第76話 麦島迅疾
8月4日土曜日
神原奈津緒と伊武祥菜が川崎でデートをしている中、麦島迅疾は多摩川に来ていた。
(鬼束達はホームレスだった可能性が高い〜。なら生活してそうなのは橋の下とか河川敷とかの人の目が付かない所〜、って思って近くの川まで来てみたけど〜。うーん〜。どうやって探せばいいんだろう〜?文京区に住んでたから潜伏場所は都内だとは思うけど〜、東京の河川て行ったらまずは多摩川だよね〜)
多摩川と言っても麦島の地元である神奈川側ではなく、東京側、東急多摩川線沼部駅から徒歩5分の東海道新幹線の橋に来ていた。
(ん〜。川を挟んだ向かい側に行くのにも路線を3つ使わないといけないのか〜。近いうちにJRと東急が路線を館舟に通すらしいけど〜、まだ2年は先だしな〜。確か東急東横線、東急目黒線、横須賀線だっけ〜?海老名から繋がる路線も出来るって計画もあるみたいだし〜、こうして館舟が栄えるのはジモッティーとしては嬉しいけど〜、治安が悪くなりそうで嫌だな〜。今でさえも反対運動が起こってるのに〜)
南武線館舟駅から沼部駅に行くためには川崎で京浜東北線、蒲田駅で東急多摩川線とカタカナの「コ」の字に移動しなければならない。多摩川を渡って鉄道を縦に結ぶ計画が戦前より浮上していたが地元住民の反対により頓挫を繰り返していた。東海道新幹線の時は高度経済成長+東京オリンピックの開催による日本の活性化により何とか新幹線だけは通すことができたが通常の路線は未だに反対意見が強かった。
そして2020年の2回目の東京五輪。神奈川県内の施設がオリンピックの種目で使われたり選手の調整地として使われることにより交通インフラを整備する必要性が浮上。平成期の不景気による地域活性化のきっかけと南武線の混雑の解消のために、ようやく路線建設が進み出したのだ。
しかし、路線建設発表に伴い、タワーマンションや大型複合施設が建設されることになり、地域の景観や人口増加による南武線の圧迫から住居、娯楽施設の建設には反対運動が起こっている。
館舟を中心とした反対運動も、全てが地域の意見の反映というわけではない。学生を中心とした若い世代は東急田園都市線の発展ぶりから縦の路線の建設に賛成していたが票の過半以上を持つ高齢層が地元愛を押し出して反対を続けてきたのだ。最近になって反対意見が少なくなってきたのには、その高齢層が死んだことによる票の減少も背景としてある。
館舟に縦の路線が出来れば都心への乗り換え地点である川崎駅周辺の衰退も危惧されていたようだが、川崎は川崎で浜川崎などの沿岸部の再開発や横浜のIR誘致によって注目が集まりつつある。
このような様々な要因が重なったことで、縦の路線は建設されているのだ。
(やっぱ利便性だよな〜。マンションはともかく、大型複合施設が出来るのは賛成〜。館舟商店街は大好きだけど西側を見ちゃうと古きものは新しくしなきゃね〜)
よっ、とジャンプして土手の階段を降りた。
河川敷にはグラウンドがあって管理が行き届いている。ここで浮浪者は住みにくい。
橋の下もグラウンドがすぐそばにあるためか人が生活している様子はなかった。
(多摩川にはいないのかね〜?東京の川ってったら〜、隅田川、荒川、江戸川〜。あとなんかあったっけ〜?東京は工業地帯とか遊覧船みたいな川を通る商業船も多いからドラマみたいなホームレスはもうちょっと内陸の方にいるのかな〜?23区外もあり得るな〜。でもそうすると働き口が減っちゃうよな〜。日雇いのことよく知らないしな〜。まずはそういう場所に行ってから探す場所を絞った方が良さそうだな〜。千駄木と八王子から1番近い職安所は〜……)
麦島はスマホで目的の場所を調べる。鬼束達が通っていた中学と高校から近いところを中心に。恥ずかしくて知り合いに見られたくないってので遠くに行ってしまっていたら探すのは困難になる。
(ここからだと千駄木の近くから探した方が良さそうだな〜。……なんか俺ちゃっかり働いてるな〜。まぁ夏休みの宿題終わったから為せることだけど〜)
麦島は昨日の神原とのやりとりを思い出す。
♢♢♢
神原と麦島の電話やり取り
「明日は伊武さんとのデートだね〜。頑張ってね〜」
