仙人、この世界の創造した神様について、『滅び』について聞く、エミリアを疑う
その場で話すと誰が聞いているか分からない。図書館を離れ、宿へ戻ってくる三人。その頃には昼を回っていた為、宿で昼食を出してもらい食事をとってからマサトの部屋に集まり、調べた事についての報告会となった。
「さて、食事をとって血糖値が上がった所で調べた事を聞かせてもらいましょうか」
「ケットウチって何? マサトって時々訳の分からない事言うね」
?マークを浮かべながら言うマサリア。エミリアは何も言わないが似たようなことを考えているだろう。
「こっちの話だから気にしないでくれ。早速お願い」
「分かったわ」
マサリアはマサトの部屋に来る前に食堂でもらった飲み物で口を湿らせてから話し始める。
「まずはちょっとしたおさらい。この国は五大神を信仰してるわ。大地の神タシト、水の神ヘスサ、火の神マテオ、風の神ダーシー、そして最高神ミケルこの五大神が世界を作ったとされているわ。ここまではマサトでも知ってるよね」
その問いにマサトは両手の人差し指でぺけを作る。
「ホントなの? まあいいわ、ここからがちょっと信じられない話になるからよく聞いてね。私たちが調べた書物には五大神よりさらに上位の五大神さえも創造した祖神と言える存在について書かれていた」
「それってあっていい書物だったのか。宗教関係の人間だったら破り捨てるか燃やすかして隠蔽したくなるものじゃないのか?」
(『魔』と似た存在がいるかどうか調べたいとか思った途端そんな書物が見つかる何て都合がよすぎる。図書館に行こうと考えたのだって朝の事だし………ちょっと待てよ、図書館の事教えてくれたのエミさんだ。もしかしてエミさんに誘導されて?)
「その書物見つけたのってマサリアか?」
「私じゃなくてエミよ、見つけたの」
「はい、私が偶然見つけました」
いつも通り無表情に答えるエミリア。エミリアの答えに将人は息を飲んだ。厄介事に巻き込まれつつある、それにエミリアが関わっている線が濃厚になってくる。エミリアに詳しく問うてみるか迷う。
「マサト、どうしたの?」
マサリアが顔を覗かせる。将人力無げに笑ってごまかす。
(とりあえず、全部聞いてから考えよう)
「ゴメン、ちょっと考え事してた。ところでその書物、題名は何? 作者は?」
「それが、題名と作者名は削られてて読めなかったの」
「何ともおかしな話だな、そんな本を図書館に置くもんか。誰かが勝手に入れたのか。よく分からん。まあいいか。で内容は?」
「えっと、大まかに言うとこの世界の創造した神様について書かれてたわ。その神様が『滅び(滅び)』を作ってしまったとも。この世界は最初は混沌として形を成してなかった。ある日その混沌とした世界に波が発生した。波が重なりそれが音を生んだ。音が重なり言葉となり言葉が混沌に形を与えた。最初に形を成したのが光の神プデンシオ、闇の神マティルデ、夫婦の神様だった。光と闇の神様が色々なものに名前を付けて形を成した。色々なものの中に『綻び(ほころび)』があった。破壊に属するその言葉自体に綻びが生じ『滅び(ほろび)』になってしまった。『滅び』は全てのものを本当に滅ぼしていった。光と闇の神様は何らかの言葉によって『滅び』を封印した。この封印に光と闇の神様は巻き込まれてしまった』
「『滅び』を封じた言葉って何だったんだ」
「そこも削られてて分からないのよ」
将人は唸りながら腕を組んで考える。
(『魔』と『滅び』は果たして同一のものなのか? 神様がでさえ封印まだしか出来ないのにどうして俺は倒す事が出来る。おかしいよな)
「その『滅び』は封印以降現れていないのか」
「封印の『綻び』からまた『滅び』が現れる可能性があると書かれてた」
マサリアの報告はここで終わり、ここからは『魔』と『滅び』について考察するがまとまる筈もなく今日はお開きということになった。明日は実際『魔』と遭遇し『魔』に憑りつかれたファテマとパウラに話を聞こうと将人は考えていた。




