第106話 府中動乱㉒
「ちっ、良いの入った」
牧村は自身の顎のあたりを摩る。
脳を揺すられなかったのは幸運か…
「お前も業君の仲間だな」
「業君?」
「…多分、ドクターのことだよ零兄」
名前も知らなかったが業と言うらしい。
「なるほど、間違いなくドクターの敵だな。『頭上注意』」
「!?俺の能力を知っている?」
(業君が教えた?だが業君はあの人以外死んでいると思っているはず。見知った『超能力』を彼らに全て教えたか…)
「……はっ、能力を知られたとしても一度発動すれば隕石は止められない。もうすぐここに隕石が落ちる。そこのボロ雑巾を回収してトンズラするんだな」
「そうはいかない。お前は仲間のところに合流するはずだ。何より破壊規模のデカすぎるお前を野放しには出来ない」
零の後ろにズラッと人間が並ぶ。
神岐の『認識誘導』で操られている催眠人間達だ。
(業君の仲間とcomcomの手下。手を組んだか。これは、俺が危惧した数の暴力で押し潰される対面)
挟み撃ち、数、質。圧倒的不利な局面。
しかも隕石は落下中。
ここで時間を無駄にすればcomcomがこっちに来るかもしれない。
(一糸乱れぬ足並み。comcomによって身体能力は向上している。走って逃げても追いつかれる)
隕石は後2つ落とすことが出来る。
空気砲も健在だ。
(この男も『超能力者』だろう。丹愛って言われた奴はボロボロだから挟み撃ちと言えど突破は出来るか…)
♢♢♢
ガガッ
遠くて音は聞こえない。しかし甲州街道を監視している雪走は突如現れた謎の男を確認した。
「はっ、グルッと一周してむざむざ姿を現すなんてな。涙の代わりにサイドミラーをくれてやるよ」
市丸を動けなくしてから周辺の車のサイドミラーを回収して投擲出来るように準備を進めていた。
サイドミラーを掴んで投球モーションに入る。
狙いを付けるために『我が道を行く』で敵の姿を確認した雪走だったが…
「!?」
市丸から見たら雪走が投球モーションの途中で静止したように見えた。
「……『超常の扉』。それが…」
(あの形状、昔のと色は違えど『超常の扉』だ。こいつとの交換条件のつもりか?確かに1個でも回収出来ればこっちの勝ちだが…、近くに業君がいるのか…)
(『超常の扉』って『超能力者』を作る棒だよな。ドクターはいないのに何で実録が持っているんだ?)
2人とも突然の『超常の扉』に困惑している。
雪走の投球モーションが解除される。
実録は徒歩で雪走に近付いて行く。
(サイドミラーを投げて『超常の扉』を盾にされたら破壊しちまうな。ちっ、あいつを攻撃できないしこのタイミングで見せてきた理由には裏がある!)
切り札を出されたことで雪走は行動を制限された。
市丸は察した。
(そうか、敵の目的は『超常の扉』だから『超常の扉』をちらつかせれば奴をある程度コントロール出来る。だが、あれはおそらく『超常の扉』じゃない。実録が戦った女が持ってたのか?こいつの反応的にあの女とこの男に繋がりはないみたいだ……ん?でも……)
そうなるとあの時について疑問が出てくることになる。
♢♢♢
(これ使うとメンテが必要になるけど…)
もっと機械が大きければそれだけ大きい威力を出せるが、右腕に装着出来る大きさであれば威力は小さい。
「……はっ」
牧村は空気砲を装着している右腕を零のいる後方へと向ける。
「!?散開!」
右腕を向けられたのと同時に零が命令して周囲にいる人間が展開されて行く。
(分散させてきたか。咄嗟の判断力は素晴らしいな)
分散されてなおかつ距離があるため威力は出ない。
しかし目的は攻撃ではない。
ただ後ろに向けて放出するのが目的だ。
零は命令と同時に牧村に近付いたが、零に標準を合わせずただ真後ろに向けている牧村に違和感を感じた。
(強風にしたってこれだけ広がれば吹き飛ばされないだろう。……吹き飛ばす?)
