第35話 悪ガキ共③
どのくらい進んだだろうか?
1時間半以上歩き続けて神坂が辿り着いたのは上野駅だった。
上野駅は南はアメ横などの店が立ち並び西は博物館、美術館、動物園、大学など様々な施設が揃っているさながら文化都市だ。
交通も複数の路線が乗り入れておりアクセスには非常に便利な駅だ。
人通りも多く北千住よりも多いなと体感的に神坂は感じていた。
行き先を決めていなかった神坂だが上野駅を見てここにすることに決めた。と言ってももう着いてるのだが。
徒歩1時間半という家出にしては近い方にはなるが神坂にとってはここすらも異国の地に感じていた。
午前10時、子供は学校に行っている時間だ。辺りを見渡しても自分と同年代の子供はおらずスーツを着た男性や派手な格好をした女性が多く見受けられた。チラチラとこちらを見る者も多い。白髪なのも相まっているのだろう。
だが東京だからというべきなのだろうか、誰も神坂に話しかける者はいなかった。不干渉、東京の人は冷たいと言われるが触らぬ神に祟りなしだ。下手に首を突っ込んで面倒ごとに巻き込まれたらたまったもんじゃない。
迷子かどうか話しかけただけで誘拐犯扱いされる時代だ。しかもこの時間に小学生。明らかな訳あり物件。絶対に関わらない方がいい。
とりあえずリュックの中からお菓子を取り出して軽く腹を満たす。
駅にある付近の地図が載っている掲示板のような物を見て行き先を決める。
学力は優れているがそれはあくまで小学5年生水準だ。もちろんまだ習っていない漢字もあるため所々は解読できないが大まかにはニュアンスで理解していた。
小学生がこの時間にいても平気な場所、と考えると選択肢は物凄く狭まってしまう。神坂は午後からなら子供がいても午前授業で終わったと誤魔化せると考えとりあえず昼過ぎまで時間を潰せる場所をということで場所を考えた。
そうして神坂が選んだのは上野公園だ。
入場料などがないため大人に確認を取られることもない。さらに子連れの家族もいるため小学生の神坂がいても不自然には思われないと踏んでここにした。
事実それは正しい選択だっただろう。動物園や博物館、他の商業施設だったら間違いなく迷子扱いで店員やスタッフに身分を尋ねられていただろう。そうなったらせっかくのサボりタイムが終わってしまう。公園ならそれはない。皆が一般人なので関心が薄い。まぁ子供もいるだろうなという認識があるため神坂が一人目立ちすることはなかった。物珍しさに見る者はいたが。
神坂は西郷隆盛像や石畳の中央広場のベンチに腰掛けて人を眺めていた。
(いいなぁ、母親とこうやって公園に出かけるなんて…)
神坂は家族からの感心がなく育てられた。
小さい頃は家族みんなで出かけていた記憶が朧げではあるが思い出せるが姉が突出するようになってから両親は姉に贔屓するようになり3人で出かけたりすることが増えた。神坂は留守番だ。
これは海外の実力主義になぞらえたものなのだろうか?だが待ってほしい。神坂の姉が光るようになったのも親がもたらしたきっかけによるものだ。ならば神坂にも同様にきっかけを与えるべきではないだろうか?不公平ではないか!10年も生きていない子供が自らの意思で何かを成そうと思えるか?いるだろうがそれは絶対的に少ない。神坂の親が神坂の可能性を潰したのだ。この責任は大きい。中学生になってもなお生まれた溝は埋まっていない。親も今の素行が悪くなった神坂にいよいよ愛想を尽かして放任主義を貫いている。料理は出る。日常生活、学校生活にかかるお金は出している。ただそれだけ。ただ神坂が警察のお世話になるなどの厄介ごとを酷く恐れている。姉の邪魔になるからだ。サボり始めた当初もそのことで言い争いが激しくなったが姉が親の今までの対応を指摘したことでそれは収まった。
大事にしている娘にそう言われてしまえば何も言えない。親はそれ以来問題を起こさない限り神坂のやることに一切干渉しなくなった。皮肉にも学校でも家でも神坂は不祥事を起こさないことを条件に自由が認められている。
