第101話 府中動乱⑰
「ん?」
雪走は道の脇から青色の物体が飛び出して来たことを確認した。
200メートルも離れた場所だから大きさは目算だがその青い物体は50センチ四方だったが少しずつ大きくなっていく。
巨大化というより折り畳まれていたのを開いているようだ。
「……ブルーシートか」
おそらく3メートル四方はあるだろうか。とてつもない大きさになっていた。
「さっきの奴等か」
空中で展開されたことで超能力が介在していることは明白になった。
さっきの2人組は超能力者だ。
(さぁ、楽しくなってきたな。何をして来る?200メートルも遠くから何する気だ?)
ブルーシートに能力が付与されているのか、それともただのブルーシートを操作しているのか。まだ判断は付かない。しかしさっき使わなかったということは200メートルまで近付かないと使えない能力。または隠れた間に調達した市販品か。
ブルーシートは展開し終えたのか、少しずつ雪走の方に近付き始めた。
(めちゃくちゃ早いわけではない。目的が分からん。…触れるのは危険だな)
雪走は近くの車から手に入れたサイドミラーを持ってモーションに入る。
「よーいーーーーしょっとぉぉ」
さっきよりも距離は近いし的はデカい。
雪走の投げたサイドミラーはメジャーリーガーもびっくりの速度でブルーシートに激突した。
ボンッとブルーシートの中に収まった。威力が強いためブルーシートがくの字になって吹き飛ばされる。ペラペラかつ空中でフヨフヨしていたため貫通は出来なかった。
ブルーシートは少し吹き飛ばされると、サイドミラーの威力を殺し切ったのか、面から萎れたように小さくまとまり出してヒラヒラと落ち始めた。
(ブルーシートの移動よりも強い力が加われば動きが止まるのか。ただ物を操作していると見るべきか。いや、こんなあっさり終わるとは思えん。陽動か?)
最初に男達がいた道路に身を向けるがそこには誰もいなかった。
(横ではない?となれば……)
雪走は上を見上げる。
隕石の影響と人がいないせいか空気がどことなく澱んでいるように感じた。
そしてその澱んだ空に何かがあった。
『我が道を行く』で極限まで視力を強化する。
(……釘?これが陽動か!)
『高鬼』、自分よりも高い位置に移動させた物体を操作する能力。
ブルーシートで注意を引いてその隙に釘を雪走の頭上まで運んで雨のように降らせる。
(だが見えてしまえば車を盾にできる)
角度的に車の後ろに隠れれば直撃はしない。
が、
「今だ丹愛!」
市丸の声で丹愛が甲州街道に飛び出した。
声は遠くて聞こえなかったが突然現れた人間に対して、雪走は即座にサイドミラーを手に取って構える。2人組のはずだがもう1人の姿は見えない。甲州街道を渡ろうとする人物は全て排除する。再び投球モーションに入って、丹愛目掛けてサイドミラーを投げ飛ばした。
「『色鬼』、白」
『色鬼』の制約の1つに同じ色を続けて操作できないというものがある。青を選んでブルーシートを操作したため、もう一度ブルーシートを操作するには青以外の色の物体を『色鬼』で操作しなければならない。
不便なことこの上ないがその代わり神原戦を通して1回あたりの操作時間が今までは1分だったが少し伸びている。正確な時間は測っていないが1分半までは延びたんじゃないかと思う。
(もっと場数を踏めば制約が緩くなってくんだろうな。なら尚のことここでの戦いが俺に力を付けさせてくれる!)
市丸は『白』を操作した。
持ち運びに不便だから丹愛の『高鬼』で荷物持ちをしていた。
もう丹愛は甲州街道に飛び出しているため『高鬼』の力で持ってもらうことは出来ない。
しかし、ここまでは鬼束達のシナリオ通りだった。
ここで『白』を操作することも…
雪走の投げたサイドミラーは丹愛に吸い寄せられるように向かっていった。
丹愛は大きな物は持っていない。つまり手持ちではサイドミラーを防ぐことは出来ない。
ならば、どうする?
