表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
お前らだけ超能力者なんてズルい  作者: 圧倒的暇人
第1章 神原奈津緒
12/164

第12話 神原奈津緒vs色鬼③

 市丸が黒玉を投げた。

 神原に真っ直ぐ飛んでくる黒玉(それ)に対して回避行動をとるが、脇腹をボールが掠っていった。しかし衣服越しに当たっただけなので神原はダメージを負わなかった。


(見えすぎてるおかげでどうにか出来てるけど…やっぱ完璧には避けられないか…)

 黒玉が神原の背後へと流れたのでそのまま市丸の方に突っ込みたいが、市丸に到着するより前に黒玉が軌道修正して自分の背中に捩じ込まれる方が速い。

 それに、あの速度を無視することはできない。

 神原の可動速度も向上しているが、それは能力で無理矢理動かしているだけだ。能力を使っていても限界がある。

 ギリギリ黒玉の方に軍配が上がっているようで、直撃は何とか回避しても無傷とはいかなかった。


(奴は…人型のシルエットはなし…動いてないな)

 神原は市丸に突っ込まず敢えて横に移動することで、市丸がいるはずの位置と黒玉が視界に入るようにした。


 市丸は動いていない。黒玉だけで仕留める腹づもりだったのかもしれないが躱されてもなお動かない。

 思えば市丸はこの商店街に逃げ込んだ時も歩くことしかしておらず『色鬼(カラースナッチ)』で操作している物体と合わせて2対1で攻撃を仕掛けることをしなかった。


(おそらく…『色鬼(カラースナッチ)』で物体を動かすのに相当神経を使うんだろうな。あんな複雑で高速の動き、走ったり攻撃したりしながら動かすのは不可能だ)

 逆に言えば『色鬼(カラースナッチ)』が発動している間は市丸から攻撃を受けることがないということ。そこに活路がある。

 ならば市丸を見続ける必要はないだろうということになるが、『色鬼(カラースナッチ)』は途中で操る色を変更できる。

 最初の黒玉は1分も操作していないはずだ。


(それに、コンクリートやシャッターの最後の動き。あれは能力の動きじゃなく、能力で操作した力が慣性として残っていたことによる動きだ。1分経たずに色を変更できること。1分経っても慣性によって数秒程度生き続けること。これらを動き回りながら予測するのは不可能だな)

 だからこそ市丸を常に視界の端にでも捉えておかなくてはならないのだ。



 背後に飛んだ黒玉が弧を描いて戻ってきた。壁に当たったみたいに真後ろではなく速度を殺さないようにカーブを描いていた。

 棘ボールとは違う軌道。早すぎる故かは分からないが、ここでフェイントを入れる理由はない。

 向こうとしては最速の黒玉で仕留めるつもりだったはずだ。それが掠り程度で終わっていよいよ『色鬼(カラースナッチ)』じゃ仕留められないと分かった。その一瞬ですぐに欺きを入れられるとは思えない。優れた能力者なら出来るかもしれないが、少なくとも能力誤認する奴には無理な芸当。

(あの動きは基準になる。だが焦りがなければもっと膨らみの小さいシャープな弧になってるかもと思え!)


 戻って来た黒玉は神原を狙いつつも躱された際に2人の間に割り込むような軌道になっていた。

 神原はそれをもギリギリで避ける。今度は当たらなかった。弧を描いたせいで僅かながら速度が落ちていたのかもしれない。


 最速の黒玉も現状直撃は回避できる。この事実は神原に思考の時間を与えることになった。



(…すんなり飲み込んだけど、固有名があるんだな)

 市丸は自らの能力を『色鬼(カラースナッチ)』と称していた。

(そんな感じの名前……欲しいな)

 今まで自分の能力を毛嫌いしており、名前を付けるなんて考えたこともなかった。

 だが市丸は付けていた。確かに漫画の能力者は固有の名前を自分で付けている。

(クソ能力らしい名前を付けないとな。そうだな———)




 神原が自分の能力名について考えている間にも、時間は刻々と流れていった。

 結局黒玉では仕留めきれず時間切れとなり、市丸はナイフと黒玉を交互に操作しながら神原を仕留めにかかったが、当たらない。

 黒玉は腕力を上乗せした初動であれば当たる。しかしそれも擦り傷程度で神原にダメージを与えるまでにはいかない。

 それに加えて、神原自身が玉の速度や体を動かすことに慣れたのか、次第に初動でも躱されるようになった。


 神原は目が見えていないと分かっているが、『色鬼(カラースナッチ)』でも仕留めきれない。さらに交換するたびに操作物体を手元に戻さなければならないので、自分の位置が神原にバレてしまうのだ。

 1分の間に神原を動かしまくって位置関係を狂わせても、結局能力の掛け直しでバレる。

 それによって交換の瞬間に全速力で突っ込まれるが、幸いにも神原の走る速度よりも『色鬼(カラースナッチ)』の操作速度の方が速いため市丸本人に辿り着くことはないが、タイミングを見誤れば神原の攻撃が先に届いてしまう。

 そして既に10分以上を優に超えていることに市丸は焦りを感じていた。



(くそがっ!時間がないのに!どんだけ時間が経った?10回は交換してるよなぁ!もう既に麦島が背後にいてタイミングを伺ってるかもしれねぇ!)

 10回交換しているのなら10分は経過している。バレること承知で後ろを振り向くが、麦島はいなかった。

 シャッターばかりの寂しい通りだ。隠れる場所はないから今麦島は背後にいない。

 まだ大丈夫。しかしどこかで麦島が現れる。その前に神原を止めなくてはならないのに……


(何で全然攻撃が当たらないんだよ!)

 10分は動き続けている。なのに神原はギブアップすることなく、何なら数分前から黒玉すら当たらなくなっている。

(避けるのは分かる。動体視力を強化してるからな。けど一番あり得ないのは体力だ!命が()られる極限の中、数分数十分も全力で動き続けてる!まだスタミナ切れしないのかよ!)

 肉体強化で体力も強化していないと説明の付かない。想像以上の超能力に市丸は戸惑いを隠せなかった。

 背後から攻めたいのに、神原は黒玉を避けながらも視界から外れないように位置取りをしていた。視界に入っているのだから動いた途端に位置をバラしてしまうことになる。市丸は一切動くことが出来なかった。


 だが、じっと動かずに神原を観察したことで分かったこともあった。

(無尽蔵に動き続けているように見えて、何回か動きが(もつ)れてた。肉体強化してても血が出続けてるせいだな。ずっと動き続けるんだから止血なんて出来るわけないよな)

 血に染まった学生服が止血の役割を幾分か果たしているが、ワイシャツは真っ赤に染まっている。

(麦島が背後に来るのが先か、神原が出血多量でぶっ倒れるのか先か……)

 どっちの時間が先に来るか……

 麦島の時間はいじれないが、神原の時間は市丸でも調整(コントロール)出来ることがある。


(……思い付いたぜ。奴の背後から攻撃する方法!)

