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召喚獣による召喚で異世界で召喚士になりました  作者: bamleace
一章 ~ワーズヴェシン街~
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03 冒険者登録とデート

ブックマークが二桁突破してました!

 俺達は冒険者ギルドの前にいた。場所は女将さんに聞いたら教えてくれた。宿屋から約二十分ほど歩いたところが冒険者ギルドだ。

 外観は結構大きい建物。ギルドっていうから、役所的な機能もあるのかな。部屋数は多そうだ。

 しかし意外に遠かった……。東門からほぼ真反対じゃないのか、これ。通うとなると、結構疲れるかなー。西側の宿屋のが便利な位置なのかもしれない。でも、女将さんいい人だし、料理もなんだかんだでうまかったし、部屋も綺麗だし、今のところはいいか。


 冒険者ギルドの中に入る。中も広い。正面にはでかい受付カウンターがある。左手にはお店のようなものがある。必要な消耗品はここで買えるのだろうか。右手にはいくつかのテーブル席とカウンター席がある。軽食を取っている人たちがいた。どうやら休憩がてら軽食を食べるスペースもあるようだ。

 人もそこそこいた。大きい剣を持っている人。全身を鎧で固めている人。三角帽に杖といかにもな格好の人。

 ここまで歩いて来る時にも何人か見たが、やはり冒険者にも亜人って言われる人たちはいるようだ。猫耳尻尾だったり、皮膚が鱗みたいだったり、耳が尖っていたり、小さいのに筋肉隆々だったり。

 雰囲気に飲まれてはいけない。俺達も冒険者になるんだ。受付に向かおう。

 受付は特に種別がないみたいだ。日本の役所みたいに、登録とか受付とか報告とか相談とか、そういう風に分かれてはいないんだな。ならどの受付でもいいんだろうけど、出来れば人の良さそうなのがいい。

 ちょうど猫耳のお姉さんの受付が空いているようだ。うん、決して猫耳に引かれた訳ではない。マリアを連れて受付に行く。

 そうそう、マリアも冒険者登録をしたいようだ。召喚獣なのにって思ったが、マリアにも考えがあるみたいなので特に止めなかった。


「冒険者ギルドへようこそ、御用はなんですか?」

「私とこの子ニ人の冒険者登録をお願いします」

「はい、新規登録ですね。身分証はお持ちでしょうか?」

「あ、はい。持ってます」

 そう言って俺とマリアのを提出する。

「はい。こちらは仮の身分証ですね。仮身分証からの登録ですので、登録料が一人銅板三枚になります」

 やっぱ金取られるのか。必要経費だ、仕方ない。

「はい、ちょうど頂きます。では、一人ずつこちらのステータ石に触れてください」

 来たよ、ステータ石。門のおっさんが使ってたのは簡易版って言っていたけど、ここのはそれよりも高性能だろう。こっちのがなんか高級そうだ。

 マリアも予想はしていただろう。特に驚いている様子もなかった。むしろワクワクしてる?

 門の時と同じように俺からやる。手を乗せる。

 ステータ石がぼんやりと青く光って、しばらくすると消えた。受付の猫耳お姉さんがふむふむと何かを確認している。どうやら、情報は受付の方に表示されるみたいだ。

「あら? 魔力が高いですね。すごいですよ!」

 おぉ、魔力が高いとは言われていたが、受付のお姉さんも驚くくらいなのか。やったぜ。

「あ、すみませんでした。はい、次どうぞ」

 すぐに冷静になりやがった。もっと褒めてもいいのに。

 さて、マリアの番だ。

 マリアの場合も同じようにステータ石が青く光る。よかった、この反応が違うと何かマズイことになるんじゃないかとヒヤヒヤしてたぜ。

「はい、大丈夫です。少々お待ち下さい」

 マリアの感想は無しか。お姉さんはそう言うと、何やら手元で作業をする。事務的な何かをしてるのかな。

 少し待っているとお姉さんの作業が終わったみたいだ。

「はい、これでニ人とも登録は完了です。こちらが冒険証になります。無くさないようにご注意下さい。冒険証が正式な身分証代わりになるので、先ほどお預かりした仮身分証はこちらで破棄させて頂きます」