そう、誰かにやって貰えば良い。
市丸が操作しているのは白い布団だ。モコモコしていてダイブしたら安眠が約束されているような、そんな柔らかく厚い布団だ。
市丸は白い布団を操作して丹愛と雪走の間に割り込むように移動させた。
市丸は甲州街道には出ていない。狙いは丹愛のみとなる。
サイドミラーが布団に衝突した。
さっきのブルーシートのようにはならなかった。
ボフンと布団に埋まったサイドミラーが起きることはなかった。安らかな眠りに誘われたようだ。
ブルーシートとは厚みとクッション性が段違いだ。今回は力負けしなかったことで『色鬼』の制御が切れなかったようだ。まだ布団を操作することが出来る。男が第二撃を投げたとしても同じように布団で相殺出来る。
「次は布団か?そういうのばっかだな」
ブルーシートの次は白い布団。平たいものばかりだ。収納のしやすさ、持ち運びやすさで選択した道具だろうか。
(もうちっと近ければ有効だろうが近付けば布団でガードする前にサイドミラーに当たっちまうからな。カウンターよりも防御重視。俺は狙わず南に行くことを優先してるみたいだな)
ここから追いかけてもいいのだが、まだもう1人の姿が見えない。
2人とも通してしまったら後で怒られてしまう。怒られるのはどうってことはないのだが次の現場に行かせてもらえなくなるのは避けたかった。バトルジャンキーは現場に出てこそなのだから。
「あのタイミングの良さはあいつが出て来た場所の近くで指示を出していたはず。近くにいるな…。あいつを行かせるのはしゃーない。もう1人をぶちのめした後に追っかけても良いし牧村に任せても良いしな」
(とりあえずは望んだ通りに進んでるな)
丹愛は甲州街道を渡りきった。
「置き土産だ。『高鬼』」
「……んぉーーん?!このタイミングかよ!」
雪走目掛けて釘が数十本飛んできた。
雪走は車から飛び降りて車の陰に隠れる。
ズダダダダダダダダダと自分の立っていた車の天井に釘が刺さっていく。
音が止むのを待ってそっと車の陰から顔を出す。
(…刺さってんな。それなりの威力。貫通こそしていないが人間の肌くらいはぶち破りそうだ。釘だから心臓までは達さなさそうだが、ピアス穴は作れそうだな)
『我が道を行く』で男の方を確認するが既にいなくなっていた。
甲州街道から路地に入って南に向かい出したようだ。
もう1人はどこにも見当たらない。布団も依然として浮いているし、さっきの釘攻撃で全ての釘を使い切っていないのかまだ釘が浮いている。
物を操作する能力者がいる。そしてそいつはまだ近くにいる。
「さてさて、ぶちのめしたいのに出て来ないとなると困っちゃうなぁ。……あー、時間稼ぎねなーる」
おそらく1人が自分の気を引いている間にもう1人は業の方に行こうということだろう。
「隠れんぼじゃなくて鬼ごっこをしたいんだよ俺は!」
雪走は甲州街道を駆け始めた。
(男を追おうとすりゃもう1人は出てくんだろ。さぁ、出てこいよ)
「やっぱそうなるよな……」
丹愛を追いかけようとするのなら止めなくてはならない。それが今の鬼束市丸の使命。
(交差点からこちらに向かって来たことで実録が大通りに出やすくなったはず)
まだ布団の操作は有効。
このまま向かって来る雪走に対して布団で妨害をすれば良い。しかし所詮は布団だ。1分半後に操作限界時間が来れば布団は動かせなくなる。
(とりあえず丹愛を行かせるっていう第一関門は突破した。次は第二関門、実録が来るまでの時間稼ぎか…)
実録がいつ来るかは分からない。丹愛はもういない。市丸の持っている道具と丹愛が残してくれたアイテムでどうにかやりくりしないといけない。
無駄撃ちは出来ない。もう一度操作するために再度その物体に触らないといけない。
操作する色の順番も間違ってはいけない。色が偏って同色しか残らなかったら操ることが出来なくなってしまう。
(まずは布団を使って奴の動きを封じる!)
♢♢♢
「あ、あれは……」
「さっきの衝撃はあれでしたのね……」
「…はい」
平原と戸瀬は上空にある3つの巨大質量物を眺めていた。
護衛の設楽も気付いてしまったのなら仕方ないと先程の爆音が隕石であることを明かした。
「変な人間の次は隕石って…、ファンタジーね」
「…御伽話ってことですか?確かにフィクションですよね…」
「残念ながらノンフィクションでございます。しかしこの競馬場に落ちることはありません」
「…何で分かるの?誰かが意図して狙いを付けてあんな巨大な物を落としてるって言いたいの?」
「……私からは何も申し上げられません。神岐様のご許可がないと」
「それ、肯定だからね。あぁもう、ありえないとは思うけど、エスパーがいるのね!」
「………」
超能力を知らない戸瀬にはこれがエスパーだと思ったようだ。
(はぁ、ホント最悪。変なことに首突っ込んじゃった。もう泣きたいわ。全裸で走り回って叫びたい)
