第4話氷神の三叉槍(ブリザード・トライデント)
氷は両手から氷竜を出現させると、その二体を春也へと向けて、放つ。
氷の異能は暴滅氷神竜は氷が産み出した氷竜に接触したものを切断し、その切断箇所を氷で繋ぎ止める異能である。そんな氷竜が春也の体に接触すれば、体は簡単に切断される事は氷の異能を知る春也も理解出来ている事だった。
「これが氷竜か。蛇に似ているね」
春也は逃げる事も無く、向かっていくる氷竜を眺めていた。
近くに氷竜が来ると、春也はようやく動き丨氷神の三叉槍の三叉を氷で変形させ、斧へと変化させると、それを氷竜へと向かい振るい落とす。
「……神器が丈夫で助かったな」
二体の氷竜を退けた春也を見て氷ひょうは春也の神器が通常の神器よりも丈夫であることを見抜いた。
「確かに体に宿る神器は適合者の精神と繋がっており、持ち主の思いや精神によって、左右される。でも、丈夫だけで、君の氷竜を退けたのは、氷神の三叉槍の特性によるものだ。氷神の三叉槍は氷を発生させるのは勿論だけど、それ以外に氷を吸収する特性があってね。この吸収は不純物があっても出来てしまう。簡単に説明しよう。この槍で一度君を凍らせ、この槍で貫けば、氷ごと君をこの槍に吸収出来る」
「で、なんだ?」
「……理解出来なかったかな。結構噛み砕いて説明したつもりだったけど」
「勘違いするな。お前の強さに興味はない。何があろうと、どんな相手だろうと、俺の強さは変わらない」
「説明しなくても、良かったみたいだ。では、お手合わせを頼もうか」
春也は氷神の三叉槍を氷へと向けると、氷を増殖させ、槍の部分を瞬時に伸ばす。
氷は氷竜を出現させ、伸びてきた槍へと放つ。
「氷は全て、この槍に吸収される」
春也のその言葉通り、氷が出現させた氷竜を吸収して、槍は伸びていく。
氷は背中に氷の翼を生やし、その翼をはためかせ、上空へと離脱する。
「相性を見て、逃げたか。良い判断と言える。だが、氷川氷それでは逃れる事は出来ない」
春也は氷神の三叉槍を氷へと向け、投げつける。
氷は氷で造られた翼を消し、下降することで投げられた氷神の三叉槍をかわした。
「上手くかわしたな」
「神器を宿す能力、異能を持つ奴が簡単に神器を手離すとはな」
「神器の出し入れは、体に宿る持ち主のみがやれる。今、上空にある神器を体に戻す。そして、見ろ!」
春也は氷神の三叉槍を再び出現させる。
「……体に宿る神器故に出来ることか」
「氷は効かない私に君はどう対応するのか。見せて貰うよ」
「嫌でも見る事になる」