 そう言うと、ニ枚のカードを差し出して来た。門番のおっさんが発行した身分証のほぼ倍、普通のカードサイズだが、しっかりしている。仮身分証は短い命だったな。

 冒険証にはなんか色々と書いてある。情報量は多い。

「冒険証や冒険者についての説明を致しますが、いかが致しますか?」

 説明してくれるようだ。チュートリアルみたいな感じだな。もちろんお願いしますだ。

「はい、お願いします」

「はい、では説明致します」


 説明は結構長かった。内容は冒険者の注意点などだった。

 とりあえず、まとめると。

 ・冒険者は自己責任。怪我や死亡の場合でも、冒険者ギルドは何の責任も持たない。

 ・冒険証には、名前や階級などの個人情報、腕力などのステータスと受注しているクエストの状況が記載される。

 ・冒険者にはランクがある。F開始でF→E→D→C→B→A→Sと上がっていく。

 ・クエストにもランクがあり、自分の冒険者ランクの一つ下と同じランクのものしか受注できない。

 ・ランクを上げるにはポイントを増やす必要がある。

 ・ポイントはクエストをクリアすると貰える。失敗や冒険証の紛失などで減る。

 って訳だ。パンフレットみたいな冊子も貰ったので、後の分からないことはその都度確認していけばいいだろう。

 冒険証を確認してみるか。情報は持ち主が許可しないと表示されずに、他の人にも見えないらしい。許可すれば他の人のも見れるらしい。個人情報だしな。

 俺の情報はっと。名前とかのは門で作ったのと同じだな。ランクはもちろんFだ。

 ステータスはゼロから百までで表示されるみたいだな。腕力、敏捷、体力、魔力、器用の五項目。まさにRPGのステータスだな。魔力が五十で器用が二十で他は十以下だ。根っからの魔法タイプか。

 マリアのを見せてもらう。やっぱ人族と表示されている。ギルドのステータ石でもそう判断されたのか。ステータスは……、どの項目も十から二十だった。あ、でも魔力はゼロだな。召喚獣だからか? でも腕力は俺よりも高いし、戦士タイプってことになるのかな。

 マリアが何故か、「うん、なるほど。やっぱりそういうことかな」とか一人で納得してたがなんだろうか。後で聞いてみよう。


 登録という目的は果たしたので、冒険者ギルドを後にした。中の施設にも興味があったが、まだ不要だろうと考えたのだ。決してびびった訳ではない。

 さて、次は本屋だな。歩けば見つかるだろう。それにしても、今ってマリアとニ人でお出掛けだな。これはデートって奴かな?

 マリアは可愛いが、なんか彼女かというと、そうは思えない。高嶺の花だからだろうか。

 俺には年下の従妹がいたが、それと似たような印象だ。従妹の面倒を見るお兄ちゃんって奴だ。だからデートとは思えず、不思議と緊張しなかった。

 西側はお店が多く、人も多かった。さすがに渋谷のスクランブル交差点とかではないが、人気のアーケード商店街という感じだ。

 食べ物屋に雑貨屋、服屋に色々ある。必要な物はこの辺で揃うだろう。

 武器屋とか防具屋もあった。やはり剣は実際に見ると少しテンションが上がる。あれで魔物を倒せたら格好いいだろう。まぁ、俺は魔力があるから剣は使わないで、この杖を使う事になるんだが。

 色々な店と人々に目移りしながらも、目的であった本屋を発見した。なんか怪しい雑貨らしき物も置いてあるが、本もあるし本屋だろう。中に入る。


 とりあえずは魔法と召喚についての本かな。相変わらず文字は分からないけど何故か読めるので探す。

 本はすぐに見つかった。『サルでも分かる魔法!』とかではないが、魔法と召喚についての初級向けの本があったので、それぞれ手に取る。パラ見したが、ゼロからの内容に加え、初級魔法や召喚もいくつか載っていたので、まずはこれで十分だろう。

 初級の上は中級で、その上が上級みたいだ。中級の本はあったが上級はなかった。品切れなのだろうか。

 それにしても、魔法とか召喚関連の本しか置いてないな、この店。本屋じゃなくて魔法屋みたいなのか?

