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仙人、異世界で無双する  作者: サマト
第六章 仙人、王都へ向かう
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仙人、『神剣』VS『傷跡』、圧倒的な力の差

アルマとスカーが対峙する。お互い正眼に構えるもののその体格、武器の差は一目瞭然である。スカーは身長190センチの偉丈夫、武器は『滅び』の力を帯びた大剣である。アルマは身長160センチ程の華奢な美少女、武器は80センチほどの長剣。体格はスカーが分がある。武器も『滅び』の力を帯びて居なくても大剣と長剣では幅も厚みも違う。そんななものがぶつかり合えば長剣の方が砕ける。アルマが唯一優っているのは魔力量であるが戦いは魔力の差だけで決まるものではない。近接戦闘ではなく遠距離戦闘に持っていけばアルマにも勝機があるだろうが、スカーがそれを許すと思えない。援護に回るべきではと考え、将人はマルテナを地面に降ろす。


「マサト、何をするつもりだ?」


「スカー相手だと、アルマ様でもキツいんじゃないですか? 俺も戦った方が………」


アルマのもとに行こうとする将人の足をマルテナが掴む。将人はバランスを崩し、地面に手を着いた。


「ちょっと、マルテナ様、危ないじゃないですか!」


「マサトよ、お主、姉さまを侮りすぎじゃ。あそこにいるのは『神剣』、世界最強の剣士じゃ。その二つ名は伊達ではないぞ」


「しかし!」


将人はマルテナに詰め寄るが、マルテナは涼しい顔だ。


「いいから見ておれ。姉さまの戦いを見ると自分の常識が如何に矮小な物か思い知らされるぞ」


将人はまだ納得がいかない様子だがとりあえず様子を見る事にする。そしてすぐにマルテナが言った事が正しかった事を思い知らされる。



「いつまでも睨めっこでは埒があきません。あなたから掛かってきなさい」


アルマが淡々と話す。それに対しスカーは答えず、大剣を振り上げた。これで答えるとでもいうように大剣を振り下ろした。大剣の重量、体の各部を連動する事でスピード、威力の乗った振り下ろしに対し、アルマは長剣を掲げ、刀身を横に寝かせて防御する。そんな防御では刀身が折れてしまい、体に大剣が直撃する。将人はアルマが血反吐を吐いて倒れる姿を想像し、援護に出なかった事を後悔する。だが、それは杞憂というものだった。スカーの大剣はアルマの長剣を折る事は出来なかった。スカーの大剣とアルマの長剣がぶつかり合うが、それ以上振り下ろす事が出来なかったのだ。さらに力を込めて押しつぶそうとするがピクリとも動かなかった。スカーは古代より起立する大樹に剣を打ち込んでいるような錯覚に襲われる。


「何だ、これは………」


スカーが驚愕の声を上げる


「何だと言われても、ただ防御をしただけなのですが………あなたの剣はこれで終わりですか? だとすればとんだ見掛け倒しだ」


「俺の剣はまだまだこんなもんじゃねえ!!」


スカーが大剣を叩きつけるように振り下ろす。連撃を食らわせるが、アルマはそれに合わせ、何の力も入れていない様に無造作に剣を振るう。それだけでスカーの大剣が弾かれる。


「これが『神剣』か!? これが世界か!? 俺が赤子扱いだと………そんなはずはない!!」


「そんなはずがあります。私が『神剣』なのだから」


アルマがスカーの連撃を全て長剣で弾き飛ばし、体の中心を長剣の柄で軽く突いた。それだけでスカーの巨体が吹っ飛んだ。


「『神剣』の実力、理解できましたか? あなたに勝ち目はありません、降参してくれませんか?」


アルマが倒れているスカーに声をかける。スカーは大剣を杖にして立ち上がる。


「まだだ! まだ終わりじゃねえ!!」


スカーは大剣を掲げる。すると刀身から黒い靄が発生し、スカーの前身を包み、黒い全身鎧となった。


「『滅び』の力を使うのはフェアじゃなくて嫌なんだが、そんなことは言ってられん。使える物はすべて使わせてもらう」


「構いませんよ。私相手に正々堂々など愚かな事ですから」


「行くぞ!!」


スカーが体を捩じり始めた。全身鎧になっても体を捩じる事に支障はないようだ。引き絞る弓が如く力が蓄積されていく。そして蓄積した力が解放される。弓から放たれた矢の如ぎ突進、そして高速の剣の振り。その形容はまさに黒い颶風。あらゆるものを薙ぎ払う突風だった。


「俺の剣、敗る事が出来るか、『神剣』!!」


スカーの問いにアルマは答えなかった。その代わりというようにアルマは上段に構え振り下ろす。その剣の速度はまさ高速を超えた光速だった。スカーの剣が届く前に、アルマの剣がスカーの頭を切りつけた。『滅び』の鎧で頭は守られても衝撃は届いていた。スカーはその衝撃に耐えられず意識が暗転した。アルマの剣の威力に突進力が殺され、棒立ちになったかと思ったら、前のめりに倒れた。


「破る事が出来ましたよ、あなたの剣」


アルマは淡々と事実を述べた。


『神剣』、その名はまさに真実、圧倒的な力の差だった。



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