話を戻そう。
神坂は過去の薄れた記憶、そして今の状況を比較してどうしてこうなった?と思案した。
この家出を通して親から心配されたいなどとは思っていない。それがないことは10歳の子供ながら分かっていた。
だが少しでも何かが変わって欲しかった。家出を通して自分自身にも何か新しい発見をもたらして欲しかった。
そしてそれは実際に起こる。
神坂が今のようになった出来事が、この家出で見つかったのだ。
♢♢♢
あれから近くのファストフード店で注文をし(注文の仕方は知っていた)、午後からは博物館などの文化施設を巡った。
お小遣いは浪費しないせいか多めにあったので金銭面では問題なかった。
博物館の中ではテレビでしか見たことのない恐竜の白骨やアンモナイトなどが眼前に広がる。
それにたまらない喜びを感じていた。
映像で地球の歴史を見るというコーナーではアウストラロピテクスなどのまだ学校では習わないことも出て来て理解が躓く場面もあったがそれだけ世界が広がっているんだと知って神坂は終始目をキラキラさせながら満喫していた。
そして17時
小学校はもう下校だ。
午前中の時点で学校から親に連絡が行っているだろう。だが神坂は携帯電話を持っていないのでGPSで居場所を特定することも出来ない。ちなみに神坂の姉は小学校のうちからスマホを買い与えられている
警察にも連絡が入っているだろうか?そう考えると結構大事を引き起こしたかもしれないなどと今更気付く。
この時間帯になると子供も上野駅にはチラチラと現れ出して神坂が目立つこともなくなった。
だが夜が近付くにつれて現れる危険な者達もいる。
「さて、どうしようか」
家に帰ろうか帰らないかで迷っている神坂。
この1日だけでも普段味わえないものを十分に堪能できた。
新しいものを得たいという目標は叶った。ならばもう帰らなくてはならない。
だが帰ったところで明日からまた辛い思いをする日々だ。学校をサボったことで多くの人の迷惑をかけているはずだ。
「お嬢ちゃん。迷子かい?」
どうやら誰かに呼びかけているようだ。
自分には関係ない。仕方ない。また1時間半歩くのは大変だが帰るかな。
神坂は上野駅を北に進んで足立区に帰ろうとする。
「君だよ君。聞こえてるだろ?」
そう言われて肩をガッと掴まれる。
「えっ?」
(ちょっと待って。なんで僕?)
神坂も状況が理解できていない。
掴んだ男の方を見てみると、40代くらいだろうか?全体的に膨よか、まぁデブで脂が乗ってそうなおじさんだった。
「迷子なんだろ?おじさんがパパとママを探すのを手伝うよ」
昔あわや誘拐事件の被害者になりかけたことのある神坂はこのシチュエーションの危険性を理解していた。
「大丈夫です。親とは待ち合わせてるので。あと俺は男なんで」
男の手を振り払おうとするが何故かもう片方の手も肩に置かれた。
「こんなに可愛い男の子がいるわけないだろ。もし本当に男の子だとしてもそれはそれで………グヘヘへへ」
神坂は一気に身の危険性を感じた。肝を冷やすとか冷水を浴びたような衝撃とかそんな生易しいものじゃない。瞬間冷凍機に入れられたような気分だ。コンマ過ぎることなく、10.9.8.7.6...1.0という段階的に下げるのではなく10→0と経過をすっ飛ばした恐怖に身震いをした。
「大丈夫だよ。その待ち合わせ場所までおじさんが警護するからさ」
肩を掴んでいた手が離れて腕、肘、手へと下がっていく。
手を繋いでしまえばもう逃げられない。助けてと言いたいがこんな見るからに見た目が変な子供を助ける者はいないだろう。そんな格好をしているから自業自得だとでも考えていそうだ。
「ちょっ、離せ!」
神坂も必死に抵抗するがおじさんの卑しい手つきは止まらない。
誘拐の二文字が頭をよぎる。
それはマズい。が、振り払えない。
もう手を握られる!!!
