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召喚獣による召喚で異世界で召喚士になりました  作者: bamleace
二章 ~王都グーベラッハ~
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27 マリア達vsオークジェネラル

 なんとなく勢いで戦闘開始してしまったけど、戦果は上々のようだ。

 マリアは早くも――俺も驚いているが、走るのも早くなっているし、攻撃も鋭いようだ。魔法を使うオークを素早く倒してしまった。

 途中、魔法を喰らう場面もあったけど、傷一つ付いていないようだった。さすがは俺が創った盾であり、フルプレートだ。

 そして一番でかいオークだが、ベアルカスとJrが必死に攻撃を受け持ってくれている。

 初っ端に風圧みたいな攻撃が来てビビったけど、残りのイージスの盾のお蔭で、怪我もなかった。

 それに、お姫様の情報によると、あのでかいオーク――オークジェネラルは、見た目通りのパワータイプのようだ。防御力はそれほどでもないとの事なので、俺達の攻撃も通用するだろう。

 ベアルカスは攻撃を避けきっているし、Jrも直撃を避ける立ち回りをしている。現状、特に危なっかしい点はない。体力は高いらしいので、その分時間は掛かるだろうけど、戦乙女となったマリアにベアルカス、それにJrの三人ならば押し切れると思う。

 まだ爺さんは目を覚まさない。女の子は目を覚まして、特に問題ないようだ。少し休憩すれば、動けるようになるだろう。最悪、お姫様と爺さんを補助しながら逃げる、という事になるのだが……。


 ……これは倒せるか?

 さすがにイージスの盾とベアルカス、Jrの維持は辛い所もある。魔力はまだ余裕はありそうだが、細かい指示や操作となると、頭への負担が大きい。

 ……俺は普通の人間なのだ。そんな軍師みたいな真似は出来ない。出来れば、ベアルカスかJrのどちらかを下げない所だが……。そうなると、攻め手も守り手も欠ける事になる。二人で十分なのかもしれないけど、相手は中ボスなのだ。三人でも過剰戦力にはならないだろう。

 お姫様はまだ戦闘が出来そうなくらいに回復していない。女の子は元気そうだけど、さすがに戦わせる訳にはいかない。爺さんは瀕死だし……。

「アキヒト様」

 うーむ、どうするか。まずは二人で攻めてみるか。危なさそうなら追加すればいいだけだし。

「アキヒト様!」

 ここの守りはイージスの盾で十分だろう。最悪、ノームも追加して壁を作ればいい。

「アキヒト様!!」

「ってなんだ。アルルか。どうしたんだ、いきなり大声で」

「さっきから何度も呼んでおります」

「え、そうだった? ごめん。それで何か用かな?」

「アルルも……アキヒト様のお役に立ちたいです!」

 今までずっと、お姫様達の介抱をしていたアルルだったけど、爺さん以外が目覚めたので、手持無沙汰だったのだろう。

「介抱を手伝ってくれたし、十分役立っているよ。ありがとう」

「ありがとうございます……。ってそうではないです。アルルもあのオークをやっつけたいです」

 あれ、でかいオークは強そうで厳しいかも? って言ってなかったっけ。皆が善戦してるから、行けるかもって思ったのか?

「でもあれ、強いと思うぞ? 危ないし、アルルが怪我するのは嫌なんだけど」

「動きを見る限り、大丈夫だと思います。それに、マリア様やベアちゃんが頑張っているのに、アルルだけここは寂しいです」

 アルルはベアルカスと仲がいい。武器は同じ拳で似た者同士だし、姉妹? みたいなものなんだろうか。ベアルカスがメスかどうかは分からないけど。

 アルルの強さは大体分かっている。恐らくベアルカスと同等くらいだろう。能力値は更新していないので、具体的には良く分からない。

 そのベアルカスが難なく戦えているので、アルルもそう思ったのだろう。ならば戦わせてもいいかと思うけど、万が一という事もある。

 マリアは、最強の防具を身に着けている。だから安心だ。

 ベアルカスとJrは、俺の召喚獣だ。万が一やられても、死にはしない。召喚解除されるだけど、しばらく待てば復活する。もちろん、そうはさせたくないし、させないつもりだが。

