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お前らだけ超能力者なんてズルい  作者: 圧倒的暇人
第4章 消えたヒロイン
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第82話 ヒロイン警護

 8月5日

 川崎市にある大島総合病院

 現在、伊武祥菜が入院している。

 伊武祥菜は虹色ネイルの女に依頼された駄愚螺棄に襲われて検査入院をしていた。

 外傷も特になく今日には退院出来るはずなのだが、彼女は神原同様謎の組織に狙われる身となってしまった。

 そして伊武祥菜は神奈川県議会議員の伊武三成の娘でもある。

 彼女が誘拐、拉致された場合にどれほどの惨事が起こるかは想像に難くない。

 そのため彼女を警護する必要があるのだ。

 敬語にあたっているのは、3グループ

 まずは麦島迅疾(しゅんと)。伊武祥菜、そして彼女と交際している神原奈津緒の同級生。

 駄愚螺棄、ドクターという白衣の男、虹色ネイルの女、大勢から狙われている謎野郎はその立場から病院に近付くのは危険と判断し麦島に恋人の警護を頼んだ。

 麦島は神原の境遇を知っているからこそ、そして能力は分からないが超能力者として、伊武を守らなくてはならないという使命感から、病室内で祥菜のために、


 りんごを剥いていた。

「伊武さんのお母さんが来れないから誰かがやらなきゃいけないけど〜、俺〜?」

 麦島は果物ナイフでリンゴの皮を剥きながら近くのパイプ椅子に座るスーツの男を方を向く。

「申し訳ないが料理の類いはからっきしなんだ。安心しろ。毒味はこちらでやる」

「毒味って…。まあいいですけどね〜。でも伊武議員が体調崩した時にあなたしかいなかったらあなたがやることになるんですけどね〜」

 ちょいと毒を込めた言い方をしてしまう。食い意地の強い麦島に対して作業だけさせといて食事を伴うことは向こう持ちなのは納得いかないからだ。

「子供が生意気な口を聞くな。病室から追い出されたいのか?」

「隠岐さん。あなたがやりなさい。何もしない座ってるだけの人になんか守られたくありません」

「………。申し訳ありませんでした祥菜嬢様。おい、ナイフを」

「…はーい〜」


 2組目は伊武祥菜の父、伊武三成の秘書である隠岐健太郎。三成の指示で祥菜の警護に努めている。

 三成が神原にいっぱい食わされたのが気に入らないのか麦島への当たりが強い。

 だがそれも祥菜に諌められて結局は何か行動を起こすようなことはないが。

 そして3組目は豊橋寛治刑事と個人的な関係である一般の警備会社、『桝飛(ますとび)セキュリティサービス株式会社』の人間達。

 病室の外から、病院の外から襲撃するものがいないか警戒してくれている。

 以上の3グループが伊武祥菜警護を務めている。

 万全というか過剰戦力のようだが、超能力者の襲撃を想定するのならばまだ足りないくらいだろう。

 伊武議員は駄愚螺棄が来ると思っているから腕の立つ秘書1人でどうにか出来ると思っているようだ。実際の配備数でもそれが分かるが麦島と豊橋は超能力の存在を知っているためそっち方面で厳重に警戒している。

 桝飛の人達は豊橋から超能力のことを聞かされてはいないが豊橋から厳重警戒態勢を指示されているため手隙の人員をフル動員して警護に当たっている。


 そしてその3組に守られている伊武祥菜。

 昨日はずっと眠ったままだったが今日の朝に目が覚めて先程()()()()()()()ところだ。もちろんこれも隠岐が毒味を済ませた上でだが。

 伊武が何故父親の秘書である隠岐に対して当たりが強いのか。父親に対する不信感の延長線だけではない。

 この隠岐が見事に祥菜の地雷を踏み抜いたからだ。


 ♢♢♢


 モゾモゾとベッドのシーツが揺れる。

「伊武さん!?」「祥菜嬢!?」

 伊武が目を覚ました。

 辺りをしきりにキョロキョロと見渡す。

「奈津緒君は?どこ?」

 第一声がそれとは…、麦島は伊武の愛の深さに感動にも似た感情を抱く。

 自分の状況の整理よりも先に相手への気遣いとは、恐れ入る。

「おはようございます祥菜嬢。神原氏はここにはいません」

「どうして?麦島君はいるのに」

「いや、どうしてと言われましても…。ただの高校生ごときの力を借りなくてもお父様と豊橋刑事の力があれば問題ありません。朝ご飯を用意しております。どうぞ召し上がって下さい」