「エスパー?」
平原はイマイチピンと来ていないようだ。
「エスパー、ESPとも言うんだっけ?要は超能力。隕石を落としたり人を操って襲わせたのもそう。そして、神岐も超能力を持ってるんでしょうね。だから神岐は私達を逃がそうとした」
「義晴様が超能力……」
「………」
設楽は無言を貫く。言わないようにしているのではなく超能力に関することは言えないように操られている。それでも言えないことが肯定になってしまっているのだが。
流石に戸瀬は設楽が神岐の超能力によって操られているとまでは思わなかったようだ。
「素晴らしいですね。やはり義晴様は人にはない物を持っている方なのですね!」
「うんそう言うだろうなと思ったわ。えぇえぇ予想通りよ」
非現実的過ぎて若干テンションの取り方がバグり出している。
「知らなきゃ良かったわ。絶対今後変なことに巻き込まれるに違いないわ。現に今巻き込まれてるし」
「でもようやく義晴様の内側に入れたような気がします」
「…それは否定しないけど、一線を引こうとする理由は何となく分かったわ。人探しってのも超能力が絡んでるんでしょうね。なら尚のこと、私達はさっさとヘリでここを脱出して神岐が動きやすいようにする必要があるわね」
「…はい。義晴様が超能力?を持っているのだとしたら私達にお手伝いできる事はありませんね。義晴様のためにもヘリを待ちましょう」
(随分素直ね。隕石が来て義晴様がー!ってなって飛び出すことも警戒してたけど、余程秘密を知れたことが嬉しかったのね。そもそもそのために尾行してたんだっけ?なら私達の目的は達成してるしこれ以上ここにいる意味もないか…)
♢♢♢
「……神岐の言った通りか…」
市民球場前の交差点から尾行のようにゆっくり気付かれないように南に移動していた実録だが、南の空に先程見た巨大な質量の物体が落ちてこようとしているのを確認した。
(市丸、丹愛…)
前回と同じような場所に隕石があるから市丸達がいるであろう大通りには隕石は落ちない。
少なくとも隕石で死ぬことはない。
「……ダメだダメだ。信じるんだ市丸兄達を」
兄弟のピンチにいち早く向かいたい。しかし敵に気付かれてはせっかくの神岐の忠告は無駄になってしまう。
(隕石が落ちたら嫌でも向こうの方を意識してしまう。隕石が落ちてからダッシュで移動しよう。それまでは慎重に進みつつ敵能力者に見つからないように移動しないと…)
急ぎたいのに急げないこのもどかしさが嫌な気分だが、逸る気持ちを押し殺しながら南下していく。
大通りに人がいるかどうかを目視するにはもう少し距離を詰めなければならない。
♢♢♢
府中日吉町交差点
サクサク進みたいところだがこの大人数、どうしても動きが鈍くなってしまう。これが高校生の遠足ならどうってことはないが高校生ではなく中毒症状の人間以下だ。まだ飴を食べて日が浅いから従順だがこれが1週間もするともう制御が効かなくなってくる。
「………」
「………」
舟木真澄と九重那由多は黙々と東へ移動していた。
仲が悪い訳ではない。仲間内で苦手意識があったりはあるが嫌悪までは行かない。お嬢様の我儘に振り回されている被害者ということで妙な連帯意識が芽生えていることも理由の一つだろう。何より10年以上の付き合いだから今更という話でもあるが…。
その点ではののが連れて来た男、染節裕太は唯一の男であり、何かと波乱を巻き起こすかもしれない。
「……スマホを使わないってこんなにしんどいんですね」
「そうね、スマホ依存ネット依存って何も若い人達だけの話ではないわよね。昔はお絵描きって言ったら紙に描いてたけど今の子達はタブレット端末に描くのよね。時代ね……」
人生で一番輝く20代をドブに捨てられた真澄達にとっては当たり前のようにスマホやタブレットを使う子供達を見ると時代に取り残されたように感じてしまう時がある。
「どっちに行きます?どっちを選んでも東に進めそうですけど…」
「そうね、それぞれどこに繋がっているかをスマホで調べて……、あー、使えないんだったわね」
府中日吉町交差点はT字の交差点となっている。
真澄達のいる場所から競馬場通りに進めば東府中駅まで繋がっている。しみず下通りの方に進めば目立った施設はないが京王線沿いをひたすら進んでいくルートとなっている。
「離れるだけならどっちでも良いかもだけど、神岐の注文はあくまで競馬場から離れることだから左の方に進めば良いんじゃない?北側に道が続いてるからある程度離れておけば神岐も何も言わないでしょ?」
左は東府中駅に向かうルートである。
「まぁそうですね、競馬場からこれだけ離れていれば………」
競馬場の方に振り向いた那由多だったが…、
「那由多?どうした……!?……また『頭上注意』ね…」
東京競馬場の方を見ると巨大な質量の隕石が3個落ち続けていた。
