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召喚獣による召喚で異世界で召喚士になりました  作者: bamleace
一章 ~ワーズヴェシン街~
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06 魔法と召喚

ユニーク2500突破してました。

ありがとうございます!

 宿屋に着いた俺達は、腹も減ってきていたので昼飯を食べていた。

 昼飯は朝飯のとほぼ同じ内容に、魚を焼いたものが一品加わっていた。うーん、これがこの世界の標準なのか? 今度他の店でも食べてみようかな。

 そういえばこの世界にきて時計って見かけたことないけど、時間ってどうやって分かるのだろうか。

 お腹が減ったので昼飯を食べているが、他にも何人かいたので、やはり昼飯時ということでいいんだろう。

 昼飯を食べ終えた俺達は、部屋に戻った。朝飯とほぼ同じ内容とはいえ、昼飯も美味しいのには変わりなかった。


「なぁマリア。今更だが、時間ってどうやって分かるんだ?」

 先ほどの疑問をマリアに尋ねる。

「時間? 時計で分かるわよ? まぁ時計もあまり持ってる人もいないみたいだけどね。冒険者ギルトにはあったでしょ?」

 え、あったっけ? 見落としていたのか……。

 どうやら時計は魔法道具に分類される物で、そこそこ高いものらしい。お金持ちは持っていたり、冒険者ギルドといった施設にはあるようだ。時計を持っていない人々は、太陽の位置や経験則で大体の時間を見るらしい。一応、冒険者ギルドが朝昼夕方に鐘を鳴らすらしいが、まだ鐘は鳴っていないので、昼前ということだろう。

 ちなみに一日は二十六時間で、一ヶ月は二十八日、一年は十二ヶ月らしい。一年を通すと、地球とそんなに差異はないのかな。

 マリアによる時間講義が終わった頃、鐘の音が聞こえた。どうやら俺の腹時計はそこそこ優秀だったみたいだ。


 さて、買ってきた本を読むことにしたのはいいが、魔法と召喚術の本のどちらから読もうか迷っていた。一応俺はマリアという召喚獣と契約しているので、召喚の本から読むべきなのだろうが、ファンタジーといったら魔法ということで魔法の本からにしよう。

「俺は魔法の本から読んで勉強するけど、マリアはどうする?」

 という訳で魔法の本から読むことにして椅子に座ったら、何故かマリアも余っていた召喚の本を手に椅子に座った。

「暇だし、ワタシはこっちの本を読んでいるわ」

 一緒に勉強の時間って訳か。部屋で女の子と勉強とか、まるで付き合っているみたいじゃないか。いやいや、可愛い歳下の従妹に勉強を教えるようなもんだな、うん。


 魔法の本は初心者から初級向けということで特に難しい内容は無かった。日本にいた頃に、ゲームとかやっていれば受け入れることが出来る内容だ。まぁ実践となると話は別になるのだが。

 魔法というのは。

『魔力を用い、火や水といった現象を生み出す法の事』

『魔法は術者が思い描く事で生み出すことが出来る』

『詠唱や魔法名は、想像がしやすくなるので有効な手段』

『魔法は攻撃、回復、補助に分類される』

『属性は、火、水、風、土、無に分類される』

『魔力は、瞑想や睡眠などで周囲の魔力を吸収し、回復することができる』

 ふむ。つまり、基本となる型はあるけど自由って事みたいだな。想像で好きな魔法を生み出す事が出来るってことなのかな。長ったらしい詠唱とかも必須ではないみたいなので、いわゆる無詠唱ってやつも出来るのだろう。

 いくつか基本と言われる魔法があるようで、色々と載っていた。

 火の球(ファイアボールや)火の矢(ファイアアロー)といったものだ。

 うん、魔法だな。RPGでよくある奴だ。注ぎ込む魔力や思い描くことで、ファイアアロー《火の矢》だったら本数を変えることも出来るみたいだ。

 結構汎用的だな。実際に目にしないことには想像しにくいものだろうが、俺にはゲームや漫画、アニメの知識がそれなりになる。目にしたことはないが、映像やCGとしてなら見たことはある。

 さらに現代知識も持っているので、風で気圧を操ったりとかの科学面を複合することも出来るだろう。酸素を操ったり出来ればかなり強いんじゃないのか?

 才能や魔力の高さにもよると書いてあったが、小さい火ならすぐに使えると書いてあった。ライターの火みたいなものかな。初歩の初歩は、料理など生活面でも便利になるので、冒険者でなくとも覚えている人が多いようだ。

 魔法を使う人の事を、魔導師と呼ぶらしい。本屋の婆さんも魔導師って言っていたな。

 という訳で、ライターくらいの火を出してみようと集中してみたが、うまくいかなかった。魔力を使うっていうのが、いまいち想像出来ないせいだろうか。でもマリアを召喚し続けているから、魔力は使えてはいるんだろうけど。

 魔力を消耗しすぎているのだろうか? でも本によれば、非戦闘時などのリラックスした状態では少しずつ回復する、とある。俺の魔力はそこそこ高いはずなので、回復速度が追いついていないのか?

