仙人、マルテナ乳をもげ、姉を『神剣』の座から降ろしてくれ
「ちょっと待って欲しいっす?」
将人とマルテナの話にウェルが入ってくる。
「マサトさんなら予選は余裕で通過できると思うっすけど、準々決勝や決勝で自分やマルテナ様に当たったら幾らマサトさんでも勝てる見込みないっすよ。無茶なお願いだと思うんすけど」
「こちら、どちらさんじゃ?」
マルテナが素朴な疑問を漏らす。マルテナはウェルとは初対面だ、当然の疑問である。
「自分はウェルっす。モンスターの討伐依頼が縁で行動を共にしているっす。ヨロシクっす」
ウェルが右手を差し出す。
「これはご丁寧に、ワシはマルテナじゃ。知っておると思うがワシはこの国の第二王女………」
マルテナも右手を差し出しウェルと握手しようとするがその手が止まる。マルテナの視線はウェルの豊満な爆乳に向いていた。その視線をどう受け取ればいいか分からず、引きつった笑みを浮かべるウェル。視線を一端自分の胸に向け自分の貧相さに涙し、もう一度ウェルの胸を見る。持たざる者の悲しみが怒りに変わりとった行動は………
「ギャーーーー!! イタい、イタいっす! チギれるっす!!」
ウェルがあまりの痛みに悲鳴を上げた。
マルテナが両手でウェルの胸を思いっきり掴み引きちぎろうとしたのだ。
「チョッ!! アンタ何してるんだ!?」
将人がマルテナを羽交い絞めし後方へ引っ張るがマルテナはウェルの胸をはがそうとしない。
「エエイ! マサトよ! 離さぬか!! このような魔乳、世の為にならん!! 今、この場でもぎ取ってくれる!!」
「マルテナ様はまだお子様! お子様という事は伸びしろがあるという事です! ここまで大きくはならないとしてもそれなりに育つと思います! 美貌と相まってとんでもない破壊力を発揮すると思います! 男がほおっておかないですよ! 未来に希望を持ちましょう! だから離しましょう!」
マルテナがウェルの胸から手を離した。その隙に将人は後方へ引っ張りウェルから距離を取る。
「さり気に恥ずかしい事を言ってくれるのう、マサト………」
マルテナが下を俯きながら小声で呟く。どういう表情をしているのか分からないが形の良い耳が真っ赤になっているのは見て取れた。照れているらしい。
「最後はベタ褒めたのじゃからお子様扱いしたのは勘弁してやるかの」
顔を上げたマルテナの顔には怒りはなく笑顔だった。ホッとしてマルテナを離し、今度はウェルを見る。ウェルは胸を押さえうずくまっていた。
「ウェルさん、大丈夫?」
将人はウェルにもとに駆け寄る。体に手を置くと震えていた。ブツブツと何かを呟いているのが分かる。
「ウェルよ、すまなんだ。その…なんじゃ、怒りを抑える事が出来なんだ。謝るから許してはくれんか?すまなかった!」
マルテナの言葉にウェルは無反応だった。何を呟いているのかと将人は耳を近づける。
「………何だろう、この感覚? すごく痛かったのに体の芯が凄く熱い…痛かったのに何でこんなに気持ちよかったの!? こんな感じ初めて………」
「ウェルさん!?」
将人がウェルの体を揺さぶる。それに反応してウェルが顔を上げる。ウェルの顔は紅潮しており、スゴく……やらしい表情をしていた。将人と原因となったマルテナは一歩後ろに引いた。
(………この人、ドMや………)
「さて、話が少し逸れてしまったが改めて言うぞ。将人、姉さまを倒して優勝してはくれんか?」
「それなんですがどうして俺にそれを頼むんですか? 俺よりマルテナ様の方が強いのだからマルテナ様がやればいいのでは?」
「ワシじゃ無理じゃ。体力や魔力、剣術の完成度ではるか先を行かれてしまっとる。少し修行したくらいじゃ差は埋まらん。その点、マサトの武術は特殊じゃし、さらには『氣』という特殊な力がある。姉さまを打倒できる可能性は大いになるのじゃ」
「でも、決勝まで行かないとアルマ様と戦う事は出来ませんよね、果たしてそこまで行けるのか………もしマルテナ様と戦う事になったら手加減してくれます?」
「それはダメじゃ。ワシの屍を超えて決勝にいくのじゃ」
「ダメですやん」
将人は涙をチョチョぎらせる。
「さらに自分も出場するんで無理だと思うっす」
ようやく快楽から脱却したウェルが口を挟んだ。
「そういえばさっき何気に自分が準々決勝に出場出来るというとったか強いのか? ウェルとやらは」
怒りに身を任しながらもウェルの会話を覚えていたらしい。
「強いと思いますよ。ウェルさん上級冒険者ですし」
「何じゃと!? お主、年は幾つじゃ?」
「自分、十三っす」
「何、ワシより一才上、その上上級冒険者じゃと!? 信じられん!!」
マルテナが腕を組んで考え込む。もし、姉のアルマを倒すという話をウェルの方に持ち込むというのなら将人はそれでも構わなかった。
「……いや、ワシはやはりマサトに頼むのじゃ」
マルテナは決断する。
「マルテナ様はどうして俺をそんなに推すんですか?」
「理由はさっき言ったのじゃがその以外の要因はワシの……カンじゃな。マサトならやってくれる、期待に応えてくれるというカンじゃ」
「そんな不確かなもので決めていいんですか? ウェルさんの方が確実に決勝まで行けるような気が………」
「いいんじゃ、ワシはもう決めたのじゃ!!」
マルテナが癇癪を起こす。これ以上は余計な事を言わない方がいいだろうかこれだけは聞いておかなければならない。
「最後に疑問何ですか……マルテナ様はどうしてアルマ様に負けて欲しいんですか?」
それを聞くとマルテナが悲しげな顔をする。
「それはの………姉さまが諦めておるからじゃ」
「諦めるって何を?」
「女性であることをじゃ」
マルテナは苦渋を吐き出すように独白を続ける。
「姉さまは強すぎる、姉さまが本気で戦えば小さな国くらいなら一人で滅ぼせるほどの強さを有しておる。そんな姉さまを女性として愛せる男がおるか? おらんじゃろうて。ワシは姉さまには最強の剣『神剣』としてではなく一人の女性として生きて欲しいのじゃ! ワシに強さがあればワシが姉さまを『神剣』の座から叩き落しておる! じゃがワシにその強さがない。じゃからワシは将人の頼むのじゃ。姉さまを『神剣』の座から叩きとして姉さまを救ってくれ!!」
マルテナは大粒の涙をホロホロと流していた。自分で姉を救いたいのだろうにそれが出来ないのは確かに無念だろう。
「………俺がアルマ様に勝てる確率は限りなく低いでしょうがマルテナ様の期待に応えられるよう最大限の努力をする事を約束します」
将人ではアルマに勝つ事が出来ないだろう。だが、マルテナの涙を見て自分では無理だという事は出来なかった。
「それでよい、感謝するぞマサト!」
マルテナは自分が抱えてた苦しみを少しでも吐き出す事が出来たせいか晴れ晴れとした笑顔を見せた。