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蠱惑的な彼女
僕は今日も、彼女の部屋へ向かう。
彼女は閉じ込められているらしく、部屋から出て来られない。
けれど、僕たちは愛し合っているんだ。
ほら。今日も、僕らは窓越しのキスを交わし──。
「ああ、ミャーちゃん、また野良猫さんが来てたの? この前の猫さんとは別の子だよね。全く、モテモテだね」
そのとき彼女の主人らしき人間がやって来て、彼女に向かってそう言い放った。
それを聞いた僕は、彼女の主人の言ったことを怪訝に思う。
別の? 誰だ、そいつは。彼女と愛し合ってるのは、僕で──……。
僕は同意を求めようと、窓越しの彼女と、手を合わせる。
すると彼女は、何とも蠱惑的な笑みを浮かべ、みゃあ、とひと言鳴いた。