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お前らだけ超能力者なんてズルい  作者: 圧倒的暇人
第4章 消えたヒロイン
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第62話 大奥潜入

 巣鴨にある塀島体育館

 その隣には東京で2番目の人気度を誇る女子大である、神岐の友達の平原(ひらばる)暁美(あけみ)と戸瀬奏音(かのん)が通っている綾の森女子大学が建っている。

 神岐は都営三田線で神保町駅から巣鴨駅を降りて辿り着いた。

 既に塀島体育館の正面入り口の門のそばに来ていた。しかし、入り口は閉じられており看板が立て掛けられていた。


『使用中により侵入禁止』


 出入り、立ち入り禁止ではなく侵入禁止。邪な人間に名指ししているような書き方。

 門番のような人は立っていない。看板は所詮は警告であり法的拘束力を持っているわけではない。これなら侵入を許してしまうのではないか?

 そんなことはなかった。公営の体育館なのに、鉄の扉、グラップ出来ない高さ3メートル近い外壁。壁の上には有刺鉄線。

 ここは監獄かと錯覚してしまう。

 これで灯台のようなくるくる回るスポットライトがあればあら不思議、ドラマでよく見るアメリカの刑務所の完成だ。

(門番がいないってのが厄介だな。催眠掛けて侵入しようと思ったが人がいないんじゃ能力が使えない。塀で覆われた要塞だから塀島体育館って言うのかもしかして)

 名前の由来を知れたところで中に入る算段は付いていない。

 神岐に出来ることは中から出てくる、もしくは中に入る関係者を待つことだけである。よじ登れる高さでもないし凹凸のない壁でボルダリングみたいに掴むところがなく、右手が寄生された高校生みたく5メートル越えの跳躍が出来ても有刺鉄線の餌食になってしまう。勿論神岐にそんな跳躍は出来ないし有刺鉄線で怪我を負いたくないのでその方法は却下された。


 逆にだ。と神岐はある方法を思い付く。

(待ってから10分が経ったか。裏口がないか確認したがどうやら綾の森のキャンパスから直接体育館に入ることが出来るみたいだ。だが流石女子大学。セキュリティーが尋常じゃない。学生は学生証、教員は教員証を提示しないと入れない。1人ずつしか入れないから催眠でくっ付いて入ることも出来ない。来賓が構内に入る時は紹介状がないと入れないみたいだ。ICチップ入りの紹介状なんか聞いたことないぞ!しかも男性はより厳重なチェックゲートがあるみたいだ。流石教員に至るまで女性の純度100%の女子大学。清の浄との違いはこの純度らしい。正規の手順を踏めば入ることは簡単だがどれか一つでも欠けると例え大学の出資者だろうが侵入を拒むという徹底ぶり。能力での突入は不可能。能力で紹介状を入手出来ればいいがICチップ入りのものだ。『すぐに用意しろ』と言って果たしていつ手元に届くかどうか…)

 綾の森から入るのは絶望的、しかしこれが『逆』の方法ではない。


(逆の方法。目立たないように入るのではなく目立つように入ること。ここで侵入しようと大暴れをする。そんなことをすれば公営だ。職員は待機しているだろう。女子大が貸し切っているとは言え防犯がしっかりしているとは言え騒ぎが起きればそれを鎮圧する人手が必要だ。男手は必ずいる。俺が騒げば取り押さえようとする奴が来る。その時に催眠を掛ければいい。しかも騒ぐってことは大声を出すことになるからその時に能力を使えば歩いている歩行者を始めとして俺を見ている人は総じて支配下に置ける。問題は俺のプライドがそんな惨めなことをしなくないとブレーキを掛けていることだ)

 催眠で記憶を消すといっても行動した事実は神岐自身の記憶に残る。自身には認識誘導(ミスリード)を使うことが出来ないので忘れることはない。

 単純に恥ずかしいのだ。

 壁をドンドン叩いて「開けろー」と犯罪者のように暴れまくる。頭のおかしい人間にしか出来ない芸当である。

(無理だ。絶対に無理!!

 想像しただけで醜態を晒してるのが分かる。コーヒーショップの時は意識の外で周りに目立ってしまっただけで自分から目立つことをするのは躊躇われる。しかも目的が女の園に入るためってのが余計に辛い。

 明日出直せばいいだろうが向こうには監視能力がある。リアルタイムでしかも常時使えるわけではないだろうから今見られているかは半々だが見られていたら先回りして辿り着かないようにされるかもしれない。スピードが大事なんだ。必ず今日中に連絡先を手に入れる。

 けど、けど…。それでも騒ぐってのはキツい)


 方法はある。けど実践は出来ない。やったとしても物凄く中途半端な滑稽なものになる。それは余計に恥ずかしい。

 結局神岐はこの方法を取ることが出来なかった。




 門の前に来てから30分が経った。出入りした人間はいない。強固な壁を持っているからなのかここに長くいるが誰も何も言ってこない。監視カメラがないのが幸いしたのかと考える。

(入れるものなら入ってみろ。どうせ無理だろうからそこから指くわえて見てろ!って言ってるみたいだな畜生)

 だが本当に親指を噛んで地団駄を踏んでいるので相手にそのような意図がなくても効果としては強ち間違っていない。


(………この方法は出来ればあまり使いたくなかった。けど事は急を要している。恥を捨てられないなら迷いを捨てるべきだな。許してくれ!)