 今操作中なのは黒玉。黒玉の軌跡を見切られたのか、最初よりもスマートな動きで玉を避け続けている。出血かつ視界が殆ど真っ暗な中でとんでもない精神力である。

 敵ながら、年下ながらに感服してしまう。それだけの能力を有していることが戦いを通して分かった。

 ドクターのお眼鏡にかなうのも頷ける。


(だが、勝ってドクターに認めてもらうのは俺だ!!)



 ♢♢♢



 黒玉は神原の右足を狙って低空で走り出した。今までは顔や心臓が中心だったが、ここまで明確に足を狙う軌道は初めてだった。

 しかし、黒玉の可動範囲を理解した神原にはもう黒玉の攻撃は意味をなさない。初めての動きであっても出来る動きには上限がある。

 上限を僅かに上回る速さで回避するだけで黒玉は自身のスレスレを通り過ぎて行く。


 足を狙う攻撃。下手にジャンプするのではダメだ。空中にいる間は無防備になる。飛ぶのは可動範囲のギリギリ。市丸が操作できないタイミングだ。

 一ミスも許されないタイミングでのジャンプ。神原奈津緒は焦ることなくやり遂げた。

 もう市丸は驚かない。これくらい神原なら躱すと彼自身が信じていた。だからこその低空だ。


 黒玉は神原の後ろへ、そしてこれまでと同じように旋回してまた攻めて来る……と思っていたが、勢いのままに急上昇を開始した。

 滝登りのように重力に逆らいながら上昇を続けるその動きの目的は決まっている。

(なるほど…自由落下の勢いを上乗せする訳か。初動よりも速くなりそうだ……これは流石に避けきれないかもしれないな…)

 ()()()も完了した神原は上昇を続ける黒玉を見逃さないように注視していた。少しずつ白い焦点が小さくなっていく。

 頭部に当たれば頭蓋が凹みそうだ。そうでなくても肩や足先に当たるだけで動きが制限される。


(けどよ…俺が躱した場合に黒玉は地面に激突すんじゃねーのか?)

 可動範囲は見切っている。黒玉をまだ使うつもりなら激突する前に軌道を変えなくてはならない。このまま落下攻撃に使えば地面にぶつかって黒玉自体が壊れかねない。これでは一回きりの攻撃となってしまう。

(最後の大技のつもりか?だがこれに対処すれば奴の攻撃は全て封殺したようなもんだ。ここで終わらせる!)




 見上げなくてはならない程に上昇を続けていた黒玉がようやく動きを止めた。

 そして———


 ギュン


 上昇の速度よりも速く、市丸の投球よりも速く、バッティングセンターで見たことのある最速150キロマシーンよりも速く、真っ直ぐ神原へ向けて落下を始めた。



 これを躱し切れたら勝ちだ。と神原は結論づけた。

 神原は自身の流血を理解していた。どうにか気合いで動けているが段々と体を動かすのに要求されるパワーが増えていっているのを実感していた。

 戦える時間は残り少なく、もしも麦島が間に合わなかったとしたら自分は間違いなく殺されてしまうということを———

 この佳境とも言えるシチュエーション。ここを凌げば……と可能性を感じてしまった。

 期待してしまった。



 だからこそ、油断してしまった。



 操作中の黒玉が遥か上空にあるのなら黒玉を無視して市丸を狙って走り出せば良かったのだ。

 突っ込んで市丸が軌道修正して自分を狙ってきたらそれはそれで急速落下という攻撃を封じ込めることができたはずなのに、『色鬼(カラースナッチ)』の方が速いというこれまでの攻撃パターンによる刷り込み、そして今までと違う攻撃手法により操作物の方に意識が向いてしまっていた。


 静止物は見えない神原であるが、人間は完璧に静止するなんてことは出来ない。

 風が吹けば衣服ははためく。衣服の動きを視界に収められれば場所の特定は容易い。

 動けない以上は逃げられない。逃げればより居場所を伝えることになる。

 これまでは高速で動き続ける物体を躱すために自身も激しく動き回っているせいで衣服や髪の毛の微細な動きが目に入らず、交換のタイミングでのみしか確信を持てなかった。

 だが今は違う。自身を責め立てる物体は自分から離れて空中を昇っていたのだから市丸に集中して目を凝らしていれば居場所は見つけられていたはずだ。



 先程までは市丸と操作物を視界に収める立ち回りをしていたのに、最後の攻撃が来ると身構えて空中の黒玉を見上げたことにより、市丸が視界から外れてしまっていた———




 グサリッ!


「…………」

 急降下する黒玉。このまま立ち尽くしていれば直撃する。あれほどの速度だ。大きく動けば可動範囲の外に出るのは容易だ。

 全速力でその場から離れれば良い。それだけのことだったが……


「ん?」

 ()()()()()の神原は足に違和感を覚えた。

 左足が上手く動かせないのだ。

 一瞬の油断や見逃しも許されない刹那を求められる中で、思わず左足を確認した神原———


「なっ!?」

 全く動かせないわけではない。上手く動かせなくても微動だにしないわけではない。その僅かな左足の動作がシルエットとして神原の目に映った。


 左足のアキレス腱が切れていた。

 シルエットでもぱっくりとひび割れのようなV字が見える。

 そのV字から僅かなツツツと液体が流れる動きが見える……流血だ。


 神原の歩行能力は失われた。

 そして、切られた足に意識が寄っていた神原はまたも判断を見誤った。

 遥か上空にあった黒玉が意識から外れてしまった。動けないのなら体を捩ったりしてどうにかダメージを最小限に抑えようとするべきだったが、左足の確認のために視界から外した。神原が能力を使っていなければ一瞥しただけで足の色をもってしてアキレス腱の切断と判断し、上空の黒玉に備えられていただろう。



 "動いていないモノが見えなくなる"という神原の能力設定が裏目に出た。



 遥か上空にあった黒玉はメキョキョキヨと生物の喉から出すことの出来ない嫌な音を出しながら神原の体にめり込んで行った。

 鈍い音と同時に固いモノが割れたような衝撃が体内から押し寄せた。

 肋骨かどこかの骨が折れたみたいだ。

「っ!?!?」

 体にめり込んだことによって骨だけでなく内臓かどこかを痛めたのか、神原の口から大量の血がプロレスの毒霧が霞んでしまうほどに洪水のように飛び出した。


「ガァァァァ」

 もがき苦しむ声が血と共に口から飛び出す。


 まだ生きている。衝撃で心臓が破裂したり、折れた肋骨が肺に突き刺さったりはしていないようだ。

 しかし最初の黒玉の背中へのめり込みなど比にならない程のダメージが神原に降り注いたことで、動くことは不可能になった。

 もうアキレス腱が云々のダメージではなくなっていた。



 市丸が動いた。人型のシルエットが神原に近付く。

「油断したな。いや、あのシチュエーションなら誰だって油断する。そしてその油断は命取りとなった」

 神原に動きが見られていたとしても神原が襲いかかって来ることはない。

 それは油断ではなく、勝利宣言だ。

「アキレス腱は切れて歩行不可能。そして黒玉で体の内側に深刻なダメージ。…勝負あったな。どうした?さっきまでの威勢の良さはどこに行った?虫の息じゃないか?」

 勝利を確信した市丸は、余裕そうに神原に近付く。神原に表情を読み取ることは出来ないが、声の高さからしてにやけ顔になっているのは容易に想像が付いた。


「は、ははは。確かに、ゆだ….ブァハッ!オェ、油断したから……ハァ、ハァ、まだ……だ…」

 神原は血がブレンドされた咳をしながら答える。

「…辺り一面血まみれだ。この出血量、もう限界だろ」

 近付くことを躊躇ってしまうほどに神原から流れ出た血は多かった。

「ダイレクトに当たったから肋骨も折れてる。下手に動けば肋骨が内臓に刺さって死ぬぞ」

「余計な…….お世話だ。ゴホッ、殺すつもりで来たんだろうがお前は!まだ、俺は…戦える…….」



 神原は能力によって()()()()()()()()()