「頑張れって何をだよ。学生証はちゃんと持っていくから心配ねーよ」
「あはは〜。あれは面倒かったからね〜。なっちゃん変に抜けてるところあるから地雷を踏まないか心配だよ〜」
伊武の惚れっぷりは相当だから心配はないが。ドッジボールの一件でも離れなかったのだからDVされても離れなさそうで逆に心配になってきた。
「心配ねーよ。たぶんな。それより、お前明日どうすんだ?俺は明日はデートで人探ししてる余裕はないぞ。時間はないが無理すんのもよくねーから明日は探さなくていいぞ」
「ん〜。でもせっかく手掛かり手に入れたんだし行動は早い方がいいと思うけど〜?」
「それもそうなんだがなー。まあお前が良いっていうなら好きにしてくれ」
「ヤッホーイ〜。あそうだ〜。comcomのオフ会の件はどうなったの〜?申し込んだ〜?」
「あぁ、俺とお前の2人分な。申し込みフォームに自由記述の欄があったからちゃんと分かりやすいメッセージは送っといたよ」
「そっか〜。もしcomcomが超能力者だったら鬼束探しに協力してくれるかもしれないしね〜」
「油断はするなよ。俺らと同じで鬼束の誰かと接触した可能性が高いんだ。鬼束を退けたのか仲間になったのかもまだ分からないんだ」
神原はこのオフ会の開催は超能力者を吊るためのものだと考えている。野球動画で超能力を知っている者に分かるようにした後で直接会える機会を設けていることからもおそらく狙ったものだ。
懐まで近付けて敵対した時のことを考えていないはずがない。対面しても勝てる能力、むしろ対面した方が有利になる能力を持っているかもしれない。そんな力をドクターが放っておくとは思えない。俺に接触したなら他にも接触しているはず。味方であろうと敵であろうと会えば何か分かることもあるはずだ。
「明日もし探しに行くとしても深入りはするなよ。お前も超能力者だが能力が分かってないんだ。この前のは薄氷の勝利だったから1vs1なら俺らに勝ち目はない。相手が複数いたら尚更な。仮に発見したとしても尾行だけで潜入とかは考えるなよ」
「OK〜。俺なりに探してみるよ〜。そっちも何かあったらすぐに連絡頂戴ね〜。すぐ駆け付けるから〜」
「あぁ、分かった。じゃあな」
こうして通話は終了した。
♢♢♢
麦島は高島平駅に来ていた。彼らの中学校の最寄駅から近い河川である隅田川と荒川の上流にある駅である。二つの川が繋がっているポイントはもっと北にあるがそこは電車が通っていないため電車で行ける高島平にした。和光市駅と2択で迷ったがまずは東京都内から探していなかったらそこから隣県に範囲を拡大することにした。
多摩川ほど大きくはないが、でっかい川だな〜とは麦島が荒川を見た感想だ。
一つ手前にも川はあったが小さいもので人が暮らすほどの空間はなかったのでスルーした。西側を見れば高速道路が通っており川を跨いだ先は埼玉県戸田市だ。河川敷は緑地と呼ばれるほど緑が多く整備も行き渡っている。ここから下流に歩いて下っていって時間の許す限り歩くことにした。目標は赤羽。何時間かかるか分からないし体力が保つのかどうかも分からないがウォーキングでダイエットと考えれば頑張れるというものだ。
(最近は雨が降ってないから日射しが辛いな〜。天日干しの気分だ〜)
熱中症の予防のためピョキャリスイートと塩飴を用意している。
「よーし〜。行くぞ〜」
麦島は意気揚々と土手を歩き出した。
「き、キツい〜」
麦島は既に息が上がっていた。
膝がブルブルと生まれたての子鹿のように震えている。
(これは〜、ホントに〜、痩せなきゃな〜)
ヒーヒー言ってしまう。もう帰りたい。
1時間で3キロ。成人男性の歩行速度が1時間に4キロなのでペースは遅れていた。
高島平から河川敷を経由して赤羽までは大体8キロ。体力で歩くスピードが落ちるのも考えれば3時間から3時間半ほどか。
(なっちゃんにも無理するなって言われてるからな〜。うんそうだ〜。仕方ないんだ仕方ない〜)
少し体を休めることにした。丁度新幹線が通る線路橋の下にいたのでそこに腰を下ろした。
水分補給をしながら日陰で落ち着く。
ここにはホームレスらしき人はいなかった。橋にも良し悪しがあるのだろうか?
