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佐久本 苺の伴走

 

「びえええええええええええん」

「ふえええええええええええん」


 泣く二人をボーーっと見ている裕……もうほっとくしかないって表情……


「ひっくひっく、ふうう、栞おねえ、おねえちゃんなんか……きらいいい」

「きらいでえ、いいもん、お兄ちゃんとるひと、みんなきらいだもん」


 ついに喧嘩に発展する二人


「ハイハイ、その辺にしておけ、栞も苺も」


「だって、だってえ、お兄ちゃんんん」

 栞が俺の横に来て腕に抱きつき泣く……、あーあ袖がびしょびしょ……


「栞お姉ちゃんなんて嫌い、もうお兄ちゃんだけでいいもん」

 いや完全に本末転倒してるだろ……


 小学生、いや幼稚園児のオモチャの取り合いの様な喧嘩……



「苺はなんで栞になりたいって思ったんだ?」

 裕は泣き止んできた苺に問いかける。


「ふえ?、えっと、えっとね、栞お姉ちゃんは格好よくて優しくて凄くて憧れの人なの」


「じゃあなんで今喧嘩なんてしてるんだ?」


「だって、だって今の栞お姉ちゃん……普通なんだもん……」


「普通?」


「うん、栞お姉ちゃんって、もっと早くて、静かで、侵略的で、動じないと思ってた」


「風林火山かよ……侵略は苦しいだろ……」


「だってさ栞」

 裕は栞に向かってそう言うと栞は捕まっている腕から顔を起こし、苺を見る。


「苺ちゃん、あのね……私は普通だよ、苺ちゃんの方が凄いんだよ」


「私の方が凄い?」


「うん、誰かを認める、そしてそれに近づこうとするってとても凄い事」


「私はね、お兄ちゃんを凄いって認めて、お兄ちゃんの真似をしただけ、でもお兄ちゃんに近づこうなんて、思わない……それは無理だし、私は私だから……だから苺ちゃんの方が凄いんだよ」


「私は凄い…………そうか、そうなんだ……」


「うん、だから」


「私は凄いい!そしてお兄ちゃんはもっと凄いって事だね栞ちゃん!!」


「う、ん?、栞ちゃん?」


「よし!つまりお兄ちゃんと結婚すればもっと凄くなれてしかも栞ちゃんが私の妹になるって事だね!!」


「えっと、あのね苺ちゃん」


「栞ちゃん!苺お姉ちゃんって呼んでね」


「えっと、あれそういう事?お兄ちゃんねえお兄ちゃんってば」


「くっくっくくく」


 裕は笑いをこらえ横を向いている



「じゃあこれからは裕お兄ちゃんとの結婚を目指して頑張ればいいんだ、そうかそうしたら栞ちゃんとも家族になれてしかも私の方がお姉ちゃんで栞ちゃんよりも偉いし凄いし」


「ちょっとお兄ちゃん苺ちゃん結婚する気満々なんだけど、何とか言ってよ~~」

「えーーー? だって苺可愛いし、将来どうなるか分からないし、少なくても俺が断る理由ってある?」


「ひ、ひ、ひどいいいいいい、私が居るのにそんな事言うなんて、お兄ちゃんのばかあああああああ」


「裕ちゃん? 裕君? 旦那様? ダーリン? ねえどんな呼び方がいい~~結婚式はどうするうう」


「お兄ちゃんのばあかあああああ、おにいいい、あくまあああああ、ろりこんんんんんん」


「1歳違いでロリコンは無いだろ、むしろちょうどいいんじゃない?」



「苺ちゃんなんて嫌いいいいいい、もう帰ってえええ」


「えーーー栞ちゃんここは私の実家になるんだから帰るところはここだよ」


「まだ実家じゃないい、お兄ちゃんは誰とも結婚しないのおおおお」


「よしよし、栞ちゃんはお兄ちゃんが大好きでお姉ちゃんに取られて寂しいんだよね」

 栞の頭を撫でる苺………

 すっかり立場が逆転している……


「お兄ちゃんは私のなのおおおお、苺ちゃんにも誰にもあげないのおおおおお」


 栞の悲痛な叫びがリビングに寂しく響いていた……




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