 腹部のダメージを受けて立ち上がれたのも、ナイフによるアキレス腱切断にすぐ気付かなかったのも、痛覚が0になったためだ。

 今の黒玉の攻撃も、衝撃は食らったが体感はダメージ0だ。だがいくら痛覚を無視したとしても受けたダメージは体に蓄積されている。


 どうにか立ちあがろうとする神原だったが、アキレス腱の切断によって左足は上手く動かせず、さらに体に蓄積された深刻なダメージによって立ち上がれなくなった。

 痛みを感じなくても肉体が限界を迎えていた。


「立つことも出来ないのならもう終わりだ。だがお前は肉体強化能力者だ。完膚なきまでに痛め付けてお前を再起不能にする。お前が避けた分だけ攻撃を加える。麦島が来てももう関係ない」

 後ろを見ても麦島らしき影はない。

「麦島にナイフを避ける術はない。さっきの攻撃の間に仕留め切れなかったお前達の負けだ。鬱憤ばらしだ。じっくり存分に痛ぶってやるよ!!」

 そう言って市丸は神原の腹部に思い切り蹴りを入れた。

「ブェッ」

 ガードも受け身も取れず神原は1mほど吹っ飛ばされた。

 満遍なくやるつもりなのか、ダメージの少ない両腕、顔を中心にくまなく攻撃を加えた。


 能力で体感ダメージは0だが肉体は確実に死に近づいている。



 痛みを伴わない死



 感じることなく訪れようとしている(それ)に、神原は心の中で自嘲した。

(心底———)



 出血は止まることなく、何なら市丸の攻撃で出血点が増加するばかりだ。

 もう、動かない。

 痛覚を無効にしても体を動かすのに必要なエネルギー、動力がどこにもないのだから無理な話だ。


 腕を上げることすら出来なくなっていた———



 ♢♢♢



 神原の体が限界を迎えても殴打は繰り返された。


「あぁ…殺し方を決めないとな。シャッターでお前の四肢を切断して最後に首を落とすけど良いよな?」

 市丸が神原が倒れている場所の最短距離にある店のシャッターに手を伸ばした。

「うわぁ…手が血でベトベトだ。人を(あや)めた奴がずっと手を洗うのはこういう気持ちなのかもな……確かに洗い流したくなる。手を汚すってのは比喩じゃなくて物理的なモノなんだろうな…」

 バゴンッとシャッターが店から引っぺがされた。曲線なくピンと張ったシャッターが高速回転を始めた。


「万が一にも逃げられないように、足から落とす」

 回転シャッターを手のひらから3センチの位置でキープする。

 雑に当てるのではなくピンポイントにシャッターを運ぶために手のひらで位置を調整する。

 シャッター自体の重さと『色鬼(カラースナッチ)』に集中するために歩行速度が遅いのが噛み合って、非常にゆったりと神原に近付くことになった。

 瞼が腫れてシルエットすら見えづらい中で市丸と回転シャッターを確認した。

 最終フェーズに入った。完全に殺しにかかっている。

(足…か……)

 断頭台に登る死刑囚の気分を味わえているのだろうか。

 登るというよりも断頭台側がこちらに近づいて来ているが……


 市丸とシャッターが神原の隣まで来た。市丸はゆっくりとシャッターの照準を神原の右足太腿に合わせる。


 高速回転の音は聞こえるが、何も感じない。

 足元から血が撒き散らされているのに、現在進行形で足が切断されているというのに、何も感じない。

 シャッターは刃物じゃない。屋外に出っ放しの道具による切断は衛生的に心配になるが、切断面の方が気になる。

 おそらく切断面はグチャグチャで、縫合したとしても今後立つことすら困難になるかもしれない。


 ガギンッ

 硬い接触音。

 シャッターと舗装道路同士が当たった。つまりは———



(………)

 左足の足首を動かす。

 ゴゴッと、靴と地面の摩擦の音で足首が動かせていることが確認できた。アキレス腱が切れていても足に電気信号を送っているようだ。


 次に右足の足首を動かす。

 ……………………

 摩擦の音は聞こえない。足の指を曲げようとしても曲がったと実感できない。

 首を捻って実際に右足を見るまでもない。

 神原は自身の右足が切断されたのだと理解した。


「……はっ」

 市丸には聞こえない小さな漏れ。

 それと同時に神原は涙を流した。最後に泣いたのはいつだったか思い出せないくらいに久しぶりに流した涙だった。

 足を失ったショックで涙を流したわけではない。そんなものは神原奈津緒が涙を流す理由としては弱すぎる。

 足を切断されても痛み一つ感じない自身の体に対して………それを作り上げた自身の超能力への悲観の涙であった。


(四肢の一つがなくなったってのに…切り離されたってのに…常人なら絶叫をあげてもおかしくないってのに……何も感じない)

 たぶん切れたのかな?という推測になってしまうほど無味なモノ。


 これが……超能力———






(ざけんな!こんな力!人間としての当たり前を全う出来ない力なんているかよ!俺は…やっぱりバケモンだ。嬉々として足を切断するあいつも、足が切られても平然と出来ちまう俺も、もう人間って枠を超えてる……)



「凄いな神原!足が切れたのに一言も弱音を吐かないとは。これも肉体強化か?なら次は左足にするか?それとも下から順番に輪切りにするのもいいな!……あぁでももう『白』の時間が終わりそうだ。………あっ、なら棘ボールで皮膚を削り取ってやるよ。世の中には刺青を集める人がいるみたいだし、超能力者の皮膚にも価値がつくんじゃねーかぁ?」