すぐそばにサッカー場があって少年クラブだろうか?試合をしていた。
(元気だな〜。こんなに暑いってのに〜)
麦島は運動をしている人が羨ましい。子供の頃から太っていて運動とは無縁だった。中学の時は体格故に柔道部や相撲部に勧誘されることも多かった。高校に上がると+ラグビー部にも誘われた。全く興味がなかったわけではない。運動は嫌いだがこの体格が良い方向に働くのなら期待に応えたい気持ちはあった。だが麦島はどこにも属さなかった。
麦島は、太っているが故にいじめを受けていた。小学生の頃から『デブ』だの『だるま』だのと揶揄われてきた。言葉攻めなら聞き流せばいい。しかし、麦島がのんびりした性格をしているためか、どこ吹く風な態度がスカしていると感じたのか。嫌がらせは精神的ではなく肉体的なものへと変わっていった。
麦島は温厚な性格だったためやり返したりとかはしなかった。それが味を占めたのだろう。憂さ晴らしのサンドバッグのような扱いを受けていたのだ。中学校でもいじめは続き、流石にいじめに耐えられなくなり、偏差値の高い館舟高校に進学することでいじめていた連中から離れようとした。
だが、いじめの主犯格の1人が館舟高校に進学してしまった。麦島にしたら大誤算だ。その主犯格はテニス部で全国大会に出場するほどの成績を収めていて、スポーツ推薦で館舟に進学したのだ。
そして高校に進学して麦島を見つけたそのいじめっ子は、同じクラスの男子をけしかけてまた麦島への暴力を行なっていたのだ。
♢♢♢
「おい、止めろよ。こんなことしてるのがバレたら退学もんだぞ」
「いいんだよ。こいつ小学校の時から周りには一切喋ってないんだから。こいつでストレス発散すれば気持ち良く勉学や部活に励めれるんだぜ!」
主犯格の男は麦島を蹴りながら力説していた。殴る蹴るといっても傷が見えない足や腹部が中心だった。ここにいる連中は主犯の男と同じ3組の連中だ。
(はあ〜。せっかくいじめが止むと思って勉強頑張って館舟に来たのに〜。何でこいつがいるんだよ〜)
麦島としては最悪だった。また3年間このような仕打ちを受けなきゃいけないのだ。希望を持って館舟に来た分、その未来に深く絶望していた。涙腺はかなり上っていた。
入学してから1週間。放課後はいつもこの連中に呼び出されて暴行を受けていた。この男の狡猾な所は、普段の学校生活では優等生のように振る舞うことだ。仮に麦島が声を上げても信じる人はいないだろう。
唆された同級生も軽い気持ちで麦島を殴ったりしていた。だが、人を殴る経験という非日常の体験に、気分が高まり、宥めていた連中も麦島への攻撃に参加するようになっていた。
だが、現在の麦島はそのようないじめを受けていない。いじめが止むキッカケがあったのだ。
その恩を、麦島迅疾は今でも抱いている。自分を救ってくれた人物を。
「あんたら、何してんの?」
殴られる、蹴られる日常。そんなある日、それは訪れた。
「あ?お前誰だよ?」
「名前を聞く時は自分から名乗るもんって親に習わなかったのか?まあこんなジメジメしたことするぐらいだから、教養もないわな。スポーツ推薦だろ?」
「…お前、何様のつもりだよ。お前もこいつで遊びたいのか?」
その男、弓弦力矢は麦島の髪を無造作に掴み上げて尋ねた男に突き出す。
「いや、生憎サンドバッグは手に入ったからな。4個もいらない」