「おい、おっさん。何してんだよ」
誰かが声をかける。
誰か分からないのは姿がおっさんの体で隠れているからだ。
「なんだよ。私はこの子を親御さんのところに連れて行こうとしただけだ。関係ないガキは引っ込んでろ」
どうやらその男性は子供らしい。
「抵抗しているように見えるけどな。まさか、誘拐しようってんじゃないよなぁ」
「な、何を言いがかりを言うんだ貴様!」
「だったら手を離せよ。痛くないかい僕?」
顔を覗かせる男性。制服を半袖のカッターシャツにスクールバッグ。
背丈は高くはないので中学生くらいだろうか?
ようやく顔を見ることが出来た。
神坂は恐怖で上手く言葉を伝えられなかったがたった一言、「助けて」とその男子学生に伝える。
か細い声だったので聞こえたかどうか分からなかったがどうやら伝わったようだ。
「おい、痛がってるじゃねーか!離してやれよ!」
学生が大きい声で言ったことでチラチラと野次馬が増えてきた。
カメラを向けている者もいる。
これはマズいとおじさんも思ったのだろうか、「チッ!」と聞こえるくらいの舌打ちをして去っていった。
「大丈夫かい?」
涙目になっている神坂に優しく問いかける。
「う、うん…」
何とか涙がこぼれないようにしながら答える。
「親御さんのところには俺が連れていくよ。さっきの奴よりかは安心だろ」
「…親は、来ません」
「えっ、一人でここに来たの?」
首をコクリと縦に振る。
「……家出かな?」
まさか当てられてしまいビクっと体が硬直してしまう。
「平日のこの時間にリュック持って一人でいる小学生は明らかに普通じゃないからね」
そして神坂の髪の毛を見て、
「いじめかな?」
またも当てられてしまった。
嘘をつくことも出来たがさっきの怖い思いのせいで嘘をつく気力がなくなっていた。
神坂は自分がいじめを受けていること。両親が姉ばかりに贔屓して自分は半ば放置されていること。今の環境が嫌で外に飛び出したことを名前も分からない男子学生に全部話した。
♢♢♢
「ありがとう。よく耐えたな」
神坂の頭を撫でる学生、名前を聞いたら名彫瑛太と名乗った。神坂は涙を流すまいとしていたが耐えきれず一筋だけポロリと零してしまった。
「それで、雪兎くん。君はどうしたいんだ?」
「………家に帰りたくない、けど騒ぎを大きくもしたくない」
「そうか、ならさ、またサボればいいんだよ!」
「えっ?でも…」
「辛いことがあるんだろ?だったら無理に学校に行かなくていい。学校行かなくても家に居たくないなら今みたいに外に行けばいいんだよ」
イマイチ神坂は名彫の言っていることの意味が分からなかった。何故この男はサボりを推奨するのか。普通は家に帰って明日からちゃんと学校に行け。今日みたいなのは今回きりにするんだぞ!と言うのが正しいレスポンスのはずだ。
そんな感じで目が点になった顔で名彫を見てると向こうも言わんとしていることに気付いたのかこう続けた。
「いいか。学校に行くべきだと勿論俺は思ってる。だが学校だけが全てじゃない。今日だけで新しい世界を知ることが出来ただろう?」
コクリと頷く。
「だろ?雪兎くんはもっと広いところを見るべきだ。だから学校には行かなくていい……と言っても全く行かないってわけでもない。サボりを学校に認めさせればいいんだよ」
「そんなの無理だよ。先生達がそんなの認めないよ」
「雪兎くんは成績はいいんだろ?だったら優等生特権だ。サボってても学校のテストで高得点を取り続けてれば文句は言わんよ。文句を言ってきたらいじめのことを言えばいい。向こうもいじめを大事にしたくないからきっと了承するよ」
「そ、それでいけるの?」
「簡単なことじゃないよ。勉強も今以上にやらないと行けなくなるだろうね。学校に行かないってことは全部自分で学習しなきゃいけない。そして先生や同級生達から白い目で見られる。それに耐え得るだけの力を君が持ってなきゃいけない。暴力じゃない。人に真似出来ない力だよ」
