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仙人、異世界で無双する  作者: サマト
第九章 仙人、武術大会二回戦編
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仙人VS神剣、見えない攻撃、苦戦

「ではいきますよ」


アルマが無造作に剣を振るった。振り下ろし、横薙ぎ、逆袈裟、そうやってふるう度に魔力が弧を描いて将人に向かって飛んでくる。将人は横に飛んで魔力の刃を避ける。通過した魔力の伊庭は観客席に向かうが、そこには魔力の障壁が張ってあるようで観客席には影響はなかった。ただ、凄まじい轟音とともに障壁がビリビリと震えており、何発も打たれたら壊れてしまうのではないかと心配になる。


「さあ、さらに行きますよ」


アルマは更に長剣を振るい、魔力の刃を放出する。それを避け続け将人はある事に気が付き立ち止まる。


「囲まれた!?」


将人の上、前後左右、全ての方向が魔力の刃に囲まれていたのである。


「全方向からの魔力刃あなたに避ける事が出来ますか!!」


アルマが掛け声と同時に剣を振り下ろす。将人は咄嗟に『氣』を全身に漲らせ放出する。


「それでは防御出来ませんよ!!」


アルマの魔力量で造られた魔力刃は将人の『氣』で防ぐ事は出来ない。魔法が効きにくい将人に対して治癒魔法を行い治癒して見せた事でそれが証明されている。では、何故『氣』の放出を行ったのか? それは……。


将人に殺到した魔力刃が地面を抉り砂塵を巻き上げ、視界が遮断される。これで決着がついたとアルマは確信し、それを確認するために風の魔法で砂塵を巻き上げる。そこには砂塵に咽て咳き込んでいるが傷一つない将人が立っていた。


「バカな!?」


「ケホッケホッ!! そんなバカなって……」


咽てしばらく喋る事が出来ず、鼻をすすり涙をぬぐいようやく落ち着く将人。


「アー、苦しかった」


「……どうやって私の魔力刃を防いだのですか?」


アルマが信じられないもの見るように将人を見る。


「防いではいませんよ」


「だったら!?」


「単純に避けたんですよ。防いだんじゃなければそれしかないでしょ」


「そんなバカな!? 全方位からの魔力刃をどうやって避けたというのですか!?」


「それを説明する義理はないと思うんですが」


アルマが将人を睨み、もう一度魔力刃を全方位に展開し一斉に放出する。殺到する魔力刃に対し、将人は『氣』を全身から放出。全長二メートルぐらいのドーム状に展開された『氣』に無数の魔力刃が触れる。魔力刃は『氣』を切り裂き、将人に牙をむく。将人は『氣』の切り裂かれる感触からどの方位からどれくらいのスピードで来るかを察知し、影響のない場所にいち早く飛び込み、魔力刃を避けていた。

予選一回戦で無数の刃を紙一重で避ける荒行がここで生きていた。

アルマは無数に魔力刃を生み出す事が出来るがこう見事に避けられるのでは意味なしと魔力刃を打ち消し、魔力を自分の体内に戻す。


「『氣』を防御ではなく探知に使用したという事ですか?」


「エサクダ!!」


「ハッ? エサク!?」


将人が咄嗟に言ったスペイン語に困惑するアルマ。


「正解って意味です」


「最初からそう言って下さい。紛らわしい」


「スイマセン」


何故か将人は頭を下げてしまう。


「ともかく!! どの方位からどのようなスピードで来るか分かる以上、魔力の刃を何発放ってきても意味はありませんよ!!」


「そのようですね……広域に及ぶ破壊魔法はこの大会では反則になりますし……」


「ちなみにそういう技があるんですか?」


「どうしてあなたに教えなければならないのですか?」


突き離され将人はギャフンという顔になる。


「こうなると正攻法しかありませんね?」


アルマは身体強化の魔法を己にかける。アルマの体が魔力の淡い光に包まれる。


「行きますよ」


アルマがそう言った途端、アルマの姿が消えた。瞬間移動でも行ったかのように空間に溶けて消えた。そして将人の右肩に強力な打撃を受ける。衝撃を殺す事が出来ず、吹っ飛ばされ、地面に何度もバウンドしてうつ伏せに倒れる。


(な、何が起こった!?)


右肩の痛み、地面に叩きつけられた衝撃に頭がふらつきながらも立ち上がる。その途端また別方向から衝撃が来て転倒する。何度も衝撃を受け、その度に何度も吹っ飛ばされ、闘技場の円周上にある壁に叩きつけられた。そこでようやく攻撃が収まる。そしてアルマが再び現れた。


「……一体何をやったんですか?」


壁りよりかかり座っている将人が訪ねる。


「それを説明する義理はありませんね?」


将人が先ほど言ったセリフをアルマはニヤつきながら言う。


「やり返したつもりですか?」


「いい気分です」


「性格ワルッ!!」


何をやったのか暴いてやいてやらなければ気が済まない。将人は何が起こったのか考える。

将人はアルマが消える直前まで『氣』を放出しドーム状の結界を作っていた。この結界を何かが通過すればそれを察知する事が出来るはずだ。だが、それを察知出来ずいきなり衝撃が将人を襲った。その衝撃がどのようにして起こっているのか分からなければこのまま押し切られて負けてしまう。


(どうするべきか……)


将人は壁を背に立ち上がり『三体式』の構えを取る。これで前方からの攻撃しか来ない。これで攻撃の正体を見き分けるしかなかった。


「それしかないでしょうね。ですがその方法では負けますよ」


将人は答えずニヤリと笑う。


「いい覚悟です。では行きますよ!!」


再びアルマの姿が消えた。将人は全身に『氣』を循環させ『氣』を放出させるが、その『氣』を無理矢理体内に押し込め漏らさない様に調整する。

そして将人の体を凄まじい衝撃が襲った。





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