プロローグ
12月24日、クリスマス前日。
もうすぐ明日、12月25日クリスマスの日です。太陽の新生を祝う『冬至の祭り』がキリスト教化されたものであり、イエス・キリストの降誕祭を祝う日でもある。
大人や子供までクリスマスで賑わっている。特に子供にとっては待ちに待った日でもあります。サンタさんからのプレゼントに大はしゃぎです。
そんな子供や皆の賑やかな楽しみとは違い、私は今日と明日が楽しめられません。それどころか悲しさとさびしさで心がつぶされそうです。
ねえ、あなたがいなくなってから。明日で2回目のクリスマスを迎えようとしています。
この日、あの時、あの事件が起きて、私たちは出会ったんだよね。
今では夢のように思えます。でも、夢でもないことは確かです。
私がいるここは、多くの人が行き通っている噴水広場です。本来ここは多くの死者が出ていたはずでした。
でもそんなニュースもインターネットにも載っていません。ここにいる皆が本当は死んでいたなんて信じられませんよね。でも私は知っているのです。
そう、あなたがいたからこんなにたくさんの笑顔を見ることができました。
でも、それを対価に私は大切なものを失いました。
今でも目をつぶると浮かび上がる。あの事件を、大切な友達と出会い別れたあの日を思い出します。