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07 女子考察と好感度

 ひとまず、予定通りにボス手前まで進み、そのまま無事に街まで戻る事が出来た。何事も無く、順調にだ。

 ボスまでの行きは、ダンジョンの感触とマッピング、帰りはマッピングの補足と最短ルートの確認だ。

 マリア達の活躍もあって、それらは滞りなく完遂することが出来た。もちろん、ヴィータネンの人達の助けは借りていない。

「それじゃ……次は三日後にしようか。今日はもちろん、明後日までお休みだ。しっかりと体を休めておいてくれ」

「えぇ、分かったわ」

「分かりました」

「分かったわ」

「うむ。分かったのじゃ」

 宿に戻って、今後の予定を確認する。あまり間を空けると怠け癖が付いてしまう。

 かといって休みを置かずにダンジョンに挑んでは、疲れが溜まってしまう。特に、地下タイプの洞窟では、日差しが届かないので体内時計も狂ってしまう。ダンジョンに潜るのも大事だが、ダンジョンの外にいるのも大事だ。

「それにしても、やっぱと言うか、すんなりとボスまで行けたねぇ。さすがはランクCだ」

「マリア達のお陰ですよ、シグネ隊長」

「そうだねぇ。みんないい子だしね。それで、次はボスに挑むのかな?」

「そのつもりです」

 ボスは強い。強いと言っても、防御が優れているだけで、攻撃面の脅威はない。

 なので、勝てないということはあるけど、負けるという事もない。引き分けになるだろう。

 冒険者にとっては、その引き分けの内容が重要だ。ただ引き分けだだけでなく、如何に自分達の攻撃やフォーメーションが発揮出来たかがポイントになるのだ。

 今回の俺達もそれは重要だ。ヴィータネンの人達に強さを認めてもらう。そうすれば……ミネットは俺達のパーティに入る権利を得る。俺も、ミネットと一緒に冒険出来るなら嬉しいしな。

「マリアちゃん達! このまま宿でお茶しない?」

「そうね、いいわよ」

 女性陣はお茶をするようだ。マリア達四人にヴィータネン同行組も四人。八人もいれば、かなり賑やかになるだろう。

「じゃあ俺は部屋に戻って休むかな」

 この街だと、男性の俺としては一人で出歩くのは危険だ。女性と一緒ならば問題はないが、一人だと一気に不振度が上がる。かといって、女性を多く連れていると、それはそれで不振度が上がる。

 なんとも面倒な国である。なので、部屋で引きこもっているに限るのだ。

 まぁ疲れているというのもある。今日はもうこのまま休んで、明日以降は何かしようかな。




 さてさて。アキヒト君は部屋に戻ったみたいだね。まぁ女子会に男は不要だしね。

「みんなお疲れ様! といっても、私達ヴィータネン組は何もしてないんだけどね」

 それにしても、アキヒト君達のパーティは強かったなぁ。強さももちろんだけど、連携とかダンジョンの進み方とか。

 ヴァルマちゃ――いや、歳上だっけ? まぁいいや。ヴァルマちゃんはあまり戦闘に参加してなかったけど、後衛って訳でもなさそうだしなぁ。

 おっといけない、今はマリアちゃん達とお茶を楽しもう。

「後ろから着いていくのも結構疲れるんですけど? シグネ隊長。私はまだいいですけど、スサンアやミネットには、まだあのダンジョンで余裕はありませんから」

 うーん。シーリちゃんは真面目だねぇ。

 確かに、スサンナちゃんやミネットちゃんだけだとあのダンジョンは厳しいけど、でも私おtシーリちゃんがいれば戦力は十分だったし、何よりアキヒト君パーティもいたしね。そう考えると、冒険というよりは散歩に近かったんだけど。