「真似出来ない力…」
自分にそれが備わっているのか。自分の人生を振り返って見る。
(白髪なこと以外で僕の強みは……)
見つからなかった。
なんの取り柄もない男である。
「まぁ今なくてもこれから見つけたらいいさ。まだまだ時間はたっぷりあるんだ」
「うん。ありがとうお兄ちゃん」
「おう気にすんな。困ってるやつを助けるのを当たり前だ。最近じゃそれすらも出来ない奴が多いけどな」
「僕もお兄ちゃんみたいな人になるよ」
「嬉しいねぇ。さあ帰ろう。これからが大変だぞ。勉強尽くしだ」
「じゃあお兄ちゃん。切符の買い方を教えて」
「あぁ、北千住から歩いてきたんだったな。遠かったろ?いいぞじゃあ駅に行こっか」
「うん」
2人は上野駅を目指した。
名彫は神坂に切符の買い方を始めとして色んなことを教えた。
神坂はそれをしっかりと学び、覚えていった。
そして2人はそれからちょくちょく会うようになった。
名彫は普通に学校に行っていたので昼間には会えなかったが夕方や休日などは名彫と遊んだり勉強を教わったりした。一般常識や街の遊び(怪しい薬とかではなくゲーセンなどの学生相応の遊びである)を教え神坂はようやく成長を遂げていった。
親は姉が抑えてくれて、学校には名彫に言われた通りテストで1番を取っていじめのことを外に公表すると言って黙らせた。同級生達には白い目で色々言われたままだったが自身の人に真似できない力、超能力に気付き、超能力を使い対処をした。
こうして今の神坂の生活基盤が形成された。
そして、時間は流れ、中学1年生の冬まで戻る。
♢♢♢
二学期末テストが終わりあと数日通えば冬休みだ。と言っても終業式しか行かないので実質1日だが。
今はそのサボり中である。
何となく北千住駅の辺りをブラブラしていた。
神坂の超能力は人を巻くことに非常に優れている。逃走能力ではなく能力の応用である。そのおかげで今まで警察の厄介になったことはない。
どうやって自分の超能力の存在に気付いたのか。
神原は1週間、神岐も自覚するのに4年経っている。中、7年という最長の神坂がどうやって知ったのか。
それは難しいことではない。これは神岐と同様に嫌がらせを受けている時のことだ。
それについてはいつか話そうと思う…
ともかく神坂は警察に補導もされずノホホンとサボっていた。
名彫とも交流は続いているが名彫は寮生の進学校に進んだため遊ぶ機会が減ってしまった。それでも長期休みの際は外に出かけたりしている。幌谷の新入生代表スピーチを行ったことも喜んでくれた。人の優しさに触れていない神坂にとっては唯一のオアシスである。
そのせいか未だにお兄ちゃん呼びが抜けていない。
名彫は照れるからやめてくれと言ってはいるが今更名彫先輩とも言えないので結局呼び方は変わらないままだ。
駅前のコーヒーショップで一息ついている。
名彫から服装については弱そうに見えるなど色々言われていたので神坂はなるべく大人なコーディネートを心掛けていた。
そのため私服で同級生の女子と遭遇するとやたらとワーキャー言われることが多くなった。名彫はインテリヤクザに見えるんじゃないかと言っていたがインテリは否定しないがヤクザ要素はないですよと笑いながら伝えた。
いつも制服着てるところしか知らないからギャップ萌えみたいなもんだろと言われて少し納得した。
洋服については姉に色々相談して買ってもらっていた。
服のことを全く分からなかった神坂は姉がファッション雑誌を愛読していることを思い出して姉に借りたのだ。その時に何で必要なのかを説明したら目をキラキラさせて『それならお姉ちゃんにお任せあれ!』とあれよあれよと服屋に連れて行かれ色んな服を買ってもらった。