 シャッターの操作限界時間が訪れた市丸は赤い棘ボールに触れて『赤』を宣言した。

「曝け出してくれよ」

 棘ボールが神原の顔面の皮膚を削り出す。粗悪な皮剥き機が表面を抉り削っていく。

 プシャップシャッと血や体液が顔から瑞々しい果汁のように溢れ出す。


 ケラケラと市丸が笑っている。初めてのことなのだろう。

 自身でも歯止めが効かないほどにハイになって神原への暴力が止まらない。

 そしてそれを止める術は神原に残っていない。

 顔面の噴水は小規模だが、右足からは感じることは出来ないが今も尚血が流れ続けているはずだ。

 失血死はすぐ近くまで迫っている。


 市丸は止まらず、神原は止められず。

 誰も止められない暴力。



 神原の命の灯火が消え掛かっていた———









 バシャッ


 市丸は突然赤い何かを浴びた。

 神原の返り血ではない。神原の出血は相当なものだが、既に体内の血液が不足し始めている中でこれだけの液体を出すのは不可能だった。

 それに、浴びせられた液体は血ではない独特の鼻につく臭いを放っていた。


「くぁっ、何だこれ!ペンキか?汚ねぇな!誰だ!?」

 右側から掛けられたが、右目にもペンキが掛かって右側の視界が見えなくなっていた。

 ペンキは地面に伏している神原にも浴びせられたが、鼻につくペンキの匂いを嗅いだ神原は自身の口角をほんの少しだけ上に押し上げた。


「……おせぇよ馬鹿が」

 右顔面のペンキを拭って浴びせられた方向を見た市丸。


 そこには、赤い塗料がダラダラと側面に垂れた一斗缶を両腕に抱えた麦島が立っていた。



 ♢♢♢



 西側通りは神原の血と今ぶちまけた赤いペンキで凄惨たる光景になっていた。

 神原の顔面はズタズタで真っ赤に染まっており、神原の右足が神原の体から離れて放置されていた。


「…なっちゃん〜」

 そんな神原の惨い姿を見て、麦島は今にも泣き出しそうで声が震えていた。

 悲しみと怒りが秘められた声だった。


「お前!絶対に許さない!よくもなっちゃんを〜」

 大切な友達が無惨な姿にされているのだ。いくら温厚な麦島でも怒りを隠せていなかった。

「ようやくの帰還か、遅かったな。もう神原は瀕死だよ。不意打ちもせずに姿晒してペンキを浴びせて…何のつもりだよ。お前もすぐ行動不能にしてやるよ」

 市丸は神原に使っていた棘ボールを麦島へと差し向けた。


 当然ながら麦島に棘ボールを回避できるほどの身体能力はない。この土壇場で回避するなんてご都合展開はない。市丸もそれを分かって真っ直ぐ麦島に向けてボールを飛ばしていた。

 麦島にとって棘ボールは初見だ。しかしボールの形状と色から、棘ボールの使用用途とその威力危険性を理解した。

 麦島は慌てて回避行動を取るようなことはせず、先程市丸に浴びせた時に使っていない方の一斗缶を棘ボールに投げつけた。




 市丸は侮っていた。


 せっかくの不意打ちで神原を助けられるチャンスを有効活用せず、よりにもよって()()()()()を浴びせた麦島に。神原の姿を見て冷静さを失っていたのだろうと考えた。

 麦島が両腕に持っていた一斗缶はどちらも赤い塗料が垂れていた。

 中身はどちらも赤い塗料だ。()()()()()()()……と。


 ハイになっていて勝利目前で水ならぬペンキを差された市丸はそう侮り、棘ボールの進行方向を変えることはしなかった。

 棘ボールの威力であれば一斗缶によって軌道を変えられても『色鬼(カラースナッチ)』で元に戻せるし、一斗缶ほどの厚さならぶち抜けると考えたからだ。


 そして、棘ボールと一斗缶が重なりあった。

 棘ボールは一斗缶の薄い銀の装甲を容易く貫いた。


 そのまま麦島に直撃…………………することはなく…………



 ガランボゴゴゴゴゴン

 一斗缶が地面に転がり落ちたと同時に、棘ボールもまた動きが鈍って段々と下降し、麦島に届くことなく地面に転がった。


 予想と違う展開に市丸はギョッとしたが、貫通された一斗缶から流れ出ている液体を見て理解した。

 さっき麦島が赤の一斗缶をぶちまけたこと。両方とも赤い塗料が付着していたこと。






 それら全てが、()()()()()()()()()()()()()()であったということに———




 〜〜〜




 ———神原と麦島が別行動を取る前のこと



「だからそれが出来ないって話だろ?本人に解除してもらうってか?」

「交渉次第だけど〜なっちゃんにコンプ感じてるから難しいよね〜。えっとね〜俺のアイデアは〜、……『色の選択肢をなくして何も操作できなくする』かな〜」

「選択肢?どういう意味だよ?」

「さっきの市丸の説明〜能力に結構制限があるみたいだけど〜、『色』にフォーカスが当たってるよね〜?なっちゃんの『指定した色しか操れない』って発言も肯定してたし〜。ということはさ〜こっからは俺の推測が強くなるけど〜、『物体』を操るよりも『色』を操作してると思うんだよね〜」

 この提起に答えはない。要は能力をどう解釈するかというところになる。


「言いたいことは分かるけど、能力における主軸の違いがなんだってんだよ?」

「つまり~、あのシャッターを()()()にすればいいんだよ〜」

「……あぁ…なるほど…」

『物』ではなくあくまで『色』。『色鬼(カラースナッチ)』と言うくらいだ。

 物体そのものを止めるよりも、能力の発動条件を失わさせることで操作できなくさせるということかと納得した。


「でも、仮に色を変えられたとしても別のシャッターでまた操作すればいいんじゃないのかよ?」

「ん〜、多分だけど色変えたらペナルティみたいな感じで『変えられる前の色』と『変えられた後の色』は操作できないんじゃないかな〜?じゃないと続けて操作できることになるし市丸の言ってた2色以上に抵触すると思う〜。市丸が1個しか操作してこないのはおそらく一度の『色』の指定で1個しか操作できないからじゃないかな〜?」

「…ホントか?」

「俺がいる時に仕掛けてきておいて2個準備しないはないでしょ〜」

 言われてみればそうだ。麦島がいない時も狙えたのに、ドクターの指示で2人でいる時を指定されたと言っていた。

 2人いることを市丸は事前に分かっていたはずだ。


「つまり白色のシャッターを赤くしたら〜白と赤の物体を操作できなくなるってこと〜。あの人が他にどんな色の武器を仕込んでるのか分からないけど〜上手く行けば相手の攻撃手段を…特に1番ヤバそうなシャッターは止められるよ〜。"白"ならペンキで色付ければすぐに変えられるからね〜」

 そのためには色を変えられるペンキのような塗料をこの戦いの間に見つけて来なくてはならない。


「……確かにそれなら動きは止められるかもしれないけどよぉ———」




 〜〜〜




「…はっ、まさかそこまで見破られていたとはな」

 返り血防止のための赤の棘ボールを見てその結論に至るのであれば分かるが、麦島がその推測をしたのは赤玉を出す前だ。

『色』を操る能力という情報からこの推測をし、そのための準備を整えた。

 さらに見破ったことを市丸に悟られないようにするために両方の一斗缶に赤色が入っていると誤認させた。


 赤色の棘ボールは()()塗料入りの一斗缶を通ったことで真っ青になった。

 これにより赤色と青色の物体を操作できなくなった。

 もしももう片方に青い塗料が入っていることが知られていれば一斗缶を貫通させるなんて動きを取らなかった。


「くそっ……ちっ、黒玉もナイフもダメか…」

 すぐに使えるように利き手の右のベルトに携帯していた二つも、もろに赤いペンキを浴びていた。

 これで黒玉 (今は赤玉)とナイフも使えなくなった。


 青い塗料に気付けなかったこと。これは間違いなく市丸の油断だった。

 だが釈然としないこともある。


(…なら最初から青い塗料を掛ければ良かったんじゃないか)

