第5話
出てくる町や地名は現実と同じですが完全に作者の妄想で作った別世界です。あくまでそういう町、そういう世界で読んでくれると嬉しいです。
「ん~?陽祐君私にはこの先の見える場所にご飯が食べれる店や場所あるとすればホテルのレストランしか思い付かないのだが?」
父さんが凄い引きつった笑顔に汗を浮かべて聞いている。父さん、話の途中だったから仕方ないかもだけど貰った名刺ちゃんと見ようよ……
「えぇ、そうですよ。私の店、、、店言うよりホテルの中のレストランなんですけど、私今年に入ってから父から継いでここ竹屋の神奈川のオーナー兼シェフやらせてもろうてます」
あ、社長さんですか、そうですかヤベー父さんの顔が土気色になってる。そら、そうだだって父さん葉山グループ系列の小さなホテルの営業だもん。さっきまで自分の所の会長にタメ口で偉そうにしてたもん。よし、母さんに話を振って助けてもら、、、あ、母さんも現実逃避して飛鳥ちゃんの所に行きやがった。父さん見捨てるなよ、助けてやれよ!鈴音さんと楽しくお喋りしてる場合じゃないよ、父さん今にも五体投地で謝りそうなレベルだよ。
俺がそんな事を思っていると、陽祐さんは的確に急所を突いてきた。
「どないしました、さっきから顔色悪いみたいですけど?」
やめて陽祐さん、家の父のライフはもうゼロどころかマイナスよ!仕方ない父さんは固まったし母さんは宛にできない。俺が話そう、、、どうか父さんが首になりませんように!
「え~っと、陽祐さんは竹屋のオーナーって事は葉山グランドホテルの社長ってことですよね?」
「ん?なんや、確かにオーナーやけど任されてるのは関東の首都圏だけやでここと東京、それに千葉やな。後は同じ首都圏にある葉山グループに属するホテルってとこや。でも大阪で全体の社長や会長してるのは家の父んとジィ様やで?だからワイが全体の社長やあらへん、あくまで色々自由に出来るのは関東のこの辺だけや」
はい、アウトーーー!ガッツリ父さんの会社の会長さんじやないですか、父さんの顔がもう色々通り越して紫と土気色混ぜたみたいになってるよ!
「そのぉ、実は家の父横浜にあるマリーナホテルって所の営業課長なんです。それでさっきまで自分の所の会長だとは知らずに陽祐さんに対して偉そう講釈垂れてたのでこんな感じに」
そう言って陽祐さんと共に父さんを見ると今にも倒れるんじゃないかと言うくらい酷い顔をしていた。そして少しの間があり
「先程は大変失礼しました!知らぬ事とはいえまさか会長にあのような講釈を、、、家の愚息の命なんかで会長のご家族が護られるのなら幾らでも使って下さい。何ならボディーガードとしていつでも肉壁に出来るようにしてくれても構いません。ですから何卒お許しをぉぉ!」
えぇ~、さっきまで家の父さんカッコいい所もあるんだなぁ、何て思ってたのに何その手のひらドリルしかも俺の事生け贄にしようとしてるよ。確かにまだ高校入ったばかりの妹がいるからクビになったらヤバイのは分かるけどさっき「子供達の未来を祝って」とか言ってた次の瞬間これかよ。何なら俺を守ってよ、、、
「そうやったんですね。信司さんが家の系列で働いてたとは、そない頭下げないでも大丈夫ですよ。寧ろ助けて貰うたのは此方で許して貰ったのも此方何ですから、何なら身を挺して他人を庇える一樹君を雇いたいくらいですよ」
「許して貰えるうえに家の息子を雇って貰えるんですか?」
「イヤイヤ、父さんちょっと待って俺後一年大学あるし、何ならまだ俺を差し出して許してもらおうとか思ってない?」
「ハハハ、まぁそんな訳何で気にせんで食事してください。そろそろ結構たちますし立ち話も何なんでレストランいきましょ?」
「そ、そうだな。取り敢えず移動しましょう。」
そう言って一路葉山グランドホテル竹屋に向かったのだった。