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召喚獣による召喚で異世界で召喚士になりました  作者: bamleace
二章 ~王都グーベラッハ~
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26 召喚獣vs中ボスたち

「よし、作戦開始だ!」

 ワタシにも何が起こったのか良く解らない。それでも、アキが何かをして、ワタシに装備を創ってくれた事は解った。

 アキが支持を出している。さっきまでワタシ達を守っていた盾は大分小さくなってしまったけど、それでもまだあった。これならアキ達は大丈夫だろう。

「まずは魔法の奴……よね」

 今も撃ち続けている魔法を撃つ魔物。確かに厄介で邪魔な存在よね。


 体が軽い。

 白くて硬くて、そして重そうな鎧一式を身に纏っているというのに、それを感じさせないくらい軽い。まるで身体の一部とすら思える。

 この剣と盾も、扱った経験はないけど、何故かうまく使える気がする。剣と盾が教えてくれる気がする。

「それじゃ、行くわよ!」

 駆けだすと、今までアキ達に向かっていた魔法が、ワタシに向けられてきた。拳大ほどの大きさのボールだ。普通ならば当たれば痛いだろう。

「でも、この距離で当たるほど、ノロマじゃないわ!」

 魔法のスピードもかなりあるはず。それでもこの鎧は重くなく、軽やかに走る事が出来る。そのため、避けるのは造作も無い。

「どんなに強い魔法でも、当たらなければどうと言う事はないわ!」

 魔法を撃つ間隔は、それなりにあったはず。ならば、この隙に接近するだけ。

 一気に加速し、魔物に近づく。

 二匹いる魔物の内、手前の魔物に狙いを付ける。……どうやらかなりの瀕死みたい。さっきいた人達がダメージを与えていたのかもしれないわね。

 ワタシは、初めて手にする剣を構え、そして駆け抜けながら横薙ぎにする。

 片手剣は初めてだというのに、まるで熟練の剣士のように使える。体が勝手に動く。まるで蓄積された経験のように、剣が導いてくれる。

「よし、次!」

 まずは一匹。斬られた魔物はそのまま倒れ込み、そして消えていった。

 ここまでは順調。というよりまるで時間が掛かっていない。魔法を使うだけあって、近接には弱いのかもしれない。

 もう一匹に向かおうとしたとき、その一匹が魔法を放ってきた。

 この距離で回避は出来るだろうか……。いや、大丈夫だ。

 ワタシは盾に導かれるまま、盾を構え、そのまま突き進む。

 そのまま魔法が盾に着弾……したけれど、不思議な事に衝撃が無かった。どんな攻撃にせよ、それを防御すれば衝撃は来るもの思っていた。

 それが無かった。いや、盾を持っているワタシは分かっていた。

 ……着弾する寸前で、魔法が掻き消えた事に。

「やっぱりこの盾は凄いわ。さすがはアキね!」

 盾を構えたまま、魔物目掛けて走る。

 また魔法を撃ってくるかもしれないから、こうしておけば安心よね。それに……。

 そのまま魔物の近くまで無事に進む事が出来たので、盾を突き出し、盾で魔物を殴打する。

 シールドバッシュと呼ばれる攻撃。盾を使った事の無いワタシでも、適切なタイミングと威力で放つ事が出来た。

 シールドバッシュだけで、魔物は結構ダメージがあるみたい。混乱でもしているのか、それともダメージが大きいのか、ワタシという敵が目の前に来ているというのに、魔法を撃つ素振りも見せない。

 例え魔法を撃たれたとしても、この盾と鎧ならば大丈夫なはず。それでも万が一という事もある。

「このまま一気に決めるわ!」

 剣を構え、そして一気に振り下ろす。この剣では二撃目となるその攻撃は、魔物を一撃で両断し、魔物を倒す事が出来た。

「うん、疲れもダメージも無いわね。やっぱり装備もいいけど、なんか体の調子もいいわね。いつもより力が(みなぎ)るというか……。考えても仕方ないわね。次はあの大きいのね!」

 今は戦闘中。そう考え、次の敵へと向かった。




「よし、作戦開始だ!」

 (マスター)からの支持は、マリア先輩が他の魔物を倒すまで、目の前のデカイ敵を引き付けて(マスター)達をお守りする事。

 (それがし)一匹では難しいけど、Jrと一緒ならば可能だろう。

 無駄な攻撃をせず、相手の攻撃を受け流す。……実に高ぶる!

 某も、Jrと同じく(マスター)に召喚され、創り直された存在。普通のクマよりも強いはずだし、実際強いと自負している。同じくJrも強い。

(某達ならば……。時間を稼ぐのはいいが―― 別に、あれを倒してしまっても構わんのだろう?)


 少し離れた所で様子を見ていたデカイ……オークが、某達に向かってゆっくりと歩き始めていた。

 そのままこちらに気を取られてくれればいいが、(マスター)達の所に行くとまずい。

 未だ歩みは遅いが、持っている武器を振りかぶっている。

(あんな遠くから? もしや、オークだから馬鹿なのでは?)

 オークがデカイ武器を振り下ろすが、見るからに届きそうにない。

 予想通り、()()は届かなかったが、その風圧と、砕かれた岩石がつぶてとなって襲い掛かってくるが、難なく避ける。主達も無事のようだ。

(……なんという力だ。それに、馬鹿ではないようだな)

 まずは挨拶代わりだとばかりの攻撃。気のせいか、オークは笑っているようにみえる。

 直接攻撃を喰らうのはマズイ。あいつの攻撃力が高いのは見て取れる。ならば、避ければいいだけの事。

 オークの気は某達に向いているように見える。それでも確実に某達に向かって貰わなければならない。

(まずは、某が一撃加えるとしよう!)

