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仙人、異世界で無双する  作者: サマト
第七章 仙人武術大会前日譚
122/190

仙人、ウェルに艶めかしく迫られピンチに陥る。パウラは………属性だった

討伐対象である『岩のストーンホーン』は王都から馬車で二日ほど行ったところにあるウルバー鉱山に出現した。普通のサイクロプスは生き物を食料とするが、『岩のストーンホーン』は魔力を含んだ鉱石を食料とする。

ウルバー鉱山麓の鉱夫たちの村の住人が『岩のストーンホーン』を確認し、一度は鉱夫たちで討伐を試みたが返り討ちに合ってしまい、冒険者ギルドへ依頼する事となった。


「あれがウルバー鉱山か? 村からは目と鼻の先だな」


将人たちは鉱夫たちの村の奥にあるウルバー鉱山の出入り口となる門の前に来ていた。いくつもの木の杭を打ち込んで出来た簡素な塀、その真ん中に開閉式の門があった筈なのだが今は壊され、門の役割を果たしておらず、鉱山からモンスターが出てくれば簡単に村に侵入されてしまう。


「じゃあ行こうか」


将人の声にマサリアたちは頷き、門をくぐり、ウルバー鉱山へ向かう。鉱山までの道を歩いていると争いの後が見て取れる。道の周りの木々が倒壊し、地面が一部抉れている所がある。壊れた剣や盾、兜等が転がっており、戦いの激しさが伺われる。


「ここで戦闘があったんだな」


「そうっすね」


先頭を歩いていた将人の隣りにウェルが来て答えた。ウェルはフード付きのマントを目深に被り、前かがみで歩いていたかと思ったら背筋を伸ばしマントの前をはだけ、その中を見せた。将人は思わず悲鳴を上げそうになったがウェルが自分の唇に人差し指を当てて黙らせる。そして話を続けながら歩く。


「ここの村の住人は戦闘力が高いっす。鉱山の坑道にでるモンスターくらいなら楽勝で倒せるっす。正直並みの冒険者より戦闘力は高いんすよ。だから、なめてかかってたっすね。でも、それもしょうがないっす。本来なら現れるはずがないっすから、『岩のストーンホーン』なんて高レベルなモンスターは」


「じゃ、じゃあ、何でそんな奴が現れたんだ?」


将人はなるべく正面を向き、ウェルを見ない様にしながら歩く。


「そこが謎っす。誰かが魔法で召喚したのかもしれないっす」


「モンスターを呼び出すなんてそんな事が出来るのか?」


将人は思わずウェルの方を向いて、顔を赤くして反対方向を向く。その反応をウェルは楽しみながら話を続ける。


「高レベルの魔法使いなら可能という事だけど、自分はそんな事が出来る魔法使いにはあったことがないっす」


「そうか………」


将人の顔から火が出るくらいに赤くなる。


「………あのう、マサトさぁん。何でこっちを見ないっすか? 悲しくなるっすよお」


ウェルが将人にしなだれる。上目使いにみられ、将人は声にならない悲鳴を上げる。

将人がウェルを見れない理由、それはマントの下の服に問題があった。ウェルが来ているのは黒のワンピースだっだ。ただ、スカートの丈が短い、胸元が大きく開いている、開いた胸の部分は黒い紐でクロスさせ下に落ちないようにしているが、紐が胸に食い込んでおり何かエロい。下着をつけていないのか胸の先端の布地が小さく膨らんでいる。将人の隣りで何か甘い吐息を吐かれる。将人が耐えられる許容範囲が限界に近かった。


「マサトさん、やっとこっちを見てくれたっす。マサトさんに意識してほしくてこんな服装にしてきたっすよ。マサトさんに見られると体が熱くなってきて………ほら、ここも勃ってきたすよ」


ウェルが胸の先端を指先でいじくる。


「マサトさんなら、触ってもいいっすよ」


ウェルが将人の手を掴もうとした時だった。


「だったら私が触ってあげようか」


暗い情念のこもった声が後方から聞こえた。ウェルが横に逃れる。次の瞬間何かか上空から落ちてきて地面を抉った。将人は悲鳴を上げつつ落ちてきたものを見た。パウラが大剣を振り下ろしていた。命を刈り取ろうという本気の一撃だった。


「パウラちゃん、今本気で剣を振ったすね! 危なかったすよ!」


ウェルの表情が引きつっていた。パウラがウェルの方を向くのだが、それが機械的でゾッとした。


「何で逃げるの、ウェルさん。お兄ちゃんを誑かすその二つの塊をもぐんだから逃げちゃだめだよ………」


パウラは笑顔で言うが、瞳孔が大きく開いていて狂気的だった。


(パウラちゃんってツンデレ属性があったのか? ヤバい! 何とか止めないと)


「パウラちゃん、ストップ、落ち着いて!!」


「何で止めるのお兄ちゃん、お兄ちゃんはあんなデカいオッパイがいいの!?」


パウラがポロポロと涙をこぼす。ちなみにパウラは全身鎧を装備しているが、行動の中に入るにあたって視界を確保する為兜を装備していなかった。

どうすればいいのかと将人が頭を抱えていると、鉱山へ続く道の方から何かがやってくる。モンスターのコブリンのようだが様子がおかしい。コブリンなのだが人間の戦士や魔法使いのように武器や防具、杖を装備していた。


「三人とも、後で説教ね。それより敵が来たよ。気分を切り替えて戦闘に集中して」


ファテマが将人たちの声をかけ、気分を切り替えさせる。将人は助かったと思いつつ、数体のコブリンに突っ込んだ。痴情のもつれより戦闘の方か遥かにマシだと将人は思った。

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