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召喚獣による召喚で異世界で召喚士になりました  作者: bamleace
三章 ~エルフの里と封印竜~
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07 つかの間の休息と騒ぎ

 打ち合わせも終わったので、待機な俺達はひとまず休むとするか。

 さて、建物を出たはいいけど皆の場所が分からない。サブナックの風の人は一足先に行ってしまったようだし、着いて行く事も出来ないな。

 仕方ないか。その辺にいるエルフの人に尋ねるか。

 打ち合わせ終わった後にも案内を用意して欲しかったけど、もう封印で忙しいのかな?


 ちょうど歩いていたエルフに声を掛けて、マリア達がいる所まで案内して貰った。

 勝手に歩くと迷子になりそうだしね?

 似たような建物が多いし、目印になりそうなランドマークもないし、それに舗装された道もない。

 地面は芝生だ。獣道というか、人が歩いているのなら、芝生が剥げて道が出来そうだけど、そんなようには見えない。

 綺麗に茂っている。

 人の通りが少ないのか、それとも誰か整備しているのか。

 しばらく案内して貰うと、小屋が見えてきた。先ほど打ち合わせをした大きな作りではなく、それに比べれば小屋だ。

 それでも小さな家であり、ちょっとした別荘を思わせる。

 家はいくつかあるけど、家の前にエルフが一人立っているのは二軒だけだ。

 門番? だろうか。勝手に出歩くなって言われてるし、やっぱ監視とかなのかね?

