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召喚獣による召喚で異世界で召喚士になりました  作者: bamleace
三章 ~エルフの里と封印竜~
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06 過去と各者各様

 ロベルタさんに着いて行き、大きめの建物に入る。

 見た目もだけど、中も普通の家のようだ。もちろんコンクリ建造ってもんじゃない。木造のロッジのような建物だ。

 中に各代表者――四神隊の隊長と副隊長のロベルタさん、虹隊のランドさん、サブナックの風のリーダーにカティと、それにお爺さんエルフだ。

 皆が集まった所で口火を切ったのはロベルタさんだ。

「まずはここまで無事に到着出来た事に、冒険者の方々に感謝を。さて、ここで我々トーダとエルフの里の関係について、説明しようと思います。ちなみに、特に秘密という訳でもないですが、なるべく言いふらさないで欲しいです」


 かつてこの地に龍が現れた。龍は森を焼き、獣や魔物構わず殺し、暴れていた。

 これに困ったエルフが龍の討伐を試みるも、龍の強さの前に為す術もなかった。

 当時エルフの里は人間との交流をしていなかったが、龍の討伐のために人間に協力を求めた。

 近隣の国に協力を求め、真っ先に応じてくれたのが召喚国トーダだった。

 人間側としても龍の存在には困っていた。今はエルフの里近隣で暴れているが、それがいつ人間側に及ぶかのかと分からなかったためだ。

 中には、エルフの里の問題だからエルフがなんとかしろという国もあったが、トーダだけはエルフに全面協力をした。

 トーダはその発達した召喚の力を用い、エルフと共に龍に挑んだが苦戦を強いられた。

 龍の力の前に、エルフの優れた魔法技術も、トーダの召喚獣も通じなかった。

 ある時、トーダは伝承にあった封印を得意とする召喚獣を試す事にした。討伐が無理なら、せめて封印をという事だ。

 封印の召喚獣を用いた封印の儀式はうまくいき、龍を封印する事に成功した。

 封印するのには成功したが、龍は依然として生きていた。一定周期で封印が弱まり、また暴れ出す。その前に、トーダはエルフに協力し再度の封印を施す、エルフは人間との交流を行うという取り決めになった。

 それ以来、トーダとエルフの里は友好関係にある。


「以上が我々――人間とエルフの関係です。未だエルフだけでなんとかしろという輩もいます。そのため、最後まで冒険者の方々には秘密にしていました。すみません」

 龍がいるのか……。封印されているなら安心だけど、それも永遠じゃないんだな。その度に封印し直さないといけないとか、面倒だよなぁ。なら倒してしまえって事になるけど、その方が無理って事だし。

 ゲームとかだと、再度の封印が出来ずに蘇って戦う事になるっていうのが定番だけど、この龍は無事に封印し続けられてる訳だしな。変な事も起こらないか。

「封印は隊長を基軸に行います。封印の際には龍が暴れる可能性があるという報告もありますので、その対応には虹隊が。私はバックアップを行います。冒険者の皆様はエルフの里で待機を。何かあれば連絡しますので、その時は適切に行動をお願いします。以上ですが……ではエルフの長老、お願い致します」

「皆さま、遠い所までお疲れ様です。私はエルフの里の長老ハハリです。ここにいるカティの祖父ですな。さて、我々エルフとトーダの関係については、今しがた語ってくれた通りです。我々エルフだけでは対応出来ない事態に協力して下さること、感謝致します。皆さまを歓迎致します」

「ありがとうございます。それでは、我々は準備を、冒険者の方々は待機をお願いします」




 私はロベルタ・ヴァレンティ。召喚国トーダの召喚隊――四神隊の副隊長をしています。

 四神隊は召喚隊の総称であり、大きく四つに分かれています。

 近接タイプの召喚を得意とし、攻撃や防御の要となる白虎隊。

 空を飛び、偵察や強襲、運搬なども行う事が出来る青竜隊。

 回復や他者の支援を得意とする朱雀隊。

 魔法や遠距離での攻撃を得意とする玄武隊。

 私は朱雀隊に属しています。隊にみんなを支援する事で貢献する、そんな召喚獣が好きです。

 隊長と副隊長はそれとは別に、特別な召喚獣を契約しています。代々、隊長と副隊長は契約する事が必須とされている召喚獣。ある時にしか使ってはならず、ある時にしか使えない召喚獣。それは、封印を司る召喚獣です。

 今回の封印は、私にとっては寝耳に水でした。前回の封印は三○○年前。記録によれば、封印は五○○年は持つとされています。

 それがたった三○○年で解けかけるなんて、ありえない事です。

 前回の封印が失敗していたのか……それとも龍の力が強くなっているのか……。

 今までとは違う状況ですが、自分の代で来てしまった以上、最善を……いえ、必ず封印を成功させないといけません。

 エルフの里までは、無事に辿り着く事が出来ました。

 メインである隊長の隊はもちろんの事、バックアップである私達の隊、そして封印中の護衛を行う虹隊の方々も消耗無く着くことが出来ました。

 これも冒険者の方々のお蔭です。

 確か後方で護衛をしていたパーティは、リーダーが召喚士という事でしたね。召喚士がリーダーなんて、召喚士の国としては嬉しいことです。

 召喚獣は、使い方を誤らなければとても優秀でカワイイです。それでも一般的には使いにくいなどど言われており、召喚士の数は減ってきています。それはとても悲しい事ですね。

 ……それも大事ですが、まずは封印に集中しないといけません。隊長は腕はいいので、何も問題はないでしょう。ただ、副隊長の私ではなく隊長が表に立って欲しいのですけど……。