「!そうk」
ブゴォォォォォォォォォォォォォォン
強烈な風圧によって周囲に砂埃が舞う。
『認識誘導』で強化されていても砂によって涙で目が滲めば視界は悪くなる。
「ゴヘッ、ゴホッ」
零、丹愛だけでなく催眠人間も目が滲み、呼吸器官に砂が入って咳き込んだ。
「ゴホッ、零、兄。奴は!」
「……空気砲で、自身を吹っ飛ばしやがった」
「追わないと。ギッ」
体を動かそうとした丹愛であったが食い込んだ石がさらにめり込んでしまい苦痛で顔を歪む。
「…無理をするな。こいつらに運んでもらえばいい」
「……零兄、そいつら、神岐の『認識誘導』だよね?何で神岐と……」
「事情が変わった。既に時雨ちゃんはドクターと合流済みだ」
「ホントに!良かった…」
「時雨ちゃんはドクターに任せて俺達はあいつらを止める。そのための共同戦線だ」
(神岐が…、結局当初の方針に戻ったのか)
当初の方針では、神岐が鬼束達に協力する代わりにドクターと面会する。
神岐が逆探知したせいで神岐から逃げて今の惨状になっている。これではこちらが逃げなければもっとスムーズに事が運んだのではないかとも思ってしまう。
「…丹愛が気にする事じゃない。指示を出した俺の責任だ。今は神岐がいなければ奴らは止められない。奴に協力するんだ」
「分かった」
「おい、丹愛を頼んだ」
零は近くにいた催眠人間に命令すると催眠人間は小さく頷くと丹愛を意図も容易く持ち上げた。
「…俺一応体重あると思うんだけどな」
「それは同感だ。『認識誘導』は何でもありだな。よく神岐相手に戦えたもんだ」
「向こうのハンデありきだったけどな。そんで、神岐が零兄と手を組んだって事は……」
「あぁ、向こうからいなくなってくれて逆に助かった。これで発動条件は満たした。おい!お前のスマホを貸せ!神岐に連絡する!」
♢♢♢
ガザガザガザガザガザ
道路に捨てられたブルーシートを回収する。
姿を晒した事で堂々とブツを回収出来るようになった。布団は大き過ぎて持ち運べないので諦めることにした。
(さて、大事にしろってのは使い道があるからってことなんだろうが…、正直ここからどうしよう)
実録の『超能力』は触れた相手を固定する『氷鬼』。サイドミラーをぶん投げる敵に近付いて、さらに触れる事は出来るのだろうか。
(単体では無理だが、市丸兄がいる。どうにか市丸兄を助けて1vs2に持って行きたいけど)
2人は対面する。
「よう、『超能力者』。それ、『超常の扉』だな?」
「…あんたが雪走か」
「…へぇ、俺のことを知ってんだな。業君から聞いたのか?」
「……」
実録は何も答えない。
「兄弟でおんなじことすんだな。やっぱ血の繋がりってすげえな。んで、姿を見せて『超常の扉』を見せたんだ。物々交換をするつもりなんだろ?」
「…兄を渡せ」
「渡せか…、んぉーん。残念だけど俺の仕事は業君を殺す事まで含まれてんだ。業君をここに連れて来い。そうすればこいつは返してやる」
足で市丸の顔を蹴飛ばす雪走。
「さっきまで持ってなかったはずだ。近くにいるんだろ?ほら、呼べよ。助けて〜って言えば優しいあいつは絶対に来るはずだ」
市丸の頭をぐりぐりと動かす雪走。
兄がいいようにされて内心ブチギレの実録だったが、ここで怒りに身を任せれば作戦は失敗する。
「こっちが先だ。でなきゃこれは破壊する」
「ちっ…」
(やっぱり『超常の扉』が最優先みたいだな)
『超常の扉』を使って上手く立ち回る算段だったが…
「…いーや、そんな最重要アイテムを雑兵に渡すわけがない。もしかして『超常の扉』は複数個あるな?んぉーん、壊してみろよそれ。そんな見え見えの魂胆で俺をどうこうしようなんざ1000年ははえーな」
(本物でありこの1個しかなければ月董に怒られそうだが、業君は近くにいるんだ。奴自身から作り方を聞き出せれば良い。研究所の設備がなくても設計図と時間があれば作れる事を業君が既に証明している)
「………」
実録が固まった。
(やっぱり壊すのはハッタリか?)
