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召喚獣による召喚で異世界で召喚士になりました  作者: bamleace
三章 ~エルフの里と封印竜~
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04 護衛とパーティ指南

 なんだか色々な流れに流されているように思う。

 強制イベントとでも言うべきか。

 これが終わったら、少しゆっくりしたいなぁ……。

「アキ、何ぼーっとしてるの? 危ないわよ」

 俺達は今、エルフの里に向かうトーダの兵士達を護衛中だ。

 護衛は現在は俺達だけ。前方を歩き、魔物や不審者がいないかどうか見張っている。

 兵士達は馬車の中だ。

 一応、準警戒とでも言うのか、何かあったらすぐに対応出来るようにはしているらしい。それでも、今の所は不要なようだ。

 トーダを出発して、途中に村を経由してエルフの里に向かうらしい。

 先発として、もう一組の冒険者パーティが出発していて、エルフの里と連絡をしているようだ。

 その冒険者パーティとは村で合流する手筈になっている。

 なので、それまでは俺達メインで護衛をしないといけないのだが、トーダからもそう離れておらず、街道沿いということで、獣すらいない平和な状態が続いているのだ。

 そりゃ、ちょっと考え事をしてしまうのも仕方ない、よね。

「ごめんごめん。魔物いないから少し気が抜けてた」

「ここはまだ街道だしね」

 確かに何も無いと楽だけど、無いならないで暇である。

 ただ歩くだけだが、警戒しながらなので気も張る。

 ちなみにカティは馬車の中だ。

 特使という立場なので、偉い待遇なのである。


 合流ポイントの村に到着した。

 道中何回か戦闘はあったが、問題は無かった。どれもカティの時の猪よりも小物だし弱かった。俺の出番もないままマリアやアルルが活躍してしまった。

「ここで合流して、すぐに出発かな?」

「いや、ここで一晩休んでから出発ですよ」

 仲間の誰かに聞いたつもりだったが、帰ってきた声は違かった。

「えーと、確かに副隊長の……」

「はい、四神隊副隊長のロベルタです。ここで一泊してから出発となりますよ。宿はこちらで準備致します」

「あ、ありがとうございます。えっと、じゃあこのまま……の前に合流ですか?」

「そうですね。冒険者ギルドに向かいましょう」

 このロベルタさんは優しそうなお姉さんである。

 確かに召喚を得意とする隊だったはずだ。だけど、道中兵士さん達は戦闘に加わらなかったので、その戦いぶりは分からない。

 ロベルタさん率いる兵士達六人は、皆優しそうで、道中も馬車の中でカティと楽しそうに談笑していた。

 召喚隊の隊長さんと虹隊? の隊長さんのところはよく分からなかったけど、どちらも厳しそうで真面目そうで強そうなメンバーだった。


「初めまして。Cランクパーティのサブナックの風です」

 何故か召喚隊の隊長さんは来ないで、ロベルタさんと虹隊の隊長さん――ランドさん、それに俺達で冒険者ギルドに向かうと、冒険者先発として出ていたパーティ――サブナックの風が出迎えてくれた。

 ランドさんは、真面目そうな男性の剣士だ。

 サブナックの風……パーティ名なんだろうけど……俺達も何か付けたほうがいいのかな。

 Cランクなので、俺達よりももちろん各上だ。メンバーは、大きな盾、大きな剣、剣と盾、弓、杖が二名と男女三名ずつでバランスが良さそうなパーティだ。前衛も後衛も、攻撃役も防御役も役割が分かれている。

 杖を持った二人は魔導士だろうか? どっちかは召喚士? それとも二人とも召喚士なのだろうか。

「初めまして。トーダ四神隊副隊長のロベルタです」

「同じく、トーダ虹隊隊長のランドだ」

「冒険者のアキヒトです」

「それで、エルフの里への連絡はどうでしょうか?」

「はい、そちらはこの村にいた連絡係の方にお願いして、完了しています」

「ありがとうございます。では、軽くこれからの事を話し合いましょう」

 話を進めているのはロベルタさんだ。隊長副隊長でいうなら、所属は違うけどランドさんのが上な感じもするけど、そういうのじゃないのかな。

 召喚の国ということだから、召喚隊である四神隊のが偉いとか?

「それでは我々冒険者は道中の護衛だけでなく、現場でも何か仕事があるのですか?」

 サブナックの風のリーダーは大きな盾を持った人なんだろうか。

「念のためです。現場では我々召喚隊が主軸に動きます。その周辺を虹隊の方々が警戒をします。万が一何か起こった場合に、エルフの里の防衛と本国への連絡、これらを冒険者の方々にお願いしたいのです」

「護衛だけではないと伺っていますので、問題ありません」

 詳しい内容を聞くのは俺達も初めてだ。でも俺達は護衛だけって聞いていたような気もするんだけどなー。そこのところはどうなんだろうかね。

「うむ。まぁ今までも何事もなくやってきた事だ。念のためという事もあるが、実際は我々兵士の遠征訓練、そして隊内や冒険者との連携訓練と言った意味合いが強い。特に我々虹隊は冒険者からも学べるところもあるだろうからな。だからそう緊張しなくてもいい」

 虹隊というのは召喚士以外で構成された軍らしい。つまり、一般的な冒険者のパーティと同じような構成になるという事だ。

 これだけ聞くと、召喚士がはぶられているようにも聞こえるが、実際は召喚士のみの四神隊というのがあるので、いかに召喚士が特別扱いされているというのが分かる。

 その虹隊の隊長のランドさんは、真面目そうだけど、それに奢らない感じに見える。

 それにしても、このネーミングは気になる。なんで虹と四神なんだろうか? 前者は色だし、後者は神だ。色はちょっとださいかも?