 隠岐がパンやスープが乗っているプレートを祥菜のベッドの横に備え付けられているテーブルに置く。

「伊武さん。なっちゃんは訳あってここには近付けないんだよ〜。なっちゃんはちょっと面倒事を抱えていてここに近付くだけで伊武さんを巻き込んでしまうかもしれないんだよ〜。辛いだろうけどここは我慢してくれるとなっちゃんも喜ぶと思うよ〜」

「……うん、分かった」

(およっ?意外に素直。起きたばかりであまり意識が覚醒していないのか〜?)

 なんてことを麦島が思っていると、

「ふん、祥菜嬢はなんであんな奴なんかと付き合ってるんだ。意味が分からない」

 隠岐としては軽く言ったつもりだったのだろう。愚痴悪口というよりも疑問から来た独り言だった。ただ、如何せん声量がなまじあったがために伊武にもその独り言か聞こえてしまったのだ。

 ガシャーン

 その音に隠岐は驚きのあまりに音の鳴った方を凝視した。

 今しがた隠岐が運んできた食事が、全て床にぶち撒けられていて皿が1枚は割れ、もう1枚は縁が欠けてしまっていた。

 麦島は掌を顔に当ててアチャーというリアクションを取っていた。

「祥菜嬢、どうされたんですか?」

 突然のことに慌ててしまっている。どうされたも何も原因はお前だろうに…

「奈津緒君のことを悪く言わないで!!」

 とても病室で出して良い声量ではなかった。ベッドのそばにいた麦島もその声量に思わず耳を塞ぐ。

「いや、しかし」

「あんな奴?奈津緒君は私を守ってくれた。ナイフを持った人から私を守るために避けずに正面から立ち向かった。恩人に対してなんでそんなことを言うの!貴方は奈津緒君にありがとうって言ったの?「選挙を前に先生の娘が攫われなくて本当に助かった」ぐらい言ったの!?貴方は、お父さんは感謝の気持ちを奈津緒君に向けたの!?」

 後半からはもう涙がポロポロと溢れていた。隠岐はまだ認めようとはせず口をモゴモゴとされている。

「隠岐さん〜。とりあえず、床のそれ、片付けましょうよ〜」

「お前が命令するな。俺の指揮命令権は先生のみだ」

「あなたが伊武さんの地雷を踏み抜いたんでしょ〜?これ以上奈津緒君を悪く言うと伊武さん、力づくで病院を抜け出しちゃうかもよ〜?あなたとて目の前で伊武議員の悪口を言われたら怒るでしょ〜?それと一緒」

 自分の雇い主を引き合いに出されたら何も言えない。失礼な発言申し訳ございませんでしたと伊武と麦島に謝罪する。伊武は神原本人に謝らなきゃ意味がないとプリプリお冠だったが何とか宥めた。