「4つ?」
弓弦は男の言っていることが分からなかった。
「お前も持ってんのか。ならいいだろ別に。俺らの邪魔すんじゃねーよ!」
「別に邪魔するつもりはないよ。ただ俺は俺のやるべきことをやるだけだ」
「ならさっさと済ませろよ」
「あぁそうかい。なら…」
その男は突然走り出した。男はどんどん距離を詰める。そして麦島を———
飛び越えて
ジャンプの勢いそのままに
弓弦の顔面をぶん殴った。
「おい力矢!」
麦島を殴っていた他2人が吹っ飛ばされた弓弦に駆け寄る。
「お前、いきなり何すんだよ!」
「いや、お前らが用事済ませろって言ったじゃんか?」
その男はとぼけたような表情で言う。
「じゃなくて!俺らに関係ないだろうが!」
「あるよ。俺の用件は腐りきったサンドバッグ3個の廃棄処分だよ」
さらっと、すごい事を言っている。
麦島も状況が理解できていなかった。
突然自分を飛び越えたと思ったら弓弦をぶん殴って、さもそれが当たり前のような態度を取っている。
そして、その男の顔を見た時に気付いた。
(あれ?この人、同じクラスの〜…)
それは入学式の日に鯖東君にホモだとか言ってた、名前は……神原君だったか。
同じクラスの男子、面識もないし喋ったこともない。彼に助けを求めたわけでもないし、いじめられてるなんて知るはずがない。怪我は見せたこともないし。何故そんな人が自分を助けるような事をしているのか。分からなかった。
「3つって……俺らの事言ってんのか!?」
「他にいないだろ気付け間抜け」
「痛ってーな。お前調子に乗るなよ。俺は優等生なんだ。お前に殴られたって教師にチクったらお前が糾弾されることになるんだぞ!」
「んー?平気だよ。お前らがそいつを殴ってるのは動画に収めてるから。見るか?今のスマホスゲェよな。こんなに綺麗に撮れるんだぜ!」
その男はスマホをヒラヒラと見せ付ける。弓弦の顔が青褪めた。
「おい力矢。どうすんだよ。バレたじゃねーかよ!お前バレないって言ったじゃねーか!」
「う、うるせえ!その動画を消せば問題ないだろうが!さっさとスマホをぶんどって来い!お前らも退学になるんだからな!」
そう言われて、連れの2人も色めきだった。退学の危機だ。何としても避けなければならない。
3人はその男の手中にある動画を奪うために襲い掛かった。
その男、神原奈津緒はめんどくさそうに頭を掻いて、そして目を閉じて突然身動きを取らなくなった。
麦島には何かに集中しているように見えた。心構えとか鼓舞ではなく、それを行うことに意味がある予備動作・ルーティーンのようにも見えた。
「あ、ありがとう〜」
麦島は眼前で倒れ伏している連中を見下ろしながら助けてくれた男に礼を述べる。
「……気にすんな。自分の運勢を高めるためだ」
少し体調が優れないのか目線がブレブレだ。
「運勢〜?」
「あぁ。今日の占い、魚座が最下位でな。ラッキーアイテムが体育館裏だったんだよ。だからここに来ただけだ。アイテムが空間てのも可笑しな話だよな。君がどこの誰か知らないけど、感謝する必要はない。俺が自分の運勢を高めたかったただの自己満だ」
「いや、………ううん〜、何でもない〜。というか、俺同じクラスメイトなんだけど〜」
「………そうなのか?すまんな。まだクラスメイトのこと誰も覚えてないんだ」
(学校始まって1週間近く経つのに、友達いないのか〜?)