 ♢♢♢


 塀島体育館内部

 清の浄女子大と綾の森女子大が貸し切りをしてまで行っている内容。関係者以外の立ち入りをしてまで行っている内容。決して卑しいものではない。


「皆さんいいですか。フォークの持ち方一つであなた自身、そしてあなた方のお父様お母様の立場が危うくなるのです。常に気を張って気品を崩してはなりません!」

 清の浄女子大の女性講師がピシャリと口を一切挟ませない凄みを持たせて体育館内にいる女子大生達に告げる。

 50代を超えるその講師は大学の先生ではない。大学に雇われているが教授でも准教授でもなく、この催しのためだけの講師なのである。わざわざ雇うというところに今行われていることの大事さが伺える。


 体育館内で行われているのは、簡単に言ってしまえば『マナー講座』である。ただし、お嬢様向けの超一流のシーンを想定したマナー講座である。

 日本の女子大学の二大巨頭が合同で行う。秘匿を超えて神秘の領域だろう。

 マナー講座と現代の言葉を使っているがこの取り組みの歴史は明治時代にまで遡る。




 日本は西洋と対等に渡り合うため西洋の建物を建設してそこで毎日パーティーを開いていたそうだ。これは教科書にも載っている歴史的事実だ。

 政府の要人や華族の男性が主に参加していたがパーティーでは女性も場を引き立てる存在として必要だった。政府内部に女性はおらず、華族の中にいても教養が男性ほどないものが多かった。

 そこで政府要人の娘や華族の娘、お金持ちの娘などに知識教養を身に付けて西洋人と渡り合うために作られたのがこのマナー講座、当時の呼び方で言えば『女子教養塾』なのである。

 塀島体育館の敷地に造られて女性達が日夜勉強に励んでいた。

 それから『教養のある未来ある女性にもこの教育をするべきだ』という声に応えて、清の浄女子大学の生徒も少人数ではあるがこの塾に通うようになった。

 第二次世界大戦後の戦後改革で『女子教養塾』は政府の管轄から清の浄女子大学に移譲された。しかし東京大空襲で塾は焼失してしまい、当時の清の浄には塾を再建するほどの財源は残されていなかった。


 そこに手を差し伸べたのが当時出来たばかりの綾の森女子大学である。

 教養塾の隣に偶然にもキャンパスの土地を持っていたこと。戦後にアメリカの援助で建てられてお金に困らなかったことが要因で綾の森が資金援助をすることになったのだ。

 資金援助の条件は綾の森の生徒も教養塾に参加させること。

 清の浄はこれを了承して再築が行われた。その際に広大な土地を女子大学だけに使うのは申し訳ない。戦後に貧しい思いをしている人達に少しでも還元しようということで共用施設として再建することが決まり、現在の塀島体育館が完成したのだった。

 綾の森女子大学は決して偏差値が高い大学ではないが日本有数の清の浄と一緒にこうして講座を開けているのはそういった歴史的背景があるのである。清の浄は綾の森に今も感謝をしていて綾の森もまた頭が良くない自分達に一流の教育機会を与えてくれたことに感謝している。

 綾の森女子大学が頭は良くないけど日本で2番目の女子大学に位置付けているのはこの『マナー講座』のおかげである。


 綾の森女子大学は偏差値は決して高くはない。清の浄を目標にしている女生徒が滑り止めとして受ける大学、もしくは清の浄の学力に届かない人がなんとか女子大に通うために行くような大学である。

 平原暁美と戸瀬奏音も清の浄に通うほどの学力がなかったため綾の森女子大学に進学したのだった。

 偏差値が低いためかお嬢様の比率が少なく須々木や大森のような陽キャギャルのような高校ではそれなりに優秀だったけど素行は褒められたものじゃない者の比率が高い。合コンに日夜明け暮れるぐらいの女達だ。

 そのため綾の森の生徒が『マナー講座』に参加するためには清の浄以上の参加水準が決められている。定員は一学年10名、大学以前の学校での内申や家柄、面接などで決められる。平原と戸瀬は家柄は国内でも有数なため平原家、戸瀬家からの寄付金によって参加が認められた。

 これは裏口合格などではなく『これだけの寄付が出来る家柄のお嬢様に正しい礼節を教えなければ日本の損失になる』という大学側の忖度が働いている。そのためこの高額寄付金は参加の手段の一つとして認められている。この方法で入った者は定員10名の対象外になる、よって一学年10名と言ったが寄付金で参加する人を含めると平均で毎年15名ぐらいになるのだ。

