまして。」
俺はそっとロイの手に自分の手を重ねた。
その時ロイの少し高い体温が俺に伝わってくるようだった。
馬車から降りたら、なんとなくロイをジッと見つめてしまった。
ロイも俺の方を見て、俺達は互いに目を逸らすことができなかった。
「ん”っん”〜」
ビック!!
俺達はその声を聞くとバッとどちらからともなく手を勢いよく離した。
そして、声の主を辿ってみるとそこには若い男がいた。
その男は長髪で、きれいなエメラルドグリーンの髪色をしており、瞳の色は濃い深緑だった。
「失礼いたしました。私はこの城の管理を任されております、レイビットと申します。」
「いや、良い。」
「寛大な心痛み入ります。ではこちらで少しお話がございまして、、、」
「承知した、では行こう。ミカドすまないが、少し待っていてくれ。」
「あぁ、分かった。」
ロイはレイビットとかいったやつと話すと、話の内容が一段落したようで俺を手招きした。
なんだ?
俺にも関係あることなのか?
そう思って俺がロイの方に向かうと、ロイがある衝撃になことを言ってきた。
「ミカドすまないが、これから急遽王にあってもらう手筈となった。だから着替えを用意させたのでそれに着替えてきてくれ。」
「、、、まじで?」
「すまないが、大マジだ。」
俺はその話に言葉が出なかった。
なぜならいきなり王様に会えといわれても、はい良いですよ、と二の句で返事できるやつなんてそうそういないと思ったからだ。
現在に置き換えてみると、ただの生徒が校長室になんの説明もなく行かされる感じか。
あとは、一般平社員が急に社長室に呼び出される感じ、、、、
しかし、俺はそこら辺の切り替えがとてつもなく早かった。
諦めがつけやすいといったほうが正しいかもしれないが、、、
そのため、一分くらい考えた後にはどう行かないようにするか、ではなく、どう乗り越えるかということに思考がシフトチェンジしていた。
だが、ロイは俺がだんまりを決め込んでいるのを見てどうやら勘違いしたようだった。
「ミカド、お前が嫌なら、俺が王に言って取りやめてもらうように進言してくるが、、、」
「大丈夫だよ。少し考えていただけだから。」
「そうか?それなら良いのだが。」
やっぱり優しいやつだな。
ロイが言ったら自分の立場が危うくなるかもしれないのに、それを顧みずにほぼ他人の俺に言ってくれるとは。
だからこそ、こいつに迷惑はかけたくないんだよな。
「じゃあ、行こうか。」
「ふっ、分かった。だが、これだけは約束してほしい。」
「なんだ?王様に失礼のないようにとかか。それなら少し大目に見てくれよ?俺はそんなに品があるとは言えないんでね。」
ロイが俺に言いたいことはだいたいこんな感じだと予想していたのだが、ロイはその考えとは全く違う約束を提示してきた。
「そんなことではない。ミカド、約束してくれ。なにかあったり、困ったこと、嫌なことがあったら俺を一番に頼ることを。」
「それって、どういう意味何だ、、、?」
「そのままの意味だ。約束、できるか?」
俺はその約束事になぜだが心がポカポカした。
そして、考えるまもなくロイに言った。
「わかった、約束だ。」
「よし、必ず守るんだぞ。」
そんなやり取りをしながら俺はロイとともに王様のもとまで歩いていった。