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仙人、異世界で無双する  作者: サマト
第七章 仙人武術大会前日譚
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仙人、新たなゼロ鉄製武器&防具。その性能は?

「周りからがクズ鉄呼ばわりだがバカにしたもんじゃないぜ」


シゲルイが自信ありげに胸を張る。


「魔法が通じないねえから一から作らないといけないがその分………何と言うか魂を籠められたっていう感じがしたぜ。布にマサトたちの名前が書いてあるが、それが専用の武器だから手に取ってみてくれ」


将人は自分の名前が書いてある布を手に取り、引きはがす。


「俺のは武器じゃなくて防具じゃないですか」


将人の手にあったのガントレットとは違う、どちらかといえば日本の手甲だった。


「マサトが武器を使うイメージが浮かばなくってな。かといって将人がガントレットを使うは今更ながら違うように思えてな、何かないかと色々調べたら丁度いい資料を見つけてな、それを参考に作ってみた」


将人は手甲に手を通してみた。手甲は全体的に黒色だった。手の甲から上腕までを覆うもので指先は出す事が出来るようになっていた。拳に手の甲、上腕部には薄いセロ鉄がビスで打ち込まれ固定されていた。手首を回したり、腕を回したりした後、簡単に『五行拳』を行い、感触を確かめる。


「軽いですね、それでいて柔らかいし。今までのガントレットに比べたら使いやすそうですけど防御力はほとんどないようで少し不安ですけど」


防御力が紙のようでいざ戦いになった時、役に立たなそうで不安になる。ガントレットの方がまだ頼りになる。


「俺は言ったよな、通常のモンスターにも通用するって」


シゲルイがそう言うと懐から出したナイフで切り付けてきた。シゲルイは敵ではない為、反撃は出来ない。将人はとっさに両手をクロスしてナイフを防ぐ。手甲とナイフがぶつかった瞬間、金属的な音が周囲に響きナイフを弾いた。その感触に驚いた将人を見てシゲルイがニヤリと笑った。


「どうよ」


「どうよって、布でどうやって鉄をはじいたんだ? 金属的な音がしたよな」


将人が手甲の布地の部分を凝視して顎が外れそうなぐらい口を開いて呆然とした。


「これ布じゃなくて鉄だ。絹の糸のように鎖で編まれてる」


「それホント!?」


マサリア達が将人の腕を取って手甲を凝視し、驚きの声を上げている。


「どうよ、驚いたか? 東の大陸の武器や防具の資料を調べていたら手甲というのがあってよ、こういうのがマサトに合いそうだと考えて色々試作品を作ってみたがイマイチでな、だったら布地部分をゼロ鉄で造ってみたらいいんじゃないかと閃いてやってみた」


「やってみたってそんな簡単に……色々やり過ぎです。こんな根気のいる作業を延々とやってたなんて………」


将人たちは一様に凄いという言葉しか出なかった。


「シゲルイおじちゃん、ゼロ鉄の鎧とかは作れないの!?」


パウラがシゲルイに詰め寄る。将人の様子を見る限り、手甲は軽いうえに固い。ゼロ鉄で全身鎧を製作してもらえれば同様の効果を期待できる。もしかしたらもう作っているのではという期待があった。だが、シゲルイはすまなそうに頭を下げた。


「すまねえな、パウラの嬢ちゃん。今回は時間がなかった、鎧の作成はしてねえんだ」


「そっか、ザンネン……」


パウラがションボリする。


「ホント済まねえ。その代わりと言っちゃあなんだが、嬢ちゃんらの武器はかなりいい物になってるから期待してくれ」


「ふうん………」


マサリアは自分の名前が書いてある布の包みをはがす。


「………タガーね、これ」


マサリアは革製の鞘からタガーを抜き淡々と呟く。全長三十センチ、幅は二センチほど、特別な感じがしない普通のタガーだった。エミリアとファテマが包みをはがすと同じタガーが入っていた。どういう事というように三人はシゲルイを見る。


「嬢ちゃんらは魔法使いだろ。武器を持って戦うという事はまずないだろ。だから護身用として作ってみた。戦う以外にも用途があるから使い勝手がいいと思ったんだがどうだ? 一応ゼロ鉄製だ。」


マサリアが鞘に短剣を収めて目を閉じて考える。


「まあ、私たちならそうなるわよね。武器は一通り使えるよう訓練はしてたけどあんまり得意じゃないからむしろありかも。ありがたく使わせてもらうわ」


エミリアとファテマも頷く。


「それならヨカッタ」


シゲルイが満足げに頷く。


「次は私のですね」


「アベルド君、待って。私の包みもとるよ」


アベルトとパウラが一緒に包みをはがした。アベルドが持っているのは直身、両刃の剣だった。全長は百四十センチ、幅が約三センチ、剣を持つ柄がかなり長い。片手両手どちらでも使う事が出来るようだ。バスタードソードだった。

パウラが持っている剣はアベルトのより長いものだった。アベルトと同じ直身、両刃であったが全長が百八十センチと長い。柄も両手で使う事を前提としており柄がアベルトの剣より長い。ツゥ・ハンドソード、文字通りの両手剣だった。

この二つの剣、刀身に特徴があった。二人はこれに気付き驚きの声を上げる。


「この波模様は何ですか!? この模様は剣というよりは………」


「スゴいキレーでオシャレだよ。これで戦うの少しもったいないよ」


この二つの剣の刀身には刃文が浮かび上がっていた。日本刀では焼き入れという作業を行うと刃文が出来る。この作業が刀の切れ味や強靭さに深く関わるのだが、シゲルイにそんな知識当然ある筈がなかった。


「そうだよな、この模様、どうして出てくるのか実の所よく分からねえんだよ? もう少し作ってみてある程度狙った模様が出せるようにしたいんだよな」


シゲルイは職人らしい悩みを口にする。


「実際切れ味はどうなんでしょう?」


「試しきりしてみたいよ!」


パウラが少し興奮気味にツゥ・ハンドソードを振り回す。


「振り回すんじゃねえ! アブねえだろ!! 裏で試し切りが出来るからそこで思う存分振り回せ!!」


シゲルイに怒鳴られ、パウラがションボリした。



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