 青い塗料を先に掛けていても赤と青の操作を封じることが出来た。黒玉は青玉になるがそれでも操作できないことに変わりはない。

 いち早く神原を助けようとするのなら、棘ボールの操作を止めるために青色の塗料から掛けるはずだ。

(麦島が赤玉の存在をを知らなかったから?いや、奴は忍んでいて俺の様子をしばらく観察できたはずだ。赤色を操作しているから赤じゃない塗料を掛けようとするはずだ)

 それに青色なのも気になる。神原達にとって最も危険なのは足も切断できる白色のシャッターだ。

 今の色を操作できなくする上でも"赤"は外せないが、シャッターを操れないようにするために"白"のペンキにするべきだ。

 調達できなかった?在庫の問題であれば仕方ないが、青色にしたのには理由があるのではないかと市丸は勘繰っていた。


「だが!」

 白のペンキを浴びせなかったということは、"白"を『色鬼(カラースナッチ)』で操ることが出来る。

 市丸はこの場で()()操作可能な白色のシャッターに手を伸ばす。先程神原の足の切断に利用したシャッターが手を伸ばせば届く位置に置いてある。


 しかし———



「なっ!?」

 地面に寝かしていたシャッターの上に神原が覆い被さっていた。

「何してんだ!邪魔だ!」

 神原を思い切り蹴飛ばしてシャッターに触れようとするが、市丸の手の動きが止まった。



「『その色が物体の大多数を占めていなければ操作できない』…だったっけか。お前が逡巡してる間に、たっぷりコーティングしてやったぞ」

 白色だったシャッター。麦島の2色のペンキでも汚されていなかったシャッターが、神原の血液によって赤く変色していた。


 神原は麦島と市丸が対峙して、市丸が青いペンキに考えを巡らせている隙に、シャッターまで這い寄り自身の血を満遍なくシャッターに付着させたのだ。

 右足は切断され左足はアキレス腱を切られたボロボロの体に鞭を打ち、超能力により静止物が見えない中で最後にシャッターが動いていた場所を思い出し、腕だけの力で体を引き摺るように動かしながら神原はやり遂げたのだ。


「お前の『色鬼(カラースナッチ)』で操作できるモノはもう何もない〜。尻尾巻いて逃げるなら今のうちだぞ〜!」

 麦島が宣言する。手持ちの武器は赤いペンキによって使えない。シャッターも神原によって赤くさせられた。


(くそっ、麦島に踊らされた。能力の制約を見破り能力を封じ込めたのは評価せざるを得ないな。超能力なしでも戦えてる…。()()()()()()よりも成果を出せていて悔しいな。…だが、まだ終わってない。神原も麦島(おまえ)を殺して、ドクターに認めてもらうのは俺達だ!)


「逃げる?操作できるモノがないだと?この寂れた通りにどれだけシャッターがあると思ってんだ。ここにはまだ腐るほどあるんだよ!」

 市丸には"白"がある。それさえ使えばこの状況を逆転できる。シャッターに触れさえすれば勝ち。


 市丸は目に入ったシャッターを目掛けて走り出した。

 麦島は市丸のその行動を()()していたのか、動き出しが早かった。

 ずっと神原と戦闘を続けていた市丸と、途中で栄養補給をした麦島。片や職業不定。片や太っていても現役の高校生。

 市丸がシャッターに到達するよりも早く麦島は市丸に飛びかかって動きを阻止した。

 2人が地面にうつ伏せになって倒れる。

 倒れた時の勢いで市丸が携帯していたナイフや赤く染まった黒玉がズボンの固定から外れて地面にばら撒かれた。


「くそっ、離せ畜生!」

「嫌だ〜!絶対に触らせない〜!」

 体の大きさからして腕力は麦島が圧倒的に有利。市丸は麦島の拘束から逃れることが出来ず、地面に伏せられたままだった。

 市丸と指先とシャッターまでの距離は10センチほどしかない。

 麦島もなるだけシャッターから引き離したいが、今の状態をキープするので精一杯で、とても通りの中央まで引き摺り込むことが出来ずにいた。



 コロコロコロコロ……



 赤く染まった黒玉はコロコロと地面を転がり続け、玉は神原のところまで転がっていった。

「はぁ、はぁ…」

 痛みはなくても呼吸がしづらくなってきた。さっき腹を蹴られたのが響いている。

 神原は呼吸に苦しみながらも、転がって来た玉を掴み取った。

「はぁ、はぁ…」

 大きめの白いモノがモゾモゾと動いているように見える。2人が争っている。

 そんな2人の元へ、神原は再び腕の力だけで進み出した。

 地面に引きずられることになる。制服はボロボロで地面と皮膚が接触しているが、今も神原には痛覚がないので、自分の肉体が舗装道路(荒めのヤスリ)で削られていることにも気付いていなかった。