 素早く近づき、軽くジャブを放つ。

 某――ベアルカスは武器を持っていない。熊をモチーフにした召喚獣なので、武器を持っていないのだ。ならオークという豚が武器を持っているのは何なのだと問われると困るが、それでも某が武器を持っていない。

 ……だが武器なら持っている。某の武器はこの拳だ。熊の力。それに主の改良により、より強固になったこの肉体。肉体こそが武器であり、防具なのだ。

 その武器から放たれた軽いジャブは、オークの気を引く事に成功したようだ。

 まるで雑魚を見るかのように。まるで前哨戦というかのように。まるで準備運動だというかのように。オークは某達に向かってきた。

(さて……。いくぞ、Jr!!)




 ここは死後の世界なのでしょうか。なんだか優しく、温かくて、いい匂いがします。

 天国?

 何も出来ないまま死んでしまいました。もっと姫様のお役に立ちたかったのに……。

 無力な自分を恨みました。でもそれももう遅いのです。

 何故ならここは……。


「失礼だが、貴殿達はオークジェネラルを倒すつもりなのか?」

「それが出来れば最善ですが、少なくとも逃げやすいようにしたいなと。あのデカイの倒せるか分かりませんしね」

 なんだか話し声が聞こえます。

「色々聞きたい事もあるのだが……後にしよう。倒せるかどうかだな? オークジェネラルが恐ろしいのは、その攻撃力と体力だ。動きと防御はそうでもない。ここまでの魔物を倒せるならば、倒す事も可能だ。無論、苦労はするがな」

「なるほど……。なら倒せるかも? どっちにしろ、少し様子を見てからですね。ヤバかったら逃げますので」

 一人は知らない声です。もう一人の声は……。

「んっ……」

「カタ……リーナ? よかった、目が覚めたのか。どこか痛む所はないか?」

 この声は……。

「姫……様? どうして目の前に姫様が? 天国でもご一緒なんて素敵です」

「あぁ、まずは落ち着くんだ。我々は助かった。こちらの冒険者に助けられたのだ」

 助かった? あの状況で?

「すみません、姫様。お役に立てず……」

「元はと言えば、我々のせいなのだ。カタリーナは悪くない。むしろ、守ってくれてありがとう」

「姫様……」

 姫様はやはり優しいです。

「あーっと、すみません。目が覚めたのは言いですが、一応治療はしましたがどこか痛い所とか無いですか?」

 さっきから聞こえたいた知らない声の人が、声を掛けてきました。この方が冒険者なのでしょうか?見たこともない、強そうには見えない男性の冒険者。こんな方が?

「いえ、大丈夫です。ありがとうございます」

 それでも助けて貰ったらしいので、お礼は言っておきましょう。

「なら良かったです。まだ戦闘中なので、もしかしたら逃げないといけないかもしれませんが、無理はしないで下さい」

 戦闘中……。そうだ、デカいオーク――中ボスに殺されそうに……。

 姫様達が見ている方、戦場に私も目を向けてみます。

 そこにはあの中ボスがいました。デカくて強い、あの中ボスです。

 その中ボスと戦っているのは……小さい熊さんと、大きな鎧? の人です。どなたなんでしょうか? というか、この男性は戦わないのでしょうか? 後衛なら後衛で戦う方法もあるのですが……。

 小さい熊さんは、オークの攻撃を完全に見切っているようです。当たったかも! って思ったのに、ギリギリで避けているという攻防が続いています。

 大きな鎧の方は、オークの直撃を喰らわないように、持っている盾で守っています。頑丈な方です。

 どちらも攻撃は加えているように見えません……。たまに熊さんが攻撃していますが、効いていないようです。

 ……もしかして、まだピンチなのでしょうか?


 その戦場の先。そちらでも誰か戦っています。

 白銀のプレートを身に纏い、輝く剣と盾を持ち、颯爽と戦場を駆ける女性……。

「まるで戦乙女(ヴァルキリー)……」

 お伽話に出てくる、天使のような神のような、戦う強い女性の騎士。とても格好良くて、女の子の憧れです。

 姫様は、私にとっての……いいえ、この国の戦乙女(ヴァルキリー)

 そんな姫様のような戦乙女(ヴァルキリー)が、戦っているのに見惚れてしまいました。

 その戦乙女(ヴァルキリー)は、素早く走ったまま、魔物の魔法を華麗に躱し、そのまま一振りで倒してしまいました。

「綺麗……」

 気高く、美しく……そして強い。本当の戦乙女(ヴァルキリー)のようです。

「あっ!」

 そんな戦乙女(ヴァルキリー)に、魔物が魔法を放ってきました。あんな近距離では、さすがに避けるのは難しいでしょう。だから、結果が怖くて目を逸らしてしまいました。

 その判断は誤りでした。

 恐る恐る視線を戻すと、そこにはどこも怪我すらしていない戦乙女(ヴァルキリー)が立っていました。盾を構えて無事だったみたいです。

 その盾をそのまま魔物に叩き付け、剣で一閃、魔物を倒しました。

「す、素敵……!」

 まだ中ボス自体は健在です。まだ私たちはピンチです。それでも、目の前の戦乙女(ヴァルキリー)の戦いを見ていると、あの中ボスも華麗に倒してしまう、そんな気になってしまいます。

 もっと戦乙女(ヴァルキリー)の戦いを見たいです。


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