「ここまで離れていれば問題ないでしょうね…。ん?」
『頭上注意』で死ぬことはないことは分かった真澄だが、今後は隕石とは反対の方を振り向いた。
「…?真澄さん?」
「………」パパパパパパパパパパパパパパパパパパ「……ヘリが近付いてる?」
「ヘリ?『頭上注意』はある程度近付かないと視認出来ないはずでは?メディアのヘリなら1回目が落ちてから来るにしては早過ぎるように思いますが…?」
『頭上注意』の特徴として、近付かないと見えないというものがある。隕石から降って来ると言って逃げて来た奴をオオカミ少年に出来る。遠くにいる人には隕石なんて見えないからだ。
隕石の破壊力が直撃箇所のみなのも被害範囲を狭めて大勢の人間に隕石を認知させないためだ。
これにより隕石は集団幻覚として処理される。NASAやJAXAなどの宇宙機関や人工衛星などでも隕石は捕捉されないのだ。
しかし破壊力は絶大であり、隕石が落ちた場所が更地になるため牧村は能力の使用を禁止させられていた過去がある。
「…隕石とは無関係…。ヘリは……東京競馬場に向かっている。ということは…」
「あれは神岐が呼んだヘリ。知り合いが困ってるという話でしたから……、私達を追い出してから東京競馬場でヘリで脱出ってことでしょうか?」
「そうなるわね。つまり、あのヘリコプターがいなくなるのを待てば私達はこれ以上離れる必要はなくなる」
そうなれば東に進み続ける理由はなくなる。
ブーン、ブーン、ブーン
真澄のスマホに着信。
スマホで他者と連絡することで神岐への反抗と見做されるかもしれないがとりあえず誰からの着信かは確認することにした。
「……!紗穂!」
真澄はすぐさま通話をオンにする。
おそらく電話の相手は紗穂ではなく神岐だ。ただ、ヘリコプターと隕石が来たタイミングでの電話は偶然とは思えない。電話する用が出来たと見るべきだ。
「もしもし!神岐ね!」
「随分元気だな。どうやら飴玉を出し続けても体力が減るみたいなことはないんだな」
「っ!」
真澄は逸る気持ちが抑えきれなかった結果余計な情報を神岐に与えてしまったことを後悔した。
「……そ、それで?わざわざ電話してきた理由は何よ?ののと千羽は?」
「千羽さんとやらはあの後能力を喋って通話を切ったよ。羽原ののは俺の指示に背いたから今はおねんねしてるよ」
「…殺したってこと?」
「いーや、殺したらあんたらの報復が面倒そうだからな」
comcom=神岐であることも掴まれている。
『認識誘導』で何でも出来るとは言え、『認識誘導』は永続的に使用することが出来ない。
『俺の命令には必ず従え』と認識誘導しても時間が経つごとに効きが弱くなっていく。これは『永遠に』という言葉を付けても変わらない。
永続的にはかけられないが都度都度『認識誘導』を使って認識誘導すれば良い。
さながら自動車だ。ガソリンが空になれば動かない。定期的にガソリンスタンドで給油しなければならない。
神岐は知らないがこれが『認識誘導』の万能になれない呪い。強制力が強い代わりに継続性が弱い。
これが強制力の弱い要請やお願いを要する能力であれば継続性は高かったであろう。
「理由についてだが、お前達からも見えてるよな?」
「…えぇ、隕石も東京競馬場に向かうヘリコプターもばっちりくっきりね。念押しかしら?」
「あぁ、お前らの能力で飛んでるヘリを攻撃出来るか分からないが、電気能力者がいたはずだ。電磁波とか怪電波で変なことをするかもと思ってな」
捕まえている紗穂や八散に聞けば『心地良い刺激』の射程範囲も威力も分かるはず。それなのにわざわざ電話で聞いてきた。何か意味があるはず。本当にただの念押しなのか?
(また情報の擦り合わせかしら)
神岐にその意図がなく純粋に念押ししただけなら那由多が喋った以上のことを真澄が喋るのはよろしくない。
しかし、真澄と紗穂達の証言を擦り合わせることが目的でそこに齟齬が生じていれば、例え報復を恐れて無茶な命令や行動が取れないといっても落ち度は真澄達側にあり神岐の行動に正当性を与えてしまう。ののが倒されたのもののが指示に背いたからでありどっちが悪いかと言われたらののと答える者が過半数だろう。
誤魔化すことは出来ない。何より『心地良い刺激』では無理なのだ。出来るけど隠すために無理と言うのではない。事実を喋るだけだ。詳細を明かすことで多少のマイナスは生じるが欺くことに比べたら損失は天と地の差ほどある。
「…そんなことはないわ。確かに機械は操れるけどそれはかなり近付かないと無理ね。あんな何百メートルも離れた乗り物を操るのは無理。それに那由多のは電撃であり電波ではないわ。学がないからそこら辺の細かいところは分からないけど」
「…なるほどね。なら良いや」
真澄は若干拍子抜けした。
最初の電話のように脅しを込めてくるかと思ったらやけにあっさり引いた。
(何、何?)