 神原の真っ赤な軌跡が西側通りにマーキングを施していた。


 数十秒かけて、神原は麦島達のところに到着した。

「…なっちゃん〜、もう動いちゃダメだよ〜死んじゃうって〜」

 見えてなくても分かる。相当の血が流れている。もう神原は限界もギリギリだった。いつ失血で意識が飛んでもおかしくない状況だ。

 麦島は痛々しくて見てられなかった。神原の真っ赤じゃないところは髪の毛くらいしか見つからないくらい血とペンキに塗れているからだ。


「大丈夫だ。それよりお前は市丸を押さえつけろ。絶対にシャッターに触れさせるな。今から市丸(こいつ)にトドメを刺す」

 麦島は止めるので精一杯。であれば最後を締めるのは神原しかいない。

「……殺しちゃうの〜?」

「んなことしねーよ。こいつにはドクターっていう俺に超能力を勝手に与えたクソ野郎のことを聞き出さなきゃならないからな…」

 10年前から探している白衣の男の手掛かりを持っているかもしれない男だ。絶対に逃すわけにはいかない。


「麦島、奴の口はどこにある?奴の体を揺らして場所を教えろ。今の俺は動いてないモノが見えない」

「見えない…いや、口だね〜ちょっと待って〜」

 見えない理由を聞いてる暇はない。さっき聞いた神原の超能力によるモノによる効果であれば戦いが終わった後で聞けばいい話。まずは神原の注文(オーダー)に応える。


「ふんっ」

 麦島は拘束した状態で自身と市丸の体を激しく揺らした。

 “動いていないモノが見えない”の程度が分からない麦島は丁寧に説明を付け加えた。

「見えた〜?なっちゃんから見て左の頭が俺で右が市丸だよ〜。でも市丸今うつ伏せに倒れてるから体を仰向けにしないと口が見えないかも〜」

 麦島には神原が自分達がどう映っているか全く分かっていないが、シルエットの前後も分からない神原にとっては重要な情報となった。


「助かる、ありがとう」

 神原はギリギリの力でどうにか市丸の口の位置が見えるところまで移動した。

 麦島も神原を補助するために市丸の首を固定して顔の向きを変えられないようにした。


「くそっ、後数センチなのに!」

 麦島が抑え込んでいるが、ピッタリ動きを止めているわけではない。首を固定させるために腕を動かした僅かな間にシャッターに近づいたようだ。

「どうするつもりだよ!殴って気絶させるのか?無理だろうなその身体(からだ)じゃ!」

「だな。力込めるために踏ん張る足がないしもう俺にそんな体力もない。気絶させる前に俺が力尽きる。だが、気絶させる方法は何も殴るだけじゃねーよな」

「…じゃ、じゃあどうすんだよ」

 神原に出来やしないと余裕を秘めながらも、神原が何をしでかすか分からない疑念が入った声だった。


「こうするんだよ!!」

 神原は先程手に入れた黒玉を、市丸の口の中に突っ込んだ。


「モガガガモガガ!モガガ!(何してやがる!止めろ!)」

 黒玉を吐き出そうともがく市丸だが、体も首も固定されているため抵抗できない。

 神原の腕に市丸の歯が食い込んでいても、痛みを感じない神原にはノーダメージだ。

 神原は躊躇うことなく黒玉を喉の奥へ奥へと押し込んでいく。


「ンガ!フガガモヌガガガモガモガブゴゴゴヌガブゴガブガガ!(待て!そんな大きさのボールを飲み込めるわけないだろう!)」

「大丈夫だ…超能力者だろ?オラッ!」



 ——ゴクン


 大きな物を飲み込んだ時の音。普通の食事でも聞くことのないデシベルだった。

 市丸の首に大きなコブが出来上がってしまった。馬鹿でかい喉仏と言えば何人かは信じてしまうかもしれない。

 麦島が首を固定しているせいで食道を通って行かず、完璧に気管を塞いでしまった。

 空気の通り道を圧迫してしまっているので、呼吸ができない。

 段々と市丸の顔が真っ赤になっていく。首を掻きむしって吐き出そうと試みるが、その腕は麦島と神原によって封じられていてどうすることも出来ない。


 市丸は呼吸が出来ず、体を激しく痙攣させながらもがき苦しんでいた。



 ———



 しばらくして、市丸は泡を吹いて、白目をむき出しにしながら気絶してしまった。



 ♢♢♢



「…おい、どうなった?」

 目の見えない神原が麦島に確認を取る。

「えっ?うん〜気絶したよ〜。でもこのままだと死んじゃうかもよ〜…」

 市丸への拘束を解く2人。麦島も神原の血が付いて酷い状態だったが、それよりも無惨になった市丸の喉仏に引いていた。

 単純に首を絞めたのならともかく、異物で気管を塞ぐなんて考えついても普通は実践できない。

 首を絞める力がなく、普通の思考回路を持っていない神原だけの芸当だ。


「お前が首の下から突き上げるように殴れば逆流して吐き出すだろ。俺は能力を解除するからやっといてくれ」

 そう言って神原は目を閉じて能力解除を始めた。痛覚無効はそのままに視界の変化だけを解除しなきゃいけない。心を無にしてコントロールする……


 その間、麦島は神原の指示通りに市丸の首を殴った。一発で成功せず、5回目にしてようやく市丸が黒玉を吐き出した。

 吐き出したが市丸は目を覚まさなかった。一応心音を確かめたが拍動が聞こえたので気絶しているだけのようだ。


「うわ〜。制服が汚れちゃったな〜。母さんになんて説明しよう〜…」

 一緒に拘束したので神原の血もついたが、市丸にも接触したので彼が浴びたペンキが素肌にもべっとりと着いてしまった。

「そんぐらいでガタガタ言うな。うぅ、気持ち悪い……」

 どうにか痛覚遮断は残すように解除したが、副作用はそのままで相変わらず予後が最低な能力だ。


「にしても麦島、よく塗装屋の場所を短時間で見つけられたな。いや、それもだけど…よく塗装屋の一斗缶を2つも拝借できたな?」

 この商店街にあったこと自体も相当の運要素があったが、店の場所の特定と塗料を借りてここまで運搬するとなると、結構な時間がかかるはずだ。

 正直言って、麦島は間に合わないと思っていたくらいだ。

 どうやって見つけたのか、純粋に気になった。


「あ〜、…実はね〜。塗装屋さんね〜……そこなんだよ〜」

 麦島が指差したのはシャッターが付いていない店、最初に市丸がシャッターを引き剥がした店だった。

『乾塗装店』と書かれた、丸見えになった店内にある看板が見えた。

 つまり、市丸は自ら最大の弱点を神原達に提供したということになる。


「……はっ、結局全部運勝ちかよ」

 市丸(あいつ)がシャッターを剥がしていなかったら、麦島は店の中に入れず塗料入りの一斗缶を盗み出すことが出来なかった。

色鬼(カラースナッチ)』の攻略も、麦島の対策3のおかげ。短時間で準備できたのも麦島のおかげだ。

「…全然ダメだな」

 麦島や運に頼って掴んだ勝利を果たして勝利と言えるだろうか?

 無力感に苛まれている様子を見て麦島がフォローに入った。


「そんなことないよ〜。何十分も市丸(あの人)の攻撃に耐え続けただけでも凄いんだよ〜俺には絶対に出来なかったことだよ〜」

 役割が逆だったら、市丸に勝てていなかった。

 神原でも一斗缶までは辿り着いたであろうが、麦島が10分以上も『色鬼(カラースナッチ)』を避け続けることは不可能だ。

 あれは神原の超能力が必須の攻略だった。それを麦島は分かっていた。


「なっちゃんの()()()()()()()()も十分凄いよ〜」



 〜〜〜



 ———数十分前


「そもそもさ〜、なっちゃんの超能力って何なの〜?分からないと俺攻略の糸口掴めそうにないんだけど〜」

「俺のか?そうか、さっき超能力を知ったんだから知るわけないか。俺の能力はー、『俺自身に都合の悪い暗示をかける能力』だよ」

「都合の……悪い〜?」

 都合の良いではなく都合の悪い暗示。プラスの要素ではなくマイナスの要素しかない説明だ。

色鬼(カラースナッチ)』と全然違いすぎる。というかそれは超能力なのかも疑わしい。


「……それ…凄い…の〜?」

「不便極まりないクソ能力だよ」



 〜〜〜



「不便な能力で殺さずに倒しんだから十分凄い〜、しかも足がない状態で〜凄いよ〜」

「凄い凄いうるせーよ。お前がいなかったら俺は殺されてた。…だからまぁ、感謝してる。両方凄い、これが完答だ」

 そうかな〜と麦島は嬉しそうだ。柄にもないことを言ったが褒め殺しされるよりはダメージは浅い。


「でもなっちゃん〜、早く病院に行かないと〜!出血が多過ぎる〜。足だって〜急げばすぐ結合できるかもしれないよ〜」

 視界を取り戻したことで、ようやく凄惨な光景を見ることが出来た。

 一面真っ赤っかでレッドカーペットかと見間違えてしまいそうだ。切断された足もある。

 さっきまで体にくっついていたモノが体の外にある。不思議な気分だ。あの足が自分のだと思うと愛着に近いモノが込み上げてくる。


「無理だ。シャッターで切ったんだ。断面はズタズタだし衛生的にも良くねーだろ。血が巡ってないんだから細胞の壊死、ペンキや屋外のチリゴミも混ざって化膿や感染症も起こり得る」

