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仙人、異世界で無双する  作者: サマト
第七章 仙人武術大会前日譚
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仙人、アルマに挑発される? 武術大会出場を決める。

『滅び』の石を埋め込まれ暴走した『神剣』を押さえてから三日。将人たちはラシェントの街には戻らず、王都に残留していた。王都で行われる武術大会、これに出場する為だった。この大会の上位者に出される賞金は魅力的だったが、それより手に入れたいのがネームバリューだった。名が売れればいずれ、この世界のどこかにいる親友、鏡翠明の耳に届くのではとアルヴァールからアドバイスされたのだ。自分で探すのではなく相手に見つけてもらうのも一つの手だと。将人はアルヴァールのアドバイスに従い、武術大会に出場することを決めた。


「今日、王城を出て宿屋に戻ります」


アルヴァールの私室を訪ねた将人が部屋の中で仕事をしていたアルヴァールに言う。滞在を許可された時王城の中を自由に行動出来る許可を貰ったのだ。でなければ王の私室に出入りするなどありえないのだ。


「急な話だね。ここでの滞在は許可したんだし、好きなだけいればいいのに。もう少しオタトークしたかったんだが」


「それはいずれしましょう………この王都で行われる武術大会、これに出場するにあたって色々訓練したいのですが、ここでやるとアルマ様とマルテナ様にこちらの手の内を見られてしまう問題があるんで。それに二人の手の内が見てしまうんじゃないかと。それは卑怯と思うのでここを出て、修行したいと思います」


「……そうか、分かった。王都での滞在費はこっちで出そう」


「太っ腹ですね」


「最近ちょっと腹が出てきて………てちゃうわ! そうじゃなくて、自分がかつていた世界から来た者を少し手助けしたいだけなんだ」


「一人ボケ突っ込みですか………援助ありがとうございます。では、これで失礼します」


将人は踵を返し私室のドアに向かった、その時ドアが開いた。


「ちょっと待つのじゃあ!!」


入ってきたのはマルテナだった。その後にアルマが入ってきた。


「マサト、何を勝手に決めておるのじゃ。お主がおらんと面白くないのじゃ。修行ならここでやるがよかろう」


詰め寄ってくるマルテナにタジタジになる将人。


「先ほども言いましたがここにいるという事はこっちの手の内を晒してしまう事になるし、お二人の手の内も見てしまう事になるんですよ。お二人も武術大会にでるのなら俺のやる事って卑怯でしょう」


それを聞いてアルマは鼻で笑う。


「少し手の内を見られたぐらいで負けてしまうような未熟ではありませんよ、私たちは。何なら全てを見せた上に手加減をした上で勝利して差し上げましょうか………ですからあなたは何も心配せず、何日でも滞在しなさい」


アルマの挑発しているような物言いにマルテナは手で目を覆い天を仰ぐ。アルヴァールは口元を押さえ吹き出すのをこらえていた。


「………そこまで言われたら、なおさらここにいる事は出来ませんね」


将人は笑顔で言う。声が震え、額に青筋が立っていた。アルマはアルヴァールとマルテナを交互に見る。その視線は「私、何かやっちゃいましたか?」と言っていた。アルヴァールは頷き、マルテナは小声で「姉さまのバカッ」と責めていた


「それでは失礼します」


将人はドアに向かう。それをアルマが止めようと手を伸ばす。将人は後ろをチラリとみて一言。


「シ・ツ・レ・イ・シ・マ・ス」


語気を強めて言われ、アルマは手を止める。何かを言いたそうだったが、将人はそれを無視し、部屋を出た。


それから将人はマサリアたちを客間に集め、自分が王都で行われる武術大会に出場する事、王城を出て修行をする事を伝える。


「そういう事だから、みんなはラシェントに戻っていてくれ」


「どうしてそんな事になるの?」


マサリアがポカンとした表情で将人に言う。


「そうですよ、そんな大会があるのなら私も出場しますよ」とアベルド。


「そうだよ、お兄ちゃん。私も出る、優勝狙っちゃうよ」とパウラが手を上げる。


「マサト君が出るなら私は遠慮する。勝てる見込みがないからね。みんなの体調管理や治療の方に回るわ」


「私にもやらせていただきます」


エミリアやファテマは戦うよりサポートに回った方がいいだろう。


「私だってみんなのサポートやるんだから。いいよね、マサト」


マサリアがそっぽを向きながら言う。


「それはいいんだが………みんなはいいの?冒険者家業しばらく出来なくなると思うけど?」


優勝を狙うわけではないが上位を狙うのなら、当分武術漬けの生活になってしまう。そうなるとしばらく冒険者としての仕事は出来なくなる。しばらく冒険者家業をやらないとなると、違約金などを支払う可能性が、下手をすると冒険者資格の剥奪などの重いペナルティーが科せられる可能性がある。それに巻き込むのは気が引ける。そういう事を言うと、ファテマがポンと肩を叩く。


「そうならないようマネジメントも私がやるよ。その時は一旦修行を中断して冒険者家業をやってもらう。モンスターと戦うのも結局修行になると思うし」


「分かりました、よろしくお願いします。じゃあみんな、武術大会、上位者目指して頑張ろう!」


「そこは、優勝目指してでしょ。頼りないなあ」


マサリアに突っ込まれる。


「アルマ様とマルテナ様出るんだよ、無理でしょ」


マルテナ達が納得する。将人は少し悲しくなった。









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