 だが、アルルはどちらでもない。防具は王都で買った普通のものだ。それに俺の召喚獣でもない。怪我をしたら治せるけど、致命傷だとどうにも出来ない。

 別に戦うのはいい。でも死ぬ可能性がある戦いに出すほど、俺は馬鹿でもないし、非情でもない。

 そのはずなんだけど……。

 戦闘でハイになっているのか、それともアルルでも余裕だろうと思ったのか。

「……分かったよ。そこまで言うならアルルにもお願いしたい。でも攻撃は喰らうなよ? Jrだって直撃したら危ないだろうし。絶対に避ける事。いいな?」

「はい! ありがとうございます!」

「よし、それじゃ……。シルフ、アルルに敏捷UPだけ頼む」

「はいはーい。ちびっ子ちゃん、当たっちゃ駄目よー!」

 シルフも、改良してから一層賑やかになった。というかチャライな。

「……よし、それじゃ……Jrを下げるか。という訳で、マリアとアルルとベアルカスで頼む。攻撃を避ける編成だ」

 バランス的にはベアルカスを下げた方が良かったのかもしれないけど、アルルとベアルカスコンビの戦いに期待を込めて、Jrを下げる事にした。

 頭の中でマリアとベアルカスに指示を送ると共に、Jrの召喚解除を念じる。俺の召喚獣ならば、念じるだけで思いが伝わるのだ。

 一応これで、当初の予定だった俺の負担は減った事になる。もちろん、皆が危ないようなら、即時Jrを召喚するつもりだ。

 でもこれって、傍から見ると俺、本陣で呑気に待ってるだけに見えるな……。いえいえ、立派に戦ってます。




「え? アルルが? 分かったわ」

 でかいオークに向かっている途中で、アキから連絡が入った。どうもアルルも参戦したいみたい。

 大丈夫かしら……? でもアキがそういうなら大丈夫なのかしら。

「二人とも、お疲れ様。アキから連絡が来たと思うけど、アルルが来るみたい。その三人でこいつを倒すわよ」

「クマ!(御意!)」

 でかいオークと戦っていたベアルカスとJr。特に大きな怪我もないみたいね。オークも大したダメージを負っているようには見えないけれど、それでも大健闘ね。

 私が到着すると共に、Jrは召喚解除されたみたい。入れ替わるようにアルルが合流……走ってきたけど元気ね。

「マリア様、ベアルカス。よろしくお願い、します!」

「えぇ。あいつの攻撃には注意してね。ベアルカスもアルルも深追いはしないように。ワタシが受け持つから、二人は隙を見て攻撃して!」

「クマ!(御意!)」

「わ、分かりました!」

 やっぱりアルルは緊張しているのかしら。今までの戦闘は大丈夫だったみたいだけど、やっぱりこのでかいオークを目の前にすると怖いわね。

 ワタシは、アキから貰ったこの鎧に盾、剣があるから大丈夫。アキの事を信じているから大丈夫。だからアルルも大丈夫、よね?

「それじゃ、行くわよ!」


 まずはワタシが前に立つ。

「……改めて見るとでかいだけの……醜いオークね」

 それでも攻撃力だけは凄い事は、今までの攻撃で知っている。さすがに、最初からまとめに喰らおうとは思わないわ。

 まるで新たな獲物を見つけたかのように、オークが武器を振り上げる。

 大きな鈍器。普通の人間、普通の装備ならば、受け止めるのがどれだけ大変かという大きな鈍器。技量も装備も足りなければ、ミンチ製造機となる大きな鈍器。

 振り下ろされるその大きな鈍器を、ワタシは剣と盾で受け流す。

 まともに受け切っていないのに、それでも大きな衝撃が来た。さっきの魔法とは……比べものにならない衝撃。まともに受け止めていれば、どれだけの衝撃だっただろう。それでも……。

「全然平気ね!」

 さすがにその重量を受け流すのは、いつものマリアならば不可能だった。それを可能にしたのは、盾と剣がマリアをサポートしたためだ。普段なら足りない技量も能力も、昌人の作ったイージスの盾がカバーをしていた。

 オークの様子を見ると、武器を振り下ろた体勢で、武器が地面に軽くめり込んでいる状態。少し困惑しているようにも見える。

「戦闘中に、それは悪手よ!」

 そんな隙をワタシが――ワタシ達が見逃がすはずもない。

「せいっ!」

 振り下ろしたままのその腕を、剣で撫で斬りにする。斬った所は無事に斬る事が出来て、赤い線が浮き出る。

「防御はそれほどでもないのかしら? それともこの剣だから?」

 試しに斬っただけなので、ダメージは深くない。それでも剣が通用すると分かったので、倒せる事も可能だろう。

「てやっ!」

 声のしたほうを見ると、アルルがオークの横腹を、ベアルカスがオークの肩の辺りを殴っていた。

 ワタシの剣は効いたけど、打撃は効くのかしら?

 オークの表情は変わらない。いや、あまり顔に出ないだけなのかもしれない。最初は笑っていたようにも見えたけど、あれは気のせい?

