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仙人、異世界で無双する  作者: サマト
第八章 仙人、武術大会開始
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仙人、予選通過者一同に会する

パウラ、アベルド予選敗退残念会が行われた翌日、将人とウェルは王城へ呼び出された。予選二回戦の対戦の抽選が行われるとの事だった。

マサトとウェルは侍女の案内で謁見の間に向かっていた。将人は一度謁見の間に入ったことがあり、そこまでの道順は覚えている為、平然と歩いているが、ウェルは初めて入った為、物珍し気にキョロキョロと周囲を見渡し、興味を持つ物を見つけるとダッシュで向かい触ろうとする。飾ってある絵画や鎧は庶民では手が出せない高価な物である事が分かる。それにべたべた触ろうとするウェルを、その度に止めなければならなくなり将人と侍女の人はすでにへとへとになっていた。


「お願いですから…何も触らないで下さい…何か壊したら…大変な事に…なりますから……」


「ウェルさん……侍女さんの言う通りです。お願いですから普通にしていて下さい。弁償しろってなったら…絶対に……払えませんよ」


「そう言っても自分お城何て入った事ないっす! こう…盗賊にでもなったようでテンション上がらないっすか!」


ウェルは子供のように喜んでいるが将人はテンションただ下がりだった。


「これ以上チョロチョロするのなら縄で縛りつけて運びますよ」


「ホントっすか!? マサトさんに縛り付けられるならどんとやってください。このヤワ肌に食い込むくらい荒々しく縛って下さいっす!!」


ウェルは鼻息荒くする。上着をまくり、可愛らしいおヘソと下乳、ピチピチの肌を見せるが将人は興奮しなかった。将人は無言でウェルの顔に右手を伸ばし、顔面を指先で握り締めた。アイアンクローという奴である。


「イタイ、地味にイタいっす!!」


ウェルは自分の顔を握る将人の手を叩き降参の意志を示すが、将人はウェルの顔を握り続ける。


「ウェルさん、これ以上何もしない! 侍女さんの後をついていく、OK?」


将人はドスを利かせた声で言う。


「でも自分、お城何て初めてで………」


「OK?」


将人は微笑みを浮かべながらウェルの顔を握る力を強める。ミシリという嫌な音が聞こえた。OK以外の答えは聞かないつもりのようだ。本気で怒っている事が分かったウェルは即座に「OK」と答えた。その答えが聞ければ将人も鬼ではない。ウェルの顔から手を離した。


「ウェルさん、今度同じことをやったらまたアイアンクローの刑ですから」


ウェルは顔を擦り涙目で将人を見る。そんな目で見られれば普通の男性なら手を差し伸べるだろうが将人は手を差し伸べず腕を組んで睨む。


「マサトさんが冷たいっす」


「もう、ホントお願いですから真っ直ぐ行きましょう。これ以上道草食わずに!」


「了解っす!」


ウェルが右手を額に当てびしりと敬礼する。


(何でウェルさんはどうして敬礼を知ってるんだろうか………)


将人は内心冷や汗をかいていた。



そんなこんなでようやく将人とウェルはようやく謁見の間の扉の前にやってきた。ここまで来るのに将人のHPは0になりかけだった。予選の抽選など誰か代役を立てて休みたい気分だ。原因となった人物は元気なのだから腹が立つ。もう一回アイアンクローかまそうと手を伸ばした時、手首を捕まれた。


「女性に手を出すのはイカンでござるよ」


そう言って手首をつかんだのは目鼻立ちの整った優男だった。だが、将人が驚いたのはそこではなかった。


(ござるよって何よ!? まさかのブシ!? ニンジャ!? というかこの人気配を殺していた。まったく気が付かなかった!?)


さらによく見ると金髪碧眼、どう見ても東洋人ではなかった。将人よりさらに身長が低く165センチといった所か。


「えっと……どちら様で?」


将人は手を引っ込めて聞いてみる。


「これは失礼、拙者ユージン・リーキーと申す」


「ユーシンて確か予選でアベルトと戦った……」


「おお、あの少年の知り合いでござったか?」


「ええ、俺の冒険者の仲間です」


「彼の仲間という事はお主もなかなかの腕なのでござろうな?」


「まあ、予選通過してますしね」


「ここに集まるのならそれも当然でござるな。という事はそこな女子も予選通過したでござるか?」


「そうっすよ。自分はウェルと言うっす。こっちはマサトさんっす。自分たち強敵っすから当たったら覚悟してほしいっす」


「それは怖いでござるな。二回戦で当たったらお手柔らかに頼むでござる」


ウェルの威嚇をユージンは自然体で受け流す。


「ここに三人か、後もう一人いるんですよね?」


「そうでござるよ………噂をすれば何とやら、来たようでござるよ」


将人たちのように侍女に案内され、やってきた赤毛の長身の女性。


(この女性がイズミか? パウラちゃんはハッケショウって言ってたが本当にあの八卦掌なのか?」


将人は思わずまじまじとイズミの顔を見る。その視線に気づき見つめ返すイズミ。将人のぶしつけな視線にイズミは嫌悪感を抱いたようである。二人の視線がぶつかり合い火花が散った。二人の視線の間に身を挺して割り込んだのはユージンだった。


「まあまあお二人さん、待つでござるよ。二回戦が始まればいやでも戦う事になる者同士なのだから今は落ち着くでござるよ」


そう言われ将人とイズミは気を緩める。


「すみません、不躾に見つめてしまって。俺の方が失礼でした。謝ります、すみませんでした」


マサトが頭を下げたのにイズミは驚いていた。


「アナタは女に頭を下げられるのですね………私もこらえ性がなかった。ちょっと見られたくらいで敵意を出してしまうとは。こちらも謝ります、すみません」


将人とウェルの態度を満足げに見つめるユージン。


「さて、二人の諍いが収まった所で謁見の間に入るでござるよ」






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