 魔力を使いすぎると、嫌悪感や怠さ、最悪は気絶するとある。でも今の俺は健康そのものだ。だって部屋で美少女とお勉強だぜ? ドキドキはしているが、疲れはない。

 まぁ一回で出来るほど甘くないって訳か。そこは異世界チートじゃないんだな。


 まだ使える段階には至ってないが、魔法の本をひと通り読み終えた所で、マリアも本を読み終えたようだ。

「お、ちょうどだな。次は召喚の本を読むかな。マリアも魔法の本読むか?」

 本の交換を提案したが。

「魔法はいいわ。ワタシはレイピアの練習でもしようかしら」

 と返事が来た。魔法は興味ないのか。まぁマリアの魔力はゼロだったし、使えないだろうからなぁ。

 マリアは部屋の中でレイピアを振るというので、物を壊したりしないでくれよなと注意をして、俺は召喚の本を読む事にした。

 まぁ召喚獣も魔法と似たような物だろう。ゲームの知識があれば、後はこの世界のルールを知るだけだ。

 召喚術というのは。

『魔力を用い、召喚獣と呼ばれる生物を使役する術の事』

『召喚獣はそれぞれ、特殊な能力を持っている』

『召喚獣の住む世界があると推測されているが、不明』

『召喚獣は、召喚陣で召喚し契約する事で、使役することが出来る』

『一度契約をすれば、召喚陣は不要で、自由に召喚と解除が出来る』

『召喚獣は術者の魔力をエネルギーに活動し、召喚と召喚中、召喚獣の能力使用の際に消費される』

『召喚獣は、複数召喚する事が可能』

『術者の魔力が無くなる際、召喚してある召喚獣は強制的に解除される』

 まとめるとこんな感じだな。想像は付いていたし、マリアから聞いていた内容もあるので復習に近かった。ちなみに魔導師と同様、こっちは召喚士と呼ばれるらしい。

 複数召喚出来るのはいいな。その分魔力は使うだろうが、色々便利に出来そうだ。うん、知らなかった事だな。

 まぁ、他に気になるというか見過ごせない点があった。

「マリアさん? 魔力の性質って知ってたのかな?」

「な、何の事かしら? そんなの知らないわ」

 まだ短い付き合いだが、俺には分かる。マリアは嘘を吐いている。

「いやいや、マリアさん。怒ってないから、本当の事を言ってよ」

「う……、怒ってるじゃないの。ワタシの事を、さん付けで呼ぶなんておかしいじゃない」

「あぁ、いやごめん。ちょっと動揺しててね。怒ってはいないよ。で、知ってたの?」

 うん。怒っているというか、動揺だ。知っていたなら教えて欲しかったし。

「うぅ……、知っていました。最初から知っていました! ごめんなさい!」

「……、出来れば本を買う前に言って欲しかったな……」

 さっきから何の話かと言うと、召喚の本に書いてあった内容だ。

 召喚獣と契約した者、つまり召喚士になると、召喚士の魔力の性質が召喚獣専用の物に変質するらしい。召喚獣のエネルギーになるためと書いてあり、その召喚獣専用の魔力は普通の魔力とは異なるため、魔法には使えないらしい。

 つまり、一度召喚士になると、魔導師には戻れないって事だ。一方通行です。

 さらに、召喚獣の契約には、魔法と比べると多くの魔力を必要としているため、普通の冒険者は魔導師として修行をして、興味があれば召喚士に移行する、というのがセオリーらしい。

 さらにさらに召喚士というのは、召喚獣の契約に能力の把握、戦闘の際は必要な召喚獣の選択に、命令に自身の魔力の管理と、指揮をするようなもので難しいらしい。ぶっちゃけ召喚士って上級職な上に、不可逆なので、不人気職って事だ。

 さっき俺がライター程度の火すら出せなかったのは、このせいか……。マリアと既に契約しているため、俺の魔力は既に変質していたって訳だ。

「マリア、謀ったな。マリア!」

「だから、ごめんって言ってるじゃない!」

「いや、言ってみたかっただけだ。まぁあの場合じゃ仕方なかったしな」

 実際、マリアと契約していなければ、マリアは消えていたし、俺も森の中で今だにウロウロしていただろう。だから仕方ないのだ。仕方ないとはいえ……、魔法が使えないのはショックだ。

