02 王都ドックトンと再会
何文字書いたか、ここにUpするまで分からないドキドキ
ウィック大陸に上陸、港町や途中の村々を経て、ついに王都ドックトンに到着した。
「ここがドックトンか……」
ここまでの街や村も綺麗に整備されていた。もちろん高層ビルが立ち並んでいるとかではないが、街中の地面は石畳が基本だし、ゴミなども落ちていない。
ドックトンも見渡す限りでは綺麗な造りになっていて、歩く人々はみな明るい女性で治安も良さそうだ。
「まずは冒険者ギルドだな。えっと……マリア、頼む」
「ふふ、アキは大変ね。それじゃ聞いてくるわね」
道を尋ねるにしても、男である俺では力不足なのだ。最初の港町で思い知らされた。
通行人に道を聞いてみれば、怖がられたり無視されたり。店員に話を聞こうとすれば、明らかな売れ残りで高そうな物を買えと言われたりするのだ……。
相手は全て女性だ。なら男性に聞けばいいじゃんと思うだろうが、男性を探すのは相当困難なのだ。
男一人では辛い国だ。マリア達と一緒でも、男の俺が会話するのは辛い。
だけど俺にはマリア達がいる。何かを聞きに行くときや交渉の時には、マリアに頼んでいる。
アルルは一応奴隷という立場なので、雑用を任せるのは普通の事だけど、この国で女の子の奴隷を所持している、かつ雑用させているとなれば、俺への視線が冷たくなるのだ。
ならばカタリーナならだが、これはアルルにも言えるがさすがに少し幼い。
ヴァルマは……そういう物事には向いていない。
という事で消去法になってしまうが、最適なのはマリアという事になる。
「アキ、分かったわよ」
「ありがとうな……」
本当に感謝してもし切れない。
さて、何故冒険者ギルドに来たのかと言うと、情報集めだ。
イヴァン達がこの王都にいた事は確かだ。ここでの活動記録が残っていてるというのはトーダで聞いた話だ。
だけど、今現在はどうか分からない。もしかしたら何かのクエストをやっているのかもしれないし、どこか近隣の街や村に出かけているかもしれない。
だから冒険者ギルドだ。イヴァン達を知っている人もいるかもしれないし、もしかしたら本人達がいるかもしれない。
そんな思いで冒険者ギルドのドアを開けるが……。中はすごい有様だった。
これまでも、というかこの国に来てから女性しか見ていない気がするけど、まさかここもか、と。
冒険者は基本的に男女平等だ。力は男性が勝る場合が多いけど、器用さや素早さでは女性に軍配が上がる事が多い。そういう意味では、冒険者は男性女性関係のない職業であるはずだ。
そのはずだ。
なのに俺の目の前の光景は、女性オンリーである。
入ってきた俺達……というか俺をまるで値踏みするかのように、複数の視線が注がれる。
「ここも……こうなのか……」
今までも、道を歩いていても、ご飯のために店に入っても、女性の視線は鋭かった。
「おい、男だぞ」
「珍しいな……。しかもハーレムか」
「ふぅん。でも強そうには見えないねぇ。魔術師かね?」
視線だけではなかった。各々の感想も聞こえてきた。
気にせずにカウンターへと向かう。向かう途中も、視線や感想は聞こえてきた。ヒソヒソではない。俺に聞こえるように言っているのだ。
男がいないのは、こういうせいなのかもしれない……。
「はい、ご用はなんですか?」
冒険者のギルドのカウンターももちろん女性だ。仕事だからか、敬語だけどそれはマリアに向けられている。俺が一番前にいるのに、だ。
……これまでの通り、マリアに頼む事にするか。
「この王都でイヴァンっていう冒険者はいないかしら?」
「イヴァンですか……。すみませんが、他の冒険者の情報は秘密ですので、お教え出来かねます」
そりゃそうか。イヴァン達がここドックトンにいるって教えてくれたのは、トーダの冒険者ギルドだ。それは王命があったからで、今の俺達は普通の一般の冒険者。怪しさ満点だ。そんな奴に冒険者の情報は渡せないだろう。
むしろ冒険者の情報は貴重なものだ。そのせいで俺達は解散させられたのだから。
「そうですか……。では他を当たりますね」
「はい、申し訳ございません」
いきなりのつまずきだけど、悲観はしていない。冒険者ギルドは駄目だけど、冒険者同士ならば話は別だからだ。
今ここにいる――俺の事をなんだかんだと言っている冒険者達なら、イヴァンの事を知っているかもしれない。
もちろん聞き込みをするのは俺ではなくマリアだけど。
「それじゃ……マリア頼む。イヴァンの事を知っている冒険者がいないかどうか――」
マリアの頼もうとしたのだけど、それは他の声に遮られた。
「今、イヴァンって言いました?!」
少女の声が、冒険者ギルドに響いた。
声がした方を向くと、そこには可愛い少女――イヴァンの妹のミネットが立っていた。
「まさか、ミネットか?」
「あら、ミネットじゃない」
「アキヒト……さん? マリアさん?」
別れてから結構な期間が経っているけど、ミネットは変わりなく……いや、少ししっかりしている?
「お二人とも、どうしてこんな所に……。それに他の皆さんは?」
「どうしてって、あぁ。色々話したいからどこかに話せる所に行こうか。ここはちょっと、ね……」
「そ、そうですね。分かりました。いつも行っているカフェがあるので、そちらに行きましょう」
まさかいきなりミネットに会えるとは思っていなかった。いや、いたらいいなとは思っていたけど、そうなるとは思わないだろ、普通。
ミネットがいるということは、ほかの二人――イヴァンとローザもこの王都にいるってことになる。
いきなり合流だな。
「お久しぶりです、アキヒトさん、マリアさん。それで、皆さんは……」
ミネットお勧めのカフェに着いた俺達。確かにオシャレで可愛い感じのカフェだ。
俺とマリアとミネットは同じテーブルに、アルルとカタリーナとヴァルマの三人は他のテーブルに行って貰った。
「えっと……久しぶりだな。元気そうでなによりだ。俺とマリアは、またイヴァン達と一緒のパーティになりたくて探してたんだよ。もうあの件の事はいいってさ」
「そうでしたか……」
「他の人達は……俺のパーティメンバーなんだけど……。ちょっとどうしようかは相談させてほしいかな」
「それはイヴァンさんとローザさんが来てからでもいいんじゃない? 二人もこの王都にいるのかしら?」
それもそうか。積もる話は二人もここに呼んでからでもいいか。
「あのえっと……。すみません……。兄さんとローザさんは、この王都にいませんです」
ん? イヴァンとローザは不在か? ミネットを一人にさせて、一体何を考えて……。
「クエストとかで近くの村にでも行っているのか? 別に俺達は急いでないし、終わるまで待っていてもいいけど」
イヴァン達と合流するのが目的だったし、別にこの王都で待っていても問題はない。まぁ俺は過ごしにくいけど、マリア
達がいれば大丈夫だ。
だと思っていたけれど、俺の考えは違ったようだ。
「いえ、そうではないです。えっと……兄さんとローザさんは、冒険者を引退しました」
引退……だと……。
ご意見ご感想があれば嬉しいです。
が、豆腐メンタルなのでお手柔らかに……