「……はっ、ハッタリか。いやー、無駄骨無駄骨」
(1個だけか。か、決断力がないだけ…)
雪走は爪先で市丸の穴の空いた肩を思い切り蹴飛ばす。
「がぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!?」
「市丸兄!」
「さっさと渡せ。じゃないとお兄ちゃんの穴が広がるぞほれほれぇ」
肩を庇う市丸だったが雪走は遠慮せずに攻撃を止めない?
「…やめろ」
「ほほほいほい」
「やめろ!」
「肩ピアス作ろうぜ!」
「やめろーーーーーー」
「魚焼く時に棒を刺すみたいによ……ん?」
『我が道を行く』で感覚を鋭敏にしていた雪走は気付いた。
「視線、人。俺をずっと見ていた奴…ではない」
『超能力者』を見つける前から感じていた視線。
「…増えてる?いや、凄いスピードで来る!」
(どういうことだ?『超常の扉』の生産ペースで鑑みるに業君グループは少数って結論だったが…、業君自身が人間操作の『超能力』を持っている?いや、人間の操作能力者ってことは…)
「鬼束実録君、市丸君。よくここまで耐えた」
甲州街道南の道という道からゾロゾロと人が出て来た。
雪走は一瞬背後を確認したが後ろからは人は出て来なかった。
「…お前らは、なにもんだ?」
「敵」
先頭の男はスパッと言った。
「貴方達に『超常の扉』は渡さない。私達がいただく」
「…そうか、あのcomcomか。牧村、あいつどんまいだな。最重要人物とマッチングするとは。手を組んだかお前ら」
「いいえ、利害の一致です。あくまであなた方に『超常の扉』を渡さないための一時的同盟です。手を引けばすぐにでも我々は彼らを殺しますよ?」
「……」
(comcomがいるとなると厄介だな。動画視聴で条件を満たせる能力の手軽さ…。会話出来てるからこいつはcomcomではない。おそらくこいつを操って俺と会話してるのか。だが…)
(さて、鬼束実録のブラフの信憑性を上げるために出たは良いが…)
鬼束実録の作戦。それは偽物の『超常の扉』を使った鬼束市丸の奪還。しかし、雪走に看破され追い詰められた。
敵は3つ誤解をしている。
それは目の前の男を鬼束丹愛、つまり操作系能力者だと思い込んでいること。
2つ目は鬼束実録の持っている白い棒を『超常の扉』だと思っていること。
最後は、ドクター、雪走の言う業君が府中にいると思い込んでいること。
この3つ、特に1つ目が重要だ。
(あそこに倒れている鬼束市丸は肩を負傷している。接近して攻撃したのだろう。操作系能力者は近付かれると弱い。雪走は丹愛だと勘違いしているわけだから同じ手法で攻めてくる)
しかし実際は鬼束実録。触れることで固定出来る能力。むしろ近づいてくるのなら好都合だ。
『超常の扉』についてもさっきの発言で本物であることを示せたと思う。
だが、これでは終わらない。
この作戦には致命的な欠点がある。
「……それが本物だとして、それ一個しかないことの証明が出来ないよな。つーか業君を見つければブツがなくても良い話さ。『超常の扉』が1個でも作れれば充分だからな。何より…」
雪走は全員を一瞥して、
「お前らが全員で来ても俺には敵わないだろ。それが分かってて大勢の姿を見せて動揺を誘ったな。ブラフばっかりだなお前ら」
そう、牧村と違い雪走は肉体強化の能力者。
牧村は数の暴力で押し潰されるが、雪走には数は意味をなさない。
仮に全員で攻めようとも返り討ちにされる。それだけの力の差があるのだ。
(ドクターは神奈川にいる。府中にはいない。しかし、いてもいなくても雪走の行動に影響はない。『超常の扉』は抑止にならないから全力で襲いかかって来る!)