「私も強くなってるんですよ、団長!」

「皆さんもいましたし、アキヒトさん達もいたので、大丈夫でした」

 スサンナちゃんは昇級が近い。ランクDだけど、素早さだけならその範囲に収まらないと思っている。

「そうだねぇ。アキヒト君がいたしねぇ。安心だよねぇ」

「ち、違いますです!」

 ミネットちゃんはからかいやすい。アキヒト君の事が気になっているのがモロバレなのだよ。

「でもアキヒト君は召喚士だしね。それにしても、あのクマみたいなのはすごかったね。あれって何なの、マリアちゃん」

「ワタシも詳しくは知らないわ。アルルが仲いいわよね」

 アキヒト君が召喚したクマみたいなの。前衛としてのものだったけれど、あんなクマみたいな召喚獣は見たことがない。

 うちのクランにも召喚士はいないし、これまで組んだ事のある召喚士は、どちらかと言えば補助系の召喚獣を使っていた。

 前衛が欲しければ、前衛の人と組めばいいから、わざわざ召喚で前衛を補う必要はない。むしろリスクのが高い。

 そうだというのに、アキヒト君のクマは優秀だった。あれほどのクマを召喚しつつ、本人も一人の冒険者として戦っていた。

「えっと、そうですね……。あのクマさんはアルルと同じように、拳で戦う召喚獣ですね。戦い方が似ているので、一緒に戦う事が多いですけど、それ以上は……。すみません」

「いやいや、なるほどね。あんなモフモフで強いクマ、うちにも欲しいなぁと思っただけだよ。うーん、召喚士の娘でも探そうかなぁ」

 一番早いのはアキヒト君を勧誘する事なんだけどね。一応うちのクランは女性限定ってなっているから無理なんだけど。

「あのクマもでしたが、皆さんお強かったです。道中は簡単とは言われていますが、一応はダンジョンなので大変になるかと思っていましたけど」

「私やミネットが最初に行った時は、もっと苦労したんですよ。ね、ミネット」

「アキヒトさん達がすんなり進んでいたので忘れていました」

 そう。簡単と言われているけど、ダンジョンはダンジョンなのだ。初見ですんなり進めるほど、ダンジョンは甘くはない。

 だというのに、アキヒト君達は結構すんなり進んでいた。もちろん道は分からないので、行きはゆっくりなペースだったけれど、戦闘時間は短かったと思う。

「マリアちゃんの動きは凄かったね。正確無比な攻撃? シュッと動いて、ビシッて」

「そう、かしら? ワタシは普通にしているつもりなんだけど……。撃ち漏らしがあると、アキが危ないし」

 マリアちゃんの武器はレイピアだった。突きが特徴な武器だけに、得手不得手な敵も多い。

 そんな武器を、マリアちゃんは踊るかのように扱って魔物を倒していた。あの動きはランクCの物じゃない。素早さだけなら私にも匹敵するかもしれないね。

 それに、()()ねぇ……。

「アルルちゃんとクマさんのコンビも凄かったです。敵を正面から捉えて、安心感がありました」

「いえ、アルルもまだまだです。アキヒト様のために、もっと頑張らないと」

 スサンナは、同じ前衛としてアルルちゃんが気になったみたい。

 アルルちゃんはアキヒト君の奴隷らしい。と言って、奴隷のように扱ってはいないみたいだし、アルルちゃんも楽しそうだ。

 そんなアルルちゃんとクマは、盾役のポジションを担っていた。魔物に対峙し、パーティの安全を守る。そうしている間に、遊撃や後衛が魔物を倒す。

 そしてこっちは()()()()()ですか。

「カタリーナさんの魔法は的確でしたね。弓も使われていましたし、後衛として幅が広いですね」

「マリアお姉様を助けるためですから!」

 シーリちゃんも同じ魔導士としてカタリーナちゃんが気になったようだ。

 ただの魔導士ではなく、弓も扱える。魔力が切れている時や、魔法が使えない状況もあるから、そうなると弓の価値は高くなる。

 まだ子供なのに恐ろしい実力だ……。それに、なんかこの娘は気品があるというか、マナーがいいんだよね。紅茶を飲む仕草も優雅だし。

 カタリーナちゃんだけはマリアお姉様っていうのも他と違うよね。

「私はヴァルマさんが気になりました。ずっと後ろにいましたけど、魔導士でもないですし」

「わらわは少し特殊でな。前衛は足りておるし、なら大事なアキヒト殿の守護をするのじゃ」

 ヴァルマちゃんは私に気になる所だ。強さが良く分からないというのもあるし、何より一番エロい。女から見ても素晴らしい身体をしている。恐ろしい攻撃力だ。

 攻撃力と言えば、ヴァルマちゃんは謎だ。ずっと後衛というかアキヒト君のそばにいたけれど、たまに奇襲してきた魔物を一撃で返り討ちにしていた。特に武器も使わずに拳で。

 いくらなんでも拳で一撃っていうのは驚く所だ。アルルちゃんやクマよりも強い……。そんな人材を何故後ろに? ヴァルマちゃんが前に出れば、クマを出す必要はないと思うけど……。

 もしかして……アキヒト君のそばにいたいって事かな?

 ヴァルマちゃんのアキヒト君狙いは見て分かるしね。スキンシップがすごいんだ、これが。

 これまででも分かっていたけど、やっぱり皆――カタリーナちゃん以外は好意を持っているみたいだよねぇ。

 アキヒト君本人はハーレムじゃないって言ってたけど、ハーレムだよね、これは。

 そしてそこにミネットちゃんも加わるって事だね。うーん、いいの? ミネットちゃん。独り占めは出来なさそうだし、何より強敵揃いだぞぉ?

 出来ればミネットちゃんには幸せになって欲しい。本音を言えば、ずっとうちにいて欲しいけど……。アキヒト君達の強さは大体分かったしなぁ。

 少しジャブを入れてみようかな。

「それで……実際の所どうなの? ハーレムじゃないって言ってたけど、皆はどう思ってるのかなって」

 皆の反応はっと……あれ……? マリアちゃん達はもちろんだけど、スサンナちゃんも脈あり?

 ……男への耐性が無さすぎたかな、うちのクラン。




「ふぅ……」

 今回のダンジョン探索は無事に済ませることが出来た。平和だ。

 もう魔物を倒すのにも慣れているし、ダンジョンにも慣れた。だいぶこの世界に慣れてきたんだな、俺。

 まぁどうせ元の世界に戻る事も出来ないし、この世界で頑張っていかないとな。

 とは言え、周りが女の子ばかりだと気疲れしちゃうんだよなぁ……。一番最初に会ったのがマリアだったのが幸いなのはどうか分からないけど、まだ慣れない。

 ……賑やかな声が聞こえるな。女の子は元気だ。

 今日はもう休んで、明日に備えるか。さすがにずっと宿に引きこもっているのも体に悪いし、散策でもしたい所だけど、一人じゃ無理だしな。

 明日、誰か誘ってみようかな。


ご意見ご感想があれば嬉しいです。

が、豆腐メンタルなのでお手柔らかに……


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