仙人、ファテマ、パウラに協力を頼む、装備の強化
将人かガラの悪い男に絡まれた翌日、別の依頼で他の街へ出ていたファテマやパウラが帰ってきた。ファテマはソフトレザーアーマーにバックラー、腰に小剣と魔法の杖という出で立ちにたいしパウラは銀色のプレートアーマーに大剣という対照的な出で立ちだった。ファテマはマサト達を見つけ挨拶をするが、パウラはマサトに突進してきた。将人たちは蜘蛛の子を散らすように逃げるが将人はロックオンされている為逃げる事が出来なかった。プレートアーマーの突進は迫力があった。
「オ兄チャーーン!!」
パウラがダイブしてきた。空中では身動きが出来ない為避ける事が出来た。目標を見失い床にダイブに何度も転がりやっと止まった。
「お兄ちゃん、ヒドいよ………」
泣きそうな声のパウラ。兜で顔が隠れている為よく分からないが実際泣いているのかもしれない。
「………俺、悪いんですかね?」
正面にいるファテマに聞くと
「マサト君は全然悪くない、避けるのが当たり前。パウラ、マサト君に会えて嬉しいのは分かるけどプレートアーマー脱いでからにしないと駄目だって言ってるでしょ」
「じゃあ脱いだら抱き着いていい?」
「ダメです!!!!」
パウラとファテマ以外の全員が即答だった。
二人に話なある事を伝えると、依頼達成の報告と依頼料の受け取りが終わってからという事でその間休憩所で待つ。
「パウラってホントに将人の事好きね。大型犬みたい」
「マサト殿の人徳ですよ。私も女だったら好意を寄せていると思いますよ」
その発言に将人は座っていた椅子からずり落ちる。そのまま後退さる。マサリアとエミリアも疑いの目を向ける。
「そういう意味じゃありませんよ。私は衆道の趣味はありませんよ」
言い訳にしか聞こえなかった。アッハッハと笑う声が聞こえそちらの方を見るとファテマとパウラがいた。
「出来のいい喜劇を見させてもらったよ、マサト君」
「そういう事をしているつもりはないんですが………」
「お兄ちゃん!」
パウラが正面から抱き着いてきた。思いっきり胸に顔をうずめられ息が出来なくなる。色気もへったくれもなく降参を宣言するように何度もパウラの背を叩く。
「パウラ、離しなさい!! そのままじゃマサト窒息死する!!」
「リアお嬢さまの言う通りです。離しましょう、パウラ様」
マサリアとエミリアがパウラを引きはがし、将人は貪るようにように呼吸をする。
「無理矢理抱き着くのはダメ、俺死んじゃうから!!」
「無理矢理じゃなければ抱き着いていいの?」
「ダメです!!!!」
またもやパウラとファテマ以外即答だった。
「………さて、落ち着いた所でお仕事のお話ししようか」
これ以上話がこじらせないようにするため将人が話を切り出した。特級という新たなクラスのテストケースをやる事になり、上位の依頼を受けれるようになった事。その依頼には『滅び』が絡んでいる事、『滅び』の事件に慣れている二人にも一緒に依頼を受けてほしい事などを伝えた。それを聞いてファテマは難しい表情を浮かべる。
「『滅び』の件に慣れてるって言ってもねえ。この前の件じゃ私たち何も出来なかったし。マサト君が一人で解決したようなものだしねえ、私とパウラじゃ役に立てないかも?」
「俺に考えがあります。これならファテマさんでも『滅び』に対抗できます」
「考え?」
この後、将人たちはシゲルイ・アカマの工房に向かう。工房の外から鉄を打ち付ける音がする。作業中であるようだ。工房のドアを開けると熱気が全身に吹き付けてくる。
シゲルイは鉄を打つのをやめ、首に巻いた布で汗を拭きながらドアの方を向く。将人の事を確認すると人懐っこい笑みを浮かべる。