 綾の森女子大学全体の参加者はざっと60名ほどである。清の浄は全体で140名ほどであり綾の森の倍以上いる。

 計200名のお嬢様に一流の教育を与えているのが『マナー講座』なのである。

 このマナー講座は大変に評判が良く、戦後から70年も続いており輩出したお嬢様は5000名にのぼる。そのほとんどが世界の第一線に進出したり一流企業の社長夫人としてその才覚を存分に奮っている。綾の森女子大学のブランドが上がったのもこの功績によるものだ。

 馬鹿な娘に再教育を!と不良娘の親が頑張って綾の森女子大学に入れて膨大な寄付金をして通わせるのだ。

 それでちゃんと社会に送り出せるのだからこのマナー講座は素晴らしいものだ。



「あっ、ああ"ーーー。疲れたわー」

 綾の森女子大学2年、戸瀬奏音がとてもお嬢様らしくない声を上げて休んでいる。

 現在は休憩時間。先程まで上品な歩き方の練習をしており足がパンパンになっていた。出来るようになるまで手を緩めないスパルタ教育なため、少々ヤンチャっ気がある戸瀬には合わなかった。

「私別に好きで参加したわけじゃないのに…。お祖父ちゃん達がお金いっぱい寄付するから先生達も変に私達に力が入ってるし。ねぇ、暁美。あんたもそう思うでしょう?」

 戸瀬はパイプ椅子から腰をのけ反らせて後ろの席に座っている友人に話しかけた。

「そうですねぇ。それは奏音に堪え性がないからじゃないの?」

 話を振られた友人、平原暁美は特にフォローを入れることなく事実を淡々と伝えた。

「分かってるけどさ〜」

 戸瀬はパイプ椅子をガタガタと揺らしながらゆりかごのように前後に動く。キィキィと金属音が小さく鳴る。

 その音にピクリと反応した女性がズカズカと戸瀬達の方にやって来た。

「戸瀬さん。何ですかその品のない行動は」

「すみませーん。今休憩中なのでこんな時にもマナーマナー言うのやめてもらって良いですか?」

 キィキィと動作を止めることのない戸瀬。

「あなたねー、そんなんで将来困るのはあなたなのよ!あなたは戸瀬不動産の令嬢としての自覚が————」


 はぁ、うるさいことこの上ないわね。

(私のためって言うけど結局は自分達の立場が惜しいからなんでしょう!)

「まぁまぁ、先生も落ち着いてください」

 ガミガミ言い出した講師に口を挟む暁美。

「平原さん、あなたからも言ってくださいな。戸瀬さん、彼女を見てご覧なさい。この佇まい、所作、礼節は参加者の中でも突き抜けてるわ」

 まーた始まった、と戸瀬は目線を講師から外す。

 戸瀬は友人という立場を抜きにしても暁美の動作は完璧の一言だと評する。名家の娘としての英才教育、そして本人もそれを受け入れて立場に恥じないように努力に努めている。完璧な令嬢だ。

(祖父同士が仲良くなかったら私はきっと暁美の歩いている姿をただ眺めているだけだったのかもしれないな…)

 サッパリした奏音とガチお嬢様の暁美。奏音は一歩引いて暁美を見ているが小学校から10年以上の付き合い、しかも女の子同士でだ。ここまで長く続いているのはやはり2人の相性が良かったからだろう。

「私からですか…、そうですね、奏音は良く出来た人だと思いますよ」

 笑顔で講師に答える暁美。

「金や利権に執着するあなたと違って」

 笑顔で講師に答える暁美。

 同じ笑顔でも向ける対象と意味合いが異なっている。

 奏音には信頼、講師には侮蔑。

「なっ……」

 講師も蔑みの意味で言われたことに気付く。笑ってはいたが目は一切笑っていなかった。

「いいですか先生、本来清の浄の親交の深くない先生には言いたくないんですけどね。この催し、それだけでなく綾の森や清の浄が少子化の煽りを受けても問題なく学校運営と高いブランドイメージを維持出来ているのは確かにこの『マナー講座』のおかげなのかもしれません。しかしこのマナー講座で1番頑張っているのは教えているあなた方ではなく教わって社会に出てそれ相応の結果を出している私達学生なのですよ。あなた方は私達のおかげで今こうして講師を出来ているのですよ。理解しているのでしょうか?」

 まるで鶏と卵のような論争になりそうな暁美の発言。

「暁美さん、調子に乗らないでいてくれますか。あなた方の結果は私達の手助けあってのことですよ。この講座がなければマナーも身に付けられず社会に出て恥をかくのは貴方達だと思いますけども」