「そんな〜…」

 おそらく足は再起不能だ。自分の能力で足を治すことも出来ない。せいぜいが足を失ったことによる自棄を抑えるために心を押し殺すくらいだ。


「そんな顔をするな。右足だけで済んでよかった。お前がもっと遅れてたら達磨にされて首を落とされて終わりだったからな」

「うぅ…、もっと早く準備できてれば〜」

「いいんだ。お前が逃げ出さなかっただけで十分だ。……ただ、飯を食うのはどうかと思うがな」

 ビクリと麦島の体が震えた。

「えっ〜?何のことかな〜?」

「口の周りに揚げ衣が付いてるぞ。コロッケかメンチカツでも摘み食いしたか?」

「いや〜、違うからね〜。情報提供者の準備が整うまでの待ち時間に英気を養ってただけだからね〜。呑気に休憩しながら探してたわけじゃないからね〜」

 麦島が必死に弁明するが、体型と合わさるとどうにも嘘臭く聞こえてくる。

 神原も麦島がそんなことするわけないと当然分かっている。ただの揶揄いだ。


「そ、それよりも〜、すぐ救急車呼ぶからね〜」

 麦島が神原から離れる。

 スマホはカバンの中にあり、戦闘の邪魔になるから通りの脇に投げ捨てておいたのだ。

 神原のカバンもそこにあって、血やペンキで汚れていないようだった。



「………ふぅ、疲れた」

 話し相手がいなくなったことで体が急激に重くなってきた。

 もうそろそろ意識を保てなくなる。まだ止血は出来ておらず現在進行形で神原の体からは血が流れている。

 段々と寒気がしてきた。

「ははっ、いよいよ危なくなってきたな」


「も、もしもし〜、足のない怪我人がいるんです〜。救急車を、お願いします〜!場所は館舟商店街の西側通り———」

 麦島が救急車を呼んでくれている。10分くらいで来るだろうか。

(でも…通報を受けた救急隊員が見たらゾッとするだろうな…)

 一面が赤一色で片足のない子供が倒れているなんて、トラウマを与えてしまいそうだ。

(見慣れてるから平気か?俺だったら確実に吐くn)


 バヂィィィィィ




 ドサッ




 何かが炸裂したような音と、何かが倒れ込んだ音が聞こえた。

 カバンがある方からだ。








 カバンの横にデカい図体……麦島だ。麦島が何故か地面に倒れていた。

 そしてその隣にいるのは………………()()()()()()

 右手に警察官が持つ警棒のような細長い形状の物を持っている。さっきのバヂィィィィィという音…電撃の音からして……スタンガンのようだ。


 スタンガンで麦島を昏倒させた白衣の男が神原に近づいた———






「神原奈津緒君、久し振りだね」

 声は男性。30代半ばくらいだろうか?夕日のせいで顔をはっきりと見ることが出来ない。

 このタイミングでの登場。白衣を纏っている。

 そして何より、自分の名前を知っていてこの凄惨な現場に慌てる様子も全くない。

 これだけの情報があれば答えは自ずと導き出せる。


「10年を久し振りって言うのは爺さん婆さんくらいのもんだ。お前が市丸が言ってたドクターだな?」

「いかにも。10年前のことを覚えてるようだな」

「白衣を着たクソ野郎によって超能力者にされたってことだけ!はっきり覚えてるよ」

「剥き出しだね。それでどうだい超能力は?君は全然能力を使っていないと聞いていたからね…心配してたんだ。市丸君を倒せたんだから、最低限扱えてるようだね」

「倒したのは親友のおかげだよ。…お前、麦島に何をした!」

 神原が怒りの感情を剥き出しで訊ねた。


「これのことか?」

 ドクターはスタンガンと思しき棒を神原に近づけて見せつけた。


「これは特殊な電気が流れる代物だ。これを脳に浴びせると脳が異常活性する。そうすることで人間の能力を超えた力を行使できるようになる。能力を超えた力…奈津緒君も既に持っている『()()()』だ。これは、超能力者を生み出す道具だ」

「超能力者…….てことはテメェ!」

 神原が気付いた。


「その通り。彼は超能力者になった。いや、これから成ると言った方がいいかな。目が覚めたら誕生だ。どんな能力かは()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()から、私には分からないがね」

 つまりは自分もかつて特殊な電気を浴びせられたということになる。

 ドクターが黒い棒を懐に収めた。


「市丸君との戦いは見させてもらった。超能力を持たない一般人でありながら市丸君の『色鬼(カラースナッチ)』を封じる大活躍。()()()()()は文句なしの合格だ。お礼として、君と同じ力を与えたんだが……不満だったかな?」

「ふざけんなよ!市丸(そいつ)が言ってたぞ。お前の計画のための駒にするつもりだろ!そんなことさせねーぞ!協力なんてするもんか!」

「……やれやれ、市丸君ももっと上手に交渉して欲しいね。敵意剥き出しじゃないか」

「お前がこんな力を与えなきゃ俺は平和に暮らせてたんだ。元に戻せ!」

「残念ながら不可能だ。事例がないし脳の活性をなくすなんて下手したら脳がダメになってしまう。幸い君はある程度使えてるじゃないか。肉体強化……の中で痛覚無効と動体視力の強化…零君の話だとまだありそうだな…。私の能力よりも十分な性能をしているよ」

(こいつも…….超能力者か…)

 超能力者を作れるのなら自分もなっているはずだ。自分に試さない奴はいない。


「私の力は制御不能でね。勝手に能力が発動する……おっと、無理はするな。君と戦いに来たんじゃない。市丸君の回収とそこの彼へのプレゼントに来たんだ」

 立ちあがろうとした神原をドクターが止めた。そもそももう神原は立てないが地面に伏したままでは戦えない。それでも、全ての元凶相手には立てなくても立たなくてはならない。


「さっきも言ったよな?お前の計画なんぞに協力しない!お前をぶっ倒してそのくだらん道具(もん)は破壊する!」

 協力への拒否宣言。だがドクターは嬉しそうな、それでいて寂しそうな表情をしていた。顔は見えないが逆光からは薄っすらとそう見えた。


「やるべきことは終わったから今回は帰るよ。近い内に会うかもしれないな。また会おう。私の希望達よ」

 ドクターは倒れていた市丸を担ぎ上げるとその場を去っていった。

「待てっ!逃がすかよ!」

 匍匐前進でも何でもいいからドクターを追いかけようとしたが、腕に力が入らなかった。能力を解除したはずなのに視界がだんだんとボヤけていく。

(くそっ!せっかく辿り着いたのに!もう…限界だ……。白衣の野郎……覚えてろよぉ。必ずお前をぶん殴ってやる!!!)


