第五話 ガタイの良いやつと馬車に乗る
それから俺はガタイのいい奴と一緒に馬車に乗った。
「、、、、、、」
「、、、、、、」
、、、気まずい。
俺達の間にはなんとも言えない雰囲気が漂っていた。
なぜなら、話すこともなくかといって沈黙が辛くないという関係でもないからだ。
俺達はその雰囲気を幾分か過ごした。
俺はその時に暇すぎたので、ガタイのいい奴を観察することにした。
、、、ふむふむ。
こいつなかなか強いようだな。
着痩せしていて分かりづらいけど、ガタイがいいし、姿勢がめっちゃいいし。
こんな揺れる馬車でも体幹がぶれてない。
それに、改めて見ると顔もいい。
美人というよりもかっこいい系に近いか。
ほんとうにお人形みたいだな。
観察していると、俺はあることに気がついた。
「、、、その剣。上等だな。」
「むっ、貴殿はこれが気になるのか?」
「あっあぁ、嫌だったなら謝る。」
「いや、いい。」
ソワソワ
「、、、気になるなら、見てみるか?」
「良いのか!?」
「あぁ、ただし、見るだけだ。触ることは許さん。」
「それでいい!ありがとな。」
そうして俺はガタイのいい奴の刀を見せてもらうことにした。
キンッ
「おぉ〜。やっぱり良い剣だ。」
刀身がキレイで美しい。
それに、細部まで装飾がこだわっている
俺は刀剣を見ていると、ある考えが浮かんできた。
それは、こいつが相当な身分のやつではないかということだ。
なぜなら、こんな細部までこだわった剣を見たことがなかったからだ。
俺がそんな事を考えていると、ガタイの良いやつが俺の名前を聞いてきた。
「そういえば、貴殿の名前は何だ。」
「あれ?言ってなかったか。」
「あぁ。言っていなかったな。」
「、、、待てよ、俺もあんたの名前知らないんだけど。」
俺達はお互いの
顔を見合わせて少し固まってしまった。
なぜなら、こんなにも気軽に話していたのに互いの名前を知らなかったからだ。
「ハハハッ、マジか。俺等こんな初歩的なこともやっていないなんてな。」
「ふっ、ふふ。そうだな。では改めて俺の名前はロリニック・リーベルトという。気軽にロイと呼んでくれ。」
「わかった。よろしくな、ロイ。で、次は俺の名前か。俺の名前は椚帝。ミカドって呼んでくれ。」
「よろしく頼む、ミカド。」