 だが半日以上眠って体は食べ物を欲している。病院が用意した食事は伊武がぶち撒けてしまったため伊武が今食せるものがない。

 何かないかと辺りを見渡して見つけたのが、伊武の母親が秘書の佐渡を通して持ってきたフルーツバスケットであった。

 そして冒頭のシーンへと戻る。


 ♢♢♢


「私、いつまでここにいればいいのかな?」

 麦島に当てたのか、隠岐に当てたのか。分からない独り言のような質問。

「なっちゃんと豊橋刑事が今そのために動いてるから〜」

「先生が事態の収拾のために全力を注いでいます。ご辛抱ください」

 それぞれが敬っている人物達。伊武からすれば彼氏と父親。優劣は付けようもないが、それでも自信が守られていることに安堵すると同時に歯痒さを感じていた。

 だがそれを目の前の2人に出すわけにはいかない。余計な心配をかけてしまうからだ。

 伊武はそんな気持ちを悟られないように「ありがとう」とだけ社交辞令マンマンの返事をする。

「そうだ麦島君。麦島君と奈津緒君ってもう夏休みの宿題終わらせたんでしょ?」

 昨日のデートの時にでも神原から聞いたのだろうか。

「ん〜?俺達2人とも3日前に終わらせたよ〜」

「ホントだったんだ。ならさ、宿題手伝ってくれないかな?あいや、分からないところを教えて欲しいって意味ね」

「いいよ〜。でも伊武さんも成績良い方でしょ〜?」

 麦島や神原がクラスの1.2位を独占しているが伊武も上から数えた方が早かったはずだ。

「学級トップ、学年でも上位が家庭教師なんて滅多にないでしょ。しかも麦島君達は一度解いてるから分からないところもないと思うから。あれ?ここは病院だから病室教師?」

「うん分かった〜。言っとくけどビシバシ行くからね〜」

「………人選間違っちゃったかな〜アハハ」

(にしてもお母さんも気が回るというか、果物と一緒に夏休みの課題も持ってくるなんて。入院がいつまで続くか分からないから宿題どうしようって思ってたから助かったよ)

 実は伊武の母親が勉強道具を持ってきたことに神原が一枚噛んでいることを伊武はまだ知らない。


(にしても伊武さんて、結構頭が良いよな〜)

 麦島は今の一連のやり取りから伊武の牽制力とも言うべきか、感心する。

(勉強なら隠岐さんに任せた方がいい。社会人だし秘書を務めるくらいだから良いところの大学を出ているはずだし。実際隠岐さんは名乗り出ようとしてた。けど伊武さんは俺達の成績を引き合いに出してなおかつ既に問題を解いてるところを突いて隠岐さんの動きを封じた。半グレ4人に狙われてもなおなっちゃんのところまで逃げ切っただけのことはあるな〜)


 ♢♢♢


「女島、もういいのか」

「ジンジンしますが大丈夫です」

 豊橋刑事と女島刑事は大島総合病院にいた。伊武祥菜とは入院理由が異なるので病棟が別になっていた。

 女島は職質中に背後からスタンガンで気絶させられていた。そして女島が目を覚ました時には、女島は職質をしたことを覚えていなかった。職質をしようとしてたのは覚えているがそこから記憶がバッサリジャンプしてしまっている。朧げに断片的に覚えているとかではなくスッパリ消えてしまっている。

(記憶を消す能力者という線がほぼ確定になってきたな)

「すみません豊橋さん。警察官が簡単に背後を取られるなんて。くそッ!!」

「気にするな。警察官が如何に武道をやってても勝てない相手はいる。私も自分より大きい敵を取り押さえ損ねたことがある」

 豊橋が下の売店から買ってきた飲食物を女島に渡す。

「お前さんはどうする?やるにしてもまだ安静にしてなきゃいけないから中原警察署で待機することになるが」

「俺としては今すぐにでも俺を気絶させた女?を捕まえてやりたいところですが、これ以上足を引っ張りたくないので。中原で提供された監視カメラを確認します。何かあったら報告しますので」

(映画館周りには映っていないことが分かったが、他のフロアや外には何か映っているかもしれない。機械操作能力が本物だとしても前後で齟齬だったり不自然な個所は必ず見つかるはずだ。これは時間がかかる作業だから安静が必須の女島に任せておけばいいだろう。こいつに違和感を感じ取れる観察眼があればの話だが…)

「分かった。私は一旦伊武議員の娘のところに顔を出してから捜査に戻ることにするよ。分かってると思うが伊武祥菜について上層部に聞かれても余計なことは…」

「分かってます。知らぬ存ぜぬを貫きます。にしても神原奈津緒は何者なんですかね?豊橋さんの話だと伊武祥菜誘拐未遂も神原をターゲットにしたって話でしょ?館舟商店街の件も然り」

 何も知らないとそう思うのも無理はない。

 神原奈津緒は超能力者だから狙われている、というのは簡単だ。だが神原自身から口止めされているし女島のことだ。子供の妄言と言って話に耳を傾けることすらしないだろう。説明するだけ無駄に体力を使う。

(私の一歩先を進まれている気分だ。力に慢心もせず合理的に物事を運んで行っている。白衣の男とやらは随分と先行投資が上手いみたいだ)

 なんてことを考えながら女島の着替え類を台座に置いて、豊橋は女島の病室を去った。


 ♢♢♢


 麦島は身寄りのない子供を対象とした支援団体に保護されたのではないかという仮説を立てていた。

 良い線をいっていると思う。俺もその意見には賛成だ。

 今時はそういった支援を行うNPO法人があることは知っている。

 だがそういう団体は支援した人を守ろうとするだろう。俺が中学校で突き返されたように、一高校生では相手の情報を引き出すことは難しい。

 俺の自己暗示(マイナスコントロール)は自分に都合の悪い暗示をかける能力だ。これでどうやって聞き込みを行う。力づくで暴力で切り開くことも叶わない。

 ならばどうするべきか?