「いえいえ、大丈夫ですよ。私程度の作法で持ち上げるくらいのレベルの低い講座なんてあってもなくても変わりませんよ。卒業された先輩達が活躍出来ているのはマナーではなく学生時代の勉強や研究、そして社会に出てからの努力です。礼儀がなってるなんて男性との差別化要因でしかありません。男社会に女性としての矜持を保ってきたからなんです。女性だからという理由だけなんですよ。礼儀がなってなくても社会で活躍は出来ると思いますよ。今の野党のリーダーは女性ですが、あの方は揚げ足取りばかりで大して能がないじゃないですか。あんな礼儀がなくても党首になれているのは男性ばかりの政治家という世界で抗って来たからです」

(たまに見るけど、暁美のこのブラックな一面は一体何なのかしらね。真面目過ぎて歪んだのかしら)

 暁美の反撃に怯む講師と見慣れた光景に呑気にペットボトルのお茶を飲む奏音。

 まるで奏音の指示で暁美が講師を攻撃しているみたいだ。

「活躍している=礼儀がなっているではないと思いますよ」

「なっ、なんなのよあなたさっきから。生意気な言ってるんじゃないわよ!」

 顔を真っ赤にプリプリ怒り出した講師。

「そんなこと思っているのならどうぞお帰りください。後々困るのはあなたなんですからね!」

「そうですか。それでは帰らさせていただきます」

 暁美はそう言うと立ち上がってステージの壇上まで歩いていく。このやり取りは他の講師や生徒も見ていたので皆が暁美が何をするのか固唾の飲んで見ていた。

 暁美は壇上にあったマイクに手を伸ばす。


「ご機嫌よう。綾の森女子大学文学科2年の平原暁美です。私は今日を持ちましてこの『マナー講座』を辞退させていただきます」

 ざわざわと生徒や先生達が小さい声で話し出した。騒めきが大きいのは生徒の方ではなく先生達の方だった。

(どうするんですか。平原家の令嬢がやめるってことは寄付金もなしになってしまいますよ)

(清の浄の講師のせいですよ。どうするおつもりなんですか。彼女が抜けるということは戸瀬奏音も来なくなりますよ)

(あの2人の家だけで寄付金の8割を超えているんだ。何を考えているんだ榊先生は!)

(申し訳ありません。彼女はどうも真面目過ぎる性格でして)

(そんな言い訳はどうでもいいんです。どうするんですか?今年は既に寄付金をいただいてるから出来ますけど、来年以降どうなるか。しかも平原家の娘と戸瀬不動産の娘をやめさせたなんて彼女達の口から伝わればこの講座のイメージはただ下がりですよ!)

 寄付金がなければ講座を続ける事はできない。講座がなくなれば大学で授業を受け持っていないマナー講座だけの講師は路頭に迷うことになる。

 学びの機会の損失よりも自身の仕事の将来のことしか心配していない。

 暁美がお金や利権に執着していると言っていることの意味がよーく理解できた。


「そこでなんですが。平原家の教育方針に基づいた講座を新たに開きたいのですが皆さん参加してはいただけないでしょうか?自慢ではありませんが私は皆さんから完璧と評されるほどの礼節を持っています。これは私の家の教育の賜物だと思っています。より高いレベルの教育を受けたいとは思いませんか?清の浄も綾の森も関係なく、大学の利権のためではなく、私達自身の未来のために」

 暁美が発言を終えて体育館は静寂になる。しかし、誰かが賛同の意を込めた拍手をしたのをきっかけにその拍手の音はドンドンと大きくなっていった。暁美より先輩の3年生4年生も、入学して日の浅い1年生も、大人を除いた人達がみんな拍手していた。立ち上がっている者もいる。

「あーあー、乗っ取られちゃっわね。榊先生だっけ。どうするのあなた。100年以上の歴史ある催しを終わらせた責任、どう取るつもりなのかしら?」

「わ、私は、何もしてない。終わらせたのは彼女じゃないの」

「結果を見ればそうね。でも原因を考えると……、ほらっ」

 戸瀬が榊の後ろを指差す。榊が振り返ると怒りの形相を抑え切れていない老齢の女性がズカズカと榊の元へと歩いていた。

「榊先生」

 声色は低い。ビクッと榊も身構える。

「あなた、自分のしでかしたことを分かっているのかしら。言いましたよね。差別しろと言うわけではありませんが、寄付金受講者には手厚い対応をしてくれと。身勝手な振る舞いをして咎めるのでしたらケースバイケースです。しかし今は休憩中です。戸瀬さんがどういう風に休息を取っていても問題ないではありませんか?参加中の態度も積極性では望ましいとは言えませんが、彼女は休むことなく参加し、そしてしっかりと教えを自分のものにしてきたではありませんか?それなのにパイプ椅子で遊んでいたぐらいでこんなことを引き起こして……」

(いやぁ、私が始まりとはいえイスで揺れてただけでこんな大事になるとは、ちょっと私も責任感じちゃうなー)

