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仙人、異世界で無双する  作者: サマト
第七章 仙人武術大会前日譚
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仙人、新キャラに出会う………か? 大いに動揺させられる

将人たちは武術大会のエントリーを終え、列から離れた。


「全く、人をかけの対象にしてボロ儲けしやがって………」


将人は済んだことをブチブチと愚痴っていた。


「スミマセンでした。いい加減に怒りを鎮めて下さい」


アベルドは将人の前に回り頭を下げる。


「そうだよ、お兄ちゃん。アベルト君はむしろ、賭けを止めようとしたんだよ」


パウラがアベルドを弁護した。パウラが言うには、将人が三人の男たちに連れ去られた後、ある人物が賭けを始めたらしい。『将人が戻ってくるか』、『男たちが戻ってくるか』、『誰も戻ってこないか』の三択にお金が賭けられていく。「人を賭けの対象にするな」とアベルトが止めようとしたが、その人物がアベルトを取り押さえ、懐からお金を巻き上げ、『将人が戻ってくるにかける』に賭けてしまったのだ。


「アンタは仲間が負けると思ってるっすか?」


「そんなことはない!!マサト殿は強い!! あんな筋肉だけの男たちに負けるはずがない!!」


「なら、賭けれるっすよね」


「おお!!」


売り言葉に買い言葉となりアベルトも賭けに乗る事になってしまったのだ。


「………アベルト君の単細胞」


パウラはアベルドの乗せられやすさに呆れながらも将人に賭けることにした。『将人が戻ってくる』が一番の大穴で、アベルトとパウラ、その人物以外誰も賭けなかった。結果、大穴が入り三人に大金が入り込んだのである。


「アベルドを取り押さえたって何者だ?」


「その人物は………」


アベルドはしばらく黙り込んだかと思ったら顔を赤らめる。鼻の下が伸びているように思える。


「アベルド君のエッチ」


パウラがアベルドを軽蔑の目で見る。


「な、何を言っているのですか、パウラ殿!! 私はあんな見事な物を押し付けられた事を思いだしてなど………」


アベルドが嫌らしい笑みを浮かべている。見ていて何とも情けない。


「エッチ、スケベ、ヘンタイ」


パウラが無表情で事実を淡々と告げる。言葉に感情が籠っていない為、なお冷たく感じられる。


「アベルドを取り押さえた人物ってもしかして………」


将人が二人の会話から導き出された事を言おうとした時だった。


「マサトさぁ~ん!!」


後方から誰かが将人の名前を大声で叫んだ。将人が声の聞こえた方向を振り向く。人ごみをかき分けてこちらに走ってくる人影があった。そして、将人の胸に飛び込んできた。


「マサトさん、お久しぶりっす」


将人は踏ん張る事が出来ず、倒れてしまう。体を打ち付けた痛みに耐えながら飛びついてきた人物を見ながら訪ねる。


「キミ、誰?」


「自分の事が分からないっすか?」


そう言って飛びついてきた人物は上半身を起こし、将人を見下ろしていた。新めて将人は自分から降りずに見下ろしている人物を見る。年の頃は十二、三。いや、もう少し年上かもしれない。赤銅色の肌に黒い短髪、何にでも興味を持ち、捉える事が出来そうな大きめの碧眼。小さい猫のような風貌をした少女だった。更に視線を下に落として将人は目を逸らした。


(………なんだ、あの質量の暴力は!?)


見た感じからあの上に載っている人物は、そんなに身長が高い方ではない事が予想できる。だが、その胸についている二つの双丘はあまりにもアンバランスだった。巨を超えた爆ではないかと思われる。将人はチラリと二つの双丘を覗く。その視線に少女が気が付きニヤリと笑った。


「何すかあ、マサトさあん。あなたもこの二つのオッパイが気になるんすかあ」


子猫から女豹にランクアップした少女が爆乳を持ち上げる。


「男の人はこの二つのものに邪な視線を向けるんすよ。もう穴が開くぐらいジロジロ見て………視線に犯されてるようで、でもそれが気持ちがよくて………声かけてきた人にはもれなく天国を見させてあげたっすよ。マサトさんもご所望すか?」


少女が蕩けた表情で将人の頬を撫でる。


(すごくヤバい! エロい! どうする!?)


変なところに血液が集中してしまいそうになった時、将人はある視線に気が付いた。パウラがものすごく悲しげな表情で将人を見ていた。その視線に将人は冷水をかけられたような気分になり、冷静になった。


「十八禁禁止!!」


将人は少女の両脇に手を居て持ち上げ脇にどかし、起き上がり後方へ下がり距離を取った。


「何すか、マサトさん。あそこまでやったのに手を出さない何てイケずっすね」


「じゃかましい! もう一度聞くけど………キミ、誰?」


「本当に分からないっすか、悲しいっす」


少女が両手で顔を覆い、シクシクと口で擬音を言う。ウソ泣きと丸わかりである。

どこかで本当に会っているのではと将人は思い返してみる。こういう喋り方をする人物に一人心当たりはあるが、その人物は多分男の筈である。ローブ越しでもあの爆乳は分かるはずである。


「降参、アンタが誰なのか教えてくれないか?」


「すぐ正体を明かすのは面白くないっす。しばらくマサトさんに同行させてもらうっすからその間に思いだしてほしいっす」


「ダメェェェェ!!!」


「爆乳は近づくな!!」


パウラとアベルドが将人の前に立ちふさがる。


「何すか、アベルド君、自分のものを見てヘロヘロになってたのに………マサトさんと一緒にいるの許してくれたら………触らせてあげてもイイっすよ」


少女の伝家の宝刀をアベルトは一刀両断する。


「煩悩退散!!」


「何すか、たいして抵抗力っすね」


少女が愉快そうに笑う。


「マサトさんはどうしたいっすか?」


「一緒にいたいのなら名前くらいは教えてほしいな?」


「お兄ちゃん!? お兄ちゃんもやっぱりそうなの?」


「マサト殿、あんな脂肪の塊に飲み込まれたらダメです!! 正気に戻ってください!!」


二人は将人の肩を掴み前後に揺さぶり、正気に戻そうとする。


「二人こそ正気に戻れ」


将人はアベルトとパウラの頭部にチョップする。


「それで、アンタの名前は?」


「言うと一発で分かるんで、仮名でウェルとするっす。しばらくヨロシクっす」


少女―――ウェルが右手を差し出してきた。将人はウェルの手を握り返した。







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