第8話始まり
神器であり、異能である氷神の三叉槍が破壊された春也の精神も崩壊しかけていた。
「俺の勝ちだなぁ」
氷の勝利が確定してた事によって、二ポイント所持の氷は春也が所有している二ポイントが加算され合計四ポイントとなった。
「……結局、私の初めての敗北は氷川家に破れる為に……水川家の人間では、氷川家に勝てぬ運命か」
「お前が負けただけだろ?一族なんて関係ねぇ、お前の実力不足だ。異能力者なら、覚醒の一つ位得ろ」
氷はその場に留まる理由がない為、その場から離れる。
「流れに流された私の人生、このまま卒業後、静岡支部の防衛局に入るのが、正解だと思うか?」
「知るか!全ては、お前が決める事だ。それに関して、他人が関与出来るものなんてあるか。他人が簡単に関与出来てしまうものをお前は選ぶのか?」
「……誰にも関与させない己の意志か……私には無いものだな」
「つまらねぇな」
「……そうだな。……また、手合わせしてくれるか?」
「今よりも強ければなぁ」
「なれるだろうか?……この私に」
「知らねぇ」
歩いていく氷の後ろ姿を地面に倒れながら見た春也は一度微笑むと、空を見上げる。
「……窮屈だな。結局、敗北を知らなかったのも、私の周りに私よりも強い人間が居なかっただけか……ここで出会えて良かった。少しは私も変われそうだ。ありがとう氷川氷」
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氷と春也の戦闘が繰り広げられているその頃、青森支部代表の二ポイントを所持する三川涼香は十歳の水色の髪の少女、そんな少女を倒せば二ポイントが加算されるこの状況、見逃す者は居なかった。
しかし、彼女に挑んだ十名は氷付けにされていた。
「……あれは青森支部の最高傑作、あれには氷川氷を倒して貰わないとな」
青森支部の控え室で青森支部防衛局の副局長三川勉は自慢げに語っていた。
三川家は元々、氷川家と水川家による本家、分家に別れた際に、どちらにもつかなかった一部の人間によって造られた一族が三川家であり、三川家は衰退を続けており、現在では父である三川勉と娘の三川涼香の二人のみとなっている。
「……弱い奴しか、来ない。私の目的は氷川氷だけなのに、弱い奴しか来ないよ。パパ」
涼香に挑んだ者は氷付けにされ、身動きを封じられた事によって、敗北している。
幼い彼女を見て、挑むものが居たが瞬時に凍らせるスピードと、破壊することを許さない、強度により彼女は勝利を重ねていた。彼女はさらに十名を倒し、三十ポイントを得て合計三十二ポイントとなっていた。