第六話 ガタイのいい奴もといロイと馬車に乗る
そうして、俺達はこのことをきっかけに少し打ち解けた。
そのため、俺は素朴な疑問を聞くことにした。
「なぁ、ここってどういう国なんだ。」
「あぁ、ここはムーンクレイ帝国という。豊かな水のおかげで農業も発達していて、農民たちの生活も潤っている。」
「へぇ〜。農業の国なのか。」
だから、あのおっさんたちが無碍にはできない相手なのかな。
だって、食料とか輸入してたらそれこそ積むし、、、
俺が一人で敵国に売られた理由を納得していると、ロイが待ったをかけてきた。
「いや、それは少し違う。ここの国の本質は技術力にある。」
「技術力?例えば。」
「そうだな、、、例えば、そうだ。この剣だな。」
「その剣がどうかしたのか?」
「あぁ、ミカドも見事だと言っていただろ。」
「うん、いったな。その剣細部までめっちゃこだわってるし、丁寧だからな。」
「そういってもらえると職人たちが喜ぶ。」
「そうかい。」
ん?それにしてもなんで、この剣と技術力がつながるんだ?
剣を製造する腕が見事だとしても、結局剣は剣でしかない。
だから、良い剣は良い所有者あってのものだ。
「それでなんだが、この剣と技術力の繋がりはとても深くてな。元々この国は水で豊かだった。その話はさっきしただろう。」
「そうだな、水が豊かだからこの国の民もひもじい思いをしなくてすむって話だったよな。」
「あぁ、そうだ。だから、そのせいで周辺国に領地を奪われそうになるということが頻発してな。先代の王たちは自国を守るために、技術職を豊かにしたんだ。」
「へぇ、大変だったんだな。」
「あぁ、と言っても今の俺達にはあんまり関係がないのだけれどな。しかし、現国王様は慢心はいけないとその技術を発展させておられるのだけどな。」
「良い国王様なんだな。」
「そうだな、自慢の国王だ。国に許可が降りたら、ミカドにも見せてやろう。もっとすごい剣がたくさんあるのだ。」
「それは良いな!ぜひ頼む。」
俺達はその後さっきの気まずさが嘘のように話に花を咲かせた。
ロイとの話はとても面白くて興味をそそられるものだった。
しかし、ロイは元々あまり話さないようで、決して話し上手と言えるほどはないが、俺にとってはとっても心地よい声だった。
その声に何処か安心してしまった。
(安心するな〜)
俺が心の奥底で自分でも気づかないうちにホッとしていると、どうやら馬車が止まったようだった。
待てよ、俺、今何考えて、、、
「ミカド、ついたようだ。」
ドキッ
「あ、あぁ、そうか。、、、、ん?ちょっと待て。ついたってどこにだ?」
「どこにって、我が国の帝都にだが。」
マジか。
どうやら俺は帝都、つまりは王様のお膝元に来たようだ。