なんて失礼な事を思っていると神原はポケットからメモ帳のようなものを取り出して倒れている連中の血液を使って何かを書き出した。
ダイイングメッセージかと言いたくなったが口に出すのを止めた。運勢のためとか、メモ帳持ってるのにシャーペンやボールペンを携帯してないのとか色々と測れない要素が多すぎるからだ。天然というか、予測不能なのだ。
やがて書き終わったのかページを破いて丸めて弓弦の口の中に押し込んだ。何が書かれているのかは見えなかったが、おそらく脅しだろう。
事実、この日以降麦島がいじめられることは一切なくなった。何よりいじめに関わった3人が学校に来なくなったからだ。弓弦達からの謝罪は結局なかったが麦島にとっては起きなくなっただけでもありがたいことだった。
神原も特にお咎めなしだった。クラスで彼を観察してると、彼は目立たない人間だった。とてもあの時の彼と一致しなかった。そのギャップに、興味を惹かれた。助けてくれた恩もあった、その恩返しをしたい気持ちも強かったが純粋に、神原奈津緒という男が気に入ってしまったのだ。
だから馴れ馴れしくなっちゃんと呼んで嫌そうな顔をされた時は、ちゃんと反応、構ってもらえて嬉しいのだ。
(あの反応を見るに体育館裏で倒れてたのが俺だってことは気付いてないんだろうな〜)
覚えられなくて良かった。変に気負われなくていいから。
こうして神原奈津緒と麦島迅疾は知り合い、仲良くなっていった。
神原は体育館裏のことなど綺麗さっぱり忘れてしまっているから何故麦島が馴れ馴れしくするのか理解出来ていなかった。だが能力のせいで感情表現が乏しい自分に対して気味悪がらずに話しかけて来るその男のことを邪険にも出来ず、気付けば家で遊ぶくらいの仲まで発展した。
実はもう1人神原に興味を持っている女子がいたのだが、見事なまでの神原の鈍感ぶりにひどく悩まされていた。
そんな2人が今や恋人関係にあるのだから親友としては嬉しいってものだ。
♢♢♢
時刻は15時を少し過ぎた頃。麦島は赤羽岩淵駅に着いていた。川沿いを歩いてみて思ったのは、住むには苦しいという点だ。恥も見聞も捨てれば生活出来るかもしれない。しかし、子供、社会経験もない男達がホームレスで生きていけるのか。別の切り込み口が必要だと感じた。
(ホームレスとばかり考えてたけど〜、身寄りのない子供を支援する団体とか養護施設とかの線もあるよな〜)
大人ならホームレスだが子供は違う。助けてくれる大人がいるはずだ。盲点だった。そっち方面から探してみるのもいいかもしれない。
(なっちゃんに電話しよ……ん?)
麦島のスマホが震える。
ディスプレイにはなっちゃんと表示されていた。
「ナイスタイミング〜」
ちょうど良いタイミングで着信が来たのですぐに応答することが出来た。
「もしもし〜。なっちゃん〜」
「…元気そうだな」
神原の声が静かめだ。いつもそうなのだが、いつも以上に落ち着き払っているというか、元気がないようにも聞こえた。
「——何があったの〜?」
その声色に何か起こったのだと悟った。
「…俺と祥菜が襲われた。今病院にいる」
「!。すぐ行く。どこ?」
「川崎にある大島総合病院だ。着いたら連絡してくれ。詳しいことはお前が来てから話す」
「分かった!」
麦島は電話を切って走る。
少し走れば赤羽駅がある。そこから東海道線で川崎まで一直線だ。
(誰に襲われたかは今は後だ!)
頭を巡らせたいが今は2人の安否確認が先だ。電話が出来てるから神原は無事なんだろうが伊武の容体が分からない。
電車アプリで調べると電車で35分。
病院までの移動時間も含めると1時間程度かかる。
素直に家で休んでれば、すぐに駆け付けられたのに…と若干の後悔をしながらも走るスピードを落とすことなく駅へと向かっていった。
麦島迅疾
能力不明
今回は麦島迅疾に焦点を当てました
何故麦島が無愛想な神原に懐いているのか
神原らしいエピソードですね
さあ、次回も神原サイドです
病院に同伴した神原を中心に話を進めようと思います




