答えを探して
あるところに子狐がいた。この子狐はよく食べ、よく遊び、よく考える子狐だった。
あるとき、この子狐がいろいろと考えているときに、ふと疑問に思ったことがあった。
「ぼくは何なんだろう?」
子狐は母親に聞いてみることにした。
「お母さん、ぼくって何だと思う?」
「何を言っているんだい?おまえはわたしのかわいい息子に決まってるじゃあないか」
それはそうだけど子狐が求めていた答えとは少し違かった。
子狐はその疑問を抱いたまま、大きくなった。
そして、巣立った。
子狐はもう若者の狐だ。でも、まだあの疑問の答えを探していた。
狐は森の動物達に聞いてみることにした。
「みんな、ぼくってなんだとおもう?」
「何を言っているんだ?おまえは狐に決まっているだろう」
熊は言った。
「そうだ、そうだ」
兎もりすも蛇もみんな熊と同じ答えだった。
それはそうだけど、やっぱり何かが違う。
狐は答えを探して、旅に出ることにした。
行く先々で同じことを尋ねた。だが、答えはいつも同じ
「おまえは狐だ」だ。
狐はいつのまにか歳をとっていた。旅をするのもつらくなってきた。でも、まだあの疑問の答えは見つかっていない。だから狐は旅を続けた。
狐は人間の村の近くに来ていた。狐はまだ人間には尋ねていなかった。人間は危険だからだ。でも狐はもう尋ねていないものは人間くらいしか思いつかなかった。それに狐はもう危険なんてどうでもよくなっていた。ただあの疑問の答えが知りたかった。
狐は村のはずれまできた。そこには人間の子供が一人遊んでいた。
狐は子供に尋ねてみた。期待はもうしていなかった。
「人間の子供や、わしはなんだとおもう?」
「狐さん」
また同じかと狐は思った。だが子供の答えにはまだ続きがあった。
「狐さんは、神様のお使いだってお母ちゃんが言ってたよ」いつもと違う答えだった。
狐はこの答えもまちがっているかも知れないと思った。だが、狐はこの答えが正解だとも思った。正解であって欲しかった。狐は疲れていたのだ。もう答えを探すために旅をするのは、限界だった。
狐は思った。もういいか、と。もうこの答えでいいか、と。
そして、狐は自分は神の使いだったのだ、と納得した。
狐は疲れていた。狐はもう歩けなかった。狐は眠ることにした。答えが得られたことに安堵して、深い深い眠りについた。
「狐さん?」
子供が話しかけても、狐はぴくりとも動かなかった。
「狐さん?どうしたの?」
子供が触れてみると、狐は石になっていた。満足そうな顔をして。
その後、子供の母親がきて狐を見つけた。狐の石像は近くの稲荷神社で祭られたという話だ。
初投稿作品です。
・・・すごく短い気がしますね。
そんなことより、こんな駄文を最後まで読んで下さった、皆様ありがとうございましたm(_ _)m
よければ感想も書いて行ってくださいな。