(とは言ったものの、違和感がある。雑兵に渡したということは近くにいる…、つまりここまで静観を決め込んでたってことだ。それは業君らしくない。あいつが狡猾になったのならそれまでだが…、どうもしっくり来ない。可能性があるとすれば…、業君があいつに『超常の扉』を渡していない。府中にいないこと。じゃああの『超常の扉』は何だって話だが…。府中にいないのなら聞き出せないな。やっぱこいつら晒して引っ張り出すのが手っ取り早いか。月董にはレプリカだったと伝えりゃいいだろ。それに業君がいないのならどこかでまた作るだろうし、壊してOKだな)
3つの誤解の内2つが砕かれた。
「牧村のヘルプにも行かないとだしなー。んぉーん。盛り上げてくれよテメェら!」
ドライバーを構えた雪走。
「気を付けろ。ただのドライバーでも『我が道を行く』なら頭蓋骨や内臓まで到達する」
周囲の催眠人間達に警告する。
と言っても命令通りに動く人形なのでその警告はあまり意味をなさないのだが…
雪走はその場を動かない。待ちの姿勢だ。
人質の市丸を奪い返されないためだ。
(牧村は…、まだ逃走中か。鬼束零達が追っているのか。隕石を散らして撹乱しているみたいだが…。神岐様は……、なるほど)
(警戒すべきはまだ空中に浮いている釘だな。だがこのポジションなら発射されても反応出来るし回避も出来る。それにcomcomに操作された人間の力を見れる良い機会だ。んぉーん。牧村と場所逆だったらもっと楽しめたのになぁ〜)
♢♢♢
ギギギギギ
空気砲が不協和音を奏でる
「やっぱ壊れたか。もう俺を飛ばすほどの威力は出せないな」
府中の街を走りながら右腕の確認を行う牧村。
空気砲によって自身を吹き飛ばしたことで包囲網を強引に突破した。
comcomの力で強化された人間と足の速さで敵うわけはないが、それも見つからなければ良い話だ。
(展開される前に雪走に合流する)
操られた人間に追いつかれずに合流するには遠回りして雪走のいる場所まで行かなくてはならない。
敵からしたら自分は最速で合流したいと思うはずだから直線距離で道を封鎖するだろう。
仮に遠回りに気付かれたとしても遠い距離に割く数はそう多くはないだろう。少人数であれば牧村でも倒すことは出来る。
(追い討ちで!)
牧村は『頭上注意』で2つの隕石を落とす。
最短でも遠回りでも通る道に2つの隕石を落とすことで行き先の撹乱と通り道を塞ぐ一石二鳥の一手。
「牧村は学校のそばを走ってる」
「学校のそば……、直線に進んだところに小学校がある」
「迂回してから合流するつもりだな。神岐!」
「設楽とは常に通話状態だ、奴にも聞こえてる。お前達は真っ直ぐ追いかけろ。にしても遠回りとは…、京王線の線路伝いにして向かうのかもな」
線路伝いであれば線路を越えるのに踏切を渡る必要がありルートを限定させられる。
「!隕石2つ。進行方向に落ちるぞ!」
「墜落前に突破しろ!」
また空に黒い物体が現れた。
(やるな牧村。『隠れ鬼』がなければかなり後手に回ってたな)
丹愛をずっと監視してた催眠人間が牧村を追跡している。しかしそちらの指揮命令権は現在設楽にある。
設楽は甲州街道にいてなおかつ雪走と交戦中のためリアルタイムに指示を出せない。
実際に牧村を追えるのは零達だけだ。
零が引き連れた催眠人間のスマホと神岐のそばにいる催眠人間のスマホで2人はやり取りをしていた。
足がつかない最善の連絡手段だ。
「神岐、お前はどっちに向かってるんだよ!」
「俺は隕石が墜落するまでにそっちに行けない。雪走が催眠人間相手に戦国無双してるみたいだ。雪走を無力化する」
雪走は想像以上に暴れており『認識誘導』で強化された人間も彼の前では歯が立たない。
(ドーピング能力。とんでもないな。牧村は範囲攻撃で強大だが雪走は単体性能が高過ぎる。この2人は今後の事も考えてここで確実に打撃を与える!)
♢♢♢
「殺さない限り突っ込んで来る。疲れを知らない。いや〜良いオモチャをくれるもんだcomcomさんは」
雪走の前に人工の山が積み上がっていた。
人工とは言え、技術的な話ではなく人が材料という意味での人工だ。
「い、市丸兄を助ける隙がない」
「想像以上だなこれは…」
実録と設楽はあまりの戦闘力の高さに若干ドン引いている。
牧村に割く人員を除いて催眠人間は続々と甲州街道で合流している。
兵の逐次投入。愚かな策とは言われているがたった1人に完膚なきまでにやられている。
(あの男、自身のリソースオーバーにならないように人数を調整しながら楽しんでやがる…!)