「エルフの里に着いたらまずは長老から話を伺いますが、その辺りは我々が行います。他に何か質問はあるでしょうか?」

 ふむ。基本的にエルフの里までは俺達冒険者が活動して、エルフの里に着いたら、お役御免。帰りまで待機って事だな。

 さて、サブナックの風という他のパーティが加わる訳だけど、出来れば交流しておきたいところだ。でも、遊びじゃないし、そんな時間もないだろうしなぁ。

「道中の護衛はどのような隊形でしょうか?」

「そうですね……私達としては冒険者の方々にお任せしますが……」

 あぁそうか。護衛の形が変わるのか。そこは冒険者としては気付いておくべきところだった。

「では我々が前で、アキヒトさん達が後方でいいでしょうか。エルフの里までは行った事はありませんが、森には何回か行った事があります」

「ふむ……。そうですね。アヒキトさんもそれでいいですか?」

 異論はない。後ろに回されるようにも聞こえるけど、後方の護衛も大事だし、向こうの方がランクも経験も上だ。

「はい、俺達もそれで大丈夫です」

「では、それで決まりですね。他には何か……はい、では今日はこれで終わりにしましょうか。宿は取ってありますので、今日はお休みください。明日からもよろしくお願いします」

 また明日から護衛任務だけど、今日はゆっくりと休む事にしようかな。


「ちょっといいか。そんなに手間は取らせない」

 冒険者ギルドから出ようとした時にサブナックの風の大きな盾さんから声を掛けられた。なんだろう、難癖?

「はい、なんでしょうか?」

「まずは勝手に護衛の位置を決めてしまって済まない。護衛任務できついのは前なんだが、君たちのパーティは見た事がなくてね」

 難癖ではないみたいだ。軽い交流だろうか。

「いえいえ。トーダには来たばかりですし、土地勘がないのは事実です」

「そう言って貰えると助かる。見たところ、メンバーがフルじゃないようだし、それも含めてだったんだが、良かった」

 向こうは六人。こっちは俺にマリアにアルルにカタリーナの四人。いくら召喚獣を使うとはいえ、フルの六人には遠い。

 それにトーダを拠点に活動しているというサブナックの風からすれば、俺達は実力も何も分からないパーティだ。

「必要はないだろうが、軽く紹介をと思ってな。何かあった場合に、共闘するとかあるかもしれないしな。まずは俺がリーダーだ。獲物はこの盾だ。役割はタンクだな。他はアタッカーに大剣と魔導士。サブタンクに片手剣。遊撃に弓使いに召喚士だ」

 杖持ちの片方は召喚士だったのか。初の召喚士だよ! まるで図書委員とかやってそうな可愛い女の子だ。

 おっと、俺達もだな。というか、名前とか各人が自己紹介しないんだな。

「どうもです。俺達は、私が召喚士のアキヒト、こっちがレイピアのマリア。手甲のアルルに、弓と魔法のカタリーナです」

「ふむ。こういう任務は初めてかな? 役割や武器を共有できればそれで十分だ。冒険者は同業であると共にライバルでもあるしな。親しくするのもいるが、二度と会わないというのもいる。だから名前とかまではいいんだ」

 む、そういうものだったのか。恥ずかしい……。

「まぁ俺達は出来れば仲良くしていきたいパーティだからな。だから次から気を付けたほうがいい」

「すみません、ありがとうございます」

「タンクがいないのは気になるが、召喚士だし何か持っているんだろう。……あぁ、手持ちの召喚獣も晒す必要はない。手の内は隠すものだからな。もっとも、戦術に必要な場合はそうでもない。フルメンバーではないがバランスはいいな。これなら後方を任せられる。明日からよろしくな」

 大きな盾を持つに相応しく大きな男で、その性格もいい人だ。

「はい、お願いします」

 軽く会釈をしながら、サブナックの風のメンバーは冒険者ギルドから出て行った。

「うーん。やっぱ他のパーティと組むのもいい経験になるな」

「そうね。それにしても、アキ? あの召喚士の女の子の事、じっと見てなかった?」

「アルルも気づいてました! 見てました、よね?」

「え? あぁ、あの女の子か。だって召喚士だし気になるじゃないか」

 そこまでじっと見たつもりはなかったんだけど、やっぱ召喚士仲間という事で、気にはなっている。召喚獣を晒すのはダメらしいけど、何かノウハウとか聞ければいいな。

「ふーん、そう。それならいいけど……。まぁもう話す事も無いでしょうしね」

「そうです。あちらはあちらのパーティです」

「マリアお姉様! 私達も宿に向かいましょう」

「そうね。もう休みましょうか」

 あ……れ? なんかご機嫌斜め? アルルまでなんか怖いし。カタリーナはいつも通りだけど。

 うーん、何か嫌われるような事をしただろうか……。



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