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仙人、異世界で無双する  作者: サマト
第六章 仙人、王都へ向かう
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仙人、護衛開始だが………

「ケンッ! タテッ! マホウッ!」


その掛け声と同時に将人を抜かした全員はそれぞれの手を出した。マサリアとエミリアが人差し指と中指を伸ばして、それ以外は握っている―――これは剣を表しているらしい―――パウラとアベルトとファテマは手を開いていた―――これはこれは盾を表しおり―――マルテナは手を握っていた―――これは魔法を表していた。


「これは、やり直しじゃな」


マルテナがそう言って、もう一度、掛け声と同時にそれぞれが手の形を変えて手を出した。マサリアたちは異世界版ジャンケンを行っていた。将人が何故このジャンケンに参加していないかというと、将人が賞品だったからだ。『第一回 マサトの隣に座るのは誰だ!!』選手権の………


事の始まりはこんな始まりだった。


将人、マサリアとエミリアは今まで止まっていた宿屋を引き払い、冒険者ギルドでファテマ、パウラ、アベルド、マルテナと合流し、護衛の依頼を開始した。移動はマルテナが所有する馬車でとなる。この世界では珍しい二階建ての馬車で一階は将人たちが全員が乗れるほど広く、二階は荷物が置けるようななっていた。将人たちは二階に荷物を置き、馬車の中の席に着く。馬車の操作は御者に任せる事になり、将人たちは馬車の中で待機という事になった。


「俺たちは護衛という事で依頼を受けたんですが、のんびりしてるのはいいんですか?」


「緊張しててもしょうがなかろう。ピリピリしてると気が休まらんし、いざという時力が出せん。いいから休んでおけ。それより将人は何故、隅っこに座っとるんじゃ?」


馬車の中は向かい合って座れるようになっており、それぞれの席に四人、計八人は座れるようになっていた。将人は一番隅っこに座っていた。


「何でって特には理由はないんですが………」


「マサトは真ん中じゃ!!」


マルテナはズビシッと真ん中の座席を指差す。将人は何でと思うが依頼人だし言う聞いとこうと思い直し真ん中の席に着く。それを見てマルテナはニヤリと笑う。


「『第一回 マサトの隣に座るのは誰だ!!』選手権を開催するのじゃ!!」


マルテナが声も高らかに宣言する。その声にマサリアたちの目の色が変わる。


「マルテナ様、何を言ってやがりますか?」


将人が唖然としながらマルテナに尋ねる。


「マサトよ、お主、モテモテじゃのう。この中で将人を狙っておる者が二人、いや三人はおる様じゃ」


おっもい当たる節の者はマルテナの視線に目を合わせようとしない。


「その者はマサトの隣りに座りたいというのに、隅っこに座られては、隣に座れるのはたった一人、お互いを牽制して誰も座ろうとせん。真ん中に座ればとりあえず、二人は座れる。しかもゲームで隣に座る権利を得る事が出来るのじゃから、みな平等でいい事尽くしじゃ!」


マルテナがドヤ顔で腰に手を当て胸をそる。


「あのう、俺の意見は?」


「マサトが選ぶと諍いのタネになる。マサトは大人しく優勝賞品になっておれ」


「賞品ですか、俺は?」


ウム、と頷かれ将人はショボーンとしながら賞品となった。そして始まったのが異世界版ジャンケンだった。その結果、将人の右隣にはマサリア、左隣にはパウラが座れる事になった。マサリアの隣にはエミリアが座る。向かいの席にはファテマ、アベルド、マルテナが座る。


「オニイチャーン、オニイチャーン」


パウラは将人の腕に手を回し、満面の笑みを浮かべている。マサリアはパウラと同じように手を回したいのだが、恥ずかしくて躊躇している。その横でエミリアが耳打ちする。


「リアお嬢様、マサト様は鈍感です。好意を態度で示さないと分かってもらえせん。勇気を出して手を回すのです。さあ、リアお嬢様、ゴォー!!」


エミリアは無表情で抑揚なく喋っているが間違いなく面白がっている。


「ダァッ、うるさいわよ、エミ! 私はゲームて勝ったからしょうがなく将人の隣に座ってるだけなんだから。マサトの事なんて何とも思ってないんだから!!」


見事なツンデレだった。


「でしたら、私と席を変わりませんか? マサリア殿」


将人の隣りに座る権利を得られなかったアベルドが、チャンスとばかりに提案する。それにマサリアは悲し気な表情をしながら「いいわよ」と言おうとするが、エミリアが手で口を塞ぎ首を振る。そしてアベルドを冷たい氷の眼差しで睨みつける。アベルドはその眼差しに気圧され、息を飲む。その一連の流れを見ていたファテマとマルテナは大笑いであった。


「マサリアちゃん、初々しいよ、カワイイなあ。ヨシヨシ」


ファテマに笑いながらマサリアの頭を撫でる。マサリアは真っ赤になった顔を隠すように両手で覆う。


「将人もだが、他の仲間も面白いのう。ワシもこういう仲間と面白おかしく冒険をしてみたいぞ」


「面白くありません!!」


将人とマサリアの声がはもった。お互いを見つめ合い、照れくさそうに顔をそむける。それを見て、マルテナはまた笑う。いつまでも話が進まない所に救いの光が差し込んだ。


「もうそろそろ出してもいいですか?」


王家に雇われている御者が声をかけたのだ。


「何じゃ、まだ動いていなかったのか。よいぞ、出してくれ」


マテリアに言われ、業者はようやく馬車を動かし始めた。王都エリアリスまではラシェントから約二週間かかる。長い旅の始まりはこんなグダグダだった。

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