「少し、硬いかもです! 次はもっと強く撃ちます!」

 さすがにでかいだけあるのか、それなりに硬いのかしら。こういう時、片手剣は便利ね。刺突剣だと斬るのは苦手だから、大きい魔物は一撃で急所を刺すとかしないと駄目だし。

 ……剣も練習しようかしら。


 オークの攻撃は続く。

 最初の攻撃以来、大振りはしてこなかった。たとえしてきても、ワタシが防いでしまうかしら。

 小振りな攻撃でも強いわね。防ぐか避けるかしないと駄目……。でもこれなら、避けるのは簡単ね。でもその分、隙が少なくなってしまったわ……。

 ワタシがガードして隙を作り、アルルとベアルカスが攻撃を仕掛ける。そんな作戦だったのだけれど、思うように攻撃が出来るチャンスが無い……。

 最初の撫で斬り以降はまともに攻撃が出来ていない。それはアルルもベアルカスも同じ。思いっきり攻撃しないと効かないけれど、そうすると今度はこちらが危なくなってしまう。

 どちらも有効な攻撃が出来ないでいる。

「このままじゃ……ジリ貧ね……」

 どっちが最初に体力が尽きるかの勝負って訳ね。




「これは……善戦しているのか?」

 マリアとアルル、それにベアルカスの三人がオークと戦っている。

 相手の攻撃を避けたり防御したりで、こちらのダメージは少ない。最初の一撃はヒヤリとしたが、マリアがうまく対処したみたいだ。

「いや……。このままでは負けるだろう」

 俺には高度な戦いは分からない。それでも、この戦闘は善戦しているように見えたが、お姫様には違ってみえるようだ。

「そう……ですか?」

「あぁ、そうだ。オークジェネラルの攻撃を凌いでいるのは称賛に値するが、こちらも有効打を打てないでいる。このままでは、こちらの体力や精神力が尽きて、崩れてしまうだろう」

「なるほど……」

 確かに。こちらのダメージは少ないが、向こうのダメージも少ないのか。仮にこの状態を維持したとしても、それは時間が経過しただけだ。

 もちろんオーク側が先にへばってくれれば、こちらが優勢になるけど、その逆ならばこちらの負けになってしまう。

 こちらの負けということは……つまりは死だ。そうなる前には逃げる事を考えるけれど、逃げるにも体力が必要だ。

 ……このまま戦闘を続けていていいのか?

「少しは体が動けるようにはなってきたが……。これでは一撃入れるだけで精一杯だな」

「姫様! ご無理はなさらないでください」

 お姫様は大分元気になってきたようだ。しかし無理はさせられない。

「しかしこのままでは……。今の状態を打開するための策が無ければ、倒せぬぞ」

「それはそうですが……。では私の魔法で!」

「カタリーナの魔法の腕は知っているつもりだ。……あのオークジェネラルに効くのか?」

「……隙くらいは作れます!」

 隙さえ作れれば、マリア達の攻撃のチャンスになる。

 隙……。魔法……。威力はそれほど必要じゃない? 俺の手持ちの召喚獣のでも平気だろうか? それとも、この女の子の魔法に託してみるか?

 でもそうすると、威力不足の場合、隙にすらならなくて無駄な体力と魔力を使うだけになる。さらに、あのオークがこちらに向かってきてしまうと、マリア達が戦ってくれている意味が無くなってしまう。

 女の子の実力は分からないけど、お姫様の感じからすると、効きそうにない。

 ……まぁまだ小さな女の子だし? でもこんな子でも魔法を使えるんだよなぁ……。俺には魔法は使えないし。

 俺には召喚がある。なら、あのオークを倒せるだけの召喚獣を創造するか? イージスの盾を創造したし、戦闘が開始されてから結構魔力を消耗しているはずだ。

 一種の賭けになってしまう。

 マリアの剣でも、十分倒せるだけの攻撃力はあるはずなのだ。あの一式の装備は、攻撃力と防御力はもちろん、マリアの身体能力――ステータスを底上げするような特殊効果も含まれている。マリアが思いっきり攻撃出来れば、それでチェックメイトだろう。

 なので、その隙を作ればいいだけだ。

 俺に出来るのは……。手持ちの召喚と創造だ。Jrを召喚すれば押し切れるか? いい手かもしれない。Jrに攻撃を集中させて、その隙にマリアが攻撃に専念すれば……。

 戦況を見る。

 あのオークは、アルルとベアルカスに攻撃を集中させているようだ。マリアに攻撃しても無意味と悟ったのだろう。意外に賢い。それでも、マリアへの注意も払っている。

 なら、ベアルカスを解除させてJrを召喚すれば……? そうか、そうだった! そういう手もあるな。やってみる価値はあるな!


ご意見ご感想があれば嬉しいです。


毎回思うんですけど、掲載予約のUIって、ミスを誘発する感じなんですよね。

プルダウンリストではなく、よくあるカレンダーUIとかのがいいんじゃ?

# 今日何日だっけ。とかいつもミスりそうなので

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