1校時の休み時間
1校時 休み時間
皆がワイワイと過ごす中、於菟は自分の席に座ってボーッとしていた。祐が来て、於菟に話しかける。
「於菟さん…」
「あ、あぁ。何だ?」
祐は次の理科の授業の準備をしていた。恐らく1校時と同じ自己紹介だと思うが。
「定規、2本ありますか?」
「え、あぁ…あるにはあるけど。」
「貸してもらえますか?」
「おう…」
於菟は筆箱から定規を1本取り出し、祐に渡す。祐はありがとうございますと言って定規を受け取った。
「あと、さっきの自己紹介の時、かっこよかったです!」
「えっ!?」
「僕も見習いたいな…」
「え…あ…」
急にかっこよかったと言われ、心臓がドキドキする。祐は定規を自分の机に置くと、
「僕、ああいうかっこいい事言うの恥ずかしくて出来ません…於菟さんの事もっと好きになりました!」
と目をキラキラさせながら言った。
(お前も十分かっこいい事言ってたぞ…!俺お前のお陰であれ言えたんだよ!)
於菟は自分の机と向き合い、顔を手で覆って悶えた。祐が心配して渡してくれたハンカチを受け取り、顔を埋めた。
「あ、授業始まっちゃう…!」
(もう授業始まるのか…早いな…)
そう思いながら於菟はハンカチを祐に返した。