 だが戸瀬は見せ付けるように揺れるのをやめない。キッと榊がこちらを睨んでいたがそんなのには構わない。なぜなら休憩中は自由だからである。


 ヴゥーン、ヴゥーン、ヴゥーン

 戸瀬のスカートのポケットからバイブ音が鳴る。

(誰かしら、土曜日は講座があるから連絡はしないでくれって家の方には言ってるのに)

 誰かと思いスカートの中からスマホを取り出す。

 ディスプレイには『神岐義晴』と表示されていた。



「みなさん、本日の催しは中止です。帰っていただいて結構です」

 清の浄の講師、マナー講座の責任者が平原からマイクを貰って全員に宣言する。

 宣言した後から体育館が騒めき出す。驚きではなく雑談である。皆が帰り支度を始める。

「平原さん。うちの榊が大変申し訳ございませんでした」

 講師、(みやび)が大層丁寧なお辞儀をする。流石はマナー講座の先生と言ったところか。

「いえ、私は特に何も。それなら奏音に謝罪してください。彼女の方が色々言われてましたから」

 電話しながらぷらぷらと揺れている戸瀬を眺める2人。

「戸瀬さんは奔放と言うか、弾けた方ですね」

「お世辞を言ったりしないので奏音と一緒だと変に緊張しなくていいので助かります。立場上なにかと仮面を付けたりしないといけないので」


 平原家は大企業の家系とかではないが、大地主として絶大な影響力を及ぼしている。遥か昔から公家として朝廷に仕えたいた由緒正しき一族だ。現在の日本政府や宮内庁、一部官庁などコネは多数存在する。しかし大人の闇を一切抱えていないというクリーンさを持っていて、影響規模は他の元華族より劣るもののそのクリーンさにより大物とのパイプが他よりも強固になっている。

 そのため親交会などパーティ事が非常に多い。暁美も平原家の令嬢として場に居合わせることが多く、既に実地体験という形で作法などを使いこなせないといけないのだ。戸瀬も戸瀬不動産の令嬢として出席することはあるが接待などは兄に任せていて自身は暁美のそばにくっ付いて変な虫が付かないか睨みを聞かせている。


「そうですか。とても苦労されてるようで。それで平原さん、少しお話がございまして」

「はい?なんでしょ「暁美ー!!」??」

 平原の言葉を遮ったのは奏音だった。スマホを持った手を上に上げてブンブンと振ってこちらに呼びかけている。

「何ですか?今雅先生とお話してるのだけど」

「そんなの後でいいでしょ!それより、神岐が今体育館の前にいるって、電話が掛かってきた」

「よ、義晴さんが!ここに来てるのですか!?」

 ズダダダダと奏音に詰め寄る。気品さなど微塵もない詰め寄り方だった。

「奏音、行きますよ」

「えっ、ちょおいー」

 詰め寄りのスピードを維持したまま奏音の右手首を捕まえて出口へと進む。奏音からしたら体の向きが逆になっているため歩くことが出来ない。手首を完全に固定されているので体を反転させることも出来ずに流されるがままに引き摺られていく。

「平原さん!まだお話が終わってません!」

「そんなの後です!!」

「えぇ、あのぉ…」

 もう暁美の頭には雅の存在など綺麗さっぱり消えてしまっていた。意中の殿方がこの先にいる。

 先程の立ち回りが嘘かのように周りが見えなく盲目的になっていた。奏音は『あぁ…』と心の中で嘆く。彼女が恐れていた事がいよいよ現実になりそうだったからだ。

(あっ、引き摺られるの新鮮で面白いかも)

 などと考えていたが、暁美が靴も履かずに外へ出ようとしたので流石に彼女を止めたのだった。


 ♢♢♢


 自然と誰かが出てくるのを待っていたが電話で呼び出すことにした。呼び出す前に何やら拍手のような騒ぎが起こっていたが遮音がなされていたのか詳しくは聞き取れなかった。

 スマホで戸瀬奏音に電話を掛ける。電話番号は交換していないがSNSアプリ内で通話が出来るので問題はなかった。

 数コールで戸瀬は電話に出た。


『もしもし、神岐?』

「久しぶりだな。奏音」

『1ヶ月ぶりくらいかしらね。それで、何か用?デートのお誘いは生憎お断りよ。まだ死にたくないから』

「?。よく分からんけどデートじゃねーよ。奏音と暁美今塀島体育館にいるか?」

『そうよ。何で知ってるの?』

 やっぱり2人はここにいたか。お嬢様だからこういう催しにはいると思ったがビンゴだったな。

「ちょっと体育館の中に用があるんだが、男の俺が中に入るのってやっぱり不味いか?」

『そうね、一度も講座中に男性が関わった事はないみたいね。だから無理そう……だけどもう今日の講座は終わったら問題ないかも』

「あっ、もう終わったのか。丁度良かった。なら俺が中に入れるように先生とかに口聞きしてくれないか?」

『えぇー。無理よ無理。私問題児だから男と遊んでるって思われちゃう。

 あでも暁美ならいけるかも。さっき暁美が最高権力者になったから』

 奏音は体育館内で起こったことを説明する。


「へぇ、暁美のものなのか。なら女子大の許可はいらないな。暁美は近くにいるか。話がしたい」

「いいわよ。今先生と話してるから抜けるように伝えてくるわね」

 そう言ってガタガタとスマホが鳴る。おそらくスマホの画面が歩いている時にズボンの側面に当たっているのだろう。

『暁美ー』

 突然の大きい声に耳からスマホを離す。

(奏音俺とまだ通話中って忘れてるだろ。保留にしてくれよ)