「聞いた事もない冒険者だったが、腕はなるほど、確かなようだな」

 虹隊の隊長を預かる身として、今回の遠征は訓練の一環くらいにしか思っていない。

 これまで何回も封印を行ってきた記録もあるし、何事もなく終わったという記録しか残っていない。

 だから何も起こるはずもない。あるとすれば、道中だけだが、それも冒険者に任せておけば大丈夫だ。

 その冒険者だが、一つはサブナックの風だ。トーダを拠点に活動をしていて、Cランクながら堅実な強さを持ち、素行もいい。今回の遠征を任せるに十分なパーティだ。

 対してもう一つは、パーティ名が無いDランクのパーティだ。それにフルではない四名構成。さらに、トーダへは最近来たばかりの、流れの冒険者らしい。

 なんでこんなパーティを冒険者ギルドは推薦してきたのかと思った。もっと他にいい冒険者もいるはずだ。

 王にも冒険者ギルドにも進言した。

 しかし、冒険者ギルドの言う彼らの情報を聞いて、少し興味も出たのだ。

 フルではない、当時たった三人でCランクの昇級試験用の魔物――グーベラッハのオークジェネラル討伐に大きく貢献したと。

 その魔物なら知っている。グーベラッハで新人潰しともいえる、昇級用のクエストの代名詞だ。

 どうやら彼らはまだ昇級に至っていない状態で、たまたま他のパーティが半壊していたのを救助するために、そのオークと戦ったらしい。

 大きく貢献というがどれほどかと聞いてみると、この表現の場合は、前線で戦い魔物を大きく消耗、もしくは瀕死に追いやった場合に使われる冒険者ギルド特有の表現らしい。

 止めはそのパーティに取られたらしいが、彼らがいなければ半壊は全滅になっていたし、倒すなんて事も出来なかったくらいらしい。

 ランクはまだDだが、実力はお墨付き。さらに短い期間だが、トーダでの活動も良好で冒険者ギルド一押しが彼らという事だ。

 ランク主義という事でもないが、成果があってこそのランクだ。まぁメインをサブナックの風にして、彼らをサブに、最悪は俺達虹隊が道中も頑張ればいいかと思い、彼らの参加を了承した。

 そんな彼ら――アキヒトと言ったか。蓋を開けてみればどうだろう。

 パーティメンバーのレイピア使いは、動きもよく目もいい。攻撃も正確で実力があるのが分かる。

 手甲を持った獣族も、耳を活かして警戒しつつ、戦闘では力と手甲で盾役のように戦っていた。

 後衛の少女も、的確な魔法でサポートをしていたし、リーダーの召喚士も十分な働きをしていた。

 実力があるのは分かった……そう、ランクDと言えるだけの実力は、だ。これくらいなら、そこらの冒険者でも出来る。全力ではないのは分かるが、それでもランクC相当の力を持っているとは思えない。

 まぁ、護衛としては十分に働いているし、その点では心配がないのは良かったが。

 さて……無事にエルフの里に着いた事だし、これから封印の儀式の護衛だな。

 四神隊が目立つこの儀式。だけど俺達虹隊も、真面目に働くとしようか。




「どう、お爺ちゃん ?」

「カティか。うむ、トーダまでありがとう。お蔭で今回も大丈夫なようじゃな」

「そう、それはよかったよ!」

 トーダまで行って、そしてエルフの里まで戻ってこれた。

 お爺ちゃんのお仕事も無事に終わったし、これもアキヒトさん達のお蔭だね。

 ステフェン伯父さんにも、アキヒトさん達すごいんだよ~って言ったお蔭だね、帰りも一緒になったよ。でもアキヒトさん達は後ろの方だったし、話す事も出来なかったのは残念。

 でもでも、エルフの里では皆はゆっくりするみたいだし、案内とかしちゃおうかな~。

「それじゃボクは遊んでくるね~」

「これ、カティ。またそうやってすぐに……。今回はカティにも同席して貰うから、遊びは駄目じゃ」

「え~? 同席って、封印の?」

「そうじゃ。前回から三○○年。あの時の封印は失敗したようには見えなかったが、何故か三○○年しか持たなかった。じゃから見届けなければならぬ。うまくいけば、次の時は()()()()見届ける役目になるんじゃ。じゃから、その練習じゃ」

 前の時はボクはまだ産まれてなかったし、次って……確か五○○年だっけ? 確かに、もう十分大人になってるよね。

 面倒だけど、こういう時のお爺ちゃん怖いんだよね~。

「分かったよ~。だけど冒険者の人達にエルフの里を案内したいから、終わったらいいよね?」

「うむ。終われば皆を交えて宴になるからの。数日は滞在して貰っても構わないから、大丈夫じゃよ」

 うん、なら大丈夫だね。よし、じゃあ封印の儀式? をお爺ちゃんと見届けるかな!




 まさか私の代でこれがあるとは……。

 召喚の強さを知らしめる、そして私が台頭するのにもってこいのイベントではないだろうか。

 このために選りすぐりの者を用意した。

 みな、王もエルフも龍に怯えているだけなのだ。龍が暴れていたのは昔も昔。今ではずっと封印され、影も形にないではないか。

 龍よりも強い存在など、召喚ならばいくらでも用意出来るではないか。

 近年は召喚士が減り、人気も無いと聞く。嘆かわしい事だ。

 確かに、召喚の質はトーダ様の時代と比べると衰退していると言える。それでも我々は研究を重ねて、召喚の強さを上げてきた。

 前回の封印から、たった三○○年前しか持たなかった? それは前回の隊長が愚かだったのだろう。

 私は違う。研究に研究を重ねた、私の召喚獣ならば……。

 さて、では()()()()()に向かうとするか。


ご意見ご感想があれば嬉しいです。

が、豆腐メンタルなのでお手柔らかに……


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