帰り道
帰り道_
於菟と祐は一緒に帰っていた。於菟は学校の前の交差点を渡って帰り、祐は交差点を渡らずに帰る為道が違うが、於菟は祐の家を見てみたいと思い一緒に帰る事にした。
「於菟さんと一緒に帰れて嬉しいです!」
「お、俺も嬉しい…」
祐は於菟にピースをする。何を思ってピースをしたのかは分からないが、於菟はその可愛さに口元を押さえた。
(可愛すぎだろホント…もう悶えるしかねぇよ…!)
於菟が落ち着いてから、2人で互いの事を話しながら帰る。
「於菟さんの好きな食べ物って何ですか?」
「まぁ…ラーメンとか?」
「ラーメンいいですよね!」
「特に味噌ラーメンだな…」
「僕も好きです!」
2人で話しながら帰っていると、前に3人程のヤンキーが見える。
「あれ…」
「ヤンキーが居るな…」
於菟は素早く祐を引っ張って端に移動した。ヤンキーが横を通り過ぎていくと、元の位置に戻って祐に話しかける。
「大丈夫か?」
「え、僕は大丈夫ですけど…」
祐は赤面させながら於菟の袖を掴む。その行動に於菟はドキッとした。
「きゅ、急にどうした?」
「えっと、心配してくれてありがとうございます…っていう…」
(そんな事の為に袖を!恋人みたいな事を!天使か!?天使だった!!)
心の中で暴走しつつ、祐を見る。ニコッと笑って於菟の袖を握っていた。
「え、あ、俺も、ありがとう…///」
「ふふ…♪」
今度は於菟が赤面しながら歩く。信号に差し掛かり、赤信号だった為青になるまで待つ。周りには人が数人居り、ほとんど下を向いている。
「何してるんでしょうか…」
「携帯でも弄ってるんじゃないか?」
「僕も携帯欲しいな…」
「え、携帯持ってなかったのか!?」
於菟は祐が携帯を持っていない事に驚く。祐は恥ずかしそうに頷いた。
「はい…親が携帯を持つのは19からだって言って買わせて貰えなくて…」
「そうなのか…」
19からは遅すぎじゃないかと於菟は思う。
「於菟さんは持ってるんですか?」
そう聞かれ、於菟は自分の携帯を取り出した。青いカバーの付いたスマホだった。
「俺のはこんな感じだ。」
「わぁ!コンパクトでカッコイイ!於菟さんみたいですね!」
「え、俺みたいってどういう…」
言葉の意味が分からず聞くと、祐は
「於菟さん凄くカッコイイし可愛いから、その携帯みたいだなって思ったんです!」
と言った。
(お、俺みたいだって…可愛いのか俺は!?嬉しいけど!祐に言われてすっごい嬉しいけど!可愛いのか俺!!)
自分が可愛いと言われ(前も言われたが)、羞恥心から祐から目を逸らす。スマホを鞄の中にしまい、信号を確認した。ちょうど青に変わった。
「し、信号変わったし行こう!」
「分かりました♪」
赤面させた於菟とニコニコ笑う祐がいつの間にか手を繋ぎながら歩いていた事は本人達も知らない。
祐の家の近くに来ると
「僕の家もうすぐです!せっかくだしあがっていきますか?」
と祐が言う。あがりたいのは山々だったが、於菟の家は時間にうるさい。
「ごめん、うちの都合であがれない…また暇な時に遊びに来たりする。」
「そうですか…」
しょんぼりする祐を見て慌てる。少しなら大丈夫かもしれない。でも断った後にOKするのも気まずい。
「じゃあ明日僕が於菟さんの家に遊びに行きますよ!」
「へ?」
突然そう言われ、於菟は困惑する。何故俺があがるのを断った後に今度は祐が俺の家にあがるという提案をしたんだ?
「えっと…別に大丈夫だけど…」
「やった!ありがとうございます!」
(か、可愛いからいいか…)
そう思いつつ、じゃあまた明日、と家に帰る祐に手を振った。
祐と別れ、明朱加から貰った紙を取り出す。
(書いて明日渡すのか…)
その紙を折り畳んでポケットにしまった。