 そう心に誓うと、神原はその場に倒れ伏した———



 ♢♢♢



 白衣の男ことドクターは、アジトに戻って来た。

「ドクター、おかえりなさい。どうでしたか?神原奈津緒は?」

 鬼束零がドクターに尋ねた。


「あぁ、合格だ。まだ青さはあるが十分な可能性を秘めている。…盛大に嫌われてしまったがね……」


「私が行けば良かったんじゃないの?私女の子だし」

 この前の時にはいなかった小学校高学年くらいの女子が発言した。

「時雨ちゃん…。君の能力は『瞬間移動(テレポート)』だろう?どうやって神原奈津緒と戦うつもりなんだい?」

「えー?標高の高い山に置き去りにしたりとか移動できる場所にいっぱい包丁の山を作っておくとかすれば倒せるでしょ」

「……時雨ちゃんはそんな危ないことをしなくていいんだよ。俺達を運んでくれるだけで十分戦いに参加してるよ」

 零が時雨を宥める。

 子供ながらのあどけない表情だが、言っていることは相当危ない。



 彼女…萩原(はぎわら)時雨(しぐれ)も鬼束らと同じでドクターの仲間である。

 彼女もまた超能力を持っており、ドクターの計画のために協力している。


 彼女の能力は『瞬間移動(テレポート)』。自身や自身が触れた物体を別の場所に移動させることが出来る。

 ドクターが館舟商店街からここまで一瞬で戻って来られたのも彼女の能力によるものだ。



「他の2人もそろそろかな?」

「そうですね。神原奈津緒よりも先に行かせているので交渉に失敗して戦っていたとしてももう終わっているかと」

「おそらく奈津緒君のように交渉は失敗するだろうね。むしろ成功されると困る。()()()()()()()()()()()のが目的なんだからな」

 本当の目的は3人には伏せられている。兄として騙しているのは罪悪感があるが、ドクターの目的のためには必要なことだ。


「時雨君、二人を迎えに行ってくれないか?」

「任せてー。じゃあまずは丹愛(にえい)のところに行ってくるねー」

 そう言って時雨が少しじっとしていると、一瞬で姿が消えていなくなった。



「ドクター。ドクターが担いでいるのは…市丸ですか?」

 優先度を考えて後回しにしていたが、やはりこれが気になった。

「あぁ、奈津緒君と彼の親友の麦島君にやられたよ」

「麦島…」

 能力で見ていたから分かる。神原とずっと一緒に行動している大柄の温厚な男子。

 彼が戦っているのも想像付かないが、それよりも市丸が真っ赤だった。

「手当を…」

「大丈夫。全部奈津緒君の返り血やペンキによるものだ。市丸君は気絶しているだけだ」

「そうですか…。ドクター、私が持ちますよ」

 ドクターの白衣をこれ以上汚さないために市丸を引き取ることにした。

 近くの大きめのタオルを床に敷いて市丸を寝かせた。

 ベッドで休ませたいがベッドが汚れてしまうため、まずは体の汚れを落とすことを優先した。

 ペンキの独特な臭いが鼻を敏感にする。


「うっ…血とペンキでグチャグチャですね」

「あぁ、激しい戦いだったよ。2人はよく戦った。もっと成長すれば優秀な超能力者になるだろう」

 ()()()()を使ってでも麦島を超能力者にする話は事前にドクターから聞いていた。


「…随分と、嬉しそうですね」

「あぁ、彼らが味方になってくれたら()()()()に勝てるかもしれないからな」

「確かに……この前も逃げるばかりでろくに戦えませんでした」

「零君は戦闘向きじゃないから仕方ないさ。ただまぁ、逃げてばかりじゃ奴らには勝てないのはその通りだよ……」


 ドクターは10年前のあの日の出来事を思い返していた。

 あの場所で、いるはずのない3人に何を考えて力を与えたのだろうか?

 切羽詰まっていたとは言え、何故彼らに期待したのか。今となっては思い出せない。連れて逃げるので精一杯であの時のことは覚えていない。

 本当の火事場で命の危機に瀕していたことで思考回路が壊れていたのだろう。


 あんな年端も行かない子供達に、自分と共に、自分の代わりに成し遂げらえると運命を賭けてしまったのだろうか———



 ♢♢♢



 ———館舟商店街 西側通り


 ドクターと市丸が去り、気絶している2人だけとなった空間に1人の女性がやって来た。



「…()()()に言われて来たけど……、うわぁ(むご)いわね。一面真っ赤…足の踏み場もない…」

 目的の人物である神原奈津緒が通りに倒れていた。もう1人は知らないが、彼の友人だろうか。

 そして神原の切断された足を観察する。


「…断面がグチャグチャ。切れ味の悪い刃物でも使われたのかしら?私が駆り出されたのはそういうわけね。全く人使いが荒い……。それにしても、お嬢様はどうしてこんな意味不明な男を気にかけているのかしら?」

 あの頼み方は見知らぬ人を助けるような言い振りではなかった。()()()()()みたいだが、超能力者であることしか知らされていない彼女にはこれ以上推理しようもなかった。


 彼女は切断された足を加齢臭の父親のワイシャツのように気持ち悪がりながら拾い上げて、神原の切断された太腿部にピッタリ合うようにした。


「これくらいの我儘なら可愛いもんね。詮索せずにさっさと回復させましょう……」

 女は両の手を切断部に近づけた———



「…『治癒活性(フィールフェルト)』」


 彼女の手から緑色の波動のようなものが出た。その波動がじんわりと切断部へと伝播していった。

 しばらくすると波動を浴びた断面がウヨウヨと波打ち出した。

 両断面にある細胞が活性化し、まるで共鳴し合っているようだった。


 骨、神経、血管、筋肉、皮膚。互いが手を繋ぐかのように絡み合ってくっついていった。


 ……しばらくして二つの断面はピッタリ結合し、傷口は完璧に塞がれた。

 切断された制服のズボンがパタパタと揺れていた。半分長ズボン、半分ショートパンツと何とも最先端を行くファッションになっていた。

 女性は一段落ついて額の汗を拭った。


「ふぅ、治療完了。これで後遺症もなく走れるようになったわよ……って、気絶してるから聞こえないか…。うぇ…足以外もズタズタ」

 足だけかと思ったら全身ボロボロの神原。休むことなく女は治療を再開した。

 左足のアキレス腱と腹部、そして顔面の治療を行なった。

 目立つところは大方治療し、友達らしき男の容態を確認しようとしたところ、救急車のサイレンが聞こえてきた。


「そこの彼が呼んだのかしら?血を流してるようにも見えないから大丈夫そうね。神原奈津緒の治療が出来たんなら十分でしょ。たぶん私が来なかったら死んでたわよ。私とお嬢様に感謝しなさいな。またね、坊や達。次会う時は敵としてかもね……」

 女は中央広場へ向けて歩き出した。


「…お嬢様にケーキでも買って帰ろうかしら?」

 仕事を終えてルンルンと気分を躍らせながら、商店街の中へ消えていった———

作中で描写されなかったので補足します


麦島が白いペンキでなく青いペンキを使った理由は、白いペンキを使って市丸からシャッターという手札を奪った場合、市丸がその場から逃走してしまうことを危惧したからです

神原が市丸から情報を聞き出そうとしている中で逃げられることが1番避けなければならないことでした

"白"という手札を敢えて残し、「逃げる」という単語を使って市丸を煽って逃走の選択肢を取りづらくさせる

青にすることで思考にノイズを入れることまでは考えていませんでしたが、結果的に神原がシャッターの色を血で塗り替える時間を稼げたのでこれは2人の連携プレイと言っていいでしょう



さて、次回はいよいよ第一章の最終回

神原奈津緒の能力名が判明します

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