『…ですか?今…先生とお話し……だけど』

 奏音の声より距離が離れているため聞き取り辛いが内容は断片でも理解出来る。

『そんなの後でいいでしょ!それより、神岐が今体育館の前にいるって、電話が掛かってきた』

『よ、義晴さんが!ここに来てるのですか!?』

 ズダダダダという音が聞こえてきた。歩いている音だが音がデカい。ズンズンと歩いて詰め寄ったのだろう。驚いてしまうのも仕方ないか。すぐそばに知り合いが連絡もなしでいるなんてストーカーみたいだからな。

『奏音、行きますよ』

『えっ、ちょおいー』

 それを最後に通話は途切れた。何かの拍子に切るボタンを押してしまったのだろう。

 行くと言っていたから俺のところに真っ直ぐ来ているのだろう。集まりは終わったらしいからこの堅牢な門も向こう側から開かれる。

(これ、もしかして粘ってれば電話しなくて良かったんじゃないか?)

 あー、まー、いーけど。

 なんか負けた気分だ。騒ぎを起こすという選択肢を起こさなかっただけ尊厳は保たれているが何でもな能力を持ってして無駄ムーブしてしまったのは釈然としない。


 そして、ようやく門が開かれた。




「あったぞ。これだ」

 体育館の中の資料室。文書を保管する場所であり体育館のスタッフの休憩所にもなっている場所だ。

 あれから暁美達と合流した神岐は体育館関係者に話を通してこの資料室の中に入ることが出来た。

 もちろん認識誘導(ミスリード)を使って簡単にだ。暁美達には使わずあくまでスタッフだけに使った。

 資料室に入った神岐はバスケと書かれた分厚いファイルの中から緊急連絡先が載ったプリント群を探し出し、さらにそこから最近のから一週ずつ戻って鬼束達が記入したプリントを探していた。

 そしてようやく見つけた。

 鬼束市丸 03-××××-××××

 鬼束丹愛 “

 鬼束実録 “

 この記録を。ようやく、時間はもう夕方だ。

「この方の連絡先が知りたかったのですか?」

 後ろで神岐を見ていた暁美が声を掛ける。奏音は暇だと言って近くのベンチに座ってスマホをポチポチしている。

「あぁ、どうしても彼らに伝えたいことがあったからな」

「へぇ、そうなんですね。ジョセイジャナクテヨカッタ」

「えっ?なんて言った?」

「はっ、いえいえ。何でもないです。ほら、探し物が見つかったのならそろそろ出ましょう」

 ボソリと言われたので聞き取ることが出来なかった。

 暁美に服の袖先を掴まれて資料室を後にする。

(連絡先はゲット。後は電話をかけるだけ、逆探知に詳しい奴を早く思い出してコンタクトを取らないと。向こうには千里眼能力があるんだ。この瞬間を見ていたのなら連絡先をを消去されてしまう。時間がない。あの4人兄弟で1番厄介なのは千里眼だな。丹愛の高鬼(タワースナッチ)との相性も良い。位置を捕捉して石ころでも操れば奇襲は容易だ。今は俺が追って鬼束達が逃げる立場だが鬼束達が交戦体勢になったら勝ちの目があるかどうか。能力は喋ったから千里眼で位置を捕捉、他の兄弟が遠距離攻撃で俺の能力の穴を突くだろう)

 神岐は丹愛戦を思い出す。

(1人だと俺は案外脆い。味方が欲しいな。俺をカバー出来る能力者が。神原ともう1人の超能力者。彼らが味方になってくれればドクターなんかへっちゃらな気がする。オフ会を提案して良かった。俺のメッセージに気づいてくれることを祈るしかないな)


