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仙人、異世界で無双する  作者: サマト
第九章 仙人、武術大会二回戦編
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仙人VS神剣 決勝戦開始

その日も雲一つない青空だった。カラッとしていて湿気も少ない。外で何かをするとしたらこれほど最適な日はないだろう。遊ぶにしても仕事にしてもそして……戦うにしても。


闘技場の中央に二人の人物が立っていた。一人は冴えない少年、日下部将人。外見はともかく並み居る強者を倒した少年だ。人は見かけによらないを地で行く恐るべき少年である。これか始まる武術大会決勝戦の観客らの評価は高い。まさにうなぎのぼりだ。それでも将人の対戦相手に対しては登り足りないと言える。将人が対峙しているのは『神剣』アルマ、この国の第一王女にしてこの国最強の剣士。実力もさる事ながらその美貌やスタイルは美と創造の女神が協力して作り上げた究極の存在といえる。天は二物も三物も与えるのかと嫉妬の目が向くものだが彼女を一目見ればそんな嫉妬は消えてしまう。どう足掻ても勝てない存在だと分かってしまうからである。

そんな相手を目の前にして将人は冷や汗をかいていた。笑えば住人が十人が惚れてしまう美貌の持ち主だが、その表情は苦虫を噛み潰したような顔をしておりで将人は何とも気まずい。思わず将人は声をかけた。


「あのう……アルマ様」


将人はアルマに睨まれる。これから戦いだというのに逃げ腰になりながらも将人は更に尋ねる。


「どうしたんですか? 機嫌が悪そうですが? 何かあったんですか?」


睨まれる事数秒、アルマは溜め息をついた。


「……アナタはこの恰好をどう思いますか?」


「恰好ですか?」


まじまじと見つめるまでもなく将人は思う。


(派手だな……)


実際派手なのである。マルテナが白銀の鎧立ったのに対し、アルマが纏っているのは黄金の鎧なのである。腰に帯びている長剣の鞘や柄拵えも宝石などが装飾されている。


「何というか黄〇聖〇士みたいだなと。聖〇抜〇とかいうと思いました」


その答えにアルマは怪訝な顔をする。


「こちらが考えていた答えの斜め上で少し驚いています。よく意味が分かりませんか無意味だとは思いませんか? これから戦うというのにこんな派手さなど」


将人はどうこたえるべきかと思案顔になる。


「状況によると思いますが……パレード・アーマーっていうその人の権威を世に知らしめるために華やかで壮麗な形状をした鎧というのもあるくらいですから。アルマ様の権威を知らしめるという意味では派手さがあった方がいいのでは?」


将人の意外な博識さに驚きつつも不満顔のアルマ。


「だったら脱がれては」


「それをすると父さまとマルテナが悲しい顔をするので」


想像して将人は失笑する。


「仲がいいんですね」


「私の本当の味方は父さまとマルテナだけですからね。二人にまでああいう目で見られたら私は……」


アルマが悲しげな顔をするのを見て将人は思う。


(ああいう目というのは想像つくな。身分もさる事ながら強さも相まっていろんな相手から色眼鏡で見られたんだろうな。マルテナ様が心配するのも無理もない。最強というのも考え物だな。その最強の看板だけでも下ろせれば楽になるんだろうが、それを俺に頼むというのはどうだろう。もっと強い相手がいるだろうに……)


将人は考える。結局神速の『崩拳』を再現する事は出来なかった。自分の戦力とアルマの戦力を比べるとこちらが圧倒的に不利なのだ。でもそれを考えてガムシャラに練習しても再現には至らなかっただろう。答えは本番で出すしかなかった。

死中に活を見出す為にも将人はハッタリをかます。


「『神剣』の二つ名、アナタには重いみたいですね。降ろしたいのでしたら協力してあげますよ。この試合で勝利する事で!」


将人の口上にアルマは一瞬ポカンしたがすぐにクスクスと笑いだした。


「私相手にその口上、面白い!『神剣』の名を! 権威を! 下せるというのならやってみるがいい!! あなたが挑むは剣の頂点に立つ者!! 頂点まで駆け上り、私を最強の『神剣』の座から降ろして見せろ!! マサト・クサカベ!!」


アルマは腰に帯びた長剣を引き抜き、切っ先を将人に向ける。切っ先から魔力が放出され将人の眉間を貫く。刃物を突き付けられたような感触、それだけでもアルマの実力が数段上であることが分かってしまう。それでも将人は闘技場に立っている。引く事は出来なかった。


(さてと、やるか!!)


アルマの長剣の切っ先から迸る不可視のエネルギーにあてられながらも『三体式』の構えを取る。呼吸を整え『氣』を『丹田』に集中する。『丹田』に集めた『氣』を体に循環させると眉間に放射される魔力が少し弱まり、魔力と『氣』ぶつかり火花を散らす。

自分の魔力が弾かれる様子を見てアルマが笑う。先程見せた弱々しい感じはない、まさに戦士の顔になっていた。


「私の魔力を弾けるほどになったようですが私の本気はこんなものではありませんよ」


アルマが中段に構える。その途端放出された魔力に将人の体が揺り動かされるが、それ以上動かなかった。自分も前の自分ではないと将人は動作で表しているのだ。


「よろしい、では戦いましょうか、存分に!!」


「おお!!」


将人とアルマは同時に動いた。







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