『壱百壱昼寝物語』その2
『壱百壱昼寝物語』その2
或る日曜の午後だった。
金色の麦畑の中に小さな農夫の小屋があった。
その小屋の前の
僅かばかりの花畑には老婆が一人
花の手入れをして居た。
小屋のデッキには老爺が
ロッキングチェアにもたれて
淡い夢路に入って居た。
「お~い。」
「お~い。」
誰かが呼んで居る。
霧の中を蒼い円らな瞳の
青年が歩いて居た。
「おや、ひさしぶり」
「?」
「どこに行ってたんだい。」
ずいぶん気安いじゃないか。
「貴方はだれですか。」
すると、
「ちょっと来給え。」
彼は私を置いてどんどんと道を歩いて行く。
私は思わず
云われるままに
追いてゆくと、
海辺に近いらしい
丘陵の道は
だらだらと
どこ迄も続いていた、
やがて、灌木の林を抜けると、
実に爽やかな風が吹いてきた。
「ああ、なんて空気が甘味なのか…」
風は木の葉を
さわさわと打振るい
レモンの様な香りがした。
「あ、海だ。」
どっと 砕ける
波の白さが目に飛び込んで来た。
あ〜
海の
磯の香りが、
胸一杯に広がる。
太陽が
ライム色の光を
さんさんと投げかける
遠く白い水平線に
漁船の灰色の影が
じっと佇んでいた。
きらきら
きらきら
眩しい照り返しに
思わず目を閉じる。
と、
あ〜〜〜〜〜〜〜〜〜
或る日曜の午後だった。
金色の麦畑の中に小さな農夫の小屋があった。
その小屋の前の
僅かばかりの花畑には老婆が一人
花の手入れをして居た。
小屋のデッキには老爺が
ロッキングチェアにもたれて
淡い夢路に入って居た。