 よく分からない雑貨というか、恐らく魔法道具なのだろう。色々と揃えているようだ。

 魔法道具については冒険者ギルドで軽く説明を受けた。生活を豊かにする物もあれば、戦闘に使える物と色々あるようだ。冒険者必須と言っても過言ではない物もあるそうだが、今はいいだろう。

 本を選んでいる間、マリアのことを放置していたので暇しているだろうと目を向けてみたが、何かの道具を手にしていた。

 欲しいものでもあるのかと声を掛けたが、見ているだけよと返って来た。これは買ってあげた方がいいフラグなのだろうか。でも特に一つを見ている訳でもなく、本当に暇つぶしに見えたので、買わなくていいだろう。

 でもあまり時間を掛けるのも悪いので、早いところ本を買ってしまおう。

 奥のカウンターに六十歳くらいの女性がいた。店長さんだろうか。

「すみません、このニ冊をください」

「はいはい、どうも。魔法の本と召喚の本ね。まだ若いのに召喚なんてすごいねぇ。アタシも若い頃は召喚士でね。世界中を飛び回っていたんだけどねぇ。歳には勝てなくて、こうして本屋の婆さんをやっているんだよ」

 えらく饒舌な婆さんだな。多少誇張はされていると思うが、召喚士だったのか。先輩がいるっていうのはラッキーだな。色々話を聞けるかもしれない。

「召喚の本だったら、これもいいけど、えーっとどこにやったかしら。ちょっとミリアン。あの本どこにやったかしらね」

 何かおすすめの本を見せてくれるらしいが、見つからないのだろう。他の人を呼んでいるようだ。どうでもいいが、この本の値段も分からないし、あまり高いと困るんだがなぁ。

「あの本ってどれよ、お婆ちゃん」

「あれよ、あれ。アタシが書いた召喚の本だよ。どこにやったのかしらねぇ」

 出てきたのは二十歳くらいの女性だった。人族みたいだし、この婆さんの孫と言ったところか? 文学少女って感じだが、地味可愛い。冒険者ギルドの猫耳さんもだったが、この世界って女性のレベル高くないか?

「もう、お婆ちゃん。お婆ちゃんは召喚士じゃなくて魔導士だったでしょ? 召喚なんてやった事ないし、召喚の本なんて書いたことないじゃないの。あ、すみませんお客さん。ニ冊お買い上げですね? 魔術の方が銅板三枚で、召喚の方が銅板五枚で、合わせて銅板八枚になります」

「あら、そうだったかしら。この歳になると物忘れも激しくてねぇ」

 ……いい加減な婆さんだった。召喚士の先輩ラッキーって喜んだ俺の喜びを返して欲しい。

 まぁいいさ。中級者向けっぽい本も売ってたし、初級が終わったらまた来ればいい。このミリアンとかいう女性はしっかりしているし、おすすめの本などの相談も出来るだろう。

 しかし、銅板八枚か。本って高いんだな。宿屋で四泊出来るぞ。沢山買うのも厳しいかな、重いし。

 支払いが済んだ後も、マリアは得体のしれない道具を見ていた。

「マリア。本は買ったけど、なんか欲しい物でもあったか?」

「ん。結構面白い道具もあったけど、まだいらないと思うわ。本は買えたの?」

「あぁ、魔法と召喚の本を買った」

「魔法のも買ったのね……」

 ん? 魔法の本も買ったのは駄目だったのか? 嫉妬か?

 まぁ欲しいのがないならいいか。ミリアンさんにお礼を言って、本屋を後にする。


 本を買って気づいた。カバンが欲しい。硬貨もずっとポケットにそのままっていうのも嫌だし、財布みたいのもあれば欲しい。ちょっと雑貨を見て回るか。

「ちょっとカバンとか欲しいし、他の店も見ていかないか?」

「うん、いいわよ」

 という訳でマリアとのデート続行だ。

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