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仙人、異世界で無双する  作者: サマト
第六章 仙人、王都へ向かう
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仙人、秘密会議に出る、国王に頭を下げられる。

月が天に登る頃、城の中の火が落とされ静まり返る。する事がなければ休む事になるのだが、将人は休む訳にはいかなかった。将人の泊っている客間のドアがノックされる。ドアを開けるとそこにいるのはランプを持った侍女だった。


「国王様がお呼びです。会議室までご案内いたしますのでこちらに………」


将人は円形の盾、アイアスを持って客間の外に出る。外にはマサリア達もすでにいた。自分が呼ばれたのが最後の用だ。


「私たちどうして呼ばれたのかしら?」


マサリアが疑問の声を漏らす。


「私たち、もしかして何か失礼な事をしてしまったのでは?」


アルヴァール国王に何かお叱りを受けるのではとアベルトが口元を押さえ、不安げな表情をする。


(マルテナ様から秘密会議に出席してほしいとみんなに言うの忘れてたな、今言うか?………まあ、いいか。どの道行けば分かるんだし)


将人はアベルトを無視して侍女の後に続く。


「こちらでございます」


侍女が正面のドアを開け、将人たちはドアを潜り抜ける。将人たちが部屋に入ったのを確認すると侍女はドアを閉め、部屋を出た。

会議室の上の方には魔法の光が灯るシャンデリアがあり、室内を煌々と照らす。部屋の中央には巨大な円卓が置かれ、周囲をニ十脚ほどの椅子が囲んでおり、アルヴァール、アルマ、マルテナが腰かけていた。国の中心ともいえる人物に何度も会えるとは思っておらず度肝を抜かれる。


「あの………これは何事でしょうか、アルヴァール国王様」


ファテマが不安げに聞くとアルヴァールは不思議そうな顔をする。


「『滅び』と何度も対峙し、無事に生き残る事が出来ている彼らから、詳しく話を聞く事になっていたのだがマルテナ、彼らに何も話していないのか?」


アルヴァールは隣にいるマルテナに聞いた。


「ワシは、将人には言っておるぞ」


マルテナがアルヴァールの追及を避けるように将人を見る。


「え、俺?」


マサリアたちが将人を凝視する。


「確かに聞いてはいたんだけど、色々あって………言うの忘れてました。ゴメンナサイ」


将人はぺこりと頭を下げた。


「頭を下げて許されると思っているのですか!」


声を上げたのはアルマあった。


「マサトさんもいい加減ですが一番いい加減なのはあなたですよ、マルテナ! どうして今日の事を皆さんに話ておかないのですか!」


アルマに叱られマルテナが首をすぼめる。


「『滅び』に対抗出来るマサトのみに話が伝わればよかったと思ったんじゃモン………」


「じゃモンじゃありません。あなたは大体………」


「待ちなさい、アルマ。これでは話が進まない。彼らも困っている」


アルマは、アルヴァールに言われ、将人たちを見る。将人たちは困ったように微苦笑を浮かべている。アルマはフウッと息を吐き、怒りを吐き出す。


「ゲストをほおっておくなどこちらも失礼をしました、謝罪します。皆さんも席に付いて下さい」


そう言われ、将人たちはアルヴァールたちと反対側の椅子に座る。


「さて、マサト君、早速だが色々聞かせてもらおう。『滅び』とは何だと思う?」


アルヴァールが将人に問いかける。


「正直な所よく分かりません。分かっている所を上げると魔法が効かなくなる、それと憑りついた対象の能力を向上、あるいは進化させる力があるというですかね」


「どうしてそう思う?」


「今まで『滅び』と戦った上での感想です。それと経験ですね」


「経験?」


「ここには『滅び』に取りつかれた事のある人が三人います。リアとパウラちゃん、そして俺です」


将人はマサリアとパウラを指差し、最後に自分を指差す。今度はアルヴァール立ちに衝撃が走る。


「『滅び』に憑りつかれた事があるだって。どうやって『滅び』を解除したというんだ!?」


「二人は俺が『氣』を打ち込んで駆逐しましたが、俺の場合は『氣』を養う修行法で『小周天』という方法があるんですが、これを意識的に失敗させました。『氣』が体内で暴走して『滅び』を駆逐させる事に成功しました」


「あっけらかんと言っているがかなり危険な方法じゃないのか、それは!?」


「まあ、かなり危険ですね。高熱に強力な頭痛で苦しみますし、『氣』の扱いになれてない人間がこうなると死ぬ事もあります」


アルヴァールが黙り込む。急に黙り込むので変な事をしてしまったのかと不安になる。


「マサト君、『滅び』に関する事件は世界各国で起こっている。かなり頻繁に事件が起こっている事から人為的に引き起こされていることが予想される。『滅び』による事件が起こった場合どういう処理がされるか分かるかね?」


アルヴァールに問われ、将人は即座に答える。


「町一つを滅ぼすような広域破壊魔法で全てを滅ぼすですかね?」


アルヴァールが息を飲み、将人を睨みつける。


「何でそういう答えになった?」


「俺がまだ『氣』をうまく扱えない時に『滅び』と遭遇した事がありまして………その時は親友と協力して地脈を操作し、大地の魔力を『滅び』にぶつけました。『滅び』を滅ぼすのには成功しましたが、その副次的作用として局地的な地震が発生し、町一つが崩壊しました。町人は避難させていたので人的被害はありませんでしたが、同じような事をやっているのではと思いまして………」


「その町は運がいい。だが、他の国では人を避難させてる時間がない。だから人が残っている状態で広域の破壊魔法が実行されてしまい、被害が甚大なものとなる。こんな事をこれ以上起こす訳にはいかない。だからマサト君、君の『氣』の力を貸してくれ!!」


アルヴァールが椅子から立ち、将人に頭を下げた。












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