 ♢♢♢


 体育館を後にした神岐はこのまま帰ろうとしたのだが、暁美からお茶をしないかと誘われたので近くの喫茶店でコーヒーを飲むことになった。

 軽くお喋りしながら喫茶店に向かう。

「へぇ、体育館の中でそんなことやってるんだ」

 神岐はマナー講座の中身を聞いて改めてこの2人がお嬢様なんだなと考えていた。

「私は嫌々だったけどね。けど良かったわ。暁美がぶっ潰したおかげでもう参加しなくていいもの」

 奏音はようやく毎週土曜日に予定が出来るので来週から何をしようか色々想像している。

「あら、奏音。ダメですよ。マナー講座は平原家が執り仕切ることになったんですから親交の深い戸瀬家の人間が参加しないのは周りからあらぬ噂を立てられますわ」

「えぇー、いいじゃーん。人の目を気にしてたら人間何も出来なくなるわよ」

「それもそうですが、私達はそういう我が儘が許させない立場なのですよ。第一……

 奏音がいないんじゃ心細いです」

 キューーーーン、と奏音が口に出す。比喩表現ではなく、ちゃんと口に出して言った。

「あんた、いつからそんな超絶テクニック手に入れたのよ」

 そう言ってチラリと神岐の方を見る。

 平原暁美は神岐義晴のことが好きなのである。合コンで出会って帰る時には、である。

 生粋の箱入り娘で男に対する免疫がなかった暁美にとって神岐は一瞬で意識してしまう対象としてクラスチェンジするには十分だった。

 そして初めての恋。ブレーキなど知るはずがない。箱入りとはただ面識がなかっただけでなく、情報もシャットアウトされている。保健体育の授業は中高と習っている。まして女性だ。性に関するアレコレが男性より多く存在している。なので学校以外でも平原家の執事達が暁美に道を踏み外さないように教育を施した。

 ただ、恋愛の仕方だけは教えなかった。これが誤りだった。

 ゴールしか教えられなかった暁美にとっては好きになってから付き合うまでの工程が分からないのである。だから暴走してしまう。ラインというものを知らないのである。


 ライン

 それは簡単に言ってしまえば許容出来るのかどうか。

 異性と食事、2人きりの空間、ボディタッチ、笑顔でお喋り

 自分以外の異性に対してそのような行為をした時に、それを許せるのか許せないのか。それがライン、ボーダーとも言う。

 分かり切っているから最初に言うが、神岐と平原は付き合っていない。付き合っていない。

 前述のボーダーはカップル間でしか成立しないものである。異性の友達に対してそのような気持ちを持つことはない。持っていたらそれは嫉妬であり好きの裏返しである。

 異性の友達にそのような気持ちを持つことはない。


 喫茶店に入って神岐はアイスコーヒーを注文してくれと2人に頼むとすぐにトイレに駆け込んだ。レディの前で些かはしたない行動ではあったが体育館で30分もトイレを我慢しながら待っていたのでそろそろ限界だった。

 この男、やたらトイレ行くことが多いがこの年でもしかして頻尿なのではないだろうか?

 そんな頻尿男がトイレに行っている間の出来事…



「まさか神岐と会ってこうしてお茶をするとわね。にしても、神岐が体育館の前でオロオロ待ってたって考えるとなんか面白いわね」

 ふふっとそれを想像して笑う奏音。

 奏音としては雑談の始まりの話題として神岐のことを言っただけなのだが、暁美にとってはそうではなかったようだ。

「…………」

 何も喋ろうとはしなかった。しかし、奏音を見る目は睨み付けるような、嫉妬を孕んだ攻撃的な目をしていた。

「何よ。私変なこと言った」

 心当たりのない奏音は自分が気付かない内に失言したのかと焦ってしまう。

「いーえ。何もありませんよ。義晴さんが私じゃなく奏音に電話をしたなんて私一切気にしてないですよ。奏音が!気にしてないですよー。うふふふふ」

「……いや、まぁ私の方が話しやすかったんじゃないの。神岐の用事って言ってしまえば女の園に忍び込もうとしてたんだから。暁美にはなんか言いづらいでしょ。あいつあんたをお嬢様、私はヤンチャ娘って見てるみたいだし」

 本当のことだけどなんか納得がいかない。私だって不動産業界のトップ、戸瀬不動産の令嬢なのよ。多少はっちゃけてるからってヤンチャ娘扱いされるのは釈然としないわ。ヤンチャお嬢様って言いなさいよ。

「………それでも、ずるいです奏音は。義晴さんから電話が来るなんて。私もラインでしかやりとりしてないのに…ムゥ」

 いや、ムゥとか擬音を声に出さないでよ可愛いわね。私だって望んで連絡貰ったわけじゃないわよ。それなら自分から声を掛ければいいのに。

「どうせ、『それなら自分から声を掛ければいいのに』とか思ってるんでしょ」

「へぇ、いやいやまっさかー」

 図星だったのでリアクションが白々しくなってしまった。

「んもう。私だって出来たら苦労しませんよ。ただ…、いざ電話しようと思うと、何だか、恥ずかしくて……」

 キャーと言いながら両の手で自身の顔を覆う暁美。壮絶な恋する乙女に奏音は自分がメロンソーダを注文したことを後悔していた。

(私も神岐と同じでアイスコーヒーにすれば良かった。幸せオーラに当てられて胸焼けしそう。生クリーム一気飲みみたいな感覚だわ。食べたことないけど)