 案内して貰ったエルフに礼をいい、門番エルフへと向かう。

 それにしても、二軒に門番エルフがいるという事は、サブナックの風は一緒ではないのだろう。という事は、どっちがどっちなのかという事になる。

 ……考えても仕方ないし、門番エルフに聞こう。


 結果として、俺は門番に声を掛ける事はしなかった。その必要が無くなったからだ。

「アキはまだかしら……って。あら、ちょうどだったみたいね。打ち合わせはもう終わったの?」

 マリアがちょうど小屋から出て来たので、手前に見えていた家が俺達パーティに用意されたものと分かったのだ。

「あぁ、さっきな。トーダの人達が用事を済ませるまで、俺達はエルフの里で待機だってさ。皆は?」

「そうなのね。皆は中で休んでいるわよ。アキも少し休んだら?」

「そうだな。そうするか」

 せっかくのエルフの里だけど、さすがにここまで来るのに疲れているし、何より着いたばかりの打ち合わせで気も疲れていた。

「それじゃ……。あ、エルフさん、こっちは皆揃いましたので、ちょっと休んでますね」

 マリアが門番エルフに告げている。最初に人数の確認でもあったのだろうか。


 家の中は意外に広かった。

 無駄がないというか、壁が少ないというかで広く感じる造りになっている。

 ロフトのようなものがあり、実際の床面積も広いようだ。

「お、意外と広いな。あれ、アルルとカタリーナは?」

「アキ。しーっよ」

「ん?」

 二人の姿が見えなくて不思議に思ったが、その理由がすぐに分かった。ロフトを少し見てみると、アルルとカタリーナの二人が仲良く寝ているのが見えた。

「あぁ、なるほど。寝てる訳か。マリアは寝なくていいのか?」

「ワタシはアキを待っていたから。それにワタシは召喚獣だしね。寝なくても大丈夫なのよ?」

 忘れたの? とばかりのマリアだ。

 そういえばそうだった。何もかも人間そのものだし、最近は召喚解除もしていないしで完全に忘れていた。

 それにしても、機嫌も良くなっているみたいだし、何より待っていてくれたのが嬉しい。

 家に入ったら全員寝てました、だと少し寂しくなるしな。それはそれでここが安全って意味になるし、いい事なんだろうけどね。

「アキはどうする? 少し寝ておく? 今は護衛の任務はいいんでしょ?」

 俺達は待機だし、封印の儀式とやらも過去に何回かあったみたいだし、何も起こりはしないだろうしな。

 別に寝ていても問題はないだろう。

 一息付いたし、そう言われればなんだか眠くなってきたかもな。

「それじゃそうするかな。マリアも別に寝てもいいぞ。ここじゃ何も起こらないだろうし、外にはエルフの門番もいるんだろ?」

「うーん、ワタシはいいわ。ちなみに、外のエルフさんは門番というよりは監視のが近いみたいよ。ワタシ達がウロウロしないようにね」

「んでも門番って事にもなるんだろ。マリア一人ですまないけど、少し寝るよ」

 ロフトの上に上がり、アルルとカタリーナから少し離れた場所で横になる。

 さすがにすぐ横でという事はしない。二人はまだ子供だけど、女の子だしな。

「えぇ、お休み。少ししたら起こすわね」

「あぁ、お休み」

 目を閉じると、すぐに睡魔がやってきた……。




「おかえり、リーダー」

「あぁ、ただいま」

 パーティの皆はそれぞれ休憩しつつもいつでも動ける体勢を取っているようだ。

「皆、ここまでご苦労だった。しばらくは待機らしいから、休むなり散歩するなりしていいぞ。あぁ、散歩するならエルフに一言断ったほうがいいな」

 Cランクの冒険者パーティ、サブナックの風。長いことCランクで活動をしているが、この護衛任務で駆け上がれそうだ。

 リーダーとして面倒な事もあるが、こいつらに任せるともっと面倒な事になりかねない。

「ほんと?! じゃあ少し散歩しようかな」

「あ、私も行きたいです。一緒に行きましょうか」

「じゃあ俺は、エルフの女の子を眺めてきますかね。お前はどうするよ」

「自分はここで待機してます」

「……私も残る」

 ほらきた。今まで真面目に待機してくれていたのはリーダーとして嬉しいが、いざ暇を言い渡すとバラバラな行動をしだす。

 魔法組の女の子二人は元気にも散歩するようだ。この二人はアホではないし考え無しに行動もしない。

 前衛の男組は、片方は遊びにいくようだ。経験則だが、武器が豪快なほど性格も豪快になる気がする。もっとも、この男は武器はごつい大剣だが性格はちゃらいのが問題だ。

 片手剣は残るようだ。こいつは真面目一徹というか、硬い。せっかくのエルフの里なんだし少しは息を抜くという事をしてもいいと思うのだが。

 戦闘では奇抜な動きで敵を翻弄する短剣女子は、未だに性格が掴めん。仲が悪いという事ではないんだが、俺も翻弄されてしまう。

「外に行くのはいいけど、くれぐれも問題は起こすなよ」

 やれやれ。騒がしいメンバーが出かけると、一気に静かになるな。

「俺は少し休むから、お前らも適当でいいぞ。どうせ何もありゃしないんだしな」

 護衛開始まで、休むか。




「……アキ。ねぇ、アキってば」

「ん……、マリア?」

 誰かに呼ばれる声がした。

 そういえば寝ていたんだっけ。大分寝てしまったのかな。疲れていたんだな。

「ふわぁ。あぁ、よく寝た。どのくらい寝てたんだ?」

「二時間も経ってないと思うわ。それよりも、ほら。聞こえない?」

 二時間くらいか。昼寝にはいい時間だったな。

「聞こえない? って何がだ」

「なんか外が騒がしいのよ」

 そういえば。寝る前は静かで虫の声もしないくらいで、静寂が煩いくらいだったのに、今は外が騒がしい。

「何かあったのかな」

「ん、どうかしましたか?」

「んーっ……。あら、結構寝ちゃってましたね」

 アルルとカタリーナも目が覚めたようだ。

「ちょっと外を見てくるよ。皆は中にいてくれ」

 ドアを開け外を見てみると、門番エルフの姿が見えなかった。

 おかしいな。監視のはずだからいなくなるって事はないと思うんだけど。

 それに、エルフが声を張り上げて叫んでいたり、走っているエルフも見える。

「一体何があったんだ、これは。まさかうちらのメンバーが何かやらかしたのか?」

 隣の家から聞こえた声に振り返ると、そこにはサブナックの風のリーダーさんが俺と同じように家から出ていた。

 向こうもこの状況を確認しにきたのだろう。

「お、そちらも気になったのか。何があったのか分かるか?」

 そのリーダーが俺に気づくと声を掛けてきたが、生憎と俺にも分からない。

「いえ。俺も今出てきたばかりなので……。何かあったんでしょうか」

「封印が終わって、宴会でもしてるのか? ともかく、うちのメンバーもどっかでうろついているはずだし、探しつつ情報を集めてくる。君達は待っていてくれ」

「分かりました、お願いします」

 あぁ、暗いと思ったら、少し曇ってきているのか。来た時はあんなに晴れていたのに。

 ……少し、薄気味悪い感じだな。

 情報を待つとするか……。

ご意見ご感想があれば嬉しいです。

が、豆腐メンタルなのでお手柔らかに……


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