よく分からない。完全優位で事を運んでいるはずなのに、どこか掴みどころがない。
「ヘリコプターは俺の知り合いを救助するための物だ。あのヘリコプターが府中から離れたら、もう競馬場に戻っても良いぞ。何なら今のうちから隕石の被害が及ばない程度には戻っても良い」
「……戻らせても良いの?私達とあなたの目的は同じはずだけど?」
「ドクター探しは後だ。一先ずは知り合いの脱出が優先だ。それと牧村と雪走を止めなきゃならん。ついでに奴等からも情報を抜き取るかな。ま、お前の持っている情報とさほど変わらない気はするがな」
牧村だけでなく雪走も生きている。那由多も神岐からの電話は聞こえていた。まだ生きている事を知って心と体が恐怖する。
「………業君、あなたの言うドクターを私達は探してるのよ。彼の持つ『超常の扉』を手に入れる必要がある。あなたが邪魔をしたせいで探せるものも探せない」
「さっきも言ったがテメェの能力で知り合いが死にかけてんだよ。お前達が引き連れている飴奴隷の中に俺の『認識誘導』の影響下の潜伏者がいることを忘れるなよ。羽原ののみたく反抗して散りたいなら今すぐそうしてやるよ。過失はお前らだからな」
「……いつまでもその横暴が通るとは思わないことね」
「ちょ、ちょっと真澄さん。どうしたんですか?」
強気に転じた真澄を諌める那由多。
「…ごめんなさい。冷静じゃなかったわ。ありがとう那由多」
「いえ…」
確かに今従えている飴奴隷が神岐の傀儡であればいつでも背中を刺されるということだ。怖くなるのも分かる。それが事実でなくても、それが出来る事実を彼女達は知っている。
「…んで、もう一々あんたにビクビクしながら動くのめんどくさいから全部指示出しなさいよ。あんたの指示なら過失は指示を出した側でしょ?私達が変なことしてもちゃんと指示を出さなかったあんたのせいにするわ!これで良いでしょ!」
「………」
(真澄さん、それ大丈夫なんですか〜!?)
那由多は内心穏やかではない。潜伏してるというのにこんなに強気の交渉。決裂したらすぐに終わってしまうというのに。
「…なら、そうするか。まずさっき言った通りヘリが帰ってったら競馬場に戻っても良い。というか戻って来い。その産業廃棄物共を『認識誘導』で少しでも人間に戻す。あんたはもう能力を使うな。九重さんの電気能力で府中中のカメラを操作して俺、お前達、牧村達、ドクター、とにかく今日府中で起こった全ての痕跡を徹底的に消せ。羽原のの、久留間紗穂、能登八散の3人は痕跡が消えた事を確認してから解放する。明日の朝刊やネットニュースで判断する。解放方法ついてはあんたらのアジトの場所を既に聞いているからそこに自発的に戻るように命令を仕込んでおく。あんたらが仕事を完了させるまでは監視人を付けておくから命令通りに動け。指示を終わらせるまではそれ以外の全ての言動行動を禁止する。以上、質問は?」
「…死体や『頭上注意』で破壊された場所はどうするのよ?那由多の超能力でも無理よ。ニュースで報道されないなんて無理に決まってるじゃない!」
「死にかけている人間は能登八散の『治癒活性』で可能な限り治す。壊れた場所は放置だ。牧村とやらが何も考えていないわけがない。壊れた物を直す能力者が奴等の中にいる。だからこそ隕石を使えているはずだ。死体を治せないのは八散に聞いて確認済みだ。おそらく奴等側の超能力者に死者を治す能力者がいるはずだ」
(八散以外のヒーラー能力…。……知覧の『解体々々業者』!?知覧も生きてるの!?業君!全然殺せてないじゃん!やっぱりドジっ子業君ね!)