 胃のムカムカを治めたくてチラッと厨房の方に目を向けてしまう。当然オーダーを頼んだばかりなのでそうすぐに注文が来ることはない。

「恥ずかしいのは分かるけど。というか隣の席に座る勇気があるのに電話は躊躇うって何なのよ。直接間接で言ったら隣に座る方がハードルが高いでしょ」


 喫茶店に入り4人掛けのテーブル席に案内された3人。通常なら同性で隣同士に座って対面に異性が最も自然な形だ。

『立ちっぱなしで疲れたでしょう?さあさあ、ソファー席にお座りください』と暁美が神岐とグイグイと奥のソファー席に押し込む。『いや女性が上座に——』と言おうとした神岐を無理やりに座らせて、その流れでちゃっかりと隣に座ったのだ。

 奏音はその光景に軽く引いてしまったが、強引過ぎるアプローチに一切リアクションすることなく注文の言伝だけしてトイレに向かった神岐の淡泊さにも驚いていた。

(私以上の超絶お嬢様と同席してもノーリアクションとは。余程女性に関心がないのか、それよりも尿意が勝ったのか。暁美の身分を知った男達は逆玉の輿を狙って気持ち悪いくらいアプローチするのに、面白い男ね)


「それで、隣に座ったは良いけど、引っ込み思案になってたら何も変わらないわよ」

 奏音は暴走恋愛ガールを警戒、もとい神岐の身を案じてはいるが恋愛自体は応援している。小さい頃からの親友の初恋を応援しないほど腐った性格はしていない。神岐はどこかの御曹司というわけではないが、見た目の良さ、京海大学の学生という学歴、そして一般家庭というのを鑑みれば婿に迎えても良い人材ではあるのだ。

「ふふふ、分かってますよ。私は何としても義晴さんを手に入れますよ。奏音、何度も釘を刺すようですけど……」

 またか、と奏音は内心で勘弁してくれと願う。

「義晴さんを取ろうとするなら、戸瀬不動産ごと太平洋に沈んでもらいますからね」

(この脅しがただの行動抑制じゃなくて本当に実現出来るから困るのよね。平原家って暁美には厳しく教育を施して過保護にしてるけど、その分暁美からのおねだりにはとことん甘いのよね。沈めてとさっきの超絶テクニックで頼まれたら全力で実行しそうだわ。嫌よ、まだこれからもっと楽しいことをしたいのに死ぬなんて!)

「大丈夫よ。神岐は良い男だとは思ってるけど暁美の気持ちを無視してまで盗るほどじゃないから。大体、向こうは私を恋愛対象とは見てないわよ。電話してきたのが良い証拠よ。暁美には十分脈ありだと思うわ。自信持ちなさい」

 自分を下げて相手を持ち上げる。しかし男の価値を下げるとその男を好いている暁美の価値も下げる事になるから神岐のことを悪く言わずに、私は狙わないと伝え、暁美はチャンスありありだと持ち上げる。

 案の定暁美は脈アリかも言われて上機嫌になっている。

「もう、奏音ったらぁ。照れるでしょう」

 体をくねらせて喜びが溢れんばかりの暁美を見て、地雷は回避出来たと安堵する奏音。


「すまん、お待たせ…って…何で暁美はクネクネしてんの?」

 お手洗いから神岐が戻ってきた。

「あー、何でもないわよ。女の話よ」

 そうか、とだけ言って神岐はこれ以上の追求は辞めた。女の話に首を突っ込むほど野暮ではない。

「お待たせいたしました。アイスコーヒー、メロンソーダ、紅茶になります」

 タイミングよく注文していた商品がテーブルに届いた。

「こうしてテーブルを囲むのは合コン以来だな」

「そうね、もう1ヶ月も前なのね。早いなー」

「あの時は大勢いましたけど私達だけ別でしたからさほど変わってないですね」

「はは、それもそうだな」


 3人は合コンの後からの1ヶ月間の出来事や8月末に行く予定のデジュニーシーの話などで大いに盛り上がった。あまりに話し込んでしまったため、時刻が夜の時間になったのでそのまま喫茶店で夕食を取ることにした。

 こうして神岐は1日かけて鬼束達の連絡先を手に入れることが出来たのだった。

神岐義晴

能力名:認識誘導(ミスリード)

能力詳細:相手に自身の体を見せた状態で自身の声を聞かせると催眠状態にすることが出来る


平原暁美

能力なし


戸瀬奏音

能力なし


現在の鬼束レースの状況

神原奈津緒:鬼束3兄弟の5年前の顔写真を入手

神岐義晴:鬼束達の住んでいた場所、連絡先を入手

神坂雪兎:鬼束実録の現在の顔写真を入手、玉梓組の協力を得る

神岐>神坂>神原


神岐の8月4日は終了です。

次は神原の鬼束捜索……ではありません。リア充イベント回になります


平原暁美が喫茶店で神岐の隣の席に座ったのには理由があります。平原は恋愛暴走ガールなので名前の通りにぶっ飛んだことをしでかします

仕込み完了です

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