 俺に出来ることなんて誰も想像の付かない選択肢を誰も想像出来ない方法で進むことだけ。

 と神原は西宝川崎ショッピングモールに来ていた。

 昨日ここで女子高生の誘拐未遂事件が発生していた。だが世間では半グレ組織駄愚螺棄がショッピングモール内でナイフを持って暴れた事件として報道されていて祥菜の存在は抹消されていた。

 これはおそらく豊橋刑事が祥菜の素性を警察に明かさなかったこともあるし伊武議員からの何かしらの圧力?アプローチがあったのだろう。

 俺の家にマスコミは来てないし警察からの事情聴取も全然行われる気配がない。

 余計なしがらみを気にしなくて良いことはこれからドクターと虹色ネイルの女を探す上で非常に楽だ。


 だが、余計な、はないが滅茶苦茶重要なしがらみはある。

 ドクターサイド、虹色ネイルの女サイド、警察上層部サイド、駄愚螺棄サイド。

 この4者を現在相手取っている。それに対してこちらの勢力になるのは麦島と事情を全て話した豊橋刑事の2名だけだ。

 刑事の協力を得られたことは大収穫だが警察上層部も豊橋刑事のことを警戒しているはずだ。大々的に動くことは難しいだろう。

 麦島は祥菜のボディーガードを任せている。俺が守りたいところだが仮に祥菜が襲われたとしても戦力は分散させた方が麦島や隠岐という秘書のためになる。俺は病院には近付かない。


 と言ってもショッピングモールから病院まではさほど離れていないので意味がないのかもしれないが…。

 1日そこらで襲ってくることはないだろう。虹色ネイルの女は俺達が映画館に来ることを知っていたのだから今祥菜が病院にいることを突き止めているのかもしれない。

 だが駄愚螺棄はただの半グレ組織だ。そんなすぐに調べ上げることは難しいだろう。というより事件を起こした現場に犯人側が自ら近付かないだろう。

 奴らのスマートフォンは豊橋刑事が既に回収している。何か発見があれば情報提供をしてもらえるよう取引を交わしている。

(ないだろうが、一応現場はおさらいしとくべきだよな。カメラや記憶に残らないようにしても物的証拠は何かあるかもしれない)


 神原は西宝川崎ショッピングモールを昨日自身が通ったルートをなぞりながら歩いていた。

 営業自体は再開しているが昨日に比べて客足が若干少ない気がする。巷で話題の誘拐事件が起こったのだ。わざわざ近付こうとはしないだろう。

 5階の映画館。ここで祥菜と別行動を取ることになり、祥菜が駄愚螺棄に狙われてしまった。

(よくよく考えると、俺が祥菜と別れてから戻るまで10分ちょっとで駄愚螺棄の人間が偶然見つかって誘拐を頼むなんてことは出来ないだろうからあの段階で祥菜を利用して俺を測ろうとしてたのは明白みたいだな。ずっと一緒にいて背後から殴られでもしたら流石に反撃は出来なかったろうし、これをラッキーと言ってもいいものか…)


 5階には何もなかった。その後エスカレーターで4.3.2と下に降りて探してみても特に目ぼしいものは見当たらなかった。

(あとは1階だけど、俺も祥菜も1階では何も……いや待てよ。虹色ネイルの女がインフォメーションに館内放送を頼んだはずだからそこに行けば何か分かるかもしれないな)

 そう思い神原は1階にあるインフォメーションに向かった。


 1階はインフォメーションと女性向けのジュエリーや化粧品などが販売されている。

(そういや祥菜は9月が誕生日って言ってたな。いや流石に準備するには早すぎるか。ボクシング大会の賞金を祥菜のプレゼント代に充てるのも良いかもしれないな)

