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第0話

改稿――もといリメイクとなりました。

ここの語りが好きだった方もいらっしゃると思いますが、リメイクということで変えさせていただきます。


プロローグ扱いで短いですがよろしくお願いします。

青い髪の少年が、小さなギルドへと足を踏み入れた。


「ここがソラトワで合ってる?」

「おう、合ってるぞー」


カウンターにいた男が声を返した。

ギルドソラトワ。

ギルドメンバーの数はまだまだ少ないため、中小ギルドとして登録されている。


木張りの内装は武骨なもので、入り口から見て左側にカウンター、右側にはテーブルがある。カウンター奥には地下への入り口、その奥には上階へ上がる階段へ続く通路がある。


少年はカウンターへと歩を進めた。男が対応する。


「どういった御用件で?」

「依頼をしたいんだ」


男はじっと少年を見つめる。

少年の手に持たれた槍を見て、男は苦笑した後、屈託なく笑ってこう言った。


「おう、何でも言ってくれ」

「人間以外の奴隷にされた者たちを解放してほしい。この都市国家以外も含めて」

「……」


男は理解した。

この少年は外で奴隷市等を見てきたのだろうと。

そして彼の種族も、人間ではないことが分かってしまった。

だがこれしき受けきれずにどうすると。


「いいぜ、その依頼、受けてやる」

「……不思議な人だな」

「そりゃこっちの台詞だよ。お前さん、竜人なんて魔力量じゃねえ。七眼竜の眷属だろう」


少年は少しばかり驚きを含んだ表情でもって応えた。


「魔術師なんだ?」

「まあな、よく外見詐欺って言われるぜ」


筋骨隆々のおっさんといっていい外見である。

男は高い魔力を保有している。その黒い髪とオッドアイを見て、少年は目を細めた。


「しかしそんな依頼受けることになるなら、前金はたっぷり貰わなくちゃいけないよ」


青い髪の女が姿を現した。

少年は小さくうなずいた。


「正規ルートで買い戻すのもよし、強奪でもよし。俺たち現物交換が多くてあまり貨幣は分からないんだ。自前で換金してもらえるかい」

「ああ、構わないよ」


男よりも女の方がこういった仕事は多いらしい。

傷の多少残る肌、軽装のその姿を見て少年は、女が格闘家であると判断する。


「責任者が前線に出るんだね」

「なんつってもまだ人数が少ないからね。ま、家族経営のギルドなんてこんなもんさ」


女はそう言って紙を取り出し、簡単に内容を書き始めた。

少女2人が顔を出す。

少年2人も顔を出し、その子たちがまだ酷く幼いことに気付いた少年は、なるほどと勝手に納得した。


少女の1人はエルフだが、びくついている。対人恐怖症といったところだろうか。

もう1人の少女は人間で、嫋やかな印象を受けることに加えて、魔力量も高くない。

非戦闘員といった印象が強い2人である。


少年たちの方はまだ10歳と7歳である、と女が語った。戦闘に参加させられる年齢ではない。

なるほど、親世代が現役なわけである。


「俺とあと2人、しばらく居座らせてもらうよ」

「ああ、構わないよ」


少年は静かに人間の姿から、角と翼、尾を持つ姿へ変化する。

金色の瞳、青い髪。

アシンメトリーの夜空のような角と、夜空のような鱗に覆われた尾が現れた。


「それじゃ、気長に待ってるね」

「おう、ぼんやり待っとけ」


奴隷の解放なんてそう簡単にできはしないのだと、男たちは知っている。

しかし、だからこそこの少年が穏便な手を使ってきたことに安堵してもいた。

この少年は、簡単に男たちを捻り潰せるだけの実力を持っているのだから。


それは、――竜人種。


その中でも、“上位竜人種”と呼ばれる類の竜種。

それが分かったのはアシンメトリーの角を持っていたためである。

男は苦笑を零す。


「なあエイルガレラ。俺たち、今結構ヤバい依頼受けたんじゃねえか?」

「そう思うんだったら最初っから“なんでもいい”なんて言わなきゃよかったんだよこの馬鹿」


女――エイルガレラは男の頭を打っ叩く。


「ま、受けちまったモンはしょうがない。チマチマやっていくとしますか」


エイルガレラはギルド内にいるメンバーを見渡し、言い放つ。


「どちみち最終的にはやることだったんだ。ちょいと大きすぎるくらいのスポンサーがついたと思えばいい。さ、気負わず今日も依頼こなしてくよ」


ギルドソラトワ。

それは、小さなギルドである。

所属人数はたかが4人。

パーティと呼ばれても仕方ない人数だ。

ましてそのうちの2人は戦闘に出ることができない。


これは、そんなギルドへやってくる子供たちのお話。






「――これが、ソラトワ」


そしてこの日から、彼らの仲間が増えてゆく。


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