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仙人、異世界で無双する  作者: サマト
第六章 仙人、王都へ向かう
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仙人VS傷跡、声援に力をもらう、颶風迫る

将人とスカーの戦いが始まる前にマサリアたちは道を外れ森の中から戦いを見ていた。


「マサト、吹っ飛ばされてるじゃない!! 私達、ここで見てるだけでいいの!?」


「そうだよね、お兄ちゃんを助けに行くべきだよね!」


パウラが身体強化の魔法を自分にかけ、森から飛び出そうとする。それを援護する為、マサリアが呪文を唱え始める。


「待ってください、パウラ殿!!」


「アベルト様の言う通りです。お待ちください、リアお嬢様」


アベルトがパウラに抱き着き、飛び出そうとするのを阻止し、エミリアがマサリアの前に出て呪文の詠唱を中断させる。


「どうして止めるのよ! このままじゃマサトが………」


「リアちゃんの言うとおりだよ。お兄ちゃんあの人に殺されちゃうよ!!」


「今、私たちがスカーに攻撃をすれば、注意がこちらに向きますが、それからどうしますか。向こうは『滅び』の力を従えています。魔法はまず効きません。セロ鉄の武器でなら戦えます。戦えますが、スカーの方が戦闘の経験値が高い。どう見積もってもこっちが全滅させられます」


アベルトが自分たちとスカーの戦力を冷静にシュミレーションし、結果を言葉にする。


「そんなの相手を過大評価してるだけでしょう。情けない男ね、私は助けるからね!!」


再び呪文を唱えようとするマサリアにアベルトが一喝する。


「ヤメロッ!!」


アベルトの一喝に驚き、マサリアが呪文を唱えるのを止める。


「………私だってマサト殿の隣りに立って戦いたいんです。でも、私では相手まといにしかなれません。私がもっと強ければ………」


アベルトの独白にマサリアはどう言葉をかければいいか分からなかった。


「アベルト君、私ももう戦おうとは思わない。お兄ちゃんを信じる事にするから離れて………」


アベルトはパウラに抱き着いたままだった。アベルトは恥ずかし気にパウラから離れた。


「リアお嬢さま、今の私達にはマサト様の隣りに立つ強さはありません。そんな私達にも出来る戦いがあります。マサト様を信じる事です」


「信じる事………」


「そうです。マサト様は今までも、自分より強い相手と戦って、何度倒されても最後に勝利を掴んでいます。今回もそうなると信じましょう」


マサリアは今までの将人の戦いを思いだす。魔力を持たない代わりに『氣』と呼ばれる特殊な力と『形意拳』と呼ばれる体術を体得した少年。特殊ではあるが絶対的な強さではない能力でいつもフラフラになりながらギリギリのところで勝利を掴んでいた。今回もきっとそうなるとマサリアは信じ、エミリアに頷いて見せた。


「分かったわ、マサトを信じる!!」


「みんな、マサト君が立ち上がろうとしてるよ!」とファテマ。


仰向けに倒れていた将人が苦痛に呻きながらも上半身を起こすを起こす。立とうとするが足が震えて立ち上がれない。


「マサト!」


「マサト様!」


「マサト殿!」


「マサト君!」


「お兄ちゃん!」


「「「「「ガンバレェェェェェ!!!!!」」」」」


マサリアたちの声援に活が入ったのか足の震えが止まり、力が入る。将人はゆっくりと立ち上がり『三体式』の構えをとった。



「いい声援だ、治癒魔法なんかよりよほど力が入るってもんだ。いい仲間を持ったな、マサト」


「ええ………」


将人は短く答え、自分の体の状態をチェックする。


(打ち身、擦り傷で痛みはあるがそれだけだ。骨も折れてないし、拳も壊れていない。あんな強力な衝撃があったのにこれだけで済むとは………運いいな、というか装備のおかげか?)


「それより、スカーさん。あんたは大丈夫なのか? 俺の『崩拳』はアンタの左手の甲に入った。骨を砕く感触が手に残っている。アンタ、剣を握る事が出来ないだろう?」


「ああ、それなら応急処置を済ませてある」


『滅び』の力で左手をコーティングし、剣の柄を握らせた後、固めていた。左手の自由は無くなったが、これで剣が握れなくなったという欠点は無くなった。


「さて、お互い戦える事が分かった所で二回戦と行こうか」


スカーが再び体を捩じり、力をため始めるが、その前に将人が動いた。


「二度もやらせるか!!」


将人が右拳で突く。将人の『崩拳』を止める為、体を捩じるのを止め、右手で拳を弾いた。将人はさらに連続攻撃を仕掛けるが、スカーは右手と左の大剣の柄で逸らし、弾く。


「技の途中で攻撃を仕掛けないのは約束事だろう?」


「いちいち付き合ってやる道理はない!」


将人は軽口を叩きながらも内心舌を巻いていた。スカーは『形意拳』は初見のはずである。それなのにもう『形意拳』の動きについてきて防御して見せた。スカーの戦闘経験の豊富さには驚くばかりである。こうなると長期戦は不味い。今は『形意拳』の動きの奇天烈さに様子見をしているのだろうが、慣れてしまえば反撃に転じるだろう。


「ぼんやりしている暇はないぞ」


その言葉と同時に、将人の拳が外側に弾かれ、スカーの拳が将人に迫ってきた。将人は後方へ飛び、距離を取ってしまった。


「しまった!?」」


スカーが体を捩じり始めた。力をためる時間が出来てしまった。近づけば絶望的な速度の斬撃が来る。一端退くべきか、そう考えた将人は自分の迂闊さを呪った。

引き絞られた矢の様に放たれたスカーが将人に迫っていた。体を捩じって溜められた力を斬撃にではなく移動に用いたのだった。


「勝負!!」














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