「よう、マサトじゃないか。久しぶりだな、俺が作った盾の調子はどうだ?」
「シゲルイさんの作った盾は凄いです。俺のピンチを救ってくれました」
「そうかそうか、それは良かった。それで今日は………キレイどころが4人もいるな。礼に連れてきてくれたのか?」
「そうじゃなくお客です」
「あっそう、客ねえ………」
シゲルイはアベルドを見て悲し気に将人の肩を叩く。
「あの姉ちゃんたち、あの兄ちゃんのハーレム要員なんだろ。そんな中に一人とか泣けてくるな。お前の事を好きになってくれる相手もきっといるから挫けるなよ。今度酒でも飲みに行こうや」
「ハーレムとか違いますから! 孤独じゃないですから! 勝手に同情とかしないで下さい。それよりもお仕事です。魔力ゼロの鉱石を使って武器を作ってもらえませんか、五人分」
「それはいいんだが………全員分となると四日五日はかかるぞ」
「それでお願いします」
「なら全員の主要武器を見せてもらえるか?」
シゲルイはファテマやパウラ、アベルドの武器ならすぐに取り掛かれるがマサリアやエミリアの杖は武器ではない為作る事が出来ないという事だった。将人はマサリアとエミリアと相談しバックラーを作成してもらう事にした。
「しかし、そんなクズ鉄で作った武器何てどうするの? 役に立たないと思うんだけど?」
マサリアがもっともな意見を述べた。
「そのクズ鉄も工夫によっては伝説の武器にも匹敵する物になるから馬鹿にしたものじゃないよ。最後に俺が一工夫するから仕上げは御覧じろってね」
五日後マサリアとエミリアのバックラー、ファテマの小剣、パウラの大剣、アベルドの長剣が完成した。
「これ………失敗作?」
ファテマが首をかしげる。武器を作ってもらった者は同じ疑問を抱く。
「いやいや、バックラーはともかく武器は未完成です。シゲルイさん、剣の方にもモンスターの革を巻いてもらえますか」
「そりゃあどういうこった?」
「俺の盾にやってくれた工夫が盾をすごい武器にしてくれたんです。ともかくお願いします」
「まあいいが………」
疑問に思いながらもシゲルイはそれぞれの剣の刀身にモンスターの革を巻いていく。
「これで全員分が完成ですね。あとはこれらの武器防具に『氣』を流し込みます」
将人はマサリアのバックラーを右手にエミリアのバックラーを左手に持ち『全身周天』を行う。生成された余剰の『氣』をバックラーに流し込む。クズ鉄のバックラーが不思議な質感を持ち始める。芸術品の様なそんな輝きさえある。ファテマとパウラはその変化に驚きポカンとしていた。
「これって、マサトの盾と同じ………」
「そういう事。クズ鉄で作った武器や防具に『氣』を蓄積させ、モンスターの革で放出が可能になる。『滅び』に対してこれ以上の装備はないでしょ」
「マサト君、どうやってこんな事思いついたの?」
「俺じゃなくてシゲルイさんの工夫ですよ」
将人は同じ様に剣にも『氣』を流し込む。剣も普通のものとは違う輝きを持ち始める。パウラとアベルトは目を輝かせる。
「これがマサト殿の『氣』が籠った剣」
「お兄ちゃんの作った剣。私命名『お兄ちゃん剣』だ」
パウラが剣を振り回す。剣の刀身が淡く輝いたかと思ったら弧状の刃となって放出された。
「あんまり振り回したらアカン。せっかく蓄積した『氣』が減ってしまうから」
「俺の作った剣がこんなトンデモ剣になるたあな。もしかして盾もなのか?」
顎をしゃくりながら聞いてくるシゲルイに将人は頷く。
「これなら私たちでも『滅び』に対抗出来そうだね。私たちも君が受ける依頼に協力させてもらうよ」
ファテマがやや興奮気味に言った。