「…あなた、牧村達、業君のお仲間には…」
「命令が終わるまでは手を出すな。飴奴隷はお前達が蒔いた種だからな。ちゃんとお片付けしろ」
「…分かったわ。あれこれ考えるのも面倒だったし丁度いいわ。スマホで仲間に連絡もダメそうね」
「当然だ。不破千羽以外にも何人もいるみたいだがな。連絡はするな。その代わりその他の人間については一切聞かん。あくまであのグループ通話にいた人間だけだ。久留間達解放時にも後を尾けたりはしないと約束する。アジト到着前に回収してトンズラしろ」
「…ふふ、徹底的に潰せば良いのに」
「それをやるのはドクターだろ?ドクターに協力するかはまだ決めかねているからな。俺から力添えをする訳にはいかん。言ったろ?ドクターを探すのはやる事を終わらせてからだ。お互いにな」
「……なるほど。那由多、どう?」
真澄はスピーカーをオンにした。
「……まぁ、やることやって紗穂ちゃん達が戻って来るなら好条件だと思います。それに『頭上注意』や『我が道を行く』を止めてくれるなら私達としても動きやすいですし」
「そうね、あの2人に勝つ手段がないから神岐がやってくれるならそれに越したことはないわ」
「…交渉成立だな。じゃあ指示通りよろしく」
ピッ
通話が切れた。
「…はぁ、ま、落とし所が決まっただけマシね」
「私達がやることは私達自身のためにもなりますしね」
「私達待ちだから私達の邪魔をしようとする人間を神岐が止めてくれるってことだしね。飴奴隷については邪魔だったから処理出来てせいせいするわ」
「それに、知覧もここに来るみたいですし…」
「……この感じだと研究者はほぼ生きてそうね。まぁ業君が誰を殺したかなんて分かりっこないしなぁ。流石に全員死んでないことはないだろうけど…」
とにかく、真澄のやるべきことは決まった。真澄達の作業が終わる頃には業は府中からいなくなっているだろうが、ののや紗穂はこれからの計画に必要な人材だ。ここで失う訳にはいかない。
(ここまでやって出てこないってことはそもそも府中にいないかもしれないしね。飴奴隷の見間違いみたいね。まぁ牧村達の生存を伝えるだけでも収穫にはなるでしょう…)
♢♢♢
「サイドミラーでは無理。布団を吹っ飛ばすにはそれなりの重量が必要だが俺の『我が道を行く』でも200メートル離れた場所まで重い物は投げ飛ばせないな。それに今は走ってるし」
残り150メートル。隠れているもう1人の人間は未だ出てこない。
布団は丹愛と雪走の間に割って入って進路を塞いでいる。
(あれにタックルぶちかまして布団の操作が切れなかったら包み込まれてアウトだな)
手錠なら所詮は接合部は鎖だから力づくでも外すことは出来る。だが布団は面だ。柔らかい素材はパワーを吸収する。雪走がいくら『我が道を行く』で強化しようとも、あの柔らかさには抗えない。
パワー系への対抗手段としては布団は申し分ないアイテムだった。
(操作能力の規則性を見極めないとな)
2人とも能力者だとして、どっちが物体操作の能力者なのか、はたまた両方とも物体操作能力者なのか。
(もしかして複数人で発動するタイプの超能力か?相互協力型は発動条件が厳しい分、能力の威力が高くなるがまさか…、いや、だが別行動を取ったから否定されるが、自動操縦タイプなら…。相互協力型の自動操縦って矛盾してんよな?)
バトルジャンキーと言えどかつては超能力の開発を行っていた科学者。超能力に関しては神岐や科学者ではないのの達に大きなアドバンテージがある。
(制約を増やせば不可能じゃないか。例えば操作する時間や大きさ重さに制限があるとか…。そう考えると……)
釘、ブルーシート、布団
(あんまり重くない物だな。重さの制限はありそうだな。もしくは操作可能距離と重さが反比例しているとか…。近付けばもっと手の内は見れるかもな)
まだ能力の絞り込みが出来ていない。相互協力型なら通常の操作系能力よりも威力が高くなる。経験則として物体操作能力者が人間を操れることはないので雪走自身が能力に堕ちることはないが、それ自体も相互協力型で制約をギチギチに詰めれば不可能とは言えない。
残り100メートルに差し掛かったところで、布団が動き出した。
真っ直ぐ雪走の方に向かって行く。
そのことに気付いた雪走は走るのを止める……、なんてことはせず、むしろ速度を上げた。
(サイドミラーを押し戻す操作拘束力。ならば…)
残り30メートル
布団はもう目の前にある。
雪走は布団に向かって飛び蹴りを繰り出した。
サイドミラーよりも重量も体積も多い。布団の操作が効かなくなる衝撃を与えられるかもしれない。
しかし、かもしれないでこんな行動には出ない。
これで仮に布団の操作が切れずに布団で雪走の全身を包んでしまえば雪走でも簀巻きの布団からの脱出は困難になる。圧迫による酸欠や視界を奪われることで捕まったも同然だ。
ならば、敵の超能力を利用するまでだ。
雪走の飛び蹴りが布団に炸裂した。
ボスンッと布団が大きく凹んでいく。
布団は凹みと共に後ろに反っていく。しかし能力の制御は切れておらず、未だ布団は空中に浮遊したままだった。
布団の両端が丸まり出した。
雪走をサイドから包み込むために『色鬼』で操作をしたのだ。
両サイドの動きで超能力の効力が残っている事を確認した雪走は蹴り付けた足を思い切り踏み込んでさらにそこから跳躍をした。
これに驚いたのは陰から布団を操っていた鬼束市丸だった。
(あの男…、『色鬼』で布団が動かない事を見込んで、そこから飛びやがった!?)