 なんてことを考えているとインフォメーションに着いた。

 女の人が2人座って受付をしていた。

「すみません。少しお時間よろしいでしょうか?」

「はい、どうされましたか?」

 受付の1人が対応する。

「お二人の中で昨日の14時前後にここで受付をしていた方はいらっしゃいますか?館内放送についてお聞きしたいことがあるのですが」

 2人は少し顔を見合わせる。おそらく上から何かしらの緘口令でも敷かれているのだろうか。

 断られる前に情に訴えかけておくか。

「実は昨日ここで襲われたのは私の恋人でして」

「えっ?あなたの恋人がそうなんですか?」

「えぇ、昨日のあのアナウンスのおかげで祥菜が助かったと警察の方から言われまして。なのでお礼を言いたいんです。何か聞いていらっしゃらないですかね?」

(さあ、警察から言われたとなれば、「あっ、この人には言っても良さそうだな」って思いそうだが、どうだ?)


 ♢♢♢


(比較的あっさりだったな。情に訴えるのは効果的だな)

 受付嬢が昨日応対した人で助かった。おかげで本人の口からリアルの声を聞くことが出来た。

(やっぱ虹色ネイルの女だったか……)

 聞いた話をまとめると。

 女は虹色のネイルを付けていたこと。メモ用紙に書いてあることをそのまま読み上げて欲しいと頼まれたこと。入り口前でその女と大学生くらいの男子が何やら言い合いのようなことをしていたこと。誰かと電話をしていたこと…

(男の方は間違いなく染節だな。電話の相手は……あのタイミングでするとなると、仲間だな。カメラを操作する能力者の可能性が高い。証拠隠滅、染節の処遇でも話してたんだろうか。いや、奴らの目的が俺ならば俺に関することかもしれない)

 それに…


「このお話って警察の方に既に聞かれてますよね?」

「はい、昨日警察が来た時に聞かれましたけど」

「誰から聞いたかって覚えていますか?警察手帳とか見せられませんでした?」

「見せられましたけど…、ええと、何さんだったかな〜」

 数秒程度しか見せられていない物を覚えるのは流石に難しいか、と神原は諦めかけていたが。

「神奈川県警本部の枚戸(まいと)尚樹警視です」

 隣の受付の女性が応える。

引地(ひきち)さん。よく覚えてましたね!」

「一瞬で相手が欲する情報を取捨選択する。相手の特徴を捉える。受付嬢として当然のことです。むしろあなたが怠慢なのよ。それに一般人にペラペラ話し過ぎよ」

 受付嬢としては先輩なのだろうかピシャリと言っている。

「でも被害者の恋人なら無関係という訳でもないでしょ」

「恋人を助けた人にお礼を言いたい気持ちは分かるけど、これは警察の領分です。あなたも人探しは警察に任せて彼女のそばについてあげなさい」

「自分だって警察官の名前言ってるし(ボソッ」

「何か?」

「いいえ。引地先輩にはまだまだ学ばせていただきます」

「調子いいんだから。ほら、今は仕事中よ。あなたも早く帰りなさい」

 これ以上は営業の邪魔になると判断し神原も素直に言うことを聞く。

「分かりました。ありがとうございました」

「「…またのご来店をお待ちしております」」


(お辞儀めっちゃ綺麗だったな〜………じゃない!!県警本部の枚戸警視。警視って確かかなり偉い階級だったはずだが、そんなお偉いさんが聞き込みなんて下っ端仕事をやるかね?しかも区の警察署ではなく県警本部。横浜拠点の人間が川崎市中原区まで来る理由がない。きな臭いな……やはり警察に全幅の信頼を置かなくてよかったよ)


 神原奈津緒を取り巻く環境は、思いの外に黒く蠢いている。その渦に飲み込まれて沈むのも、そう遠くはないのかもしれない。

神原奈津緒

能力名:自己暗示(マイナスコントロール)

能力詳細:自身に都合の悪い暗示をかける


麦島迅疾

能力不明


伊武祥菜

能力なし


隠岐健太郎

能力なし



病院の祥菜は相変わらずですねw

そして新しいキャラ、枚戸警視

古坂とか神坂が事務所で会いたがってた声優とか生徒会長とか存在が仄めかされてるだけのキャラが増えてきましたね

その内存在を忘れたまま本編が終わりそうw

豊橋の味方なのか?豊橋に圧力をかけた側なのか?

分かりませんね

さあ次は神坂サイドです

8月6日、引き続き鬼束の捜索が続きます

玉梓組も少しだけ登場します

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