 うん、気持ちを切り替えよう。こうなったら召喚獣を沢山契約して、召喚隊を作ってやるぜ。


 気持ちを切り替えた後、本に載っていた初歩的な召喚獣の契約をする事にした。

 召喚陣も載っていたが、本に載っている召喚陣をそのまま使えると書いてあった。自分で描かなくていいのは楽だ。まぁそれも初級くらいまでで、中級以上は自分で魔力を注ぎながら描かないとダメらしい。

 召喚陣というのは、道とドアのようなもので、召喚獣を呼ぶ手伝いになるらしい。最悪無くても出来るらしいが、それはかなり難しいらしい。

 とりあえず、すぐに出来そうな四つを試す事にした。ちなみに召喚出来れば、契約もされるみたいだ。

 本に載っている方法の通りに試す。召喚獣の名前を心の中で念じながら、召喚陣に魔力を注ぎ込む。

 しばらく注ぎ込むと召喚陣が光り出した。

 次の瞬間、炎をまとったトカゲみたいのが浮いていた。全長五十センチくらいだろうか。不思議と熱くはない。

「成功か?」

「ギャオ!」

「成功っぽいかな? これからよろしくな。とりあえず今は何も無いから戻ってくれ」

 成功したと確信したので、そのまま召喚解除をした。契約目的だしな。にしても、見た目通り喋れないのか。

 解除を念じると、目の前の火トカゲは消えていった。無事に契約完了だな。

 今のは『火』の召喚獣、サラマンダーだ。火による攻撃と、対象者の腕力を増す補助も出来るらしい。

 契約による疲れも無いので、そのまま次を行う。今度は可愛い女の子が浮いていた。身長は四十センチくらいかな。

「成功だな。怪我をしたらよろしくな」

「はい、よろしくお願いします、(マスター)

(マスター)ってのは……、まぁいいか。とりあえず戻ってくれ」

 今の小さい女の子はウンディーネ。『水』の召喚獣だ。能力は回復。ウンディーネは会話出来るみたいだが、まぁ常時出しておく訳でもないし、呼ばれ方はそのままでいいか。

 まだ魔力には余裕がありそうだ。次行ってみよう。

「あれ? アンタが呼んだの?」

「おう、これからよろしくな」

「うん、よろしくねー!」

 今度はシルフ。『風』の召喚獣だ。三十センチほどの女の子で、羽が生えていて妖精って感じかな。元気な女の子だった。風による攻撃と、対象者の敏捷を上げる事が出来る。

 ちょっと疲れてきたかな。でもまだ行けそうだ。次で最後だし行くぜ。

 トリを飾るのは、シルフくらいの大きさの爺さんだ。小さいけど爺さんだ。

「お主が(マスター)か」

「お、おう。よろしくな」

 『土』の召喚獣、ノームだ。土による攻撃が出来る。なんか爺さんで偉そうだけど、小さい。


 さすがに四連続は疲れたが、これで本に書いてある初級の初歩となる召喚獣は契約できた。攻撃に補助に回復と、初歩にしては揃っているものだ。

 契約に魔力を多く使うとあったが、初歩の四つでもうヘロヘロだな。もっと強いのとかになると、確かに大変そうだ。

 しかし、どの召喚獣も小さくて見た目頼りないんだよなぁ。もっとごつい炎の魔神! とかっていうのを想像していたが、さすがに最初からそれを求めるのは無理があるか。本にはもうちょっと強そうなのも載っていたし、今度試してみよう。

 そういえばマリアの事を紹介するの忘れたな。一応マリアは召喚獣の先輩ってことになるんだが、今度でいいか。

 んで件のマリアは静かだな。さっきまでレイピアで稽古していたと思っていたんだが。

 マリアの方向を見ると、なんとベッドで寝ていた。さっき買った防具を装着してだ。部屋に入ったときに外したのは見たが、実戦での動きを確認するためだろう、わざわざ装備したようだ。

 しかし、召喚獣って寝るのか? いやそれより、いくらなんでも無防備すぎるだろう……。日本にいる頃は、部屋で女の子と二人でお勉強って経験値もないし、女の子がベッドで寝ているって状況の経験値もない。

 さすがに防具付けたままだと眠りにくいよね? 外してあげるべき? あぁでも、それは体に触れないとダメだ。

 いやいや、これもマリアのためだ。マリアの(マスター)としての責務だよ。従妹が寝ているから、布団を掛けるようなものだよ。決してやましい気持ちはない。

 でも俺もなんか眠いんだよね……。異世界に来て、ずっと気を張っていたんだろう。マリアが気持ちよさそうに寝ているのを見て、気が緩んだのかもしれない。加えて、さすがに魔力を使いすぎたっぽい。少し休憩するかな……。

 ベッドに座り、少し横になるつもりが俺もそのまま眠ってしまった。ちゃんとマリアと違うベッドで寝たので、同衾ではない、セーフだ。

ご意見ご感想があれば嬉しいです。

12/14:誤字脱字修正

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