通常布団は浮いたりはしない。しかし『色鬼』で固定していれば、それは布団であって布団ではない。
制御することで布団の特性を失われているのだ。
サイドミラーで布団の制御を切っていれば雪走はこの方法は使わなかっただろう。
踏み込む足場がないからただの跳躍だ。むしろ布団で足がもつれて着地に失敗して捕縛されるリスクもあった。それならばおそらく躱していたことだろう。雪走としてはどれだけ操作が可能なのか分からない状態だったので自身の想定以上に速く動いて捕えられる危険もあった。
だが、『色鬼』は強い能力であることでこの解法が生まれてしまった。
市丸に落ち度はない。『色鬼』は操れる法則性に縛りがある以上、布団を操り続けることは間違っていないしむしろ操れる物を無駄減らししないという意味では正しい。
空中の布団を足場にして先に飛び上がる。
中々に無茶なことだが正直に言えばここまでする必要はなかった。プライドや自身の抑え切れない戦いへの渇望がなければこのような強引な方法は取らなかっただろう。
跳躍
ただでさえ『我が道を行く』で強化したジャンプをさらにもう一回。
雪走はビルの2階の高さまで飛んでいた。
「おぉーーーん」
口癖の重低音にはどことなく楽しさが入っている。
『我が道を行く』でパルクールの真似事はやったことがあるがこれは超能力のコラボのようなものだ。満足感は過去の真似事の比ではない。
(ふぉぉ、これは凄いわ!)
敵の追跡と炙り出しの目的を忘れているのではないだろうか?それぐらい今の雪走はハイになっていた。
(とんでもない跳躍。肉体を強化する能力者か…)
交差点で物を飛ばしてきていたことから可能性はあったが、あの常人離れの動きは確定的だ。
あまり相性の良い相手ではないが、実録の『氷鬼』で動きを止めれば『色鬼』で刺せる。
ゴゴゴゴゴゴゴ
「「ん?」」
どちらも気付いた。
この音はさっきも聞いた。
「……また隕石か。時雨ちゃん…」
「第二弾か。牧村も頑張ってんなオイ」
市丸は音のする方向を見上げて時雨を心配していたが雪走は違った。『頭上注意』の射程を知っている雪走にとっては安全圏である以上怯える必要はない。ただ、隠れていた敵を探していた。
(確かブルーシートはあそこら辺から出て来たよな。ならまずはそこをクリアする)
雪走は丹愛の逃げた方向から市丸へと進路を変えた。隕石が丁度よく敵の隙を生んだ結果だった。
市丸も雪走がすぐに進路を変えたことに気付いたが、如何せん目線を外していたので初動で遅れた。
布団の操作はまだ有効だがこの距離、布団が追い付くよりも速く市丸のところに到達してしまう。
近付いたことでようやく隠れていた市丸を発見した。
「見つけたぞ能力者。鬼ごっこしようぜぇぇぇ〜」
まだ距離は離れているのにとんでもない声量だ。至近距離で叫ばれているようだ。
「ちっ、鬼ごっこは散々やってんだよ!」
♢♢♢
「……偶然、ではないか…」
白衣を着た男は潰れた電車を眺めながらポツリと呟く。
線路はフェンスで覆われていたが有刺鉄線はなかったためよじ登って線路内に侵入した。
(さて、零君達がいる府中側から電車が衝突。さらに線路内に侵入した車…。義晴君が府中で相当ヤンチャをしているらしい。電車を狙ったということはこの電車に誰かが乗っているということだ。おそらく時雨君か…)
合流地点である府中から出るとは思えない。そうなると意図的に府中から脱出させたということになる。零達が時雨を逃したことは容易に想像がついた。
(色々理由を付けて連絡させないようにしたが、結構頑張っているみたいだな。だが……)
府中の空にある3つの隕石。
ドクターはこれを知っている。自分が研究所に所属していた時は使用を禁止されていたようで生で見たのは初めてだが、
(あれが『頭上注意』。あいつが生きていたからもしかしたらと思ったが…、やはり生きていたか)
軒並み事故に乗じて殺したり研究所から出れなくして焼死を狙っていたが、殺し切れなかったようだ。
(目的は『超常の扉』か。牧村が動いているなら事後処理で知覧もいるはず。零君達が府中にいることがどこからか漏れたか…)
『頭上注意』が出張るということはここで自分を見つけ出す算段だったんだろうが、そもそも自分が府中にいない。
いない人間を巡って府中をひっちゃかめっちゃかにしているとは笑い話だ。
(ならば俺は府中には近付かなければいい。まずは時雨君の安否を確認しないと…)
電車に近付くと異形の光景が広がっていた。
電車の前方の窓は人間のパーツパーツが見えているのみで車両の中の様子を窺うことが出来なかった。
割れた窓の下には切断された上半身が転がっている。
モゾモゾと動いている人間がいることから電車の衝突で意識を失わなかった物が窓から出ようとしているのだろう。しかしこの脅威の密度では指一本すら動かせないのだろう。人混みに潰されて死んでいる人間もいるはずだ。
