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仙人、異世界で無双する  作者: サマト
第九章 仙人、武術大会二回戦編
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仙人、予選二回戦抽選、戦う相手が決まる

将人、ウェル、ユージン、イズミの四名はドアをくぐり謁見の間に入った。謁見の間から王座まで伸びる赤い絨毯、その左右を等間隔で並んで立つ騎士。かつて将人たちはマルテナが友人より譲り受けた馬車を届ける依頼を遂行した時もこの絨毯の上を歩いたがそれが遥か昔の事のように思えた。居並ぶ騎士の間を歩く将人たち。騎士たちの見る目が従来の物とは違っていた。かつては訝しむような目で見られていたが、武術大会の予選通過者だという事が知れ渡っている為、騎士たちの見る目が尊敬や畏怖の籠ったものになっていた。将人はなんともくすぐったいものだと思いながら歩き、王座の前で傅く。ユージン、イズミは当然だがウェルもちゃんと傅いてくれた事に将人は心底ホッとした。


「面を上げよ」


アルヴァールに言われ顔を上げる。


「貴君らは各ブロックの参加者をすべて倒し勝ち残った強者である。この国において名を知らぬものはすでにおらぬ。この時点で武芸で身を立てるも立身出世も思いのままだろう。もし優勝者が出たとしたらその名は各国にも届くものとなるだろう。貴君らには優勝を目指して頑張ってもらいたい………さてと」


アルヴァールは激励の言葉を言い終えた途端砕けた口調にある。


「固い話はここまでだ。発言も許す、何でも話してくれれてかまわん」


将人は慣れているがウェル、ユージン、イズミはこんな風に砕けだアルヴァールを知らない、というか高貴な人間がこんな風にはない賭けてくるとは思わないだろう。呆然としてしまうのも当然だった。


「………では拙者からよろしいでござろうか?」


「拙者にござるとは武士か忍者みたいだな」


アルヴァールがは愉快そうに言う。


「ああ、それ俺もそう思いましたよ」


将人もアルヴァールに同意する。将人や前世が将人の世界の者でなければ武士や忍者が分かるはずもなく困惑する。困惑から脱却するべくユージンは咳払いをしてから言葉を続ける。


「これから拙者らはどのように戦う事になるのでござろうか?」


「それはもっともな質問だな。これから四名でくじを引いてもらう。組になった者同士が戦い、それぞれ勝ち残った者が戦い、最後まで勝ち残った者がマルテナと戦い、最後にアルマと戦ってもらう」


ユージンはフムと頷く。


「ならば拙者はマサト殿と戦いたいでござるよ」


「俺ですか!?」


名指しされた事に驚く将人。


「そうでござるよ。拙者は二つ名は持たぬ身でござるが『暗黒』殿とは無二の親友、ライバルという奴でな、いわば敵討ちでござるよ」


ユージンはにこやかに言うものの目が笑っていなかった。ユージンの体から殺気めいたものが迸る。内心冷や汗ものだがそれがばれないようニヤリと笑う。


「自分からも一ついいっすか?」


緊張もなく友人に話しかけるような気軽さで言ったのはウェルだ。


「何で『神剣』さんと『聖剣』さんは予選に出なかったんすか? お二人の実力なら予選何て楽勝でしょうに。身内だからて依怙贔屓しすぎじゃないっすか?」


ウェルの爆弾発言に場の空気は永久凍土が如く凍り付いた。ユージンが殺気を引っ込めてしまうほどである。将人は大混乱し爆弾で凍るとはこれ如何にとどうでもいい事を考えていた。


「………のう、姉さま。ワシ、耳が遠なってしまったのかのう。ワシらが贔屓されとるとか聞こえたんじゃが……」


地の底から響く様な低い声でマルテナが言う。


「いいえ、間違ってませんよ。私にもそう聞こえてますからね………そんなふざけた事を言うおバカさんには身を持って分かってもらわないといけませんわね」


アルマは穏やかに微笑みながら拳を鳴らす。


「そうじゃのう……」


二人がフッフッフッと笑いながら王座を立つ。将人にはこれから何が起こるのか容易に想像がついた。ウェルを見ると『神剣』と『聖剣』の怒りを買ったというのに何もなかったかのようにノンビリとしていた。ウェルの手を取って謁見の間から逃げようと考える。


「止めんか、二人とも!!」


アルヴァールの一喝で場の空気が溶けた。その途端謁見の間を警護していた騎士たちの数人がその場に倒れた。二人の体から迸った怒気は人を昏倒させるほどのものだった。それを平然と受け止めていたウェルは鈍いのかそれとも………。


「二人とも挑発に乗るな。そういう直情は微笑ましいがもう少し大人になれ」


(微笑ましいで済ませられるのか!? 人が倒れているぞ!!)


将人は突っ込みたかっただ口がカラカラに乾いてしまい言葉が出なかった。


「ウェルよ、確かに贔屓はしているがそれはアルマとマルテナではなく出場者に対してだ」


アルヴァールの言葉に皆がポカンとする。そんな中アルヴァールが話し続ける。


「アルマやマルテナはこの国では英雄、勇者と同一視されている。それに王族という事もあり進んで戦おうという者がないのだ。無理に戦えば国総出で戦った相手を非難する。そうなったらこの国にいられなくなる。時としては武力や魔力より数の暴力の方が恐ろしい事もある。二人と戦う相手にもそれなりの実力があればだれも避難などしなくなる。故に二人と戦うのは最後でなければならないという訳だ。わかったか、ウェル」


「二人を贔屓していたんじゃなく出場者を守ってたって事っすか。下手な挑発した自分が恥ずかしいっす。お二人ともすみませんでした」


ウェルは真摯に謝った。珍しく語尾に~っすとつけなかったのがその証拠だ。それを見てアルマとマルテナは溜飲が下がったようで、再び王座に座った。


「さて、落ち着いた所でくじだ」


アルヴァールが王座を立ち、将人たちの前に来る。握り拳を前に出す。拳より四つのこよりが出ていた。


「国王自らくじ係ですか。ちょっと茶目っ気出し過ぎでは?」


「王なんざやってるとこういう遊びをやる機会がなくてな、ほれ、早く引け」


将人は呆れながらもこよりを引く。こよりに色がついていなかった。


「次は自分が引くっす!」


ウェルがすかさず将人の隣に立ちこよりを引く。こよりの先が赤かった。


「ウーン、マサトさんとは戦えないっすか。残念っす」


ウェルはショボンとする。心底残念そうだ。


「次は拙者でござるよ」


ユージンは厳かにこよりを引く。こよりには色がついていなかった。これで将人はユージンとウェルはイズミと戦う事が決まった。


「……願いがかなったでござるよ。『暗黒』に勝ったその腕前見せてもらうでござるよ」


「胸をお借りします。よろしくお願いします」


将人は右手を差し出す。ユージンも右手で握り返した。それを見ていたウェルがイズミを訪ねる。


「自分たちも握手するっすか?」


「遠慮します」


イズミは無機質な声で呟く。


「これで予選二回戦の抽選は終わった。試合は二日後、Aグループの予選が行われた場所に新たに闘技場を作成しそこで行うものとする。それまで休むも訓練するも自由だ!。体を万全にして臨んでくれ! 以上」








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