万など軽く超えている値段だ。
神坂は姉に自分のためにそんなにお金をかけてもらうのは申し訳ないと言ったが今まで助けてあげられなかった分の罪滅ぼしと言われ無碍にも出来ず買ってもらった。
それからはオシャレの勉強も始めメンズ雑誌などもコンビニで立ち読みして情報を仕入れている。
そんな大人っぽい格好をしている神坂。
顔や背丈を見れば中坊だと一目で分かるのだが遠目の後ろ姿だとやはり白髪が相まって迫力があるみたいだ。
「おいアンタ」
後ろから突然呼ばれる。この格好にして以来声を掛けられることもなくなったので自分が呼ばれているとはすぐには気付かなかった。昔同様振り返ることなくそのまま歩いて行こうとしたが。
「おい待てよアンちゃん」
デジャヴを感じる。また肩を掴まれた。
また変な大人に絡まれたなと思い「何ですか」と言いながら振り返ったら大人などではなく自分と同じくらいの幼さを宿した、けど肩を掴む力は相当のもので掴まれた瞬間、痛みで顔が歪むほどだった。
2人は対峙する。
「ありゃ、高校生ぐらいかと思ったら俺と同じくらいか?まあいいや。お前、その髪、相当のワルだな」
「違いますよ。僕はただの中学生です」
「嘘付くんじゃねーよ。まだ冬休みにはなってないはずだ。学校に行ってない時点も俺と同類だろ?それにただの中学生はそんな髪色に染めたりはしない」
「これは地毛だ」
白髪が地毛は日本人の中では病気ぐらいしかありえないだろうが毎度言うのも嫌になってくる。
「嘘だ。細い体だがこれが所謂細マッチョって奴だな。実は強いだろお前。名前は何て言うんだ?どこ中だ?俺は枝野中の月城泰二って言うんだ」
月城?神坂はその名前に心当たりがあった。
(確か相当強い奴でウチの3年の不良達が挑んだけどボコボコにされたとか聞いたな。しかも枝野中には小学生ながら複数の高校生を倒した『高校生半殺し』で有名な東京最強と名高い臼木涼祢がいたよな。この2人がいるから枝野は1番強い中学だって見通しが立ってるって聞いたな)
「幌谷中の神坂雪兎。中学1年生だ」
「幌谷…、神坂……。あー!!!聞いたことあるぞ。『幌谷の白ウサギ』だろ?白髪で成績優秀の」
どうやら他の中学校にまで自分のことが知られているらしい。
てかなんだよ白ウサギって!俺そんな名前で呼ばれてんのかよ!
驚いていた月城だったがだんだん神坂を見る目が汚い物を見る目へと変わっていった。
「お前、そんな有名人の名前を使おうなんて最低だな」
「使うってなんだよ。嘘ついてねーよ。俺だって白髪じゃねーか!」
「幌谷の白ウサギが平日の昼間からこんな場所にいるわけねーだろうが!」
どうやら白髪優秀とは広まっているがサボりが認められていることは広まってないらしい。
ちゃんと拡散しとけよな!
「もういい。白ウサギを騙る偽物め。俺と戦え!鬱憤ばらしだ!」
「嫌なんでだよ。なんで俺が…」
言い切る前に月城が殴りかかってきた。
突然のことで反応は遅れたがどうにかパンチを躱す。
「やるな!オイ偽物。ついてこい。ここじゃ人目がついて邪魔くさいからな」
月城はそのまま人少ない通りまで歩いていく。
(この見た目だからこういうこともあるだろうってことは想定してたけどまさか本名言っても信じてもらえないとは。あいつが馬鹿なのかやっぱり世間的に見ても優等生がサボりってのはイメージしにくいんだろうか?だがこれは向こうから仕掛けてきた戦いだ。正当防衛だよな。
丁度いい。日常生活や逃げに使うことが多かったがこの能力が喧嘩にどれほど有効なのかを確かめる良い機会だ)
神坂は月城の後を追いどんどん人気の少ない暗い場所を進んでいく。
神坂と月城が出会い、そして神坂は東京最強の2人との戦いに巻き込まれていく
神坂雪兎
能力名:不明
詳細不明
月城泰二
無能力者
名彫瑛太
無能力者