ドクターは電車の前方は無視して後方へと向かって行った。
半年足らずの付き合いだが理解しているつもりだ。
(時雨君のことだ。他者を巻き込まないと1人後方に残っているはずだ)
4号車に差し掛かった。4号車には誰もいなかった。
4号車と5号車の連結部分に着いた。
電車の走行中でも車両を移動出来るように連結部分は黒いトンネルで覆われていた。
(高さもあるし窓からは時間がかかるな…)
見たところ後ろの車両で窓が割れている様子はない。
最後尾の6号車が半壊しているため仮に時雨が6号車にいた場合は即死だが、流石に6号車に残っているわけがないだろう。5号車にいるとドクターは結論付けた。
連結部はカーテンのようにビロビロ状になっており、時間をかければ強引に外して侵入は出来るがそんなことをするよりももっと手っ取り早い方法がある。
ドクターは6号車の後部、電車同士が激突した場所まで移動した。
(……やはり完膚なきまでに壊れているな。吹きっさらしだ)
電車の前後には車掌が作業するスペースがあるが、元から大きな口が空いていたかの如く、車掌のスペースは跡形もなくなっていた。
これで中には入りやすくなったがこんな凄惨なことを躊躇いもなく出来る神岐には若干引いてしまう。
(能力に溺れたか……。いや、これは自覚なしと見るべきだな)
かつてのアイツらと同じだ。
「確か…『認識誘導』だったか?おそらくお嬢様と同じく万能に近い能力だな。……数が少ないし無駄遣いは出来ないが、使うしかないか…」
電車の衝突の反動でぶつけられた電車の車輪が回ったおかげで後ろの穴から人が入れるスペースが確保されていた。
ドクターは身に纏っていた白衣を脱いで車両から垂れ下がるように設置した。
人為的に作られていないため、配線や機器が晒されている。ガラス片や鋭利な物も剥き出しになっており車両の中に入ろうとすれば間違いなく人体を傷つける。破傷風などの余計な二次被害を出さないために電車に触れる場所に布を介することで怪我をしないようにした。
(せっかく流川にクリーニング出してもらったのに…、買い直しかな?)
怪我をしないようにもあるが布があるという安心感で登りやすくするためだ。近くに鋭利な物があれば動きが鈍る。登れるものも登れなくなってしまう。
パキリ、ベギッ
一歩歩くたびにガラス片や破片を踏みつける音が聞こえてくる。
6号車には人はいなかった。
ガラガラガラ
6号車先頭の連結扉を開く。
衝突によって開かなくなっていることを懸念していたが問題なく空いて安心する。
連結部分のドアから5号車の様子を確認する。
「……良かった…」
探していた人物がいた。
萩原時雨が座席にうつ伏せのようになっていた。
おそらく衝突の衝撃で気を失ったのだろう。
ガラガラガラ
5号車に入る。
5号車には破片は落ちておらず血も出ていなかった。
5号車には萩原時雨しかいなかった。
ほとんどの乗客は前の車両に押し掛けたみたいだ。
萩原時雨の脈を確認する。
「……生きている。だが頭をぶつけているかもしれないな」
頭を強く打っているのなら無理に体を動かすことは危険だ。
かと言ってこのままここにいるのは得策とは思えない。
(車が線路に入ってから電車の衝突だから車は電車が轢き飛ばしたのか。だが後続で車が入っているかもしれない。零君達が全力で時雨君を逃がしたんだ。このバトンは継がなきゃならない)
「とりあえず6号車の穴から出さなきゃな」
確か200メートルほど戻れば踏切があったはずだ。そこまで運べば一先ずは安心だ。
(あんまり肉体労働は好きじゃないんだけどな…)
現在の状況
神岐義晴
隕石を避けながら東京競馬場を目指す
平原暁美・戸瀬奏音
東京競馬場でヘリコプターを待つ
鬼束市丸・雪走一真
甲州街道で交戦中
鬼束丹愛・
甲州街道南で府中街道を南下中
鬼束実録
甲州街道北で府中街道を南下中
萩原時雨・ドクター
南武線の電車の中
牧村桃秀
府中に隕石を降らせている
舟木真澄・九重那由多
府中へ引き返している
隕石が落下した後の話を書こうとしたらまさかの隕石が落ちる前までしか書けなかったというねw
ついに鬼束vs雪走が勃発
市丸1人ではなす術はないですが実録が来るまで何とか粘って欲しいですね
そして神岐と舟木達
ヘリへの攻撃を意識するにしては不自然な電話
神岐としても別に電話はしなくても良かったのですが別の意図があったため電話をしました
そこら辺は後に書きます
最後にドクター
鬼束達からのバトンを受け取って萩原時雨を逃すことになります
ここで萩原時雨を逃がすことが後々重要になっていくかもしれません
さて、次回も府中動乱
隕石が落下した後の話となります
鬼束vs雪走、神岐と舟木達メインになると思います




