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3人で過ごす昼

授業が終わり、昼食の時間が来た。

「今日も購買部で買うんですか?」

「あぁ。俺家で作らないしな。早めに行って買ってくるか。」

「今日は屋上で食べましょう!」

「いいぞ。屋上涼しいもんな。」

2人で教室を出て購買部に行く。今日も購買部は混んでいた。

「混んでるな…もしかしたら屋上も人居るかもな。」

「そうですね…でも人が居ても居なくても屋上で食べますよ!」

(屋上大好きだよな祐って…何か思い出とかあるのか?)

於菟はいつものクリームパンを2個買い、祐の元に行く。

「今日は2個食べるんですか?」

「いや、祐もクリームパン好きって言ってたからあげようと思って。」

「え、別にいいのに…!」

祐はおずおずとクリームパンを受け取る。そして於菟に

「ありがとうございます…!」

と言った。

(やっぱり可愛すぎ…祐尊い…!)

ニコニコと笑う祐と一緒に購買部を出て屋上に向かった。


屋上に行くと、人が居た。

(あれは…)

「あ、明朱加さん!」

「於菟さんと祐くんじゃん!2人も屋上で食べに来たの?」

先に屋上に来た明朱加は手を振る。於菟はめんどくさい奴が居た…と思いながらも明朱加の元に向かった祐に着いていく。

「祐くんは自分で作ったの?」

「はい!あと、クリームパン於菟さんに貰いました!」

「へぇ、於菟さんが?優しいんだね〜」

明朱加は於菟を見ながらニヤニヤと笑う。ムカついたが我慢する。

「それで、明朱加さんは何で屋上に?」

「気分だよ。今日は涼しいから。」

「今日涼しいですよね!」

いつの間にか3人で話しながら昼食を食べていると、明朱加が

「今朝の新聞について聞きたい事があるんだけどさ」

と言った。その言葉に於菟と祐の手が止まる。

「け、今朝の新聞の事…」

「うん。実際2人ってどういう関係なの?」

「それ聞いてどうするんですか…」

「ただ知りたいだけ。まぁ多分お互い気持ちは食い違ってるんだろうね♪」

箸を於菟に向けながら明朱加は言う。於菟は

「俺は祐と友達だと思ってます。」

と言った。祐も

「僕も、於菟さんと友達です!」

と言う。於菟が祐の言葉に赤面していると明朱加が頬をつついてきた。その手を払い、於菟はクリームパンを頬張る。

「お互い友達だとは思ってるんだね?」

「だとはって…どういう事ですか?」

「祐くんは気づいてないの?」

続きを話そうとする明朱加の口を手で塞ぎ、驚く祐に

「何でもねぇから気にしなくていい!」

と言う。解放された明朱加はふぅ、と息を吐き弁当を食べる。

「学校卒業までに実るといいね〜♪」

「そろそろ殴りますよ」

「冗談だって♪」

クリームパンを食べ終わり、袋を丸めてポケットにしまった於菟は、立ち上がり伸びをする。祐は弁当箱からリンゴを取り出した。

「えっと…喧嘩はしないでください…」

そう言って於菟と明朱加にリンゴを差し出す。明朱加はありがとう♪と受け取り口に入れた。於菟は心の中で悶えながらも受け取る。

「美味しいねこのリンゴ♪」

シャリシャリとリンゴを食べると弁当箱を風呂敷に包んだ。立ち上がると屋上の出入口に向かう。

「じゃあ一足先に教室に戻ってるね♪2人共、頑張れ〜♪」

「頑張るって…何を?」

「…………」

一言余計だと思いながら、於菟は祐を見る。祐も弁当箱を持ってきたバッグに入れていた。

「今日はお話しましょう!」

「いいぞ。何を話そうか?」

「じゃあ……うーん……」

何を話そうか悩んでいる祐を見て於菟は

「家族の事とか話すか?」

と言った。すると祐の顔が引き攣る。それを見た於菟は焦る。

「あ、えっと、触れない方がいいか…?」

そう言うと、祐は首を振って

「大丈夫です…於菟さんが話題振ってくれたし断るのも悪いですし…」

と言った。だが明らかに無理をしている祐に於菟は

「じゃあ俺だけ話す。祐は無理して話さなくてもいい。」

と言った。祐は於菟を見つめ、しばらくして頷いた。

「…ありがとうございます……」

「…………」


於菟は祐に自分の家族の事を話した。

「於菟さんの弟さんか…会ってみたいです!」

「でもうちは親がうるさいからな…昨日も喧嘩したし。」

「え、喧嘩したんですか!?仲直りしましたか!?」

「あぁ。晃が言ってくれたお陰でな。アイツ、祐に似てる。」

「僕に似てるんですか…えへへ、益々会ってみたいです!」

ニコニコと於菟の話を聞き、いつもの調子を取り戻した祐を見て於菟は安心する。あまり祐に家族の話は聞かない方がいいようだ。

(祐の家族…何か複雑な事情があるのか…)

触れてはいけないのだろうが、祐の家族について知りたいとも思う於菟を祐は不思議そうに見つめる。

「於菟さん?」

「あ、あぁ。ごめん。」

「?あの、於菟さん!於菟さんは家族の事好きですか?」

「家族か?まぁ晃の事は好きだぞ。親は微妙だけどな。」

於菟がそう話すと、祐は首を傾げる。

「親は微妙なんですか?」

「まぁ…母さんは時間守れってうるさいし、父さんはあの日から帰ってこないし…」

「あの日って…?」

於菟は俯く。慌てた祐が

「す、すみません!」

と謝る。於菟は別に大丈夫だと言った。だが父の事を話そうとはしない。

(於菟さんのお父さんに何かあったのかな…於菟さん、俯いちゃった…)

祐も於菟の家族の事を深く知りたいと思った。

もうすぐ昼休みが終わるので屋上から出る。2人共顔が曇っていたが、於菟が何となく祐の頭を撫でると祐は笑顔になった。

「えへへ…」

「あ、ごめん!」

「大丈夫ですよ♪ありがとうございます♪」

2人で他愛ない話をしながら教室に向かうと辰双がカメラを持って3組を見つめているのを見つけた。

「何やってんだあの新売り」

「カメラ構えてますね…」

遠目にそれを見ていると、辰双が於菟と祐の方を向いた。瞬間、シャッターを切った。

「!?」

「え!?」

撮った写真を見た後、2人の方に歩いてくる。思わず後退りしていると、辰双は走ってきた。

「!!?」

2人の元に来た辰双はニヤニヤとシャッターを切りまくる。

「やめてください…!」

「迷惑…!」

シャッターを切るのをやめると、カメラをしまって2人の前で手を振った。

「やっぱ2人って面白いね〜♪あと10円、ちゃんと払っといてよ?」

「分かりましたから!」

んじゃ♪と辰双は1組に戻っていった。結局何しに来たんだと思っていると、祐が

「次の授業、確か移動でしたよね?早く行かないと!」

と教室に入っていった。於菟もそれを追いかけて教室に入った。

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