雪走は迫り来る催眠人間の頭を某原生生物のように引っこ抜いて殺していた。
しかし何人かは引っこ抜く事なくドライバーで穴を開けてそのまま蹴飛ばしていた。
催眠人間は体に穴が空いた程度では動きを止めない。
時間を費やして観察すると、雪走に群がる催眠人間が一定になっていることに気付いた。
雪走は自身の処理限界までの人数を相手してそれ以上になると殺して数を減らしているのだ。
雪走は皆殺しを選択すればこちらの手駒は総崩れになる。
(そんな遊びをやりながら、市丸を奪い返されないように、そして実録を警戒している。なんて奴だ!)
設楽も『認識誘導』で強化されているが雪走には到底及ばない。
少しだけ、少しだけ指揮官で良かったと安堵していた。
「おい、このままじゃジリ貧だぞ!」
「大丈夫です。彼が疲れない体だとしても、このまま行けば我々の勝ちです」
「…ここに神岐が来るんだな」
「えぇ、あなた達だけで手に負える相手ではない。神岐様は見定めると仰られていたがそうも言ってられなくなりました。彼らは早急に殺さなくてはならない」
(俺との戦闘では、力の半分も出していなかったんだな)
無双を続ける雪走を間近で見ている市丸はその力の差に愕然としていた。
(おそらく今も全力を出していない。こいつの100%は、どんなレベルなんだ!?)
痛みはあるが、雪走の戦闘を鑑賞出来るくらいには精神を立て直した。
(あの超常の扉もどき、あれを『色鬼』で操作出来れば…)
市丸の全身は血に染まっていた。
だが市丸は左手を握りこぶしの状態でずっとキープしていた。
握り拳にすることで手のひらに血が付着することを防ぐためだ。
神原、麦島と戦った時に白いシャッターを血で変色させられて操作出来なくなった。その反省を活かして手のひらに血を付けず操作出来るようにしていた。
♢♢♢
「線路を越えた。看板に『かえで通り』って書いてある」
「かえで通りかえで通り………、あった。南武線の線路だ。北上してる」
「神岐、牧村は北上中だ」
「そっちなら設楽に任せた方がいいな」
「設楽、応答しろ」
「………はいこちら設楽」
誰だ?
「神岐様です」
神岐?
「…そばにいるのは実録か」
「実録がいるのか!」
「設楽、スピーカーにしてやれ」
「承知しました」
設楽は通話のスピーカーをONにした。
「零兄!」
零もスピーカーをONにした。
「実録!」
「丹愛兄!」
「感動の再会は後にしろ。時間がない」
「神岐様、指示を」
「牧村がそっちに向かってる。方向的に美好町一丁目交差点だな」
「…そっちは雪走の反対側ですね。そちらに人を回します」
「あぁ、合流される前に捕えろ。隕石は見えてるな」
「はい、先ほど1つ落ちて今2個落ちてますね」
「奴の隕石は3つまでしか落とせないらしい。2つももうすぐか。完全フリーだな。先に牧村をどうにかしろ」
「承知しました。しかし牧村の方に人を流せば雪走を止められなくなります」
「それより前に俺が着く」
「神岐」
「お前達は変わらずだ。丹愛にはアレを渡したか?」
「あ、あぁ、渡したが」
「お前ずっとアレ持ってたのかよ」
「返す前に萩原時雨が来ていなくなったんだよ。お前そんな手数多くないだろ。ホームセンターったって短時間じゃ物色もままならんかっただろ?」
「………」
「武器は感謝するが神岐、分かってるんだろうな」
「分かってるよ。最善を尽くすさ」
神岐義晴
甲州街道へ移動中
鬼束零・丹愛
牧村を追跡中
鬼束市丸
雪走に捕まる
鬼束実録・設楽柚乃
甲州街道で雪走と対峙
牧村桃秀
甲州街道へ移動中
雪走一真
甲州街道で催眠人間と交戦中
牧村・雪走との戦いも次回で決着が付きます。
決戦の地は東京競馬場でしたが、いつの間にか甲州街道になってしまいました。
不思議ですね。
ライブ感のなんたる恐ろしや。
神岐が出て来れば一瞬で全てが片付くので敵に会わないためひたっすら府中中を移動しまくってますね。
もう移動しないのかな?
移動しないといいね。
さあ、次回も府中動乱。
全てが終わった時、何を得て何を失うのか。
楽しみですね♪




